2008年09月10日

過去ログ発掘のコーナー その37。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
 毎回そのときの気分で一曲選んで紹介するこのコーナーのバックナンバーから、新しいレビュー更新が滞ったとき、ちょこっとずつ抜き出して紹介していきます。メルマガを読んでいない人にはちょっとした暇つぶしに、読んだことのある人にも何か新たな発見があれば幸いです。



 ≪現代ポップス雑考。≫ Vol.134 2008/02/11
#槇原敬之「2つの願い」

 『フロントガラス雨粒を/赤信号がルビーに変える』

 雨の情景描写でお気に入りの表現がこちら。ガラスに信号の赤がにじむ姿を美しく描き出す視点も凄いですが、それを『きっと僕があげたくて/君がほしかったもの』と、曲中のストーリーにきっちりと組み込んでいたりするのですね。

 降り続く雨がやむか、別れを告げられた相手から連絡が来るか…『二つの願いは必ず/ひとつしかかなわない』と繰り返されるサビが、ラストの『着替えをしてドアを開けたら/雲間に日がさしてた』というフレーズを実に効果的に演出しています。

 雨があがって晴れることをバッドエンドにするという着想に留まらず、『さよならと言われるより言うほうがきっとつらい』なんてフレーズは実に胸にきますし、また二人が幸せだった頃の思い出として「夕焼け」が登場しますが、これは現在の雨と対比させられているわけで。
 非常に巧みな表現や構成を感じさせる点が多々ある佳曲です。

SMILING〜THE BEST OF NORIYUKI MAKIHARA
槇原敬之
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 ゲリラ雷雨が多いですね。
 そんななか、かなりパツパツです。更新滞りっぱなしでごめんなさい。

ラベル:槇原敬之
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2008年08月28日

過去ログ発掘のコーナー その36。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
 毎回そのときの気分で一曲選んで紹介するこのコーナーのバックナンバーから、新しいレビュー更新が滞ったとき、ちょこっとずつ抜き出して紹介していきます。メルマガを読んでいない人にはちょっとした暇つぶしに、読んだことのある人にも何か新たな発見があれば幸いです。



 ≪現代ポップス雑考。≫ Vol.134 2008/02/11
#Jungle Smile「おなじ星」

 『私の瞳に眠る光を/あなたが引きだしてくれたよ』

 1998年リリースから、今でもとても鮮やかに思い出せる印象的な一曲。メロディライン自体はシンプルなんですけど、なんというか、胸に迫ってくる何かがあるんですよね。搾り出すような響きのする声がそう感じさせるのかもしれませんし、歌詞のせいもあるのかもしれません。

 『“恋してる”とか“好き”とか/そんな気持ちじゃ済まされないんだ』
 『何があっても この腕がちぎれそうになっても/離さない 守るわ』
 ともすれば過剰なくらいの、愛のメッセージ。上に挙げた他にも、「たったひとり愛してくれた」「ずっとふたりで生きていこう」そして「たとえあなたが女でも」などなど、全身の体重の乗った真摯な言葉が、惜しげもなくどんどんとつぎ込まれていくのです。
 あまりに感情が強すぎて、勢い余っているようにも感じるんですけど、それがまたいっそう強い感情として響いてくるのです。

 中でも、『この東京で 交差点や駅のホームとか/あなたと私は きっとすれ違ったりしていた』というフレーズが生きています。
 この楽曲はとにかく「この恋は必然なんだ」というくらいの思い入れを感じる言葉が、いっぱい並んでいまして。そんな内容だからこそ、「過去のすれ違い」に想いを馳せることが「今ともにいる幸せ」に繋がってくるわけです。なんでもない呟きに、運命的な響きを帯びた強度が宿ってきているのです。


ジャンスマ・ポップ〜シングル集〜
Jungle Smile
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 月末で、かなり忙しい状況です。更新は週末までお待ちください。

ラベル:Jungle smile
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2008年03月08日

過去ログ発掘のコーナー その35。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
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≪現代ポップス雑考。≫ Vol.127 2007/12/16
#中島美嘉「愛してる」

『大事な事はあなたが好きで/私を好きかどうかはいいの 今だけは』

 中島美嘉の初期バラードで、いちばん好きなのがこちら。
 この曲は、スタイリッシュさがウリの初期中島美嘉バラードの中ではもっともベタな内容ですが、でもそのストレートさに感情がこもっていていいなあと。

 『愛してる 愛してる 愛してる あなただけを』
 つごう5回も「愛してる」と繰り返すサビ。表現の妙、なんて考えない、この力押しっぷりがいいのです。繊細なサウンドと危うげな歌声には一見合わないような気もするんですけど…感情が抑えきれずにこぼれ落ちてくるような聴き心地になって、迫ってくるものがあるのです。

 引用した部分は、相手の感情よりも自分の感情を優先する、なんというか熱に浮かされたような印象を受けるフレーズ。『大好きさ君がなんて嬉しすぎる照れるね』とか、歌詞にしては飾り気がない文章が満載なんですけど、それが、あふれ出る感情を制御し切れていない雰囲気を醸し出していて。
 なので、表現が拙いと切り捨てるのはもったいない、素敵な味わいとして楽しみたいところ。

BEST
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中島美嘉
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 この土日、引越しをします。無事に終了し、パソコンが繋がったら、更新を再開します。すみませんが、どうぞよろしく。
posted by はじ at 01:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月05日

過去ログ発掘のコーナー その34。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
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≪現代ポップス雑考。≫ Vol.131 2008/01/14
#SINGER SONGER「オアシス」

『愛が今/足りないなら/愛はまだ/降り注ぐように』

 音楽のメルマガとブログをやっているにもかかわらず、数年に1回程度しかライブに行かない出不精な自分ですが、先日誘われましてCoccoのライブに行ってきました。

 最新アルバム「きらきら」は非常に明るいアルバムで、活動休止以前の暗さ重さが好きだった人には反発する向きもあるでしょうけれど、ライブに行くときっと受け入れられるだろうなあ…なんて思わされました。
 昔と決別したわけでは決してなくて、ライブでも「強く儚い者たち」や「樹海の糸」など、昔の曲をかなり披露してくれていまして…当時の活動が今に繋がっていること、そして今の方向性とは違う種類の楽曲もしっかりと組み組んで歌いきっていくCoccoには、明らかな成長が感じられたのです。
 純粋に「ああ、いいなあ」と。

