2008年09月13日

The THREE「裏切り御免」

裏切り御免
裏切り御免
posted with amazlet at 08.09.13
The THREE(布袋寅泰×KREVA×亀田誠治)
PONYCANYON INC.(PC)(M) (2008-05-07)
売り上げランキング: 9427


<歌に主役を譲らないラップと鳴り響くギター、新しいミクスチャーの形?>

 ギタリスト布袋寅泰、HIPHOPアーティストKREVA、そして人気プロデューサー亀田誠治…という豪華な顔ぶれで結成されたユニット。映画「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」の主題歌で、このためだけに集まったんだとか。「三悪人」だから三人…確かにみなさん、悪人っぽい雰囲気ありますね。風貌がユニット成立に関係しているのかどうかはともかく。

 バリバリに鳴り響くギター、アグレッシブさの中に不敵さを感じさせるシャッフルのリズム、そしてKREVAのラップ。それぞれの相性が、かなりマッチしています。KREVAはどちらかというとダンストラックでの楽曲の印象が強かったのですが、その存在感のある声は、重いロックサウンドとも実に相性がいいですね。

 「裏切り御免」つまりどんどん裏切ってやるぜ!というテーマなのですが、悪に徹するというよりは、自分の気持ちに正直に生きようとする、また『それでも 正面切って裏切って/心では泣いて 強がって 笑うさ』と、辛さを押し隠そうとする意志が表されています。
 この際、人のことなど知ったこっちゃない!とばかりに悪に徹した不敵さというのも面白そうだったんですけど、まあこれはこれで、うまく強気さと弱さの緩急がつけられていていいんじゃないでしょうか。
 ただ、途中に差し挟まれるギターのフレーズ、ちょっと明るくなりすぎな気が。それ自体はかっこいいですが、ダークな曲調のなかそこだけ晴れやかになっちゃっているんですよね。そこだけ多少残念かなー。

 いわゆるミクスチャーって、ラップ+歌の組み合わせ、そしてサビなどメインはやっぱ歌…っていうパターンが多かったんですが、ここではギターとラップの双方が主役。新しい形で、しかもかなり面白い。このユニットは一回限りのようですが、こういう取り組みがもっと出てくると面白そうなのになー。なんて、思ってみたり。
posted by はじ at 22:08| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月31日

青山テルマ「そばにいるね feat.SoulJa」

そばにいるね 青山テルマ feat.SoulJa
青山テルマ feat.SoulJa 青山テルマ 童子-T
UNIVERSAL J(P)(M) (2008-01-23)
売り上げランキング: 1178


<交錯する視点、共鳴する感情>

 昨年の秋にロングヒットとなったSoulJa「ここにいるよ feat.青山テルマ」は、遠くへ離れてしまった女性へ向け、伝えられなかった想いを男性側から呼びかけるスタイルの楽曲でした。
 それに対し、今度は女性側の視点から男性へ向けて胸中を語りかけるのがこちら、アンサーソングとなる「そばにいるね feat.SoulJa」です。
 前作のフレーズをしっかりとアピールしてはいますが、安直な回答ではなく、視点が交錯し共鳴するような作りはなかなか技巧的。リリースの期間の短さからしても、反響に関わらず制作するつもりだったのではないかなと。

 リードボーカルは入れ替わっているものの、「ここにいるよ」で印象的だった『Baby boy あたしはここにいるよ』のサビはしっかりと「そばにいるね」でも使われています。
 また、その他にも前作で男性が述懐していたフレーズが登場していて、それに対する返答というか、直接のやりとりではないけど共鳴し合っているかのように繋がりを見せています。

 『伝えたい気持ちそのまま言えずに 君は行っちまった』男性のほうは、想いを伝える踏ん切りがつかなかったことを嘆いています。対し女性は、『あなたとの距離が遠くなる程に 忙しくみせていた/あたし逃げてたの』と、こちらも想いは同じだったのに向き合えなかった、とやはり後悔しているのですね。お互いに前に踏み出せないまま、二人は離れた…という図式が、ここに完成します。

 前作でも女性の心情は示されていましたが、男性視点がメインだったためどことなく都合のいい回答っぽく聴こえるところもありました。が、改めてこうしてアンサーソングという形で歌われると、女性側の生身の感情が描かれているため、二人の共鳴具合がしっかり伝わってきます。

 そのあたりは、女性一人称の違いにも表れているように感じます。実は、「ここにいるよ」では『わたしはここにいるよ』と歌われていたのに、「そばにいるね」では『あたしはここにいるよ』なのですね。
 細かいですが、ここが違うということはとても大きい。女性視点の「そばにいるね」は、実際の女性の言葉なのでしょう。対して、男性視点の「ここにいるよ」での女性パートは、やっぱりイメージの中のどこか理想化された相手の声、フィルターのかかったものなのではないでしょうか。思い出は美化されるといいますが、気持ちが募るあまりそういった心の働きが作用したんじゃないかな、と思えるのです。

 ところでこの曲、どちらもお互いに相手を想っていて、離れた今では伝えられなかったことを後悔しつらつらと語っているのですが、共通項は多くとも、その内容や方向性が異なっているのが面白いです。続きを読む
posted by はじ at 02:02| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月27日

KOH+「KISSして」

KISSして(DVD付)
KISSして(DVD付)
posted with amazlet on 08.02.27
KOH+
UNIVERSAL MUSIC K.K(P)(M) (2007/11/21)
売り上げランキング: 2842


<ピュアな少年らしさを演出する表現>

 人気を博したドラマ「ガリレオ」の主役二人が、そのまま主題歌をコラボレーション。という、なかなかにセンセーショナルな試みで生まれた一曲。とはいえ、福山雅治にしろ柴咲コウにしろ、どちらもアーティストとしての実績がある人物。
 福山本人のこれまでの実績は言わずもがなですが、さらに加えて過去に女性アーティスト松本英子をプロデュースしたこともあります。音楽に関してはきっちりツボを押さえてエンターテインメントを展開できる、職人肌な作風だなーといつも思っているので、プロデューサー向きだと常々感じています。
 柴咲コウもRUIとしての「月のしずく」を筆頭に、出演していないドラマの主題歌を歌ったり(「タイヨウのうた」における「invitation」)と、女優ではなく歌い手としての一面をはっきりと持っています。バラードのイメージが強いんですけれど、個人でも「Glitter」などアッパーな楽曲も歌いますし、2007年はグループ魂とも共演し「お・ま・え ローテンションガール」なんて吹っ切れたコミカルなキャラクターで歌ったりもしたりと、多彩な活動を展開しています。
 そんなわけで、話題性や意外性を盛り込みつつ、しっくりくる出来に仕上がっています。

 颯爽といいテンポで進んでいくポップロックサウンドの中で語られるのは、『恋愛力学 今日も格闘中』と、恋煩いに悩める「ボク」の心情。テンションはかなり吹っ切れ気味で、明るい曲調や「tu tu tulululu…」という楽しげなスキャットに乗せ、思春期の少年っぽいピュアな煩悶を歌っています。
 こういうノリは、往年のアイドルポップスを踏まえているのでしょう。名義を単純な「×」などの形式にはせずにあえてKOH+としているのも、架空のアイドルといったような見せ方にしたかったのかもしれません。

 特徴は、『幸せの答え 導き出す/方程式 探求中』『でも この人生の難問 解いてみせるよ』などといった、勉強に関する単語を歌詞表現に組み込んでいるという点です。ドラマの内容への関連性を含めているのは自明ですが、硬めの単語で恋愛を語ろうとすると幼さやファニーさ、微笑ましさを感じさせる作用があるんですよね。最近では、ちょっと方向性は違いますが、仲間由紀恵 with ダウンローズ「恋のダウンロード」なんて曲もありました。
 そうしてちょっと幼さを匂わせ、『だから「ボク」が わかんない』と自分自身に戸惑ったり、自分のすべてをぶつけてしまおうとしたりと、純粋な少年の姿を作り出していきます。どこにもそうは書いていませんが、すごく「初恋」っぽい初々しさが立ち上ってきていますよね。

