2008年08月13日

浜崎あゆみ「Mirrorcle World」

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浜崎あゆみ
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<自問自答の末に、はじめて見せる「揺らぎ」>

 10周年記念シングル。どのあたりが記念なのかというと、まず外側的には、先行してプロトタイプの曲を発表していたという点。すでに発売されている9thアルバム「GULTY」の1曲目に1コーラスだけ収録されている「Mirror」をフルバージョンにしているとのことです。
 そんな特別仕様のリリース体制だけでなく、内側的、つまり楽曲もまた特別感があります。ストリングスの長く壮大なイントロを持たせ、そこから激しくどこか切迫したアグレッシブなサウンドへと移行していきます。
 強く打ち鳴らされるパーカッションの音が、特に印象的です。メロではあたかも行進曲のようなリズムになっていて、強い意志、前に進んでいく力強さを演出。サビではそのリズムを前に崩し、加速がついた印象を与えてきます。

 さて、この曲のタイトルは「Miracle」ではなくて「Mirrorcle」となっています。元のタイトルが「Mirror」であることからもわかるとおり、「鏡」を意識した綴りを造っているわけですね。
『現在のこんな未来を僕は望んでいたのだろうか?
 現在のこんな未来を君は望んでいたのだろうか?』
『始まりなのかって?/終焉なのかって?』
 歌詞を読んでいくと、そのほとんどは、対句調になっている疑問系で作られているのがわかります。この構成とタイトルの造語を合わせて考えると、おそらくは「自問自答」を繰り返し行っている歌なんだ、と考えるのが妥当なのかなと。
 そして問いかけているのは、中身はいろいろではあるものの、総ざらいすると「時代」と「自分」の関係性について…でしょうか。『ねぇ僕等とこの世界は/減速する様子もなく』動き続けている。その中で自分はどうあるべきなのかを、自らに問いかけることで確認しようとしているかのようです。

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ラベル:浜崎あゆみ
posted by はじ at 18:51| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月21日

BoA「be with you.」

be with you.
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BoA
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<少しずつオトナへ変わっていく途中で>

 映画「犬と私の10の約束」主題歌のバラード。
 BoAのバラードは、「メリクリ」あたりから、「Everlasting」「Winter Love」と、超ベタでわかりやすい王道メロディラインをずっとリリースしていまして。それは、一方でそれ以外のシングル曲が以前よりも新しい方向にチャレンジしていたりオトナっぽかったりしてきていた中で、まるで反対だなあ、と感じていたりもしました。でもそうしたベタなバラードのほうが売り上げがよかったりするんですよね。

 この冬はすでに「LOVE LETTER」でベタ路線をしているせいもあるのか、今回はちょっとR&Bっぽさも香る、やや年齢の上がった感じのサウンド。歌い方も、多少しっとり感を意識しているようにも感じます。

 まあ、そこまでガラッとオトナっぽくなっているわけではないです。でも、歌詞も『けどなんかシ・ア・ワ・セ』なんて子供っぽい表記を入れている一方で、二人で重ねてきた時間を思い、「これから」をしっかりと見据えていこうという落ち着きもまたありまして。
 そういう意味では、サウンドも歌詞も、大人になっていく途中を示しているかのようで、ちょうど合っているのかなと。

 『あなたとだから 今/わたしはここにいる』という、相手への信頼。約束を『いつか きっと 果たせたとき/もっと深い絆/手に出来るの』という、ずっと先を見据えた思い。この辺りも、『ねぇ、』なんて聞き方をしているわりに、どこか落ち着きを感じさせる一因なのでしょう。プロデュース側としては模索が続いているように思える一方で、きちんと本人は成長していっている気がします。
posted by はじ at 23:13| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月14日

Perfume「Baby cruising Love/マカロニ」

Baby cruising Love/マカロニ
Perfume
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<音はデジタル、主人公は生身>

 コンピュータ感全開のテクノサウンド×アイドル、という新感覚ユニットPerfume。スマッシュヒットとなりその知名度と人気を一気に広げた前作「ポリリズム」には、ひたすらに人工的に構築された音、機械処理されたボーカル、そして歌詞もまた感情を排し、特定の個人の枠組みを脱して広がっていこうという表現意図がありました。

 今作も、音についてはやはり非常に機械的/人工的で、テクノサウンドならではの浮遊感、トリップする感覚を与えてくる仕上がりです。

 ただ、歌詞に関しては、はっきりと血の通ったものになっているなあと。『会いに行きたいよ』『ただ前を見ることは 怖くて しょうがないね』など、一個人(女の子っぽいですが、一人称は出てきません)の感情がはっきりと見てとれるのです。
 『何だって いつも近道を探してきた/結局大切な宝物までなくした』
 なんていう淡々とした述懐部分などは、メロディラインのせいもあるのか、YUKIのデジタル系の楽曲にも近い雰囲気があるなあと。

 過去の楽曲の歌詞をざっと読んでいっても、これだけ等身大の感情が描かれているものは珍しいようです。そもそも、一人称が「僕」と中性的だったりするものが多いらしく。 デジタルでなく、アナログに描かれる感情。それは、今までの楽曲よりも、歌い手である3人と歌詞世界を照らし合わせやすいということです。

 ヒット以後というこのタイミングでこうした方向性を打ち出してくるというのは、実に適切な判断かなーと。
 このユニットの特徴は、とにかく徹底した世界観作りにあります。非個人的な歌詞世界を描いてきたのも、その一環なわけで。ただ、この作りだと、本当に楽曲の内容勝負になるわけで。それよりも、歌い手のキャラクターに合わせて等身大の視点を取り入れた作り方なら、楽曲への好感度だけでなく、歌い手である彼女たち自身の好感度にも影響を及ぼしやすくなるのですね。
 ちょっと回りくどくなってしまったのでばっさりと噛み砕いて言うと、「歌詞の内容が歌い手本人に近いと、わかりやすいよね」という話です。

 もちろん、ただ人気を狙って安易に堕してしまった、というわけではなく。『遠い空間を』と「空間」なんて単語を使っているあたり、また後半のサビではエコーがかかったかのように輪唱になる見せ方などは、楽曲の雰囲気に合わせたバーチャルな世界観を形作るものです。
 特質を失わず、しかしより広い層へと浸透させるための布石として、今回の両A面シングルは作られているのではないでしょうか。続きを読む
posted by はじ at 02:06| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月30日

BoA「LOVE LETTER」

LOVE LETTER
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BoA ArmySlick h-wonder YANAGIMAN Emi Nishida Shoko Fujibayashi Natsumi Watanabe
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<多くの人に愛されるキャラクターを描き出す>

 どうもここ最近はバラードのイメージが強くなってきたBoA。冬は必ず出してますよね。
 「メリクリ」とか「Everlasting」あたりに比べると、リズム隊とか音作りが繊細になってような印象がありますが、しかし全体的にはベタなメロディラインと展開になっています。サビ頭『愛し合って 伝え合って もっとそばで 感じたいの』なんて、言葉も合わせてモロにJ-POPの文法ど真ん中、という感じです。
 …と思ったら、前回の冬にリリースした「Winter Love」でも同じことを言ってましたね。こうしてみると、はっきりとブレない路線でリリース展開をしている、ということがよくわかります。

 しっとりした雰囲気、そして歌い方もかなり大人っぽさを意識しているようです。ダンスミュージック一本だった10代とは違い、20代となった今はそういう「成長」を感じさせる面が毎回どこかにあるようです。どうもあんまり冒険はしないみたいですけど。
 とはいえ、歌詞はまだまだ「大人の女性」というよりは「かわいい女の子」。『「好き」とMailにして』なんてメールという小道具からしても若さを感じますし、『やっぱり大好きな人と 幸せになりたいの』と言われると、微笑ましい気持ちになりますよね。

 BoAのようなアイドル性のある人だと、曲の内容って本人のキャラクターにも繋がる特に大事な要素だと思うのです。で、この曲のキャラクターって、同世代の女性にとっては<オトナっぽくなろうと頑張っていて、でもかわいらしい気持ちも抱いている>みたいな、すごく共感しやすい人物像なんじゃないかなと。で、男性にとっては、微笑ましい後輩・妹のような存在として映るのかなと。どちらにしても、好感度の高いキャラクターなのかなと思います。
posted by はじ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月27日

浜崎あゆみ「talkin’2 myself」

talkin’2 myself
talkin’2 myself
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浜崎あゆみ H∧L Yuta Nakano Tatsuya Murayama ayumi hamasaki
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<メロディラインのインパクトが言葉の説得力を増す>