 さて、そうした第2ステージのCoccoの始まりは、くるり岸田繁らと組んだSINGER SONGERにありました。ということで、このところそのアルバム「ばらいろポップ」を聴き返している中から、この曲をピックアップ。
 メロだけを聴くと、ちょっと重めのマイナー調。どうしようもない負の感情をたぎらせ迸らせるサビも想像できそうです。が、そこに現れるのは、暖かな広がりを感じさせるサウンド。シングルとしてリリースされた「初花凛々」も大好きなのですが、始終キラキラした明るさを振りまくそちらよりも、曲作りの転換がはっきりと感じ取れる一曲です。

 叫ぶように、でも確かな強さを持って降り注ぐ愛を描き歌うCoccoの声は、その変遷も踏まえて聴くと、よりドラマティックに胸を打ってきます。ただ、先にも述べたように、今までの彼女自身の音楽を捨てたというわけでもないのです。
 「愛が足りないなら」と呼びかける。「愛が降り注ぐような」と描写する。気をつけたいのは、「愛をあげる」ないし「愛が届く」とは言っていない、ということ。これだけで、Coccoが安易な気持ちで「愛」を前向きに歌い始めたわけではないということが、ひしひしと感じられはしないでしょうか。

 「愛」はあります。足りていない人がいても、それは絶対量が少ないからではなく、降り注ぐ「オアシス」はどこかにある。そういう希望を描く一方、必ず誰にでも届くとは言わないし、あげるとも言わない。重みを知っているからなのか、自分でつかみとるべきだと考えているからか、すべての人が満ち足りるのは無理だということなのか…ただ言えるのは、Coccoが愛を求めることの厳しさを忘れたわけではないのだろうということ。そして、その厳しさを知っていてなお、精一杯の救いを歌おうと試みているということです。

ばらいろポップ
ばらいろポップ
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SINGER SONGER Cocco 岸田繁
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 昨日の「ジュゴンの見える丘」のレビューと合わせてどうぞ。
posted by はじ at 09:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月19日

過去ログ発掘のコーナー その33。

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≪現代ポップス雑考。≫ Vol.034 2006/02/05
#坂本真綾「マメシバ」

『私なら愛しさだけでどんな場所へでも 迷わないで走ってゆける』

 マイ「犬」が出てくる曲・その2です。出てくるというか、この曲は主人公自身が「犬」=「マメシバ」として示されているんですね。で、「君」のもとへ駆けていく…という。恋する女の子を「マメシバ」になぞらえたように解釈するのがオーソドックスですが、例えでもなんでもなく犬そのものとしてもあんまり違和感ないです。

 犬って「従順」というイメージがあり、主人とペット、という構図になりやすいんですよね。一方的、あるいはちょっと倒錯した関係みたいな、ネガティブな意味を含んでしまいがちです。
 でもこの曲のマメシバ君はそうではなく、すごく爽やかです。「君」のもとへ一身に向かっていく姿はとても献身的ですし、『だから大きな声で何度も私の名前を呼んで』と求めるのも、少しのマイナス感情が入る隙間もなく、純真さを感じさせてきます。
 むしろ、「あなたを助けられるのは私だけ」という一途な気持ちがあって、それは「女の子」のままで歌われると、ちょっと重くなっちゃうと思うんですよね。むしろ「犬」になぞらえられているぶん、清々しく聴こえてくるというのもあるんじゃないのかなと。

マメシバ
マメシバ
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坂本真綾 岩里祐穂 菅野よう子
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 メルマガで、戌年にちなんで「犬」が出てくる楽曲を募集したときのもの。
 最近、ペットショップの前を横切る機会が多いのですが、通りから子犬がじゃれあっている姿が見えるんです。自分はどちらかと言うと猫派だったんですけど、犬もやっぱりいいなーって思うようになりました。ええ。
posted by はじ at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月10日

過去ログ発掘のコーナー その32。

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≪現代ポップス雑考。≫ Vol.094 2007/04/15
#L'Arc〜en〜Ciel「Still I'm With You」

『約束のない愛に憧れたまま/どこまでも高く舞い上がる』

 ラルクのブレイク前、3rdアルバム「heavenly」の1曲目。ken作曲の、非常に透明感のある1曲です。

 アルバムタイトルにも繋がってきますが、『枯れてしまったあなたの瞳』といった歌詞からは、「死別」をテーマにした楽曲だということが類推できます。しかし、哀しみに暮れ嘆くといったことはなく、「Still I'm With You」…それでもなお二人の愛を信じて寄り添う、といった内容になっているのですね。

 あなたは『新しい世界を見つめてる』んだ、という言い方からも感じますが、「死」を美化し、ポジティブなイメージを描こうとしているのがわかります。
 『約束のない愛に憧れたまま』というフレーズには、どこかその愚かさを自覚しているようなフシもありますが、まるでそんなことはどうでもいいとでもいうように『どこまでも高く舞い上がる』…非生産的で、退廃的で、病んでいる思考。しかし、だからこそ漂ってくる美しさや純粋な想いを表現しようという意志が、ここにはあります。実に彼ららしい美学だなあと。

heavenly
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L’Arc~en~Ciel 西平彰 hyde
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 最近の何でもあり、どんなコンセプトもこなす熟練を感じさせる楽曲群もいいものですが、初期の何ともいえない透明度の高い退廃感も忘れがたい魅力があります。昔のアルバムは聴いたことがないという新規ファンも、この魅力を味わってみてほしいところです。
posted by はじ at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月26日

過去ログ発掘のコーナー その31。

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≪現代ポップス雑考。≫ Vol.094 2007/04/15
#Mr.Children「彩り」

『そんな些細な生き甲斐が 日常に彩りを加える』

 ミスチル最新アルバムのプロモーションで、やたら街中でガンガンとかかりまくっている気がするこの一曲。確かにニューアルバムのコンセプトが表れている一曲だなあと思います。飾りのない毎日、壮大じゃない日常の大切さ、見えない大きなつながり…そんなものですね。