 でも、キメのフレーズは『はだかの くちびる KISSして』。これは、ナチュラルな心情っぽくありながらも、艶っぽさも漂いドキッとしそうな一言です。これは、少年ではなく女性が歌っているからこそのフレーズと言えるでしょう。
posted by はじ at 22:59| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月14日

加藤ミリヤ「LALALA feat.若旦那」

LALALA feat.若旦那(湘南乃風)/FUTURECHECKA feat.SIMON,COMA-CHI&TARO SOUL
加藤ミリヤ 若旦那 SIMON COMA-CHI TARO SOUL 3rd Productions Miliyah Maurice White
ソニーレコード (2007/10/17)
売り上げランキング: 25322


<理想的なパートナーの通じ合いを提供する、密接な呼びかけの応酬>

 まだ未成年ながら、大人びたボーカルを武器に精力的な活動を続けている加藤ミリヤが、湘南乃風の若旦那とコラボレートしたシングルです。なんでも、この二人は同じ高校出身なのだとか。
 彼女の活動には、はっきりした特徴があります。「ロンリーガール」のようなアンサーソング、「ジョウネツ」のようなサンプリング、また「My Girl feat. COLOR」ではカバー&コラボと、まったくのオリジナルではない楽曲を作りシングルとしてリリースしているのですね。
 こういうスタイルって、どうもJ-POPシーンでは話題づくりとか手抜きだとか批判を受けそうですが、特に彼女の場合はそうは感じられません。多彩にあちこちから取り入れてみたり、単純なカバーはせずに自分のスタイルや表現を持ち込もうとしたりと、とてもクリエイティブに料理しているなあと思えるのです。
 個人的には、歴史を見ても最近の流れを見ても、ジャンル問わず二次創作的なスタイルがそのうちもっと隆盛を極めてくるんじゃないか…という想像をすることがあります。彼女の、既存の作品を使っていかに自分を伝えるかというスタイルは、まさにそうした潮流に繋がる小さな流れなんじゃないかなと。

 で、内容ですが。加藤ミリヤが『ずっと愛しているから』と呼びかけ、若旦那が『ただあなたの傍に居たくて私にはあなたしかいなくて』と応じる、パートナー同士で想いを伝え合う形式を取っています。引用したフレーズからも想像できそうですが、かなり重さの乗った感情がずっと綴られています。
 ただ、ちょっと読むと、恋人同士の歌にしては首をかしげるような言葉が出てくることに気がつきます。ミリヤのパートで『慌ただしく部屋出る/君は笑って見送る』、若旦那パートでは『一日中さりげなく時計を見る』という一文が出てきますが、普通の恋人関係に当てはめるとこれはちょっと不思議。働く女性と、専業主夫の歌?もちろんそうしたカップルも世の中にはいることでしょうけれど、歌としてはなかなか斬新な設定です。
 …と、もちろんそんなわけはなく。これ、「飼い主と犬」の間の情愛を描いた楽曲なのですね。

 と考えると、『いつか別れる日が来ても』『ずっと一緒にいられないけど』などと、何かと悲しい未来を想像しているのにも納得がいきます。どうしても寿命が違いますからね。また、若旦那側の一人称が「私」で、『追いかける四六時中 膝で眠る 夢を見る』なんてかなり甘えているふうなのも、犬からの視点だからなのですね。視点もそうですが、彼のイメージとはかなり違う言葉遣いで、そこも面白いです。

 また、お互いの言葉が密に共鳴しているなあと。ミリヤ側で朝キスをして出て行く日課を描くと、若旦那側で『日が落ちてまた朝が来る 待ち続けてるよあなたのキス』と応える。「別れ」のことを繰り返し考えてしまう飼い主に、『最後のほんの数秒まであなたのぬくもり感じたくて』と「そのとき」の犬からの暖かい言葉を描く。ただ言いたいことを言い合うんじゃなく、それぞれのメッセージに結びつきがあるわけです。
 聴き手は当たり前ですが飼い主側に近いわけで。飼われる側の気持ちは想像するしかないんですが、こうして飼い主の気持ちにしっかりと応える姿を描かれると、実際にペットを飼っている人はグッときてしまうんじゃないでしょうか。このパート同士のコミュニケーションからは、ペットと飼い主の理想的な関係を見せよう、という意識が感じられるのです。

 もちろん、歌詞の細部にこだわらなければ、忙しくてなかなか時間が取れない恋人などにもシチュエーションを当てはめることができそうです。
posted by はじ at 20:10| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月12日

K×ET-KING「この歌を・・・・・・・・♪」

この歌を・・・・・・・・(音符記号)
K×ET-KING K NAOKI-T VINCENT FORD
ソニーレコード (2007/10/03)
売り上げランキング: 41512


<意外なコラボの組み合わせが、メッセージの強さに華を添える>

 はじめにこの組み合わせを聞いた時はギョッとしましたが、実際に聴いてみると意外とあんまり違和感がない、不思議なコラボレーションで生まれた楽曲です。

 かたや韓国出身、韓流アーティストが一時期続出した中でも特に声で勝負しようという意気込みがあったシンガーソングライター・K。かたや、ハートウォーミング系ラップの新星、「総合司会」担当がいることからしてもパフォーマンスに力を注いでいるヒップホップユニット・ET-KING。
 あまりにも遠すぎて、なんというか裏側の意図なんかも読みたくなってしまうような組み合わせですが、仕上がった楽曲はきっちりと「コラボ」していますね。

 全体のノリはET-KING寄り。明るいテンポの中で、『人は誰でも うまくいかない時もあるから/悲しまないで その手の中は 未来があふれている』とサビで歌っているように、多くの人に向けて暖かく力強いメッセージを発そうとしています。哀愁を感じさせるバラードを得意とするKらしい要素は、あんまり楽曲には反映されていません。
 なので、ET-KING featuring Kみたいな感じではあります。ただ、featuringだと、楽曲は迎える側ではあるにせよ、わりとゲストのパートが前に出てくるものです。が、今回はメロ部分をK、ラップがET-KING、サビが双方…と公平に分け合っているので、確かに×で表現されるようなコラボ、ではあるのかなと。

 面白いなあと思ったのは、『それでもきっと 明日の朝には 新しい世界 待っているから/泣きやんで』のフレーズ部分。ここまでがひとつの文章なんですけど、最後の「泣きやんで」だけ、KからET-KING側にパートが移り変わっているんですね。メッセージを、双方で歌い継ぐことで双方から送る…というような形になっているわけです。
 ほか、『忘れないでほしい 一つになれた友とこの歌を//走り出したら また別々の道を行くけど』と、コラボそのものに言及し「友」と呼んでいるのも面白いです。このコラボの後はきっともう一緒に歌う機会はないだろう(傍目から見てもなさそうではあります)けれど、それでもこの歌を思い出して!と続くこの部分は、コラボしたこと自体をメッセージに取り入れていて、実に爽快です。
 たとえ一時だけでも同じ場所に立ち、ひとつの曲を作り歌った「友」同士からのメッセージ。こうした背景をきちんと曲中に明示することで、『お前一人じゃねぇぞ』という呼びかけが強さを増して感じられる…そう思いませんか?