 新曲は、ガッチリとしたリズム隊が印象的。重々しいリズムとハンドクラップ、というパンチが効いたサウンドになっています。メロディラインは、サビがかなり特徴的ではあるものの、そこまで違和感のあるようなものではなく、いつも通りの範疇。なので、全体としては、「Bold&Delicious」ほどは突き抜ていない、メリハリのついた一曲、というところ。

 楽曲的には、何よりもサビの畳み掛けるリズムがポイントと言えそうです。同じリズムをどんどん前のめりに重ねてインパクトを出しつつ、『現実はいつだって/悪戯に僕達を振り回す』と歌っていきます。
 この歯切れのよさが、言葉の響きをも強めている感じ。もともとメッセージ性が高い内容ですが、畳み掛けられる旋律に乗せて『満たされない想いがもし/あるのならそれは君自身の手で/創られたもの』と語られると、説得力がより強まるようです。

 と、投げかけられる一言ひとことに重みは持たせられているのですが、全体としてはひとつのテーマに収束しているという感じがあまりしません。一応、情報や誘惑が多い現代も『僕達はそれぞれの/選択をして行くべきなのだろう』というところが本筋のようですが、「満たされない気持ちは自分が作り出している」「破壊から創造が生まれる」というところも混じってきて、やや錯綜気味かなと。
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2007年12月17日

Perfume「ポリリズム」

ポリリズム
ポリリズム
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Perfume 中田ヤスタカ
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<立体的なサウンドが織り成す仮想世界>

 NHK・公共広告機構の共同キャンペーンCMに起用されたり、またネットを通じた認知度の広がりもあって、オリコンチャート初登場7位に食い込んできたアイドル界の新星。打ち込み全開で近未来的なコンピュータ系サウンドに、機械的かつ浮遊感ある歌声を組み合わせた楽曲が特徴で、位置づけとしては「テクノポップアイドル」というものになるようです。

 機械的にプログラミングされた音楽であるテクノがベースになっていますが、機械的なのは音だけではなく、声も同じ。ボーカルもまた加工され、感情的な要素を排し、音を構成する一部になっているかのような聴き心地です。
 これ、もちろん実際に加工されてもいるでしょうけれど、元々そうした方向性を狙って歌われているように感じます。歌い方から、ナチュラルな発声ではなく、もっと信号音っぽく平坦な発し方をしているんじゃないかなー、と聴いていて思うのです。
 また、メロディラインも多少そうした方向性を意識しているような。特にメロ部分は、ひたすら4部音符のみで構成されていたりして、「躍動感」を排したようなつくりになっていますし。歌い方も相まって、一音一音があたかも電話のプッシュトーンのように置かれていく、という印象を受けます。コーラスワークも、普通はメロディラインを補強するように沿って動くものですが、ちょっと分離しているような。おかげで、メロディラインの「ライン」っぽさを感じさせない、拡散していくような響きになってきているように感じたり。

 さて、表題の「ポリリズム」とは、一言で言うと、多層的なリズム構成のことを指します。長さの異なるリズムを組み合わせて同時に展開し、複雑で立体的なサウンドを作り上げる手法です。
 曲中でも、この手法が取り入れられています。特に中盤、4/4拍子進行の基本リズムの上に、付点8分音符(0.75拍)のリズムが乗り、さらにメロディラインがひたすら「ポリリズムポリリズムポリリズム…」と8分音符×5(2.5拍)がひたすら繰り返されていく部分が、その不思議なリズム感によって強烈に頭に残ります。曲後半は、エコーなども入ってきて、頭の中がぐるぐるになってきます。クセになる感じ。

 歌詞のほうは、「複合的なリズム」から派生して、「巡る」「繰り返す」というところがキーポイントになっているようです。確かに、ポリリズムで構築されたこのサウンドは、ループ感を満載していますし。
 また、機械的、非感情的な世界観は、サウンドだけではなく言葉にも表れています。たとえば『ほんの少しの 僕の気持ちも/巡り巡るよ』というフレーズ。感情が「ほんの少し」だけあって、それがひたすら巡るという言い方もポイントですし、一人称が「僕」である点も、女性ボーカルが少年視点で歌うときの中性的な印象を出そうとしている感があります。

 そして、『くり返す このポリリズム/あの衝動は まるで恋だね』…サビでも何度も「くり返す」という語が頻出してループが強調されていますが、注目したいのは「あの衝動」という言い方。「この衝動」ではないのです。ちょっとした距離感があるのですね。
 <今/この場所>ではない、<いつか/どこか>の「衝動」。それは、『とても大事な キミの想い』だったり「ほんの少しの 僕の気持ち」だったり、さまざまな人の感情なのでしょう。そしてそれらは、「廻る世界」=「ポリリズム」の中で繰り返され、交じり合っていく…というイメージが、ここから広がってきます。
 まるで、水面に石を落として、生まれた波紋が広がっていき「巡り巡る」のを眺め、感じている…そんな印象を受けます。個人的な感情/感覚を遠ざけ、むしろ巡り交じり合う世界そのものの光景を描写しようとしているように思えてくるのです。続きを読む
posted by はじ at 03:17| Comment(1) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月12日

PUFFY「オリエンタル・ダイヤモンド」

オリエンタル・ダイヤモンド/くちびるモーション
PUFFY 奥田民生 吉井和哉 上田ケンジ 井上陽水 大貫亜美
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<意味よりも響きとイメージで、きらびやかに散りばめられるオリエンタルテイスト>

 さて、2000年代に入ってからはあんまり表立ってブームの風上に立つようなことはなくなったものの、北米で大ブレイクしたり、海外プロデューサーがアルバムを手がけたり、甲本ヒロト提供曲を歌ったりスカパラとコラボしたり、いろいろと幅の広い活躍をマイペースに続けています。カップリングの「くちびるモーション」も、何気に吉井和哉の提供だったりしますし。

 何かと話題の耐えない活動を続けていますが、今回は90年代の大ヒット曲を作り上げた井上陽水/奥田民生のタッグがたいへんひさかたぶりに実現。「渚にまつわるエトセトラ」が1997年リリースなので、ちょうど10年ぶりです。
 で、展開されるのは、やたらハイテンションながらもハチャメチャで意図不明な世界観。オリエンタルのタイトル通り、エスニックな響きの音が鳴り響くなか、アジア各国の名前や文化の単語を羅列しまくり…って、これ「アジアの純真」じゃないか!
 『ブータン バーレン ローレン/香港 九龍 マージャン』と、韻を意識しつつもあんまり厳密でない感じとか、「アジアの純真」の『北京 ベルリン ダブリン リベリア』を彷彿とさせます。…なんだか嬉しくなっちゃうのは自分だけでしょうか。今回は『ヤーレン ソーレン ソーラン/レ・ミゼラブル なのね』と、もうちょっと地域が広がっているような。グローバル化だ。…気のせいでしょうか。

 で、はっきり言って詞にはほとんど意味はないかと思います。あえて言うのであれば、「意味がない内容」を歌うこと、それに意味があるというか。真剣に歌い上げたり何かを主張したりすることの対極、テキトーさ、お気楽さを目指している、ってところでしょうか。
 理解なんてできなくてもいいのです。めくるめく世界中のあちこちを想起させる単語に、なんとなく流されて楽しめばいいのです。『SPARKLING ミャンマー FLYING タイランド/東京 北京 ダイヤモンド』と、文章として整えることをすっぱり諦めたからこそ、言葉は濃密に散りばめられているわけです。しかもうまく音に乗せてあるので、トリップしやすいはず。

 あえて指摘すれば、『We are 算数』はその後の『一 二 三 四』(中国語読みで「イー アル サン スー」)と韻を踏みつつ内容も沿わせていますし、『カメレオン ダイヤモンド』はもしかしたら「カメリアダイヤモンド」と掛けているのかもしれません。
 また、ダイアモンドの形としてイメージされるブリリアントカットなど、宝石の形状というものは、光をうまく反射させて輝きを強く広く見せるために研磨されているもの。「オリエンタル・ダイヤモンド」とは、世界の各地が、また歌っているPUFFY自身がきらびやかに輝くようなイメージを込めて名づけられ、生み出された曲なのかも、とも推測できそうです。
 …なんてあれこれ考えてニヤッとしてみるのが、この手の曲を楽しむ正しい方法のひとつだと考えています。
posted by はじ at 02:32| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月17日

the brilliant green「Stand by me」

Stand by me
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the brilliant green 川瀬智子
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<「バンドでこそのスタイル」再発見>