 この曲の何に衝撃を受けたって、出だしの「ただ」。この、たった2音。曲の入りの、なんでもない2音の、ぽん、と放り出すようなリズム。これ、何の変哲もなさそうで、今まで聴いたことのないリズムです。
 で、このほんのちょっと不思議な歌い出しが、そっと聴き手に穏やかさを与えているような気がします。つまり、この楽曲のコンセプト、アルバムのコンセプトをこの2音が担っていて…とはさすがに言いすぎか。

 で、2番の同じ部分が「今」。ふたつ繋げると「ただいま」で、これは曲中間奏部分で『ただいま/おかえり』と出てくる単語…これもやっぱり考えすぎか。

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Mr.Children Kazutoshi Sakurai
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 今年、もっともセールスをあげたアルバムです。渋谷TSUTAYAで、プロモーションの一環なのか風船を配っていたのを目にしたのが印象的でした。

 この「彩り」の歌い出しのふわっとした入り方は個人的にはかなり鮮烈なインパクトになっていて、今読み返してみるとそれがありありとわかりますね。で、最新シングル「旅立ちの唄」でもリズムは違えどやはりふわっと感がある歌い出しになっていて、この感触はきっと伝えたいことの一翼を担っている表現なんだなあ、と思ったりしています。
posted by はじ at 02:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月06日

過去ログ発掘のコーナー その30。

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≪現代ポップス雑考。≫ Vol.121 2007/10/28
#globe「Precious Memories」

『偶然 街ですれ違っても/気付かずに お互いの道を目指してる』

 400万枚を売り上げ、当時の日本記録を塗り替えた1stアルバム「globe」に収録されている一曲。当時の小室哲哉にしては珍しい、ほぼ中心となるピアノのみで聴かせるバラード。

 このアルバムですけど、今聴いても名盤だと思っています。たくさんの人が耳にしたことがあるはずですが、ただそのぶんすっかり「過去の作品」として捉えられてしまっているように感じます。しかも、その中でもあんまり目立たないこちらの曲。ですが、風化させるにはもったいない作品だと思うのです。

 小室哲哉は当時、主に女性ボーカル、恋愛について歌う内容の楽曲を大量に手がけていました。その中でも、個人的には、この曲のような具体的な心理や行動が歌詞中に出てくるものが好きでした。

『最近あいつが 電話してきたよ/あなたは今も 飲み友達で』
『アドレスのデータもほとんど/使わない人ばかりになる』
『誰と 暮らしているかも/知らずに 何かを 忘れてく』

 昔の話から、ふっと時の移ろいを感じていく。戻らない時間と、忘れていく記憶。…そしてリリースからさらに歳月が過ぎた今だと、またそのぶんの時間の重みが、聴き手の印象に加わってきたりもして。

globe
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 ふっと思い出して聴いてみると、とっても感傷的な気分になる曲です。
 部屋のどこかにアルバムを眠らせている人は、気が向いたときに聴きかえしてみてくださいな。
posted by はじ at 22:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月30日

過去ログ発掘のコーナー その29。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
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≪現代ポップス雑考。≫ Vol.090 2007/03/18
#椎名林檎「本能」

『朝が来ない窓辺を 求めているの』

 椎名林檎の2ndアルバム「勝訴ストリップ」は非常に手が込んだ作りになっていまして、全13曲の順番がシンメトリーに配置されています。
 どういうことかというと、中央7曲目に「罪と罰」があり、そこから6・8曲目がそれぞれ『アイデンティティ』『ストイシズム』5・9曲目が『闇に降る雨』『月に負け犬』…そして最終的には1・13曲目が『虚言症』『依存症』というふうに、楽曲が対置されているんですね。
 で、シングルとしてリリースされたこの12曲目「本能」に対置されているのが、今回「夢」にまつわる曲で紹介した2曲目「浴室」になるんですね。

 「本能」は『ずっと繋がれて居たいわ』『もっと中迄入って』など、相手から自分へのアクションを「積極的に求める」呼びかけがあります。
 対して、「浴室」は、『あたしが完全に溶けたらどうぞ召し上がれ』。自分から相手へのアクションとして、自分自身を晒していくのですね。

 受動的、というかM的でありながら相手を挑発し誘おうとする「本能」、
 能動的に行動しつつ、「召し上がれ」と相手へ隷属する「浴室」。
 どちらも最終的には自分自身を丸ごと相手に受け入れてもらおうとする衝動を歌っているのですが、それが見事なまでに対照的に描かれているのですね。

 そう考えてみると、「本能」はご存知の通り巻き舌フル活用の蓮っ葉な歌い回しで、「浴室」も巻き舌はあるけど整然として浮遊感のある声。このあたりも意識して対比させているんでしょうか…よくできてるなあ…

 他の対置された楽曲群もこういった対応が散りばめられていそうですが、恐ろしく労力を使いそうです。とりあえず椎名林檎の病的なまでのこだわりが垣間見えた2曲でした。

勝訴ストリップ
勝訴ストリップ
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椎名林檎 亀田誠治
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 最近の彼女は、何でも一人で作りこみまくろうとせず、他の人に作曲を委ねてアルバムを製作するなど、広がりが出てきていますよね。こだわりが薄まった、というよりは、より大きく刺激的な世界を生み出そうと積極的になってきている、といったほうが正しいのかも。
posted by はじ at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月15日

過去ログ発掘のコーナー その28。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
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≪現代ポップス雑考。≫ Vol.083 2007/01/28
#平井堅「even if」

『君も少し酔った方がいい そして僕の肩に寄りかかればいい
  だけど全ての言葉をまた飲み干して 君から目をそらした』

 セールス的には確かあんまり伸びなかったんですが、平井堅の中ではもっとも好きなのがこの曲です。

 想いを寄せる「君」には恋人がいることを知っていながら、お気に入りのバーに連れてくる。そういう具体的なシチュエーションの中で、『“たまたま見つけたんだ”』と装ってみたり、心のどこかでは「あわよくば…」を狙っていながらも、「全ての言葉を飲み干して」しまい踏み出せないあたりがとてもリアルです。