 それはそうと、爽やかで明るいサウンドに、けっこうKの声が合うのです。これは新鮮な驚き。バラードもいいですけど、こうしてポップなサウンドでたっぷりと声を響かせていたりすると、やっぱり歌上手いなあ、と感じますし。
 ソロワークの中でこういう曲にチャレンジしていたら、もしかするとファンには期待ハズレ、ファン以外には印象なし…という事態になる危険性も考えられる中、コラボという形で新機軸を打ち出せたことはプラスだったのではないでしょうか。
 ET-KINGも、まさかの相手を自分達色に染めて見せることで、懐の広さを見せることはできましたしね。総じて、これはすごい楽曲が生まれた!というような爆発力はあんまりなかったですけど、お互いにとって利はけっこうあったコラボだったんじゃないかなあと想像します。
posted by はじ at 23:58| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月29日

SoulJa「ここにいるよ feat.青山テルマ」

ここにいるよ feat.青山テルマ
SoulJa 青山テルマ 佐藤博
UNIVERSAL J(P)(M) (2007/09/19)
売り上げランキング: 500


<「離れても通じ合う二人」しかし「伝えられない想い」…ギリギリまで磨き上げられた切なさ>

 今年メジャーデビューした新進ラッパーSoulJaとR&Bシンガー青山テルマのコラボレート曲。じわじわと話題になり、なかなかの長い期間にわたってヒットを続けていました。
 今回が3作目となるシングルは、その前のアッパーな2作とは対照的に、センチメンタルさ全開のミディアムチューン。『伝えたい気持ちそのまま言えずに 君は行っちまった』と、遠く離れてしまった想い人への心情となっています。

 近年、J-POPは、「切なさ」を醸し出しまくる楽曲が目立つように感じます。もちろん昔から重要な要素ではあるんですけど、どんどんとその傾向が強まった、極端になった楽曲が出て、ヒットしているように思うのですね。それは、「感動」「号泣」が映画やドラマで流行しているように、時代全体の流れなのかなーとも考えています。
 そしてこの曲は、ちょっと究極的なくらい「切なさ」を追求した内容になっているなあと。その辺を追求してみたいと思います。

 ポイントは、その「伝えられなかった気持ち」の発露の仕方です。
 遠くへと行ってしまった相手への気持ちを、『電波でしか会えない日々』とあるように、やりとりしているメールで伝えようとする。しかし、あれこれと言葉は出てくるのですが、決定的な一言はなかなか形になりません。
 思い出を語ってみたり、元気でやっているかどうかと気遣ってみたり。しかし、『ちくしょう、やっぱ言えねえや/また今度送るよ』『言葉出てこねぇや』『まぁ そんな事はいいんだ 言いたいことはそんなんじゃねぇんだ』と、この他にも延々と繰り返し言葉を紡ごうとしては、結局ダメだと投げ出してしまっているのです。

 この手のシチュエーションだと、「今ならわかる」「この気持ちを伝えられる」「会いにいく」と、離れてようやく気持ちを伝えようとできる、というパターンがほとんど、という印象があります。それで会いにいこうとしたり、今はもう伝えられない…と後悔に浸ったりする、という。
 しかし、この歌はそうではなく、離れた今もやはり気持ちを伝えることができないまま、なのです。どうしようもなく伝えたいのに、うまく言えない。そのもどかしさが、切なさに繋がります。

 さらには、サビの青山テルマが歌う部分は、『Baby boy わたしはここにいるよ』と女性からのメッセージという形になっています。この返答では、『どこもいかずに待ってるよ』と、女性側もまた男性側を求めている、アクションを待っているということが示されます。
 また、ただ女性からの呼びかけだけというわけではなくて、途中からSolJaも歌に加わったり(曲の盛り上がりにも繋がっていますね)またはSolJaが一人で「Baby girl」と語りかけたりもしています。これが、「男女のどちらもが相手を待ち望んでいる」ということ暗に示しています。

 お互い想い合っている。でも、その気持ちは『Unsent letter』=送られない手紙、つまりは目に見える形では送られないのです。
 『話かなりそれちまったがわかるよな?俺が言いたい言葉』
 『言いたい事わかるでしょ?/あなたのこと待ってるよ』
 男女パート、それぞれには、こうした相手への理解を求めるフレーズが出てきます。直接は言えない、メールでは送れないけど、この気持ちは伝わらないかな?きっと伝わるよね?とお互いに期待しているのですね。実際に伝わりあっている、でも、平行線のままの二人の関係。このシチュエーション設定が、聴き手の感情を否が応にも揺さぶってくるのです。
 特に男性パートは、長々と語ったあげくハッキリ言えない!と言い出し「わかるよな?」…という流れで、少々苦笑してしまうくらいにヘタレな感じです。でも、それがやっぱり切なさを醸し出すんですよね。
 さすがにここまでは受け付けない人もいるでしょうけれど、行き着くところまで「切ない」心情を描き出そうとしている、というこの過剰さが、ロングセールスの源になっていたんじゃないかなと。続きを読む
posted by はじ at 14:30| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月10日

KREVA「くればいいのに feat.草野マサムネ from SPITZ」

くればいいのに feat.草野マサムネ from SPITZ
KREVA 草野マサムネ
PONYCANYON INC.(PC)(M) (2007/06/20)
売り上げランキング: 6073


<コラボパートナーを選んだ意図と意義>

 KREVAのニューシングルは、なんとスピッツのボーカリスト・草野マサムネとのコラボレーション。これはかなり意外な組み合わせでした。

 KREVAは、「音色」のように印象的なトラックを生み出したり、かと思えば「国民的行事」のように思いっきりクラシックをサンプリングする無茶さとユーモアがあったり、何かと面白い活動をしている人で。インパクトのあるトラック作りにしてもユーモアにしても、きっと本人の中にエンターテイナー精神が息づいているからなんだろうなーと思ったりします。

 今回なんかまさに、彼の持ち前のエンターテイナー精神が発揮された内容。
 まずビッグネームとのコラボという話題性。そして、「くればいいのに」なんていう、自分の名前にかかったタイトル。そして哀愁の漂うトラック…
 彼はどこか歌謡曲的なセンスもあり、マサムネパートのメロディラインなんかは、実に日本的な哀愁メロディだと感じます。

 HIPHOP系の人のコラボ楽曲って、女性と組むパターンのほうが多いイメージがあります。ここに考えられる理由はふたつ。ひとつは、男性視点と女性視点の掛け合いができて、多層的な歌詞世界を作ることができるという利点があること。そして、ラップで畳み掛ける/滔々と語っていく男声ボーカルと、起伏あるメロディラインに乗って豊かに歌う女声ボーカルという対比を際立たせ、楽曲のトーンのバランスをうまく配分することにも役立っているということです。
 草野マサムネの声は、ハイトーンでも決して熱を帯びすぎない特徴があります。なので、低めの声で淡々とつぶやくようなKREVAの声と、とても鮮やかな対比になっていまして。そういう点では、女声ボーカルと同様の対比効果が得られているんではないかなと。

 そのマサムネパートに乗る『逢いたいと思うその時には あなたがいない』という心情は、KREVAと同じ男性視点です。ラップパートでもひたすらにつぶやき積み重ねている「逢いたい」という心情を、思い切り出している印象になりますね。

 これが女性とのコラボであれば、ここにくるのは主人公が「逢いたい」と願う相手の女性からの「私も逢いたい…」というような返答、が妥当かつ効果的なところでしょう。しかし、同じ男性である草野マサムネが歌っていることで、別視点からの見せ方ができない代わりに、同じ視点からの同じ感情を別の形で表すことができているわけなのですね。

 ということで、草野マサムネの起用には、女声ボーカル的な対比効果+同じ男性としての視点の共有、という二つの効果があるわけなのです。
posted by はじ at 02:00| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月04日

Golden Circle feat.寺岡呼人「ミュージック」

ミュージック
ミュージック
posted with amazlet on 07.10.04
Golden Circle feat.寺岡呼人/松任谷由実/ゆず 松任谷由実 寺岡呼人 ゆず 桜井和寿 上杉洋史
トイズファクトリー (2007/07/11)
売り上げランキング: 7790