 1998年「There will be love there -愛のある場所-」でブレイクした通称「ブリグリ」。ボーカル川瀬智子のソロ活動により活動が途切れていましたが、実に5年近くのブランクを経て活動再開です。

 重々しい音を中心に据えたUKロック的サウンドは健在。歌詞もまた、初期の一般的なブリグリのイメージにちょうど沿うもので、復活!のアピールにはちょうどいい楽曲なんじゃないかなと思います。

 ブリグリは、元々は全英詞でシングルを出すなど、かなり硬派な音楽性を持っていました。ただ、活動を重ねるごとに、たとえば「愛の♥愛の星」など、タイトルからして愛らしく、ポップ寄りな内容にも手を出すようになってきまして。おそらくはそういった方面への表現欲求が、打ち込み&メルヘンなTommy february6という形に昇華したのだろうなあと。

 Tommy february6は、「川瀬智子の別人格」という設定がなされています。また、もうひとつのソロプロジェクトTommy heavenly6も同様で、トミフェブとトミヘブはそれぞれ陽と陰、対を成す存在という位置付け。その他、その両者の関係など、かなり細かい設定が作られているようです。音楽性的には、トミヘブは重めのサウンドがthe brilliant greenと近く、こちらの活動を開始したときには「なんでブリグリでやらないの?」と考えてしまったものでした。
 ただ、こうしてブリグリが復活してみると、やっぱり違っていたんだなあと。ソロ活動に厳密なキャラ付けをするくらいですから、おそらく最初からその辺はしっかり考えて、曲を作り分けていたんじゃないでしょうか。

 『誰かのために泣けるなんて/わからなかった』
 今回の歌詞は、リアルな手触りがあります。フレーズの端々から、「現実」の匂いが漂っているんです。
 トミフェブもトミヘブも、その世界には多分にファンタジーが含まれ、空想的なイメージが非常に多かったです。まあ、別人格という設定を提示したことからして、もうすでにフィクション、作り物なんだと宣言されていたようなものですし。
 ソロとバンドの差は、大元はこうした楽曲世界のスタンスに拠る差なんじゃないかなと。

 『心を覗けたなら/今すぐに 楽になるかな…』というつぶやき。もしこれがソロ作品だったとしたら、トミフェブならここから楽しく空想を膨らませ、トミヘブならこうした現実逃避をしたまま沈んでいたりしていたのだろうなあと。
 でもそうではなく、空想に耽りっぱなしになるのではなく、何があるのかわからない『錆び付いた世界』=「現実」を見据えていこうとする感情が、この曲からは漂ってきているように感じます。
 『傷ついてもいい それより/違う自分を見てみたい』というのも、何か決意表明みたいに思えますし。

 サウンドにしても、心なしかアコギは生っぽさを重視して録っているような気にさえなってきます。厚みのあるサウンドと柔らかいボーカルはその中にトリップしそうな感覚を覚えますが、その立脚しているところは「夢」ではなく、あくまでも「現実」のようです。
posted by はじ at 22:52| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月13日

浜崎あゆみ「glitter」

glitter/fated
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<長いブランク開けに、ポジティブなリスタート宣言>

 2本構成のベストアルバム「A BEST 2」を発表してはいたものの、かなり久々となる浜崎あゆみのシングル曲。シングルとしては「BLUE BIRD」以来、1年以上のブランクを経ての新作は、歌詞の内容もリスタートを感じさせるものになっています。

 『この夏 僕達の 新しい旅が始まる』『まだまだ 加速は/止まらない』と、夏という季節に合わせ、勢いに乗って進んでいこう…というのが大まかな展開。サウンド面もキラキラ感満載で、これからの広がりを期待させる雰囲気です。
 キラキラな打ち込みというのはもうお馴染みの「浜崎スタイル」で、改めて王道を打ち出してきたなーという印象です。

 で、ただ、夏だ!前へ進もう!というわけではなく、大切な「君」を支えよう、尽くそうとする心情を見せるのも彼女らしい部分です。
 「君」が笑う、『その為には 空も/飛べるはず』。どんなことでも『ねぇ ちゃんと 解っているつもりだから…』と、この「わかっている」という言い切りじゃなく「そのつもり」くらいの感覚が、気持ちの真摯さを感じさせるポイントになっていたりしますね。

 ただ今回は、過去への感傷が少なめです。『変わったものは 一体 何だろう』と一応今までについて振り返ってはいて、多少変わってしまっていくことについて想いを馳せていますが、『So... I'll be with you!!』と一緒に進んでいくポジティブさに結びついていきます。
 過去の傷とか辛い思い出とかは出てこないので、切なさ成分が控えめです。なんか浜崎あゆみというとそういう感傷があるものという感覚なんですけど、それはさすがに偏見か。
 今回は久しぶりのシングル、しかも夏の曲でアッパーで、ということで前向き度合いを重視したのかもしれませんが、もしかしたらちょっと変化が出てくるかもなあと思いました。
posted by はじ at 23:26| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月05日

BONNIE PINK「Water Me」

Water Me
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<強く気高い呼びかけを生み出す心象風景>

 昨年の「A Perfect Sky」スマッシュヒット以降、活動を活発化させている印象の彼女です。とはいっても、「Anything For You」にしろ今回にしろ、曲のキラキラ感は増したようにも思いますが、楽曲はそれ以前と変わらず、独特の世界を作っているように感じます。
 そもそも「A Perfect Sky」だって、ちょっとサビがキャッチーだったり使用CMが話題になったりしたというだけで、急激な方向転換だったというわけではないですし。本人としては、何も変わっているつもりもないのかもしれません。

 『乾いた砂漠に凛と立つ花は/枯らさないでと叫ぶの』
 砂漠に咲いた一輪の花。このイメージは、理想の生きざまを示す心象風景としてのものでしょう。
 「どんな時も負けないで、強く生きていこう」なんていう応援の言葉は歌詞のどこにも出てきません。せいぜい『諦め顔で泣いていた友よ 微笑んで』というくらい。しかしそれでも、強く、はっきりしたメッセージ性を感じさせられるのは、こうした心象風景の描写が巧みだからです。「あなた」に想いを伝えるための手紙を『何万通も書こう/ある事ない事書こう/月明かりでも書こう』と繰り返してみせるのも、『“Water,Water me!”』という叫びも、その背後にある「強い想い」を感じさせるための表現なのですね。

 面白いのは、こうした描写で表されるのが、単純な「強さ」ではないところです。自分を認めさせるためには『嘘つきになろう』とも言ってのけるように、「正しさ」で行動しているわけではなかったりしますし。
 何より、「Water me」=「水」が欲しい!ということは、誰かの協力を必要としている、自分以外のものを頼りにしているわけです。しかし、この「水」を求める様は、人頼みだからといって悪印象は受けないし『ずぶ濡れでいい』し『一滴だけでいい』しとなりふり構っていない願いのわりには、どこか気高ささえも漂っています。

 人の助力を当てにしても、なりふり構わず必死でも、それでも気高い。ただ「強く生きよう」とストレートに言うだけでは、こうした奥行きのある強さを描くことはできないでしょう。
 心象風景で表現する、イメージを膨らませた言葉を使うのは、こうした深みを作ることができるからなのですね。…という例として、ちょうどいい題材でした。
posted by はじ at 22:48| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月25日

美勇伝「恋する♥エンジェル♥ハート」

恋するエンジェルハート
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<「恋する女の子」の魅力をぎゅっと濃縮>

 タイトルのハートは本当は白抜きですが、どうもこのブログでは表示できないみたいなので。

 内容は、ハイテンポなサウンドに乗せて、『この夏には/素直なカラダで伝えたい』と、夏に向けて高まっていく恋の感情を感じさせるものになっています。
 カラダで伝える、というとなんだかちょっとアダルトな雰囲気ですが、でも全体を見るとそうでもないのかなと。『デートは5回目/それでもドキドキね/腕組んだりしないのかな?』というフレーズは、女の子側からの積極的に関係を深めていきたい!という気持ちが表れていますが、腕を組むか組まないかという段階で逡巡しているのは、どちらかというと微笑ましさ・幼さを思わせます。ハートマークの多用もそうですし。
 『大人になっても/こんなに苦しくて』と悩む姿も見られます。自称は大人なんですけど、電話が来ないと不安だったりして、やっぱりあんまりしっかりしていないようです。