 非常に槇原敬之を想起させる内容でもありますが、マッキーだと主人公の「僕」はたぶんもっと善人になるんです。「あわよくば…」を狙っている自分にちょっと自己嫌悪が入ったり、『うれしそうに 彼にもらった指輪を眺めてる』「君」を、その幸せな笑顔を曇らせたくないとかなんとか言って、自分の気持に区切りをつけようとしたりするはず。絶対。「80km/hの気持ち」でも「彼女の恋人」でもそうでしたし。

 でもこの曲の「僕」は、そんなに優等生ではありません。「あわよくば…」に罪悪感はないあたり、大人なのかもしれません。
 が、それでも踏み切れないところが、より感情のねじれを感じさせるんですね。「彼」のことを話す「君」の『言葉をさえぎるためだけ煙草に火をつけた』りする。これは映像的には大人の駆け引きっぽい描写でもありますが、その実はすごく子供っぽい焼きもちですしね。

 ただ行動に移せないというだけでなく、酔いの勢いもあるのに、というところもポイントです。しかも酔ったのを『その責任は君なんだから』ですからね。いい具合に情けなくて、好感が持てます。


even if
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松原憲 URU 平井堅
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 今年もこの曲が似合う季節がやってきました。というか、勝手に冬のイメージにしているんですけれど。
 大人な片想い。またこういうの書いてほしいなーと思っています。
posted by はじ at 09:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月01日

過去ログ発掘のコーナー その27。

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≪現代ポップス雑考。≫ Vol.074 2006/11/26
#ユニコーン「すばらしい日々」

 『君は僕を忘れるから その頃にはすぐに君に会いに行ける』

 矢野顕子がデビュー30周年ということで。雑誌「SWITCH」や糸井重里の「ほぼ日」に特集として、本人坂本龍一と糸井重里との対談が掲載されたりしています。

 ユニコーンの曲じゃないの?とツッコミがありそうですが、自分にとってこの楽曲は、矢野顕子カバーバージョンのほうに圧倒的なインパクトがあるんですよね。特に、奥田民生・鈴木慶一・宮沢和史・大貫妙子と行ったライブを収録した「LIVE Beautiful Songs」のバージョン。3拍子に大胆にアレンジされつつ、ピアノとあの独特の声がふわふわと奔放に楽曲を塗り替えていき、そしてものすごく感情を渦巻かせて押し寄せてくる衝撃は相当なものでした。

 もちろんこれは原曲が先に存在しての感想でして。たぶん原曲は、引用したような部分や『懐かしい歌も笑い顔も すべてを捨てて僕は生きてる』などの言葉を淡々と歌う、そこにポイントがあるはずなんです。裏返せば「君」が「僕」を忘れない限りは会いに行けないとか、全てを捨てて生きている今を「すばらしい日々」と言っているとか、どこか皮肉さや哀愁を感じさせるような言葉を、ただ淡々と歌うことに。

 歌とピアノだけでものすごくドラマティックな矢野顕子版は、対照的な作りなんですね。だから本当はこっちに揺さぶられてしまうのは、ある意味「邪道」なんですが…

 とにかくこの人は、唯一無二の歌い手です。そのうちじっくり全作を聴き込んでいきたいところです、ほんとに。


ザ・ベリー・ベスト・オブ・ユニコーン
ユニコーン UNICORN 奥田民生 川西幸一
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LIVE Beautiful Songs
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オムニバス 鈴木慶一 奥田民生 宮沢和史 大貫妙子 矢野顕子 白井良明 ステファン・ドゥポント
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ユニコーン・トリビュート
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 ユニコーンのトリビュート、そして奥田民生ソロのトリビュートが同時発売。参加メンツはとにかく超豪華。ということで、両方合わせて購入しました。まだほとんど聴きこめていませんが…

 こちらには、自分の敬愛する宮沢和史(THE BOOM)がソロプロジェクトGANGA ZUMBAを引き連れてこの「すばらしい日々」を歌っています。こちらは原曲のスピード感を排し、濃い声質も合わさって、どっしりと重心を低くして構えた雰囲気。ゆっくりと、遥か遠くを目指して歩いていくようなイメージを抱きました。間奏の民族楽器の影響もあるのかな。

 これはこれでいいですね。原曲の方向性を守りつつ、彼らしい表現に塗り替えたという感じ。でもやっぱり、矢野顕子のインパクトにはかなわない…
posted by はじ at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月18日

過去ログ発掘のコーナー その26。

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≪現代ポップス雑考。≫ Vol.046 2006/05/07
#YUKI「ハミングバード」

 『白いキャンバスに描く空/深いスカイブルー越えたら
  広がる 無限のジオラマ』

 ゴールデンウイークということで、1泊2日の旅行に連続で行ってきました。ひとつは母方の実家のある福島、ひとつは地元の友人と房総半島へ。

 福島で、イトコと車ででかけたのですが、そのとき車内でかけてくれたのがCaravanという人の「RAW LIFE MUSIC」というアルバム。彼は以前このアルバムの曲を聴いたのがきっかけで、思い立って沖縄まで旅行に行ってきたのだとか。そんな気持ちが、聴いているとよくわかるんですよね。シンプルなんだけど、まるでさまざまな町の片隅で弾き語っているような、自然に体が動いてしまうような心地よいリズムが印象的でした。

 で、そのアルバムに入っている曲を、YUKIが詞を一部書きかえアレンジしたのが、この「ハミングバード」なのだそうです。元歌の歌詞が見つからなかったので、とりあえずYUKIバージョンの、旅っぽい雰囲気の部分を紹介しておきます。やっぱり旅っていいものですねー。


Single Collection”five-star”
YUKI
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RAW LIFE MUSIC
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 YUKIのシングルコレクション、素敵です。曲がどれもいいし、本人のライナーノーツもかなり興味深いものばかり。

 この曲は、原曲とちょこちょこ歌詞が変わっていて、改めてふたつを比べてみるとなかなか楽しいです。『13回目のファイナルアンサー』なんてユーモアのあるフレーズはそのままに、かなり違うシチュエーションになっていたりして。
 また、あんまり難しく考えず、穏やかさに浸って聴くのもいい感じ。
posted by はじ at 03:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月07日

過去ログ発掘のコーナー その25。

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≪現代ポップス雑考。≫ Vol.068 2006/10/09
#コブクロ「毎朝、ボクの横にいて。」