<「音楽」というモチーフの特性を生かした王道シチュ>

 ゆずとユーミンの夢の共演!…というのは実は本質ではなくて、このドリームチームの中心にいる人物は寺岡呼人です。1980年代後半に一大人気を得ていたJUN SKY WALKER(S)メンバーで、今は主にプロデューサーとして活躍している人物。ゆずとはもうずっと組んでいますし、一緒にThe Little Monsters Familyというユニットを結成して「星がきれい」なんて曲をリリースしたりもしています。
 で、このGolden Circleは、もともとは寺岡呼人のライブイベントの名前。その人脈と人望によるのか、毎回とにかく豪華な面々が参加している模様です。
 Golden Circle名義で楽曲をリリースするのも初めてではないですが、今回はいつものゆずにユーミンが加わり、さらには作詞だけではありますがミスチル桜井も参加するなど、過去最大クラスに豪華な面子になっています。

 顔ぶれはゴージャスですが、楽曲そのものは奇をてらわないポップなサウンド。歌詞に描かれているのも、壮大すぎないシチュエーションだったりします。
 ラジオから流れてくるのは、「君」とともにいた頃に聴いた思い出の曲。そして、二人の日々を思い出す…

 ここで語られている『忘れられぬミュージック』は、『眩しすぎる恋が この曲には全てこめられてる』とあるように、まさに「僕」と「君」の日々そのものとして扱われています。隠喩と言ってしまってもいいくらい。
 こうした手法は、ストーリーを描く際の王道テクニックだったりします。モチーフがたとえば「音楽」ではなく「花」だったら、あの季節が来て花が咲くたびに思い出す…という展開になります。「海」「公園」などの場所、「雪」「夕焼け」などの自然現象、もっと直接的に「写真」をアルバムに見つけるとかっていうのも考えられますね。

 その中でも「音楽」は、「他の人と共有することができる」という特性を持ったモチーフです。歌詞中でも『君みたいな人じゃないかな 匿名希望のリクエスト』と、「君」と「僕」だけじゃなく、別のカップルを想像し、世界を広げていたりしますね。
 そして、形のないもの。不定期に耳にするもの。そして、なくならないし色あせないもの。「あの曲」=「君との思い出」は、「僕」にとってそんな存在なのですね。目には見えないけどなくなってはいない、ふと思い浮かんでは、まったく変わらずに記憶の中に残っている…『もう誰も 愛せはしないと思う事がある』とも言ってのけていますが、それだけしっかりと残り続けるものとして描かれているわけです。

 この楽曲は、桜井和寿を含めた参加メンバー全員共同で作り上げたそう。なので、シチュエーションや言葉遣いはそれほど個性的に尖っているものはありません。でも、「音楽」というモチーフがしっかりと広げ噛み砕かれていて、真摯に作られているなあという印象を受けました。
 詞は誰らしいということもなく平易ですが、メロディラインはシンプルさがユーミンぽいなあという気はします。ゆずだったら、桜井和寿だったらなおさらですが、もっとリズムが細かく揺れるようなものになってくるよなあ、と。まあ、歌う際にわざと平べったくしているのかもですが。
posted by はじ at 23:41| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月09日

グループ魂に柴咲コウが「お・ま・え ローテンションガール」

お・ま・え ローテンションガール
グループ魂に柴咲コウが 宮藤官九郎 富澤タク グループ魂
KRE (2007/06/13)
売り上げランキング: 20621


<掛け合いから生まれるテンポのよさと面白さ>

 映画「舞妓Haaaan!!」の繋がりで実現したコラボレーション作品。グループ魂ボーカルの阿部サダヲが破天荒すぎる主人公役、それに対するヒロインが、今回フィーチャーされている柴崎コウ。で、映画の脚本を書いている宮藤官九郎が作詞を手がけている…と、3方向の結びつきがあります。
 と言っても、この映画観ましたけど、阿部サダヲと柴咲コウの役柄の関係はこの歌のような感じでもなかったり。なので、映画ありきの内容ってわけではないです。

 宮藤官九郎はユーモアに溢れた作風で有名ですが、SMAP「BANG!BANG!バカンス!」の作詞では、今ひとつウケなかったりもしました。
 レビューで書きましたが、原因として考えられるのは、「歌」というフォーマットとの兼ね合いなのかなというところです。一定のテンポ上で、上下するメロディに合わせてだと、クドカン本来のユーモアは威力を発揮しにくいのでは、という。
 でも、この曲の場合は、コラボレーションという形式が上手いこと「面白さ」を盛り上げているんじゃないか、と感じます。

 『キックボードで高速乗っちゃった!』ハイテンションな男と『絶叫マシンで寝る』ローテンションな女のギャップが笑い所なのは、一目瞭然です。で、キャラクターがこれでもかというくらいはっきりと分かれた二人が掛け合いながら曲が展開していくのですが、このわかりやすさがまずポイント。
 さらに、メロディを無視したセリフが諸所に挟まれているのもポイント。冗談をメロディに乗せると間延びする危険があるのですが、セリフでスパッと言ってしまえば問題なし。
 掛け合いなので、『お腹痛いの?(別に)/しんどいの?(え、何が?)』などと、一人が歌う⇒セリフですっぱり、という切り捨て感も出せますし。

 一人でギャグを飛ばしていると、どうしてもだらだらして感じたり、先の予測がついたりしてしまいがちです。そこを二人のやりとりにすることで、盛り込まれたユーモアが生きてきているのかなあと。

 とりあえず、柴咲コウ単体では絶対に歌わないであろう世界は、かなり新鮮です。グループ魂のネタ歌が先にあって、それに合わせてゲスト参加的な形になっているので、柴咲コウ暴走!とまではなっていません。だから、引かないで受け入れられたのかもしれないなあと。
posted by はじ at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月09日

Monkey Majik + 吉田兄弟「Change」

Change
Change
posted with amazlet on 07.08.09
Monkey Majik + 吉田兄弟 Maynard Blaise Monkey Majik
エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ (2007/04/25)
売り上げランキング: 27394


<意表をついた、「新しさ」を求めるコラボ>

 「Around The World」でスマッシュヒットを飛ばした、カナダ人兄弟が主要メンバーとなっているバンド・MONKEY MAJIK。バンド名の元となったゴダイゴの影響を受けたせいか、楽曲にはオリエンタルな雰囲気が漂いながらも、非常に洋楽チックな空気感も漂わせる、新鮮な印象のあるグループだなあ…という印象がありました。

 で、彼ら、今年に入ってコラボレーションシングルを3部作として連続リリースしていまして。
 最初は、こちらも多数コラボ活動を行っているm-floと組んでの「Picture Perfect」。そして、SEAMOとタッグを結成した卒業ソング「卒業、そして未来へ。」。そして最後を飾るのが、吉田兄弟とコラボしたこの楽曲となります。
 吉田兄弟とは、古来よりの伝統の技を受け継ぎつつ、枠にとらわれない活動を広げている津軽三味線界のホープ。ちょっとびっくりしてしまう相手です。MONKEY MAJIKはでデビュー前は東北で活動をしていたというので、ちょっと親近感はあったのかもしれませんが…

 カナダ人兄弟と三味線奏者兄弟の共演。民謡と洋楽サウンドの融合。こういうキーワードだけでもワクワクしてしまいますが、内容もまたたいへんスリリングな一曲に仕上がっています。
 テンポフリーの三味線で幕を開け、ギターリフに絡んでかき鳴らされる三味線の音色は非常に新鮮で気持ちがよいです。安室奈美恵「WANT ME,WANT ME」でもトラックに三味線が使用されていましたが、あちらはアクセントある音としてのみ取り入れていたのに対し、こちらでははっきりとバンドサウンドの一部として…スパイスとしてではなくメインの具材として扱っている、といった印象を受けました。そして、アドリブ?とまで感じさせるギターと三味線の絡みっぷりは、物珍しさだけではなく、スリリングさ、まさに新しい音楽へ「CHANGE」していくかのような興奮を感じます。