 こうした多面的なキャラクターは、「恋する女の子」らしさをグッと濃縮して詞に注ぎ込んでいるからだろうなー、と感じます。
 恋をしているドキドキをアピールしてみたり、幼さ無邪気さを醸し出してみたり、会えないときも一途に寂しがっている面も見せたり、『夏の刺激』を求めてみせてエロスも演出しドキッとさせたり…「恋する女の子」という存在が、さまざまなシチュエーションにおいて見せる「かわいらしさ」を並べてひとつの曲に盛り込んだ、という印象があります。

 『みんなに自慢したい/公認の夏にしたい』という希望もまた、恋に夢中な女の子らしさを表現しているフレーズです。が、ここは例えば「二人きりの秘密にしたい」としても面白そうな部分ですよね。
 プライベートな関係を強調させて気持ちを煽るのではなく、あえて開放的な意志を選んでいるのは、ひとつには曲に合っているかどうか、で判断されたのでしょう。つまり、疾走感のあり開放的な「夏」という季節を舞台にしているから、ということ。そしてもうひとつは、グループの歌だから、という側面もあるのかもしれないなあと。ソロの曲としてリリースしていたら、「二人だけ」のプライベートさを求めるほうがきっと効果的な気がします。
posted by はじ at 08:39| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月26日

BoA「Sweet Impact」

Sweet Impact
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<「衝撃的」なインパクトをより響かせるために>

 2005年2月のベストアルバム発売後、「DO THE MOTION」「make a secret」とそれまでとは一線を画す新しい境地へとチャレンジしていたBoA、当時はてっきりひとつ上のステージに進んでいくのかと思ってレビューにもそう書いていたのですが、いつの間にかもともとのダンサブルチューンや、ベタベタのラブ・バラードに戻ってきていまして。

 今回も、リズムトラックが強く、エッジのきいているダンサブルチューン。この手の曲は、今はまだやっぱり彼女だというイメージが強いですよね。新しい顔が登場しない間は、コンスタントにこうしたナンバーもリリースしていくのかもしれません。

 『what you feel,what you see 衝撃的 あなたの愛 包まれて』なんていうサビ頭がまさに「衝撃的」です。ただでさえインパクトの強い言葉でこれだけで耳に残りやすいのですが、もう一段、印象を刻み込む工夫があります。入りは発音を詰め込みやすい英語、同じリズムと音型を繰り返した後に、さらに重ねる形でこの衝撃的な「衝撃的」という単語が出てくる。だから、耳にさくっと入りやすいのです。

 あなたへの愛で生まれ変わったように強くなれた、というのが大まかな歌の趣旨なのですが、「衝撃的」にとどまらず『伝説的』まで行くのはさすがにどうなんだろうと思いつつ、こういう過剰ぎみな表現は、彼女の支持層である女の子たちの口語文化につながる部分もあるのかなと。「超」「マジ」「バリ」「激」といった語の多用とか、上の世代には汚いと批判されがちな男言葉の使い方とか、若者文化というのはやたらと強調表現が独自に発達するものなので。
 そこまで狙って使っているのかは知りませんが、主要購入層にとってはこうしたフレーズもあんまり違和感はないんじゃないかなーと想像してみます。続きを読む
posted by はじ at 23:46| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月01日

BONNIE PINK「Anything For You」

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<ポップな中にも、一筋縄ではないセンス>

 ポップな作りでスマッシュヒットとなった前作「A Perfect Sky」は、『君の胸で泣かない』と、恋をしながらもどこかクールな視点がありましたが、今回は『粋な一言に酔いしれたいよ』などなど、恋愛真っただ中といった直球なアプローチで来ている感があります。アレンジも、かなりキラキラした雰囲気ですし。

 第一印象としては全体にポップではあるものの、ひずんだギターやシンセ音などはちょいとクセがある響きを選んでいるようで、やっぱどこか一筋縄じゃいかない音楽だなあという点がちらほら。
 たとえば歌詞にしても、『耳を澄まして』君を待ってみたり、「先を考えるより今が大事」的なことを『未来への背伸びよりも/今と言う大地踏みしめて』と言ってみたり、「恋をすると世界が輝いて見える」的なことを『大きな箱に愛を詰めた/バラ色 無邪気な街』と言ってみたり(あ、でもこれは別解釈もあるかも)…メッセージとしては珍しくない類のものでも、ちょいとヒネった表現で歌っています。

 あと、指を眉間に当てて『「笑え」って魔法をかけて』とか、『タフな腕の中で揺られたいよ』とか、何より『白馬に乗った英雄』とかを見るに、この曲の主人公の想い人は包容力があって自分をリードしてくれるタイプの人のようです。
 最近は強い人よりも優しい人、ちょっと頼りなくても気持ちが通じ合う、側にいてくれる対等の彼を求めている歌のほうがどうも多い印象ですが、そうではないようですね。

 メロディラインもクセがあります。Aメロはかなり短くブツ切りになっていますが、これは鮮烈な印象にもつながるもの。サビは実はまったくハイトーンになっていないけれど、畳み掛けるようなメロディラインでインパクトを強めている。
 そして、『I'll do anything for you』の「for you」のリズムがその前から続かず、ちょっとタメて出るようになっているのは…これはフレーズの流れからすると多少違和感がありますが、同時に「あなたのために」というこの部分を特に強調するような印象も与えてくるもので。

 このように、独特の表現があれこれとありますが、どれもただ奇をてらっているのではなく、きちんと効果を生み出す仕組みになっているんじゃないかなーと思うのでした。
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2007年02月18日

BENNIE K「Joy Trip」

Joy Trip
Joy Trip
posted with amazlet on 07.02.18
BENNIE K HAMMER Mine-Chang Mick Jagger Keith Richards
フォーライフミュージックエンタテインメント (2006/11/08)
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<シリアスにだけではなく、陽気に華やかに進みゆく旅路>

 カントリーテイストの混じった陽気なトラックに乗る、女性ボーカル&ラップ二人組の一曲。
 スマッシュヒットした「サンライズ」以後も、やや地味ながらも着実なファン層を獲得している感じの彼女たちですが、その理由のひとつとしてスタイルの独自性があるのではと。まず、ボーカルとラップの両立そのものはそれほど珍しくはないにせよ、女性のラッパーは希少ですし、しかもこれだけパンチが効いた声をしているのは大きな武器ですよね。

 そして、明るい曲調。彼女たちはもともともっとR&B調の楽曲を主にリリースしていたのですが、それが「サンライズ」以降はアッパーチューン主体の楽曲にシフトしていますよね。大部分の人はそっちのイメージではないかなと。
 元からのファンにとってその切り替えが良かったか悪かったかはまあ意見の分かれるところでしょうけど、でも当時は特にゴロゴロ乱立していたR&Bではなく今のスタイルだったからこそ広く受け入れられることに繋がったのだろうな、と思うわけです。

 歌詞は『心のままに 道を行くんだ 嵐が来ても 崖にあたっても/軽くかわしてこう』というように、非恋愛のポジティブメッセージソング。ただ、曲調のせいもあり、タイトルの表すように「楽しげな」雰囲気がありまして。
 どうも一時期のメッセージソングは、真摯な飾り気のない気持ちを表さなくては!というムードが全般的にあって、シリアスに作ってあるものが大半を占めていたような気がします。この曲のように「旅」をテーマにしたものでも、苦しくてもひたすらに進んでいくぞ!みたいな、ストイックな感じで。その点、この曲は、ロードムービーの一場面のように周りの美しい景色を眺めながら歩いている余裕があります。より自然体で、楽しげな印象。
 そういう意味でも「アッハッハッハ」と間に入る「サンライズ」は新しかったですし、だんだんとシリアス一辺倒からポップな曲調も戻りつつある(と個人的には感じている)J-POPシーンの流れにもちょうど乗っていたのではないかなと。
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2007年02月06日

BoA「Winter Love」

Winter Love
エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ
BoA, Natsumi Watanabe, ats, Emi K.Lynn, Takuya Harada

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<消えない強い想いも、前に進む強い決意も、どちらも強く主張する>

 冬は一般的にバラードが多くなる季節ですが、BoAは一昨年の「メリクリ」、昨年の「Everlasting」に続きまさに典型的なリリースを行っています。

 BoAのバラードの特徴は、しっとりながらもメロディがわりと泥臭いところ。今回も、細かい譜割りになっているメロディラインとはいえ、サビなんかはどこか懐かしい歌謡曲の響きがします。
 基本的に頭拍重視の進行なんですよね。最近はR&B系の、裏拍を多用するリズムで進行する曲も増えていて、どちらかというとそっちのほうが現代的な香りがするんですが、そうじゃない。わかりやすい、耳に残りやすい旋律を選んでいる感があります。

