羞恥心
PONYCANYON INC.(PC)(M) (2008-04-09)
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<歌謡曲サウンド+自ら体現するメッセージ> 人気クイズ番組「クイズ!ヘキサゴンII」にて、珍解答を連発して人気を博しているおバカ男性タレント3人組、つるの剛士・野久保直樹・上地雄輔によるユニット。インパクトのある名前にとどまらず、2008年の上半期最大級の大ヒットに繋がったのは、みなさんご存知のとおりです。
もともとは、オバカ女性タレント陣のスザンヌ・木下優樹菜・里田まいとで結成されたPaboが先にデビュー。こちらがそこそこウケたので、男性陣でも活動を開始したとのこと。しかし、フタを開けてみれば、Paboを遥かに超える売り上げを記録しました。
番組での人気、そしてブログ一日のPV数ギネス記録を誇る上地雄輔など個人の人気もこの大ヒットの一要素には間違いないでしょう。しかし、それ以上に、どアイドル歌謡な作りがウケたんだ、と感じます。
2005年にもっとも売れたシングル、
修二と彰「青春アミーゴ」を思い出してください。キラキラでキメキメのサウンド、哀愁も香るマイナー調、『俺の胸にさあおいで』というような強気の言葉、「俺達」という主体など、共通点が多数。往年のアイドル歌謡曲のテイストが存分に盛り込まれた楽曲はウケる、というのは、すでに3年前に
トラジ・ハイジ「ファンタスティポ」→「青春アミーゴ」の流れで判明していました。ただ、それを大真面目にやるアーティストがここまで出ていなかったというだけです。
よりファニーな路線では、昨年2007年にお笑い界にムーディ勝山が現れました。ちょっと違うっちゃ違うんですが、「歌謡曲」をパロディ化した彼に人気が集まったのも、やっぱり歌謡曲という題材のヒキの強さを物語っていると思うのです。
モーニング娘。などをプロデュースしたつんくも、味付けは最新のポップスでありながら根っこには歌謡曲テイストがはっきりと色濃くありました。日本人の好みは、時代を経ても歌謡曲から動いていないのですね。ただ、露骨に出してアピールする今回のような楽曲はあんまりない(だけど、出るとウケる)というだけで。
歌謡曲サウンドの強みは、やはりわかりやすさ、印象に残る聴きどころの多さでしょう。ゴージャスな音のデコレーション、コードべったりのメロディライン、哀愁も漂わせられるマイナー進行…
そして、この曲はさらに強い印象を残しやすい独自の要素もあります。たとえば、『ドンマイ ドンマイ ドンマイ ドンマイ/泣かないで』『羞恥心 羞恥心』など、インパクトが強く、音のはまり方もよく、さらに同じ言葉を連呼するサビ部分。たいへん覚えやすく、うっかり口ずさんでしまいやすい出来になっているわけですね。さらに、メロなどでもキメっぽい場所が随所にあり、満遍なく味の濃い(暑苦しい)作りになっています。パロディ的な意味合いもあるので、あえてあれこれ強調されている関係もあるんでしょうね。
この点、当たり障りのないシンプルでオーソドックス、特徴の薄いアイドルポップスだったPaboの「恋のヘキサゴン」とは、明らかに一線を画しています。
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