 歌詞はたいへん自己言及的。ふたつの異なるベースの音楽がコラボすることが『I NEED A CHANGE』という中心のフレーズと重ねられているのでしょうし、『TAKATANTAN!!! SWEET SOUND OF THE SHAMISEN』とか言ってますし。この「TAKATANTAN」と実際の三味線の音が重なっていて面白かったり。
 あんまり英語には自信ありませんが、『I WAN'T SOMEBODY ELSE LEAD ME NOW』というのは、意訳すると「自分のやりたいように進んでいく」くらいの感じでしょうかね。音楽スタイルの殻にこもることなく、刺激しあって新しいものを生み出していこう…そんなメッセージが暗に込められているんじゃないかなあと思ったりします。
 全英語詞なのは、そうしたメッセージが変に強く出すぎないでいいですね。日本の伝統文化と日本語、ではなく英語なところで一段階さらに遠くなっているわけで、より面白さも増していますし。
posted by はじ at 03:56| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月03日

絢香×コブクロ「WINDING ROAD」

WINDING ROAD
WINDING ROAD
posted with amazlet on 07.06.03
絢香×コブクロ 絢香 小渕健太郎 黒田俊介
ワーナーミュージック・ジャパン (2007/02/28)
売り上げランキング: 349


<相互作用を意識しつつ、それぞれ伸び伸びと歌い上げる>

 力強いアカペラで始まる、絢香とコブクロによる夢のコラボレーションシングル。ガツンと来る歌い出しだけでなく、全編に渡って、3人の歌唱力をフルに使ったパワフルなボーカルが堪能できます。
 どちらも、ソロではあんまりここまで「力強さ」に寄った歌い方はしていないと思うのですよね。絢香は「三日月」のヒットもあり、パブリックイメージは強さより優しさ柔らかさのほうに傾いているような印象がありますし、コブクロは言わずもがな、ハモリを駆使した溶け合う響きが売りなわけで。どちらも、「思いっきり歌う」じゃなく、うまくセーブして豊かに使いこなすといったスタンスなわけで。
 そういうわけで、この2アーティストが伸び伸びと歌う姿を見ることができるだけでもなかなか価値があるなあと思うのです。

 歌詞は、いわゆる自己肯定系統のメッセージ。共作ということで、無難にまとまっているなあという印象です。まあ悪くはないですが、やっぱり多少絞りきっていないというか、漠然としている部分もあるなと。
 たとえば、『曲がりくねった道の先に/待っているいくつもの小さな光』というサビ頭部分を取り出してみましょう。道を歩んでいく、というのは誰にでも共有しやすいイメージなので、こういう共作の場合は使い勝手がよいです。
 その後、目指すものは「いくつもの小さな光」…これが漠然としているのですね。険しい道のりの先に目的地がある(→だから頑張ろう)というのはもはやJ-POPのテンプレですので、聴き手のほうはこれで充分にイメージし感情移入もできちゃうものです。
 でも、この「小さな光」たちが何なのかは、具体的に示されてはいません。「希望」とか「ステキな未来」とか「目指している理想の自分」とか「愛するあなた」とか、まあ何でもいいんですが、明確にコレだ!と決めたほうが、より内容が引き締まるはずなのです。イメージするのがさらに容易になったり、他の部分にも関連させるフレーズを入れて、膨らませることができたりしますし。
 その点、やっぱりコラボレーションだとそこまで深めていくのは難しいでしょうから、これは仕方ないと思います。聴き手側で勝手に代入してしまいましょう。伸びやかな歌声には、あんまり細分化された内容よりもこのくらい大きなまとまりのほうが合ったりしますし。

 とはいえ、『逃げ出してた昨日よりも/ぶつかりあった今日に 流した涙』なんてのは実にいいフレーズですね。逃げるの対極に、「立ち向かう」とかではなくてあえて「ぶつかる」とマイナスイメージもある語を入れる、というのが好きです。相互に作用すると言う意味で、コラボレーション自体にも繋がってきますしね。
posted by はじ at 03:27| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月27日

井上陽水奥田民生「パラレル・ラブ」

パラレル・ラブ
パラレル・ラブ
posted with amazlet on 07.03.27
井上陽水奥田民生 井上陽水 奥田民生
SE (2006/12/20)
売り上げランキング: 45472


<硬質なハーモニーと、その響きから発する豊かな歌詞空間>

 PUFFYへ提供した楽曲を共作したことから、1997年シングル「ありがとう」をリリース、その後アルバムも1枚制作した伝説のユニットが復活。でも、かなりの大型タッグでありつつあんまり「伝説」って感じのしない自然体のおじさん二人組です。

 このユニットの聴き所は、やはりなんといっても気持ちよく響いてくるハモリでしょう。ハモリって、柔らかい響きを生み出すのがどちらかというと王道な気がしますが、この二人の場合は実にソリッドで、硬質な響きを帯びています。これが歯切れのいいギターサウンドに乗って、しっとりではなくかっちりの音楽を形作っていて。これはこれで心地よいですよね。

 で、『恋は二重奏』というように、まさに心地よいハモリだらけのこの曲そのものをモチーフにしたような歌詞。ストーリーを描くわけでもなく、ただ『パラレルのハーモニー』から丸一曲分の言葉を生み出してしまったかのような感じがします。『二重の魔法を 解き明かすこと』と、どこか謎めいたフレーズまで生み出してしまうのだから、いやはやこのバランス感覚はすごいなあと。
 ま、実際にはこの曲のハモリは、3度固定とかじゃなくけっこう動いたりしていて、それほど平行って感じでもないんですけどね。
posted by はじ at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月10日

ゆずおだ「クリスマスの約束」

クリスマスの約束(期間限定生産)
ゆずおだ 小田和正 北川悠仁
トイズファクトリー (2006/11/29)
売り上げランキング: 563


<シンプルな中に込められた、特別な一夜の特別な一曲らしさ>

 音楽番組で一夜限りのユニットとして誕生し、その際に作られた幻の曲が3年のときを経てリリース。小田和正・ゆず両名の合作らしい、心地よい歌声が堪能できるハートウォーミングナンバーになっています。

 歌の内容は「クリスマスの夜にこの唄を届けたい」という実にシンプルなもの。スペシャルユニットという性格やファンへの呼びかけが、クリスマスという日のイメージと重ね合わせられていますね。
 『君への 君達への贈り物』と2回言うのは、個人個人への特別な呼びかけでもあり広く誰にでも届いてほしいという願望であり、ちょっとズルいですが…まあサンタさんとかってそんな存在ですしね。世界中の子供たちにそれぞれ特別なプレゼントをしてくれる、みたいな。

 曲は、大まかに前半と後半に分かれています。リードボーカルは前半がゆず、後半の高音部が小田和正ですね。
 ゆずは二人でも曲に合わせて最適なハモり方を考えているなあとつくづく感じているユニットですが、それは一人加わった今回も同様。前半、「君」への呼びかけはゆずが担当し、『真っ白な雪が降り始める』という、穏やかでどこか幻想的な情景を伸びやかに歌いあげる後半は、小田和正の角のない声に任せています。単純にハイトーンだけなら岩沢厚治も負けていませんが、彼はどちらかというとまっすぐ突き抜けてくるタイプの声で。ふわっとした質感が求められるこの部分は、やはり小田和正の声が合っていると思うのです。続きを読む
posted by はじ at 12:31| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月06日

EXILE&倖田來未「WON'T BE LONG」

WON'T BE LONG
WON'T BE LONG
posted with amazlet on 07.03.06
EXILE & KODA KUMI Bro.KORN h-wonder
エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ (2006/11/22)
売り上げランキング: 41933