 さて失った恋を歌う内容ですが、『忘れなくてもBaby好きでもいいですか?』とかなり強い感情がまだある模様。ただし、それは「未練」とはまた別種の感情のようでして。
 『あなたで良かったって心から言えるよ』とか、「あなた」への強い気持ちはあるものの、それが未練とか後悔とか、マイナスの感情にはどうも繋がっていないんです。「あなた」が忘れられない一途さも、その二人の日々を糧にこれからも進んでいこうという強い決心も、両取りしようとしているんですね。その貪欲なポジティブさはすごいなと思いつつ、ちょっと無理があるような気もします。
 会いたい、とも言ってはいますけど、またやり直したい、という感じではないんですよねー。『約束した映画の長い列に 二人してもう並ぶ事はないの』と断言しながら、それでも想い続けるというこの状況の「切なさ」に浸っている、そんな感があります。

 ま、これはこの曲に限ったことではなく、最近の失恋ソング全般に言えることなんですが。
 消せない想いを切々と歌い上げるのが「未練型」だとすると、その終わってしまった恋の思い出を力に変えて進んでいこう、ときっぱりと前を向くのが「ポジティブ型」。未練型は聴き手をどっぷりと感情移入させられる一方、ウジウジしていると反感も買ったりする。対してポジティブ型は前向きに元気付けてくれるものの、共感のボルテージは「好き」という感情を募らせる未練型にはかなわない部分があったりして。
 この曲なんかは、そんなふたつの傾向のまさにいいとこ取りをしようとしているわけです。『会いたくてキスが100億の雪を伝うの』と、雪に絡めてドラマチックに「あなた」への冷めない想いを歌う一方で、『時が流れて 違う恋してもあなたを想い出すでしょう』と「違う恋」の礎として「あなた」の記憶を足場にしようとしているんですね。

 個人的にはちょっとそりゃ無理があるんじゃないの?と思いますが、まあ矛盾する感情を同時に孕んじゃったりするのが人間の面白いところですし、細かいことに目をつむれば「まだ好き」という強い感情に浸れつつポジティブさも得られる豪華な歌だとも言えるので、そのあたりは各自のご判断でどうぞです。


 それにしても、どうしてこんなに平凡なタイトルを付けちゃったんだろう。漠然としすぎていて曲の内容を的確に示しているとは言いがたいですし、せっかく歌詞にも登場している「100億の雪」というインパクトあるフレーズを付けることもできたのに。
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2006年09月17日

BONNIE PINK「A Perfect Sky」

A Perfect Sky
ワーナーミュージック・ジャパン
BONNIE PINK, Burning Chicken, Masato Suzuki

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<夏の弾けたイメージを全開にする一方には、現実を静かに見つめるクールな視点>

 蛯原友里が出演しているCMソングとして、スマッシュヒットとなった一曲。
 10年前から活動し、洋楽的な独自の路線を行ってコアな人気を博してきたBONNIE PINKですが、今回はバリバリのダンサブルチューン、いかにも「夏のヒットソング」的なサウンドになっていて、はじめて聴いたときはのけぞりました。えーっ、みたいな。
 強力なCMタイアップ、春には映画「嫌われ松子の一生」に出演&挿入歌「LOVE IS BUBBLE」提供、そしてこの曲のヒット後にベスト版発売など、今年になって非常に露出が増えていて、どうしちゃったのさ?という感じです。

 …が、曲調こそベタっぽいものの、詞のセンスなんかは相変わらずの部分が多く。ぱっと聴きでは脳天気な夏の歌っぽくても、『一人で飲んだギムレット』みたいな小道具とか、そもそもサビが『君の胸で泣かない』だったりと、実際にはかなりクールな視点から詞世界が描かれています。『気付いたって言わない それは危険な駆け引きかな』とか、内側で冷静にあれこれ考えている様子を見ると、らしさを維持しているなあと感じます。
 クールに物事を見つめている現実パートがメロで、でもサビでは明るく夏らしい理想のイメージを夢見ている、みたいなコントラストで構成されている感じ。詞の書き方や、また歌い方とかも従来の彼女らしさが、メロには出てきていますね。

 ちなみに「sky」はたったひとつしかないものだから「a」はつかない、正しくは「the」じゃないか?みたいな疑問もあったりします。が、ちょっと調べてみたところ、この場合の「a」は形容詞「perfect」まで含めての一語に付いているわけで…『あなたと見たい』と願っている「完璧な空」以外に「完璧じゃない空」など「〜な空」というカテゴリ分けをしているため、ここは「a」でいいようです。以上、英語の勉強でした。
 まあ彼女は昔からナチュラルすぎて逆に聴き取りにくい英語発音が特徴だったり、以前出した2枚組のベストのうち1枚は全英詞曲だけで構成されていたりと非常に英語には強い人なので、その辺はちゃんとふまえてあるんじゃないかなと。まあ、メロディに乗ったときにここで「the」が入っているよりも「a」のほうが流れが止まらずに聴き心地がいい、みたいな面もありますけれども。


 それにしても10年前、安室奈美恵がチャートを席巻していた時代に独自の路線で好きなように曲を作っていた彼女ですが、今作だけ見ると、最近の安室とは方向がまったく逆になったような錯覚に陥りますね。
 今は昔よりもずっと、今までの彼女の音楽を受け入れる層が広がっていると思うので、マイペースで行ってほしいところです。まあマイペースゆえに今回のこの曲ができたような気もしますし、この先も今回の路線で行きはしないと思うのですが。「LOVE IS BUBBLE」も相当に皮肉がきいた歌だったし。
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2006年09月10日

浜崎あゆみ「BLUE BIRD」

BLUE BIRDエイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ浜崎あゆみ, ayumi hamasaki, H∧L, CMJK, tasuku, NISHこのアイテムの詳細を見る


<共に目指した場所へ相手だけでも進めようとする、「愛情」ではなく「友情」の形>

 いつもの浜崎あゆみです。好きな人には「いつも通りのクオリティ!」でしょうし、興味のない人には「前にも聴いたことがあるような…」という感じでしょうか。むむ。

 歌詞も、「君と僕」の対話、空への憧れ、翼を分け合う、あたりはどうも既視感が。どの曲かまではピンと来ないんですが、どこかにあったような気がする。う〜ん。
 ですが、一点気になったのが、『「〜僕の翼を君にあげる」/そう言って君は少し泣いた』というフレーズ。この歌詞の一人称も「僕」で、ここで「君」もまた「僕」と名乗っているということは、これは登場人物が少年二人、ということですよね。『「〜難しい話ははいらない/君が笑ってくれればいい」』なんていう言葉もあり、てっきり男女の恋人どうしなのかと思っていましたが、どうやら違うようです。
 …でも、そうだよなあ、でなきゃ「翼を君にあげる」というメッセージにはならないですよね。恋人同士だったら「一人で飛んでいけ!」ということが肯定的にはならないですよね。「二人で寄り添って飛んでいこう」とかになりますよね。
 「青い鳥」のタイトルからも、目的地となるのはおそらく「夢」なんですよね。その道のりの中で、もし自分がそれ以上進めなくなったら、相手一人だけでも進んでいってほしい…そう思う感情は、確かに少年同士の友情に重なりますね。

 このところわりと冒険的な曲が続いていたのですが、今回また王道に戻った感じ。次はまた『どこに辿り着くんだとしても』また新たな地平を目指してみてほしいなあと個人的には思います。
posted by はじ at 17:58| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月08日

平野綾「冒険でしょでしょ?」

TVアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」オープニングテーマ 冒険でしょでしょ?
ランティス
平野綾, 畑亜貴, 藤田淳平, 安藤高弘

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<「あなた」の存在よりもはっきりと前に出てくる、強気な「女の子」像>

 この春から深夜枠で放送されているアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」のオープニングテーマです。知らない方のために簡単に説明すると、このアニメは単なる一アニメ番組ではなく、第一話がかなり実験的なものだったりエンディングテーマ(こっちもそのうち書きます)の改変が異様に流行ったり、主にネットで何かと話題になっている作品でして。
 どのくらい盛り上がったかというと、企業のWeb2.0セミナーで取り上げられるくらい。それだけネット上で劇的な口コミ効果を生んでいた、と。