 『たぶん君は見飽きているのでしょうが/もぉ少し どうぞ お付き合い』


 実家に帰ってみたら、妹がコブクロの2枚組ベストアルバムを購入していたので、聴かせてもらいました。

 コブクロって、けっこう具体的な描写の曲が多いんですね。「君」の仕草や言葉をはっきり描いている、明確なキャラクター付けのある曲、ベスト収録で言えば「雪の降らない街」「blue blue」など。
 ただ、ヒットに繋がった曲はどれもわりと抽象性の高い曲ばかりで、どっちがいいってわけじゃなく今の時代はそういうほうがやっぱり好まれているのかなあ、と思ったり。

 で、今回の一曲はその中から、所ジョージとタッグを組み「トコブクロ」としてリリースした一曲のセルフカバーで、アコギ中心のシンプルな弾き語りバージョンになっています。吉田拓郎みたいな字余りの、メロディを崩した歌い方をしています。それでもきっちりコーラスが同じリズムでハモっているのは、感嘆するべきか、それって崩した歌い方とはちょっと違うよなあとツッコむべきか。

『思い出はなし出すなら 今以下の事をネ/今以上のものなんか 聞いててかったるい』みたいなチクッとした毒っ気は、このコブクロバージョンではすっかり中和されて穏やかな言葉になってしまっているような。ちょっと物足りないような気もしますが、何でもない日常を賛えるという側面は原版よりもより強まっているように感じます。


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コブクロ
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 コブクロって、フォーク系サウンドのわりには力のこもったドラマティックな作風なので(最近は特に)所ジョージの肩の力の抜けたこの雰囲気っていうのは、別の魅力も提示できるいいコラボだったなーと思います。
 CMの企画ユニットとしてだけでなく、たまーに活動してみてほしいなあとちょっと思っています。
posted by はじ at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月28日

過去ログ発掘のコーナー その24。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
 毎回そのときの気分で一曲選んで紹介するこのコーナーのバックナンバーから、新しいレビュー更新が滞ったとき、ちょこっとずつ抜き出して紹介していきます。メルマガを読んでいない人にはちょっとした暇つぶしに、読んだことのある人にも何か新たな発見があれば幸いです。



≪現代ポップス雑考。≫ Vol.008 2005/07/31
#Dir en Grey「JEALOUS」

 『毒の花のように咲いてみせるわ/そして返り咲く花となる』


 Dir en Greyというバンドとは、あまり接点はありません。どうもDirというと極端な倒錯と激しいサウンドというイメージがあって、その狂気の美学とも言うべき世界観には当初から興味はあるものの、そうした傾向が自分とはあんまり合わない気がして、近づきがたかったということもあります。どちらかというとMALICE MIZER派だったこともあるのかも…

 ただ、1998年、まだインディーズ活動の時代にシングルとしてリリースされたこの曲は、けっこう好きだったんですよね。内容は「嫉妬」という題どおりなかなかに毒々しいですし、バンドもかなり激しい演奏をしているんですが、メロディラインは実に綺麗で聴きやすいんです。特にサビは広がりもあって、ポップですらあります。

 そういえばこの後の「-I'll-」なんかも、サビは耳馴染みがよかった覚えが。昔のほうがポップで、近年はむしろコアにコアにと傾いてきているような気もします。珍しいタイプですね。

 嫉妬で自らの心を傷つけ『もう昔のように笑えなくなった』「私」がその果てに目指すものは、「毒の花」のように咲き誇ること。歪み続けながらも忘れることはできない、ならばいっそ、とその嫉妬心を表に出そうとする。
 この決意は明らかに倒錯していて、そのせいもありどこかぞっとするような怖さを孕みながらも、何か妖しい美しさも感じさせるものです。

 「私」は、それが「毒」とわかっていながらも、自らの嫉妬心を肯定してしまおうとしています。負の感情を抑えつけることなく開放し、それを美しく描き出してみせる。それこそがリスナーの共感を呼ぶのでしょう。

 この曲では女性主人公を設定し、負の感情の肯定を「咲く」という言葉で美しく飾っています。ただ、自分の感情にどうしようもなく身を任せているようで、それを自覚し利用してしまおうとするというこの一連の流れは、非常に客観的です。これはむしろ異性、つまり男性であるボーカルの京が実際には書いているからこそ可能だったのかなあ、とも思うのです。


JEALOUS
JEALOUS
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Dir en grey
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 Dirは、あと「Cage」「【KR】cube」あたりが好きかなー。最近のシングルの傾向は、あんまり惹かれないかも…凄いとは思うんですけどね。
posted by はじ at 22:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月13日

過去ログ発掘のコーナー その23。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
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≪現代ポップス雑考。≫ Vol.008 2005/07/31
#フォーレ「レクイエム」


 調子悪くって、あんまり動かずにいます。といっても最近の土日は、休むかブログ更新かという感じなので、あんまり変わってないんですが…

 フォーレはフランスの作曲家。ドビュッシーやラヴェルに影響与えた人、だったかと思います(あいまい)フランス音楽ってのは繊細で優美という特徴があるんですが、この人はドビュッシーやラヴェルと比べると華がなく、やや地味な印象なんですね。だから知名度も低めなのかなと思うんですが、でもなんというか、枯れた味わいがあって、個人的にすごく好きなのです。「幽玄」と言うとわかりやすいかな。

 このレクイエムは、モーツァルトの重々しいレクイエムとも、ヴェルディの激しいレクイエムとも違い、まさに魂が浄化され天上に昇っていくかのような、光に満ちた曲なのです。クラシック業界では上記の2曲とあわせて3大レクイエムと呼ばれたりするようですが、ダントツで好きです。

 で、このレクイエム、調子悪くて寝込んでいるときに必ず聴きます。美しい響きが体中に染み渡ってくるようで、すごく安らぐんですよねー。…そのまま昇天してしまうとマズイですが。
 手持ちのCDは、アンドレ・クリュイスタンス指揮/パリ音楽院管弦楽団。他にもっといい録音がありましたら教えてくださいー。

フォーレ:レクイエム
フォーレ:レクイエム
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クリュイタンス(アンドレ) フィッシャー=ディースカウ(ディートリッヒ) アンヘレス(ヴィクトリア・デ・ロス) エリザベート・ブラッスール合唱団 ピュイグ=ロジェ(アンリエット) パリ音楽院管弦楽団 フォーレ
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 親類に不幸がありまして、そのため週末まで更新が止まります。
posted by はじ at 06:28| Comment(2) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月06日