<多用に融合するJ-POPの新旧取り合わせ>

 1990年にヒットした、バブルガム・ブラザーズの楽曲をEXILEと倖田來未が共演でカバーするという、なかなか話題性のある一曲でした。

 アレンジは派手に攻撃的に変えてきたわけではなく、わりとオーソドックスなノリやすいR&B調。ソツのないマイルドな感じで、夢のコラボというわりには落ち着いた出来だったのかなーと。
 『OLY OLY OLY OH!/YELY YELY YELY YEAH!』の独特のコーラスも、そこまでドーンとインパクトは来ないですね。これってアレンジのせいなのか、それとも今の時代だから自然な感じに聴こえるのか。発表当時はもっと印象的だったと思うのですが。

 『もうなくしはしない、心がCRUSHしても』なんて言い回しは、とっても時代を感じます。その一方で、地味に『ちょうじり合わすなら、うそも必要さ』というような主張もある意味新鮮だなあと思いません?近年は、帳尻合わせることはない、はみ出したっていい!みたいなメッセージばかりが溢れている気がするので。

 ちなみにこの楽曲、阿波踊りをモチーフに作られたんだそうです。R&Bと和の融合、まさしく本質的に<なんでも取り入れていく>J-POPらしい一曲なのですね。そういえばどこか日本的な泥臭さがあるよなあ。
 そういう意味では、男女それぞれ現在のJ-POPを象徴するアーティストが一緒にカバーした、というのは実にぴったりだったのかなあと。
posted by はじ at 01:08| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月12日

m-flo loves BONNIE PINK「Love Song」

Love Song
Love Song
posted with amazlet on 07.02.12
m-flo loves BONNIE PINK m-flo BONNIE PINK m-flo loves DOPING PANDA Yutaka Furukawa m-flo loves MINMI MINMI Yasutaka Nakata
エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ (2006/11/08)
売り上げランキング: 11355


<「ありふれたラブソング」で気持ちを伝えるラブソング>

 さまざまなアーティストとコラボを続けているm-flo、今回は「A Perfect Sky」のスマッシュヒットも記憶に新しいBONNIE PINKとの競演です。

 早いテンポでもなく、曲調もボーカルもラップもそれほど派手な感じでもないですが、和太鼓のようなリズム隊とキラキラしているシンセの不思議な響きはなんだか聴き入ってしまいます。
 メロディラインは平坦な部分と起伏がある部分があり、起伏がある部分が印象的に響いてきます。といっても『さよならはいけない/でも何か足りない』など同音でワンフレーズを押しきっちゃっているのとかは逆にインパクトがあります。

 『You and I 重ねようHeartbeats/二人でひとつの歌』と、多の凸凹を孕みつつもも「君」に愛を告げる内容になっています。
 ポイントは、『誰の物かも判らないカセットに残されてたLove Song』というフレーズ。名前のない、使い古しの「Love Song」は、『リピートされる愛の歌は/ありきたりのキザな台詞』とも表される、陳腐なもの。しかし『けどlet me sing FOR REAL』と続くように、そんなありふれたラブソングを現実に当てはめて歌おうとしているシチュエーションを描いているわけです。
 で、ひいては「Love Song」と題しているこの曲自体も、言っていることはありふれているよ、という主張も暗に込められているのでしょう。

 実際、人の心情はそれほど変わるものじゃありせんし、ツボが急に変わるということもないはず。多少の時代による表しかたの違いはあるにせよ、ヒットチャートのラブソングは毎回まったく違うメッセージを開拓しているなんてことはないです。
 よくある表現というのは、それだけ実際必要とされるものだと言えるでしょうし、生まれるのは必然的なんですよね。もちろんいかに上手く独自に表現することは、素敵なことには違いありません。
posted by はじ at 11:03| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月16日

SINGER SONGER「初花凛々」

初花凛々 (初回限定盤)
ビクターエンタテインメント
SINGER SONGER, Cocco

このアイテムの詳細を見る


<内から外へのはっきりとした転換、それでも変わらない強度を持った「伝えたい想い」>

 Coccoが帰ってきました。それも、ずいぶんイメージを変えて。以前の暗く重い路線とはまったく違う、明るく軽い歌。
 自分は昔のCoccoの歌はとても評価していますが、こうして今スタンスが変わってきていることで、「変わっちゃったなー」「丸くなっちゃったなー」などと残念に思ったりは少しもしていません。自分にしては珍しいくらいに。なぜかというと、今のCoccoも、伝えたい感情をまっすぐに伝えようと歌っている、その点ではなんら変わっていないように感じているからです。

 今までのCoccoは、「伝えたい感情」を持て余し、自分の内側でどろどろと煮詰めているようなタイプの曲を描いていました。印象的な、『ハロー ハロー ハロー』の連呼からもわかるように、この歌は明らかに、自分の外側に向けて歌われた「呼びかけ」の歌です。しかも、特定の誰かへの想いだけでなく、もっと幅広く、『無差別級に/祈った』りしてみるなど、たくさんの人へ届けようとする意志が感じられます。さらに「届かない」ことを嘆いていた時期とは違い、『届くかなぁ』とつぶやいてみたり、少しずつ外側の世界を信じ、つながれるかもしれないという期待がのぞいてもいます。

 彼女は、こういうタイプの歌は、明らかに作りなれていません。以前はさまざまな表現を駆使して自らの内面を描写していたのに比べ、はるかにシンプルな言葉を、単語レベルで切り張りしたかのように、断片的につづっていっている、という印象があります。伝えたいがゆえに表現を練るのではなく、たどたどしくも不恰好でもいいからありのまま伝えたい、という方向へとチェンジした感じ。

 さて、Coccoの話ばかりですが、このSINGER SONGERというユニットは、くるりの岸田繁や佐藤征史が参加してまして。前に「こっこちゃんとしげるくん」としてコラボした流れが、そのまま本格的活動になった、ってな経緯のようです。
 くるりは、意味のなさげなフレーズを歌ってみたり、歌詞っぽくない日常のヒラの言葉をベースにしてみたり、あるいはいきなり打ち込み取り入れてみたり、わざと「歌」を解体してみることで何か伝わるようにしよう、というような実験的スタンスのある(と個人的に勝手に思っている)バンドで。そういう部分で考えてみると、Coccoの新しい方向性に踏み出したばかりゆえのつたなさを、うまく多くの人に届けられるようにバックアップする、という作業はけっこう合っているんじゃないかなと思います。
posted by はじ at 19:59| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月26日

175R feat.MCU「ORANGE」

ORANGE
175R feat.MCU, SHOGO, 175R, MASAHIDE SAKUMA
東芝EMI

このアイテムの詳細を見る


 活動休止、ソロ活動展開中のKICK THE CAN CREWのMCUが、175Rとコラボレーション。
 と言っても、175Rのいつものノリにスピーディーなラップがくっついただけっていう気がします。タイトルでもあり歌詞中にも出てくる「オレンジ」って色味も、あんまり音からは見えてこないような。あんまり色彩的な音を作るバンドじゃないですよね。

 『並んで歩いたこの通学路(みち)も』とあるように、聴き手として想定されているのは高校生までかあるいは卒業して間もないくらいの、十代の少年少女だと考えていいでしょう。しかし、近年のメッセージソングの傾向をそのまま体現しているかのように、若い層がターゲットでありながら、早くも郷愁・回想モード全開の内容になってます。
 『君は今日も元気でいますか? 笑ってますか?』など、今は離れている「君」に語りかけているときは、口調がですます調になっています。こうした礼儀正しさも最近の特徴ですね。たとえばブルーハーツなんかはもっとぶっきらぼうで尖ってましたし。毒のない素直さ、それが175R周辺の青春パンクバンドにかなり共通して見られる特徴だと思います。

 ひたすら爽やかかつセンチメンタルなフレーズで占められていますが、ただラップパートの中に差し挟まれた『もう色褪せたモノに色を塗ってはいけない』という一文は少しドキッとさせられました。
 歌としては、魅力だと感じているSHOGOのハイトーンがあんまり使われないくてやや残念かな、ってとこです。
posted by はじ at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

m-flo loves YOSHIKA「Let go」

Let go
mflo loves YOSHIKA, mflo, YOSHIKA, mflo loves Sister E, Ryuichi Sakamoto, VERBAL
エイベックス・ディストリビューション