 で、このオープニング。ポップでテンポ速めで、女の子が「あなた」とポジティブに生きていきましょうと語る…というお手本のような内容。ただ、『真似だけじゃつまらないの』『感じるまま感じることだけをするよ』『傷つくのはイヤ』などなど、主体的・行動的・強気です。口調もどこか強気な感じ?
 こないだレビューしたAI「Believe」では、「あなたに闇から連れ出してもらった」という流れがあったわけですが、こっちでは『なんでだろ あなたを選んだ私です』。まあここでの「選んだ」は指名したとかってんじゃなく「気がついたら好きになっていた」みたいな解釈でいいと思いますけど、とりあえず「受け身」ではないんですよね。
 タイトルにもなっている「でしょでしょ」というちょっとウザいくらいの押せ押せな言い方とか、『どこまでも自由な私を見てよね』と、自らのアピールもしていたりと、かなり傍若無人というか自信満々というか、強気なイメージです。『私のちからあなたの涙 どっちも正しいの』とかも、何気なくスルーしそうになりましたが、よくよく考えてみると「私」のほうが「ちから」なのか!とかちょっと驚きますし。

 とまあポジティブすぎるくらいの女の子像が描かれているんですが、曲はノリはいいけれどそこまでスコーンと突き抜けているわけじゃなく、奥行きがあって、けっこう上品。
 これはアレンジもそうだし、全体的にセブンスが多くて深めの和音になっていたりするのが大きいところ。サビ最後が主音(ドレミでいえば「ド」ね)ではなく、ちょっとズラして伸びているのとか、そういう細かいところで複雑さを作っているなあと。

 あと、『明日過去になった今日のいまが奇跡』…ああ、「今が奇跡」ってことなのか、と理解するのにちょっと手間取りました。メロディ的に畳み掛けるキメの場所なのでわざとこういう書き方をしているんでしょう。過去の「か」と今日の「きょ」が硬い発音の音なので、印象に残りますね。2コーラスの同じ部分とか見ると、狙ってそうしたってわけじゃあなさそうですが…
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2006年06月20日

BoA「七色の明日〜brand new beat〜」

七色の明日~brand new beat~/Your Color
エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ
BoA, MIZUE, Daisuke“D.I”Imai, Chikara“Ricky”Hazama, Satomi, hwonder

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<後も先もなく今の一瞬を、七色に輝かせていたい>

 BoAも最近はいろいろ方向に迷いの見られる感じでしたが、今回はBoAらしくてそれでいてフレッシュな雰囲気で、これくらいだと聴いていて落ち着きますね、やっぱり。
 ただ、「DO THE MOTION」「make a secret」みたいな新機軸も個人的には新鮮だったこともありますし、何より本人の成長のために大きな方向転換したりとかは、もうあきらめちゃったのでしょうか。あれだけ売り上げに直結しちゃうと、なかなか踏み出せないのかも。う〜ん。

 今回タイトルが「七色の明日」ということで。自分の脳裏には「七色ってことはきっと<虹>が比喩かモチーフとして出てくるな。雨降りの毎日、でも晴れたら綺麗な虹が出る、というパターンか」なんて実際に聴く前に考えたりしましたが、ぜーんぜんそんなことありませんでした。

 最近までの詞のトレンドって、「ある程度のストーリー性」そして「自分にとってプラスになることを追い求める」という点があると個人的には考えていまして。
 前者は、完全にひとつの物語を形成するというほどではないものの、1コーラスから2コーラス、リフレインと進むにしたがって一定の論旨の流れがあるというもの。詞世界に展開がある、ということですね。
 後者はどういうことかというと、たとえばラブソングでも「自分が成長できる」ような恋を求める傾向があるなあ、と感じるっていうか…「あなたが好き」だけじゃだめなんですね。強く生きる姿勢が描かれているものが好まれているような。ドラマの女主人公なんかも、一昔前に比べるとそんな傾向がありません?
 で、このふたつが合わさると、恋愛をベースに「落ち込んだりすること、傷つくこともある⇒でも悩んでいたらしょうがない、自分に負けちゃダメだorあなたのおかげで強くなれる」みたいな流れの楽曲ができるわけです。この手の歌が今、すごく市場に流通しているなあと感じます。

 で、この曲に関しては、そういう「流れ」も「志向」もあんまりないです。ストーリー性を生み出したいのであれば、成長していく未来を描きたいのであれば、はじめに想像したように「雨が降って虹が出て…」みたいな表現が入ってくるもんです。が、そうじゃない。「七色」は『七色の表情で想いを描くから』と、相手へ向ける感情をカラフルに見せたい、みたいな気持ち、そして『七色の明日へ飛び出そう』と、せいぜい「明日」までの未来を求めているのみです。
 これは別に悪いことってわけでもなくて、『今、大切なヒトがいる/それだけで磨かれてく』とあるように、恋をしている「今、このとき」を美しく描きたい、という観点から作られた歌だ、ということなんだろうなあと。この恋愛が傷を癒してくれるとか、この先の自分にとってプラスになるとか、そんなことよりも『理性じゃ止められない一瞬』が大切なんだ!っていうスタンスなんだと感じるわけです。

 幼いといえば幼いですが、打算的でなくほとばしる感情に忠実なんだ、とも言えるわけで、これはどっちが正しいというわけではないでしょう。ただこの頃は片方に偏りがちだったなあと感じていた自分にとっては、刹那的な今回の楽曲はなかなか新鮮に聴くことができました。オトナらしいムードを差し控えて慣れた曲調に戻ってきたBoAの状況にも、心なしか合っているような。
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2006年02月28日

平原綾香「誓い」

誓い
ドリーミュージック
平原綾香, 小林建樹, 亀田誠治, 沢田完

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<力強い曲と声に乗って、応援者は選手に思いを託す>

 NHKトリノオリンピック放送テーマソング。世界的な大会らしく、壮大なスケールを感じさせるバラード…ってことですが、以前2年前のアテネオリンピック時のゆず「栄光の架橋」でも書いたように、このスポーツの祭典の観戦者たちの焦点が「興奮」や「熱狂」ではなく、「感動」へとシフトしていっている、ということが見て取れます。
 今回の、代表選手の宣誓と解釈できそうなこの詞は、さらに「誇り」が加わった感じでしょうか。『胸に誓うよ/永遠に果てしない道も/乗り越えてゆくと』というような、力強い宣言。ここまで堂々としたテーマソングって、しばらくなかったような気がします。
 ここに国民からの選手たちへの期待度の高さ、きっと大きな戦績を上げて帰ってきてくれるだろうというような活躍を確信する思いがあった…などと読み取ってみて、やけにメダルメダル騒いでいた今回のオリンピック報道を振り返ることもできそうですが、もう大会も終わっていることですし後出しジャンケンみたいなことはやめときましょう。

 この曲は壮大な響きがします。メロディにも、はっきりとした強さがあるように感じます。それは、旋律が「ド」と「ソ」を中心に据えて作られているから。ドレミファソラシドという音階があるとき、背骨の役割になるのが「ド」と「ソ」で、この2音を強調した作りにすると、がっしりした骨格を持ったメロディラインになるのです。

※この曲の場合「ド」はGで「ソ」はDになります。

 サビのリズムも「力強さ」を感じさせますね。勇壮な行進曲のイメージがあって、トランペットで吹いたらかっこよさそうです。


 詞ですが、これは選手宣誓っぽいとさっきも言いましたが、きっと「オリンピックテーマ」というタイアップが先にあって、そこから書かれたんじゃないかなと想像します。
 まず、一人称がない。「僕」でも「私」でも「わたしたち」でもない。『あきらめないから』『迷わずゆくよ』と確かに意志を持った主体はあるんですが、誰か、という特定はされてはいません。選手たちかもしれないし、観客たちかもしれない。誰を入れるのがふさわしいか、というような優先順位もない。選手も応援者も、全ての人を『生まれたての明日に/胸が高鳴』っている存在に代入することができるわけです。同時に『大切な人に届けよう』とある、やはり特定されない「大切な人」になることも、また可能です。
 つまり、オリンピックという国を挙げてのイベントに、文字通りこの曲を聴く全員が「一丸となって」いける歌なのですね。

 …こう書くとまあナショナリズムがどうたらという難しくて怖い話になりがちです。
 でもまあ、人がスポーツを観戦するのって、選手と一体化して感動を味わいたいから、応援しているみんなで興奮や感動を分け合いたいからなわけなので、あんまりそうピリピリ考えたくはないです。少なくともこの歌に込められているのは、活躍を祈ったり願いを託したりといった、応援者から選手達に『重ねた手』を通して伝わっていく純粋な気持ちだと思います。
 あ、そういう意味でも平原綾香の存在って合っているかもしれませんね。声質が壮大なだけでなく、ヘタに感情を感じさせないニュートラルさを持ち合わせていますから。
posted by はじ at 00:45| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月23日

BoA「Everlasting」

Everlasting
エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ
BoA, Natsumi Watanabe, Kazuhiro Hara, Narumi Yamamoto, KMuto