過去ログ発掘のコーナー その22。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
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≪現代ポップス雑考。≫ Vol.086 2007/02/18
#THE BOOM「ひゃくまんつぶの涙」

 『幾年君を想ううちに 僕も年老い
  眠る君によりそうように 土へとかえる』

 先日、「5000年間、抱き合ったままのカップル発見」というニュースが流れていました。

http://news.ameba.jp/2007/02/3274.php

 発掘した自分たちの時代においては素敵なニュースですが、発掘された側にしては眠りを妨げられる悲劇的な事件だったのかも…とも考えてしまいます。が、とにかくこの報道を聞いてはじめに思い浮かべたのがこの「ひゃくまんつぶの涙」でした。

 タイトルと引用部分だけを見ると、しっとり系バラードなんだろうな…と考える人は多いかも知れませんが、実際はなんと三線と掛け声に彩られた陽気な沖縄民謡風の歌だったりしまして。死んでしまった恋人を想う内容でありながら、からっとほがらかに曲は進んでいきます。

 テーマが死別でありながら、この曲はまったく暗さを感じさせません。土の匂いを感じさせる言葉選びも暖かい民謡の雰囲気もそうですし、『今夜もあなたに会いたくて 掘り起こしてみる』なんてどこかブラックかつユーモラスなフレーズもありますし。
 もちろんその裏側には物悲しさも潜ませてはあります。が、最終的に「僕」は天寿を全うして「君」の元に寄り添う。この恋は、永遠の別れでは決してなく、悲しみを交えつつ長い年月を挟んでの永遠のハッピーエンドなのです。

『空じゃお日様がそれ見て泣き出し ひゃくまんつぶの雨が降る
 草木はおどり かえるは歌い ぼくらのお墓は今宵も祭り』

THE BOOM
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 関東地方はこれから台風直撃ということで、ひゃくまんつぶの雨が降ってきそうです。
 台風って、不謹慎ですが、どうしてもやっぱりワクワクしてしまいます。ひとつのハレの場、カーニバルのような印象があるからでしょうか。
posted by はじ at 23:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月30日

過去ログ発掘のコーナー その21。

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≪現代ポップス雑考。≫ Vol.064 2006/09/10
#YUKI「夏のヒーロー」

 『最後の花火 揺れて落ちた/夕暮れ 帰り道/涙さっきから こらえてる』

 最新アルバム「WAVE」で、今のところ一番のお気に入りです。本当は今回の内容でも触れているスキマスイッチ作曲の「You've got a friend」を取り上げようとも思ったのですが…

 『泥だらけで 手も 繋げずにいた/いつも 強がりばかりの 夏のヒーロー』

 この曲、なんというかYUKIにしては珍しく、非常に具体的現実的な過去の出来事について描いているような形式なんですよね。多少ファンタジックな部分はあるものの。なんというか、それがすごく新鮮でした。今までの彼女は、現在のこと、未来のことについてばかり言及してきたような印象があるので。

 とはいえ単なるノスタルジックに浸る曲ではなく、『大切に 毎日を 生きていけるから』と、きちんとこの先のことも見据えています。このところいろいろな楽曲に出てきている命の循環のような感覚も、ここにちゃんと宿っているように感じます。

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YUKI
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 もうすぐ8月も終わりですねー。こういう時期には、やっぱり切なげな楽曲が胸に染みてくるものです。
posted by はじ at 09:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月01日

過去ログ発掘のコーナー その20。

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≪現代ポップス雑考。≫ Vol.003 2005/07/02
#川本真琴「微熱」

 『聞こえる? 感じてる? 五感閉じて知って/
  抱きしめると世界に弾かれそう//つないでいて』

 1stアルバム以降の川本真琴の楽曲は、迷走している、という感じがよく出ています。不思議空間全開の「ピカピカ」、10分を超える「FRAGILE」、完全にネジが飛んでしまった「ギミーシェルター」…しかし、どの曲にも得体の知れないぎらつき、独自世界があって、これはこれでいいのかなとも思います。
 「微熱」は、どこかエスニックなサウンドとまくしたてる歌、真似できない詞とメロディラインにクラクラしますが、でも初期の頃にあったような「焦燥感」や「必死さ」みたなものもあって、そこがこう、切ない雰囲気もふと見せてきて。

 ということで、たまに聴き返したくなっては、川本真琴という稀有な歌い手について、思いをはせたりします。

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川本真琴
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 すっかり「90年代の人」として、もっと若い世代にとっては懐メロ化しつつある川本真琴ですが、たまーに聴き返したくてたまらなくなる人です。で、いつ聴いても、全然古くなくみずみずしい気分になれるんですよね。
 さすがにもう「復活熱望!」とは思わなくなりました。でも、世に出た数少ない作品は、この先も何度も聴き返すことでしょう。この時期だと、「DNA」「タイムマシーン」、「FRAGILE」や「ひまわり」もいいですね。

 しかし、この「微熱」は、よく読んでみると冬の歌なのかー。いま初めて知りました。
posted by はじ at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月07日

過去ログ発掘のコーナー その19。

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≪現代ポップス雑考。≫ Vol.054 2006/07/02
#GRAPEVINE「風待ち」

 『あれ? いつの間にこんなに疲れたのかなあ
  まだいけるつもり ちょっとはつらい』

 先週は月末ということもあり、非常に忙しい1週間でした。なんとか乗り越えられたのがちょっとウソのようです。この週末はようやく一息つけましたが、そんな時に決まって浮かんでくるのがこの曲だったり。
 『今 夏の香りがしました』とふと感じる描写があり、時期的にもいいタイミングです。

 毎日を、目の前だけしか見る余裕もなくがむしゃらに生きて、たまに息継ぎのようにふと顔を上げてみる。この曲はまさにそんな状況を描いていて、聴くたびに『たまに会う友達は 昔の話ばかり』とか、『思い描いたとおり? ちょっと違う』とか、『あなたなら心の隙間 見抜きそうな気がした』とか…寂しいでもなくやるせないでもなく、どこかに何かを置き忘れてきたような、なんともいえない感覚をむずむずと刺激する描写だらけです。