このアイテムの詳細を見る


 ボーカルだったLISAが脱退してから、プロデュース&ラップの男二人が次々に有名無名さまざまなアーティストと共演し、シングルを発表していくという斬新なスタイルを確立しています。有名な人から無名の方まで、その相手はさまざま。これ、プロデューサーとしてはすっごく楽しいんだろうなあ。
 最近ではBoAと共演した「the Love Bug」なんかがありますね。

 で、今回は、おそらく新人のYOSHIKAって女性を起用しているわけですが、これがなかなかいい感じになっています。生粋のR&Bシンガーのような板についた歌いまわしで、けっこう宇多田ヒカルに似てるっぽい感じと評判。確かに、共通するものはありますよね。宇多田のほうがやっぱり「より濃い」感じはしますが。
 ムード重視のバラードになってますが、ストリングスが割合上品な使われ方になっている気がします。ヒップホップ系って、ストリングスをトラックに組み込むセンスのいい人が多いような。
 正直言ってこのユニットのラップは好きじゃないんですよね。パロディにされそうな言葉とリズムの強調のさせ方、過剰な合いの手とかが、どうも。これを平然とやってのけるセンスとわが道行き具合は褒めたいですが。

 詞。歌メロはたぶんYOSHIKA担当なんでしょうけど、あんまり特筆することはないです。おそらくは「別れた相手を忘れられない」というシチュエーションを、いかにもなフレーズを並べて表現してまして。ラップパートは男性視点から応えるってわけじゃなく、ナレーション的な役割で、状況説明したり主人公の内側までとらえてきたり、小説で言うなら三人称「神」の視点からの言葉になっています。
posted by はじ at 15:48| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月15日

持田香織 produced by 井上陽水「いつのまにか少女は」

いつのまにか少女は (CCCD)
持田香織 produced by 井上陽水, 持田香織, 井上陽水, 星勝
エイベックス・ディストリビューション

このアイテムの詳細を見る


 Every Little Thingの持田香織と井上陽水との夢の共演、というからずっとこの曲書下ろしだと思っていたけど違うんですね。「夢の中へ」のカップリング曲ということ。寡聞にして知りませんでした。
 知りませんでしたけど、もうなんというか井上陽水の歌っている声が聴こえてきそうな歌ですよねこれ。メロディラインも詞も、まさに陽水節。雰囲気がバリバリ漂ってます。

 大人になっていく少女をある種の悲哀をもって描くのは、芸術におけるひとつの至上命題みたいなもので。成長という名の、残酷な脱皮。成熟していくことで失われるイノセンス。いつまでも、少女のままでいてくれたらいいのに。
 ・・・とかなんとか言うとまるで変態みたいに思われそうですが、でも別に変な意味ではなくて。大人になっていく少年を哀愁込めて描くケースだって、似たようなものですし。歌にしろ小説にしろ、成長していくことで男の場合はたくましさ、女の場合は艶っぽさを手にしていく、というパターンが多いわけですが、どちらにおいても重要なのはそっちではなく「かけがえのない純粋さ」を代償として失っていくという点ですからね。少年少女そのものというよりは、その背景にあるイノセントを愛でたいわけです、たいていは。と、フォロー。
 自分がこうして「大人になる少女への哀惜」を語ると、変な嗜好と誤解されないようにとフォローの必要性を感じるわけですが、その点陽水は流石というか、変な疑いの眼差しなど入り込む余地のないくらい見事に、その哀しみを表現しきっていますね。だって『白い膚が光に触れまぶしそう』って言葉とか、びっくりするほどにヤラシさがないじゃないですか。
 陽水の歌って、本人はとてもウェットな声をしているのに、どこか中性的な視点で書かれているように感じる曲が多いような気がします。性的なドロドロした感情がきれいに拭われているというか。この曲も、イノセントな視点からイノセントの喪失を哀しんでいるようで、そここそが曲全体に漂う言い知れぬ情緒を含んでいる部分であるように思います。

 だから持田香織の、感情がこもっていないわけでもないのにどことなく無機的/中性的な声が、汚れのなさと悟りめいた思念を併せ持った透徹した詞世界に、かなりはまっているんじゃないかと感じるのですね。ちょっと陽水を意識しているらしく、口元に言葉をちょっと溜めるような、含みのある歌いかたも見え隠れしてるっぽいですが。

 それにしても、こっちは正真正銘書下ろしらしいカップリング「ミステリー あなたに夢中」が気になります。だって、タイトルが変だし。なんか、つんくみたいだし。
posted by はじ at 23:19| Comment(0) | TrackBack(1) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月28日

後浦なつみ「恋愛戦隊シツレンジャー」

恋愛戦隊シツレンジャー / LOVE LIKE CRAZY (通常盤)
後浦なつみ, 鈴木Daichi秀行, AKIRA
アップフロントワークス(ゼティマ)

このアイテムの詳細を見る


 『恋愛戦隊』の「せんた」の「い」がどうしても浮いて聴こえてしまうのは自分だけでしょうか。なぜにここだけ沖縄音階?とか思ってしまいます。
 タイトルとかへの野暮なツッコミはしないようにすると、そんなに悪くないんじゃないですかね。なんだかんだ言っても基本は王道な、良質なアイドルポップスです。サビとか、『肝心要は好奇心なのさ』とか『縦横無尽』だとか、最近ではASIAN KUNGFU GENERATION「リライト」に見られたような「堅い単語の詰め込み」テクニックをかましていたりします。能天気そうに見えて、ちゃんと工夫してあるんですよアイドルポップスというのも。

 気になる点が大小ふたつあって。小さい方はイントロのギターで、けっこうかっこよく決めてるんですけど、この間だって歌ってる三人はどうしてるんですか?きっと踊ってるんだと思うんですが、やりにくくないですかね、こうギターが出てくると。
 で、大きい方は、やっぱりソロでやってる三人を組ませた点。いや、「抱き合わせ」だとか云々は言いません、この曲だったら確かに三人くらいがちょうどいいと思うんですよね。ただ、今まではユニット先行、つまり「このグループにはこういう感じの曲を歌わせよう」ってやってたのが、最近は曲先行な合わせ方になっているように思うんですよね。 そりゃ以前からあれこれとユニット乱発してきましたけど、まず取り合わせ組み合わせ、企画が先にあってそれに沿った曲を作っているように見えました。でもこないだの美勇伝もそうですけど、曲ができてからユニット作っている印象が。今回の三人のうち、松浦亜弥はともかく後の二人はどうもソロが迷走気味な気がしますし、プロデュースに余裕がなくなってきたんでしょうか、と疑えてしまいます。続きを読む
posted by はじ at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月21日

Fairlife「永遠のともだち feat.AKIHITO OKANO from Porno Graffitti」


永遠のともだち feat.AKIHITO OKANO from Porno Graffitti/砂の祈り feat.SHOGO HAMADA(CCCD)
Fairlife, Fairlife feat.AKIHITO OKANO from Porno Graffiti, 春嵐, 水谷公生, Fairlife feat.SHOGO HAMADA, 浜田省吾
ソニーミュージックエンタテインメント

このアイテムの詳細を見る


 浜田省吾の新プロジェクトということで。地球の環境問題、平和への願いをテーマにした、メッセージ性に溢れた楽曲を世に出していく方向のようで、それは今回のシングルの内容からも、売り上げをすべてボランティア団体に寄付するチャリティシングルであることからもうかがうことができます。