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<別れの情景、哀愁の響きの中から表れる力強さ>

 さて、各所でアンダーグラフ「ツバサ」とこの曲のサビが酷似していると評判になっています。こりゃー確かにそっくりですねー。メロディの流れもコードも。
 まあだからといってパクリだなんだと騒ぐのは早計で、だってそんなリスクの高いことをあえてやる、というのがまずわかんないですからね。割とありがちなコード進行で、その和音をべったりとなぞっていくメロディライン(そうすると強い印象を聴き手に与えます)、というこの手の流れは、探せば他にも似たようなのはざくざく出てくるように思いますし。
 まあ、この辺の言及は、ここでやることではないと考えるので深入りはやめておきます。そのうちメルマガのほうで書こうかなあとは思っていますが…

 こうした似ている曲がある場合、サビの旋律が一緒だ、詞もどちらも別れを歌っているし、などと「どこが同じなのか」を検証してパクリだなんだと言及するのは簡単です。でもそうじゃなく、「じゃあ、違っているのはどこか、どんな部分が違うのか」を見極め、そこから両曲の性質の違いを指摘することが、このブログにおいて重要なことだと自分は考えてます。
 今回の場合、それはサビのワンフレーズの後半部分、この曲の詞でいうと『僕の笑顔をせんぶあげるよ』ですね。ほぼ似た流れながら、「ツバサ」では短調におけるVの和音を使っているのに対し、この「Everlasting」では長調のVの和音を使っている(※下注)のですね。手っ取り早く言えば、「ツバサ」よりも「Everlasting」のほうが明るい響きがする、そう響くような和音を使っているということです。
 どちらの曲もサビの入りはマイナーで始まっているので、基本的には「暗い」響き、「悲しい」雰囲気が漂っています。ただ、別れの情景に浸り込む「ツバサ」のコード選びに対して、こちらは悲しげだけどその中にも前向きで強い雰囲気を出したい…というところなんじゃないでしょうか。そのあとの『ずっとずっと忘れない』と続く部分のメロディラインや言葉の力強さを考えても、最終的には『無理やりにでも忘れなきゃ/次の自分に行けないの』と歌っているような、「前向きに進んでいく」という主張に持っていくためのコード進行なんだろうなと。


 BoAは「メリクリ」なんかもそうでしたが、バラードになると一気にこうした哀愁漂う歌謡調の曲になりますね。せっかくスタイリッシュなダンスチューンを歌っているんだから、もっとさらっとしたバラードもアリだと思うんですけどねー。
 でも意外と最近はこういう哀愁歌謡系のサビを歌う女性ボーカルって、いないような気もしますね。みんなR&B系だったりするし。ニーズは満たしているのか。

※両曲を白鍵のみの調に直すと、「ツバサ」は「E」、「Everlasting」は「G」の和音になる。
 詳しくはメルマガで…
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2006年01月29日

一青窈「指切り」

指切り
コロムビアミュージックエンタテインメント
一青窈, 小林武史, 富田素弘, 山内薫, 森安信夫

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<大人になり離れてからも互いに変わらず想い続ける、幼くも強い「絆」>

 いわゆる「ハナミズキ」「影踏み」「かざぐるま」といったいかにも「一青窈的な歌」とは一線を画した、スイング感のあるリズミカルな3拍子。ピアノではなくギターやホーンセクションが響く、どこか哀愁や陰影がありながらもアッパーなナンバーになっています。
 今回は、ミスチルをはじめ数多の方面で活躍している小林武史のプロデュース。曲も彼が作ったということでして、MY LITTLE LOVERやSalyuに通ずるちょっとした不思議な和音のアクセントもありつつも、基本的には一青窈らしさの範疇ですかね。

 『ほんとはこわいし 指切りしてもないし』と言いつつ『好きでした/指切りでした』。…相変わらず人間関係と時制が入り混じり、ひとつの明確な物語を生成するのが困難な歌詞ですが、この一見矛盾しているようなタイトルワードに注目して、ひとつの見解をまとめてみたいと思います。他の解釈もじゅうぶんできると考えられますが…

 いわゆる「指切り」というのは、「約束」あるいは「誓い」の一種であるわけです。だけどその名前どおり、お互いの指を絡めあわせる、いわば身体的な儀式を伴うものであり、そのぶん「言葉だけの約束よりもずっと強い契約である」と言うことができるかなと。で、指を絡めるなんてことはオトナはそうやらないので、「子供っぽい」というイメージも一方ではあります。ただ「約束」ではなく「指切り」という単語を持ち出したのは、身体的なイメージを伴う言葉自体の持つ生々しさや、幼い頃に強く取り交わしたという大きな「絆」とか「縁」といったものを意識させたかったからなのではないでしょうか。
 以上を踏まえて想像したのは、こういう物語です。…幼い頃一緒だった二人は、この先も一緒だということを実際には「指切りしてもない」けれど、でもお互いに心の中ではそう思っていた。だから『果たせずに終わらせた恋でした』と離れ離れになってしまっている今も『好きでした/指切りでした』と想い続けあっている。月日が経つとともに自分の気持ちが、そして相手の気持ちが変わってしまわないか不安になるなか、『言葉より想うより/会いにゆくから』と再会を願い、(今でも)『愛してますか』と相手に呼びかける…

 この人はどうも「昔からの縁」を描く傾向にあります。それは単純に幼なじみへの恋心やノスタルジーを煽るというのではなく(そうした効果も考えているフシがありますが)恋愛にとどまらない人間同士のつながりが、時代世代を経て保たれていく…といったような、大きな視点があるように思います。
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2006年01月22日

浜崎あゆみ「Bold&Delicious」

Bold & Delicious/Pride
エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ
浜崎あゆみ, ayumi hamasaki, CMJK, Koji Morimoto, KZB, M.O.R, tasuku, Heigo Tani

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<インパクト大、他の誰も真似できない境地へ突っ走る強気の攻め>

 いきなりの「yayayaya gagagaga dadadada wowowowo」のインパクトがびっくりです。えらくまた思い切った曲を出したなーと。ハンドクラップ、力強いコーラスと、イメージ的にはQUEEN「WE WILL ROCK YOU」を意識している感じですね。音楽全体の作りも、ぐっと洋楽的です。

 や、個人的には面白くていいですね。これくらいハジけてこそ『大胆すぎるかなって位がちょうどいい』という言葉に説得力が出てくるわけですし。言ってること自体は、彼女の今までのエール系楽曲とそう大差ないと感じるんですが、『一番さむい』『意味不明』などなど、超強気な言い方が新鮮に響いてきます。

 こういうグイグイ引っ張っていける曲を歌ってサマになるキャラクターは、やっぱり今は浜崎あゆみ以外にはちょっといないよなあと思わされました。他にこの歌を歌ってサマになる人が思いつきません。
 というわけで邦楽シーン的にはとても面白い曲だと思うのですが、ただ、ファンの方には置いていかれた感のある人もいるだろうなと。今までに比べてあんまりにも奇抜だったり、コーラス多用で本人があんまり歌っていなかったり。確かにすでにほぼイメージの固まっている現在を考えると、こういう曲を出すんならもっと早い段階で出しておけばよかったのにというのはあります。あと、『ならいっそ叫んで〜』のところは、本人先+コーラス後、というほうがいいんじゃないか?とか。
 そしてアルバムの先行シングルとしてコレは、さすがに冒険すぎでは…とも思っちゃいました。「HEAVEN」と順番逆だったら、納得いくし、アルバムセールスも少々変わってきたんじゃないかなと思ったり…

 ま、なんにせよチャレンジ意欲はまだ衰えていないということを感じました。その点はかなり評価させてもらいたいところです。
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2005年12月17日

平原綾香「晩夏(ひとりの季節)」

晩夏(ひとりの季節)/いのちの名前
ドリーミュージック
平原綾香, 荒井由実, 松任谷正隆, 覚和歌子, 久石譲

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<個人の心情を歌う原曲、情景イメージの広がりにスポットを当てたカバー>

 荒井由美時代のユーミンのアルバム「14番目の月」収録曲からのカバー。この前メルマガのほうで「『月』をテーマにした曲」を募集した際にこのアルバムタイトル曲「14番目の月」が挙がり、レンタルしたので、たまたまオリジナル版も併せて聴くことができました。

 やはり大きいのは声の質の違いです。と言っても、この曲…というかユーミン曲全般は平原綾香にとっても相性のいいものだと思うし実際よく溶けて聴こえるので、あくまでも個性の話になるのですが。