 どうしても疲れたときに思い出しがちな曲なんですが、でも『晴れた日の空の下で わりとうまくやれてる』というようなフレーズもあり、決して現実逃避の曲ではないんですね。

 新年度から3ヶ月、もうすぐ季節は夏…ちょうど今は区切りの時期です。立ち止まる、後ろを振り返るときがあっても、また必ずきちんと歩き出せるようでありたいものです。

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 ちょうど1年前に書いた内容なのですが、去年の今頃と同じく今年もやたらと忙しい6月でした…
 といっても、忙しい中でもたまにはこの曲を聴いたりして、ふと「顔を上げる」時間も必要なのかなーと思います。いや必要です。

 ま、忙しいとか何とかそういうのがなくても、今の時期になるとどうしても聴き返したくなる一曲なのは間違いありません。
posted by はじ at 06:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月29日

過去ログ発掘のコーナー その18。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
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≪現代ポップス雑考。≫ Vol.087 2007/02/25
#Salyu「トビラ」

 『あなたの あなたの奥の方へと 繋がるトビラさ』

 ニューアルバムの1曲目。もちろんスロー〜ミディアムの彼女もとてもいいんですが、アップテンポのSalyuもなかなか力強くていいものです。
 特にこの曲は疾走感があって素敵ですね。

 一青窈の詞を歌うことが増えてきたせいもあってなのか、すごく透明とかセピアっぽかった1stアルバムの頃に比べると、全体的に濃い色合いが増してきたように感じます。この曲は小林武史の作詞作曲ですが、
 「トビラ」が「扉」ではなくカタカナなあたり、無機的ではない、感情がそこに込められているような印象を受けますし。

 『先はまだ見えてない』と言いながら、微塵も不安や後悔を感じさせない疾走感と強い意志の宿った声。このところ何気に身辺が慌しくなっていて、今まで以上にせわしなくなりそうなんですが、この曲のようにまっすぐな気持ちで突き進んでいければなと。

TERMINAL
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Salyu 小林武史 一青窈
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 しばらく新譜の話を聞きませんね。夏フェスにはいくつか参加するようですが、リリースもだんだん待ち遠しくなってきました。
posted by はじ at 02:30| Comment(2) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月22日

過去ログ発掘のコーナー その17。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
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≪現代ポップス雑考。≫ Vol.052 2006/06/17
#FANATIC◇CRISIS「MASQUERADE IN THE ROOM」

 『愛もジェラシーもコナゴナにしちゃえば分からなくなるよ』

  今回はぐっとマニアックに、90年代ビジュアル系バンドFANATIC◇CRISISの2ndアルバム「THE.LOST.INNOCENT」収録の一曲を。
 分類上はビジュアル系といっても、彼らにはゴスっぽさはカケラもなく、どちらかと言わずともストリートっぽい雰囲気。そんな「普通さ」で、ある意味際立っていた存在でした。

 彼らの2ndシングル「SLEEPER」に惹かれ、注目していたんですが、この2ndアルバムは非常にバラエティに富み、色彩も豊かで、個人的に隠れ名盤と思っています。(1stアルバムはあんなに一本調子だったのに…)
 バンドにしてはシンセ音を多用しまくりですが、これは今でいうミクスチャーバンドに通ずる音楽感性だったのかなと。

 で、そのアルバム中でも異色のナンバーがこちら。基本的にポジティブな彼らにしては、珍しく非常にかなり退廃的な内容になっていて、囁くように『二人壊れちゃおうよ』と誘ってからの上記の一節は、非常に印象的に響いてきます。

THE.LOST.INNOCENT
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FANATIC◇CRISIS Tsutomu Ishizuki Yoshihiro Kambayashi FtC
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 このアルバムは密かに名盤です。「火の鳥」「Maybe true」などシングルが5曲も収録されているほか、他にも「メビウスリング」「龍宮」「月の虜」など、クセはあるけど紹介したい曲ばかり。

 とりあえず先週からやたらと忙しいです。しばらくいいペースだったのですが、まあ少々ゆったり見守っていただければと。
posted by はじ at 03:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月13日

過去ログ発掘のコーナー その16。

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≪現代ポップス雑考。≫ Vol.052 2006/06/17
#椿屋四重奏「紫陽花」

 『笑いながら君は 雨に流れて消えた
  ずぶ濡れの紫陽花みたいに/綺麗で悲しい』

 今の時期にぴったりの曲ということで。紫陽花って地元の名物でこの時期お祭りとかしていたりして、昔から好きなんです。雨の中でこそ映える紫陽花の美しさに、この季節に「僕」から離れていった「君」と、儚く消えた恋を重ね合わせている、とても繊細に作られているなと感じる一曲。

 椿屋四重奏はなぜかこの曲だけいたく気に入ってしまって、ちょうど一年前にはじめて聴いて以来、ちょくちょく聴き返しています。他の曲はどうも今ひとつグッとこないんですが…まあ、そのうちまたじっくり聴いてみたいところです。

薔薇とダイヤモンド
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椿屋四重奏
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 この季節の花といえばこれ。東京は昨日今日と快晴ですが、やっぱり雨でこそ映える花ですよねー、紫陽花って。
posted by はじ at 09:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月24日

過去ログ発掘のコーナー その15。

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≪現代ポップス雑考。≫ Vol.065 2006/09/17
#LINDBERG「君のいちばんに…」

 『誰かが誰かをいつも支えてるように
  あの月でさえ 太陽の光で輝いてる
  宇宙の法則の中では みんなひとりじゃない』

 LINDBERGって、リアルタイムでハマったアーティストってわけではなかったんですが、この曲だけはすごく好きで、唯一シングルでゲットした経験があります。

 確かCMで流れていた『もう少し もう少しだけ』のキャッチーなサビに惹かれて購入したんだと思います。買ってからも、やたらと含蓄深い表現が多い歌詞に、失恋をバネにして強く歩き出そうとしているポジティブソングでありながら、いきなり『君のいちばんにほんとはなりたかった』と弱々しく挟まれるつぶやきと、魅力的な要素が詰まっていて。今でも根強く気に入っている一曲です。