 この「永遠のともだち」は、ポルノグラフィティのボーカル岡野昭仁を歌い手に迎えています。子供の視線から青い地球の破壊を嘆き立ち上がろうとする、という内容なんですけど、それにアキヒトを起用したのは、実にいい着眼だったかと。ポルノのレビューでも繰り返していますが、あのグループは寓話的・物語的なものを語り部の視点で詞にすることを得意としていて、そこにはやはりアキヒトの「語りかける」感じのする歌い方があるからこそ、という部分があるわけで。なので、『あこがれだった地球/すごくきれいで 夢見ていた 降り立つのを』というちょっと不思議で空想的、幼さのある語りには、他にないくらい適役でしょう。
 ただ、サビ裏の、子供か女性かのささやき声のような歌が、これも中途半端かなあと。アキヒトの歌っている緩やかなメロディと対比させようとしたのはいい思いつきですけど、どうもよく響いてきません。リズムに合わせてラップぽく言うならもっとうまく、そうでなければいっそ普通にしゃべって、ポエトリー・リーディングとしてやったほうがずっとよかったと思うんですね。

 あと問題は、上で挙げた印象的な出だしは惹かれるものがあるのに、どうも全体に「語る内容」がまとまりきってないようなのが、なんとも。後半なぜか、小学校の描写が出てきたりして。SF的な視点を貫けば面白いものができたと思いますし、それは無理でも、「自然」とか「大地」壮大な言葉だけでまとめるならまとめる、卑近な視点を絡めるならもっとうまく絡めるようにしてほしかったなと。


 ちなみにこの手の「環境破壊を訴える」メッセージの込められた歌だと、さだまさし「病んだ星」が、非常にシンプルで短い曲なんですけど、今まで聴いた中ではもっとも衝撃的、かつ、素晴らしい曲だと考えています。
posted by はじ at 14:13| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月19日

トコブクロ「毎朝、ボクの横にいて。」

毎朝、ボクの横にいて。
トコブクロ, 所ジョージ, コブクロ
ワーナーミュージック・ジャパン

このアイテムの詳細を見る


 所ジョージとコブクロにどんな接点があるんだろうと思ったら、缶コーヒーCMソングということでの共演ですか。なるほど。

 尊敬する人は誰ですかと尋ねられたら、所ジョージという人物はかなり自分内で上位に食い込む人だったりします。特に小学生時代は、マジカル頭脳パワーで驚異的な頭脳を発揮していたりしたので、めっちゃ憧れてました。すごく聡明な方だと思うんですよね。聡明であることをやらしくなく誤魔化せるくらいに。糸井重里なんかもそうですけど。マイペースな人に憧れる傾向があるようですね自分。

 んで、そんな所ジョージ作詞作曲のこの曲は見事に、痛快なほど、マイペースな曲です。『思いやりなんか前に出したら 暑くるしいネ』『夢なんか語りだしたら みっともないよネ/叶いかけたときに 言い出せるくらいかぁネ』などなど、かなり皮肉に聴こえる箇所も多いですネ。真摯なメッセージがもてはやされる風潮に食傷気味なヒネクレ者にはとっても痛快ですけどネ。あ、この「ネ」は、わざわざこの字面にするのはちょっとキツめですネ。歌っているとむしろ内容を中和して響いてくれるんですけどネ。

 まあそれだけだと単に世の中に不平を言いたいだけのヒネクレ者で終わるんですけど、ちゃんと『私があなたを愛しているんじゃないかと/たまに気づいて驚くでしょう』なんてニクいセリフも入ってたりします。ただ世の流れに刃向かうだけでなく、ちゃんと慎ましい恋愛にまとめてくるあたり、計算されてますね。何かと過剰なコミュニケーションをしたがったり、するべきだと思っている風潮に対して、わざわざそんなことするのはかったるいじゃない、と言い、「そんな過剰にしないでも接することができる相手の大切さ」を示しているわけです。
 僕らはみんながみんな自分勝手だけど、なのに一緒にいられる、一緒にいたかったり、いてほしかったりする、恋愛というもののこの不思議さと凄さ・・・ってなところを、さらりと語ってます。
 まあ別に恋人に限ったことでなく、あんまり無理しないでマイペースを保って、そのマイペースな状態でもお互いにうまく接することができたら、それって素晴らしいことじゃない、と解釈してみました。なんていうか自分の(まだ若造なんできっとずっと稚拙ですけど)人生哲学に、とても近いものが。さすがは心の師匠の所さんだ。

 えーっと所さんファンなためコブクロの話題が全然出てないですけど、サビ部分のハモリが高/低の二種類あって、ユニゾンパターンと合わせて三種類、だんだんコーラスが上に伸び上がってハモっているのが心地よくてよいです。これ、面白くて効果的なアレンジですね。
posted by はじ at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月27日

SEIKO&Crazy.T「Smile on me」

Smile on me(CCCD)
SEIKO & Crazy.T, Shinji Harada
ソニーミュージックエンタテインメント

このアイテムの詳細を見る


 松田聖子と石橋貴明のユニット。え、組むのってこれ初めてでしたっけ?石橋貴明って、ちょくちょくいろんな人と歌っているような気がして混乱しません?
 曲はデジタルで抑えめなメロとすぱっと視界が開けるサビの対比がすべて。ありがちなわけですが、音が必要以上にゴテゴテしていないのがすっきりしていていいかも。サビの中で転調するのも、鮮やかさを出そうとしているんだろうなあと。あんまり見ない手法。
 詞は、なんか夢で見た勝利の女神(=聖子)に勇気づかされる冴えないオトコ(=石橋)という、テレビCMみたいな内容です。タカさんは、まあコメディアンとしての本能がそうさせるのかもしれませんが、どうも音楽中でこういう「役柄」を演じられると、サムく見えます。少なくともセリフは不要でしょ。野球中継のタイアップっていう点からしても。放送ではサビしか使われてないんでしょうけど。
posted by はじ at 14:47| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年06月24日

CROSS CLOVER「evergreen〜いのちの唄声〜」

evergreen(いのちの唄声)
CROSS CLOVER, TSUTOMU ISHIZUKI, YOSHIHIRO KAMBAYASHI, FtC, KIYOSHI, 西本明, ビリケン, バギードッグ, FANATIC◇CRISIS, Shun
ソルブレイド

このアイテムの詳細を見る

evergreen(いのちの唄声)
CROSS CLOVER, TSUTOMU ISHIZUKI, YOSHIHIRO KAMBAYASHI, FtC, KIYOSHI, AKIRA NISHIMOTO, ビリケン, オクダケン, BUGGY DOG, FANATIC◇CRISIS
コロムビアミュージックエンタテインメント


このアイテムの詳細を見る


 FANATIC◇CRISISと KIYOSHI(氷川きよし)とビリケンによって結成された、日本赤十字チャリティーユニット。
 作詞作曲は、両方ともFANATIC◇CRISISボーカルの石月努。さすがにチャリティーのためであることと歌うのが自分のバンドだけじゃないためか、いつものように詞にわざわざカタカナ言葉を使ったり、記号使ったりはしてません。うん。それがいい。内容は、赤十字というよりはどちらかというとタイトルの方向で、環境を守る、みたいな主張になってます。おそらくは、いのち、というものを考えたとき、それは自然から生まれるものなんだ、という方向性になっていったんだと推測します。で、ありふれてはいるものの、無駄な力が抜けているぶんリラックスして聴ける曲になっています。

 ふたつのレコード会社からリリースされていて、内容が若干違うようですが、その辺どうなってるのかざっと調べてもなんだかよくわかりませんでした。
 FANATIC◇CRISISは五月に「everlove」というタイトルの似ている曲を出していて。そちらは「僕と君」のラブソングで、この「evergreen」よりもスケールは小さいものの、やはり力みのない、大らかな歌になっていまして。そういう路線になったんだろうか。うーん。
 氷川きよしは、初のポップス参戦。歌い方も演歌式ではなく、変えてやっているみたいです。
 ビリケンさんは、えっと、自分よく知らないのでなんとも・・・
posted by はじ at 21:22| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。