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 最近よく思うのは、「もう少し」「あと一歩」といった言葉に自分は弱いんだなあ、ということ。ほんのちょっとずつ前に進もうとする感じ、あるいはギリギリで届きそうな感覚、そういった境界線上の心理状態に惹かれやすいようなのです。
 ちょうどマジメにJ-POPを聴き始めたころ、この曲と波長が合ったのはそのせいなのでしょうか。…それとも、この曲の印象が強かったからこそ、自分の内側に「もう少しだけ」の感覚を求める傾向が生まれたのでしょうか。今となってはわかりません。
posted by はじ at 03:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月09日

過去ログ発掘のコーナー その14。

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≪現代ポップス雑考。≫ Vol.093 2007/04/08
#ムーディ勝山「右から左へ受け流すの歌」

 『この歌を思い出して/そして左へ受け流してほしい』

 21世紀に、名前どおり昭和ムード歌謡の雰囲気を漂わせる風貌と装い。
 そして、ドラマティックな中にも哀愁を感じさせ、何よりも匂い立つようなレトロさが、彼の生み出すメロディラインからは漂ってきます。

 あまりにも古臭いスタイルと思う方も多いでしょうが、しかし、なんだかんだ言ってもJ-POPの底流には確かに歌謡曲が残っている…と自分は感じていまして。特にジャニーズの楽曲などは、こうした歌謡曲を現代風にアレンジするノウハウが蓄積されているように感じます。
 やはり、見かけは今っぽくてもどこかに歌謡曲テイストがある曲は、広く日本で育った者の心を掴みやすい傾向があるなあと感じるのです。

 最近はこの歌謡曲テイストを本当にすっぱり排除した「洋楽っぽい」音を出すアーティストも“やっと”増えつつあります。そんな中、さらにそのカウンターとして登場したのが、まさしく彼、ムーディ勝山なのかもしれません。現代風などのアレンジは考えず、真正面から歌謡曲で勝負するその潔さは、評価される価値のあるものでしょう。
 その渋い声のみで伴奏までも行ってしまうあたり、信念の強さを感じさせます。

 そして、代表曲であるこの「右から左へ受け流すの歌」は、ひたすら愚直なまでにひとつのテーマを繰り返し続けます。すなわち、「受け流す」という、ただ一点。

 『右から右から 何かが来てる/僕はそれを左へ受け流す』
 右から「僕」のほうへとやってくる「何か」は、唐突にやってくるものらしいという以外、曲中でははっきりとは明示されていません。ただ、『もしも あなたにも/右からいきなりやって来ることがあれば』とあるように、それは「僕」個人の問題ではなく、「あなた」=誰にでもやってくるものなのでしょう。
 「困難」?「試練」?「悲しみ」?「苦しみ」?他の部分に手がかりはないので、あとはそれぞれが想像するしかありません。聴き手の想像力が試されます。

 それにしても、「受け流す」ことは、現代のライフスタイルにおいて今まさに重要さを増している行為ではないでしょうか。
 格差社会や勝ち組負け組といった語が象徴するように、より実力主義に向かおうとしているこの日本社会では、精神的な負担は重くなっていく一方です。だからこそ、辛いこと、苦しいこと、右からやってくるさまざまな何物かを「受け流す」ことは、これから先まさに重要になってくるとも考えられるわけです。

 「受け流す」という行動に注目し、ピックアップし、ここまでひたすら丹念に歌い上げたムーディ勝山は、その古いスタイルとは裏腹に、現代の最先端からメッセージを投げかけているのです。
 古きよき時代を忘れず、また懐古主義に堕さず鋭い視点でこの現代に必要なスタイルを提示する彼は、まさに稀代の名歌手ではないでしょうか。




 …というわけで、ムーディ勝山の名を知っている人には言わずもがなですが、ジョークレビューです。本気にしないように!
 今年のエイプリルフール用に思いついたネタだったのですが、ブログでもメルマガでも別のものを採用したという経緯がありまして。でも来年まで取っておくと面白さの賞味期限が切れそうだったし、人知れず眠らせておくにはもったいないかなと考えたので、翌週4/8のメルマガで公開しました。
 ちなみに個人的には、こういう笑いは大好きです。

 結局これって何なの?いったい誰なの?という方は、こちらを参考にどうぞ。
posted by はじ at 02:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月24日

過去ログ発掘のコーナー その13。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
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≪現代ポップス雑考。≫ Vol.088 2006/03/04
#APOGEE「夜間飛行」

 『走り出したら そのまま飛べ
  止まるな 逃すな
  そこに何かあるはず そこに何かあるはず』

 独特の音楽世界を表現しているバンドAPOGEEの1stアルバム「Fantastic」を聴いていると、よくわからない世界に浮遊しながら連れて行かれるような、何ともいえない心地よさと、少し遅れてうすら怖さを感じます。
 ちょっと言葉に表しづらい世界。

 愛とか恋とかの要素は、ほとんど感じられません。もっと透徹した世界、感情に汚されていない心象風景のような世界。かといって空想イメージに終始する閉じた世界なんじゃなく、そこには切れ切れながらも実感があります。
 あるはずの「何か」を目指して飛ぼうとしているように、どこかに向かおうとする衝動があります。、イメージの向こうには、生々しさが隠れているんです。

 恋愛に傾かない詞世界、独自路線を突き詰めていくストイックな音楽への姿勢などは、どこかACIDMANと近いスタンスなのかな。でも、そこから生み出す音はかなり違っていますが。ACIDMANが3ピースのシンプルな構成で何ができるを硬派に突き詰めているのに対し、APOGEEはシンセなど鍵盤なども駆使し、より明るく広い世界を表現していて。じゃあポップなのか、と聞かれると難しいんですよね。とにかく一筋縄ではいかないので。構成の凝りようは物凄いものがありますし…

 売れ線のポップスはベタベタしていてイヤだ、かといってゴリゴリしたハードな音にもいまいち乗れない…そんな屈折した人に向いているのかもしれません。


Fantastic
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APOGEE
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 ちょっと時間がないので、久しぶりにこちらのコーナーをピックアップ。APOGEE、わからない人はわからないでしょうけれど、ハマる人は中毒になる良さがあります。ぜひお試しを。
posted by はじ at 02:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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