 深い響きがある和音と、初期のユーミンらしい美しいメロディラインで構成されたこの曲、平原綾香版を聴いたときは、「ゆったりと落ち着いた、広がりのある曲だなあ」という印象を持ちました。実際タイトルの示すとおり『空色は水色に/茜は紅に』という自然の変わりゆくさまを歌っているわけだし、アレンジも地味めながら壮大な雰囲気になっているし、「自然の移り変わり」を強く感じさせる内容に仕上がっているので、おそらく他の人も似たような印象を持っているのではと思います。
 しかし、荒井由美のオリジナルバージョンを聴くと、スポットは「季節の移り変わり」よりもむしろ「その移ろう季節の中に、独りでいる私」の存在が大きく浮かび上がってくるんですね。夏が終わり秋が来る、『何もかも捨てたい恋があったのに』その季節は過ぎ、『やがて来る寂しい季節が恋人なの』とつぶやいてみせる、そんな一人の主人公像が立ち現れてきます。

 この差として考えられるもっとも大きい要因が「声」なんじゃないかなと。主人公の心情を伝えてくるパーソナルな歌声の荒井由美と、主人公の視点から周囲の風景や自然へと広がっていくイメージを抱かせる歌声の平原綾香。二人の持つ資質の違いが、同じ曲でもまるで印象を変えてしまっているんじゃないかと思います。

 で、やはり平原綾香サイドとしては、彼女の声を生かすためにこの曲の豊かな情景描写に注目したんでしょう。いくらユーミンの曲の質があっていると言っても、同じアルバム収録の有名な「中央フリーウェイ」とかだと、たぶん都会的な雰囲気や街の描写がハマらないだろうなあという気がしますし。さらには、「まちぶせ」みたいな個人の感情が思いっきり出たような歌だと、もうギャグみたいな領域になっちゃいそうですし。
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2005年10月29日

BoA「make a secret」

make a secretエイベックス・マーケティング・コミュニケーションズBoA, Narumi Yamamoto, YANAGIMAN, Natsumi Watanabe, Hitoshi Harukawaこのアイテムの詳細を見る


<難易度バリバリのアダルティーな音楽に、まだあどけなさを残した言葉がミスマッチ感を醸し出す>

 クールなダンスナンバーから一転、前作の 「DO THE MOTION」から、ぐっと大人っぽい曲を歌うようになったBoAです。
 こないだのやつはどうも一方で歌謡曲っぽい雰囲気が漂っていましたが、今回は見事にクールです。っていうか、難易度が激高です。なんとなくの耳心地でもそう思えちゃうところですし、実際に難しいでしょうこれは。
 まず、リズムがトリッキーなのがひとつ。小刻みな揺れが自然と加わるシャッフルビートに、拍のつかみ所のない不安定なメロディー。サビとかはもう一聴して砕けすぎですし、メロも安定したところと揺れるところが交互に来るようになっていて、常に揺れているよりも聴き手をかき乱すような作りです。
 そして、メロディラインも難しい。鼻歌にしようとして、「?」とうまくいかなくて続けられなかった人もいるのでは。サビ頭『Won't you make a secret?』の「secret」とか、ハメるの難しいでこれは。

 というわけで、ここ最近の女性ボーカルではもっとも難しい曲ではないでしょうか。ちなみにあと挙げるとするなら、安室奈美恵「WANT ME,WANT ME」柴咲コウ「Glitter」あたりですかね。一年くらいさかのぼると平原綾香「虹の予感」とかもありますが。

 さて、そんな技巧を要するムーディーな雰囲気の大人っぽさ漂う曲ですが、歌詞を見てみると、実はどっちかと言うと子供っぽいです。『うたた寝したキミにkissをしたよ』とか抜き出すとわかりますが、まず仕草そのものがイタズラっぽいし、二人称は相変わらず『キミ』とカタカナだし、です。
 そういうアンバランスさは、きっと「狙いどころ」なんでしょう。幼さの残る、というか、大人ぶっているけど…というか、そういうアンバランス加減をツボとする男性諸氏は多いわけで。


 2作アダルティーなムードの曲が続きましたし、これはもうこの先はこっちの方向性をメインにしていく、ということでしょうね。しかし、スムーズなギアチェンジだと思います。10代から20代になった、てな雰囲気がしますよね。実際いくつなんでしたっけ?
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2005年08月06日

Berryz工房「なんちゅう恋をやってるぅ YOU KNOW?」

なんちゅう恋をやってるぅ YOU KNOW?
ピッコロタウン
Berryz工房, つんく, 平田祥一郎, 橋本由香利

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<恋に突っ走る女の子、という明確な設定のもとに作りこまれている幼さ>

 そろそろハロプログループのネーミングにもみなさんいちいち驚くことはなくなってきた頃かと思います。しかしそろそろインパクトを与えて興味を惹きつけるという目的より「面白いタイトルにしないと」という手段が優先されてきているような。

 今回は、前作「スッペシャル ジェネレ〜ション」まででとにかく気になっていた、わざとらしい巻き舌系の歌い方がやや大人しめで、そのぶん聴きやすかったです。なくなったわけじゃないですけど、許容範囲。
 電子ロック的な音使い、コーラス・合いの手の多用など、相変わらずハロプロらしい音作りですが、今までどこかコミカルさがあったのが、今回は全体にオトナっぽい(カタカナなのが大事)雰囲気ですね。真顔で歌っている感じ。

 まあ、思春期入るか入らないかくらいまでの女の子、を想定しているらしき詞の方向性は変わっていません。思春期に入ったら、たぶん自分の恋を『クラスメイトに 自慢したいなぁ!』ってのは、さすがにないと思うんですがどうでしょう。これって、自分と相手を王子様とお姫様に見立てることがナチュラルにできちゃうような、理想的な恋愛を夢見ているような年頃の幼さを、端的に示しているフレーズですよね。
 実際のところ、ホントにこの年頃の子は自分の恋愛を自慢したいのかどうなんだかは知りませんが…でも、なんだか妙に説得力がありました。「付き合ってる」ことを自慢したい、っていう感じが、こう。恋に恋して暴走気味な感じが出ているんじゃないかと。『世界サイズの 恋にしたいなあ』とかも、相手の都合とかいっさいないですしね。(だいたい、この年頃の男子だったら絶対拒否するかと思いますが)これも「二人でこの愛を育てていく」とか書いたら、すごく大人っぽくなるんですけれど。
 や、自己中心的だ、と言うとこう批判ぽいですけれど、そういうのを魅力としてアピールできるのがこういう少女アイドルなので、狙いも表現もうまくいっているんじゃないかなと。

 それと韻がものすごいことになっています。メロディラインも、韻を踏みやすい、強調しやすいように展開されている感じ。曲に乗せずにヒラで読むと、早口言葉のようです。

 「思春期入るか入らないかくらいまでの女の子を想定しているらしき」と上で書きましたが、そうやって狙いが明確に立てられているぶん、なかなか完成度が高くなっているような。最近のハロプロは、何を想定してどこを狙っているのかよくわからない人が多すぎて、そうなると曲のクオリティも下がってしまっているようなフシがあります。まあ難しいんだとは思いますが…
 というわけでこのBerryz工房は、ユニットとしてのキャラはしっかりしているので、今後も割と安定してリリースできるんじゃないでしょうか。あとはメンバーが成長して楽曲が身に合わなくなってきたときにどうするかですね。曲もあわせて変えていくと、せっかく立っていたユニットのキャラが失われてしまうわけですから。
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2005年05月07日

BoA「DO THE MOTION」

DO THE MOTION
エイベックス・ディストリビューション
BoA, 渡辺なつみ, YANAGIMAN, 田中直, 山本成美, 松原憲

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<BoA ミーツ 桑田圭祐!?>

 これまでずっとクールなダンスチューンを出してきたBoAですが、今回は方向性を変えてきました。音楽としては、ラテン風味を押し出してきています。印象としては、地下のクラブで踊っていたのが、外に出て、夜のネオン溢れる街に踏み込んできたというような。って、わかりにくいかな。
 しかし、これ、アダルティーなムードになったというよりは、単純に「歌謡曲」化した、んじゃないかと感じます。ラテンのギラっとしたどこか油っぽさある照り方とか、バックの&ストリングス&ホーンとか、ムーディーなギターとか。
 もっと個人的な主観で語っちゃうと、すごくサザンっぽくないですか、この曲?メロディラインもそうだし、『「愛し合う」っていいじゃない/シビレちゃうよな響きね』みたいなフレーズとか、断片的で快楽的な詞のつくりとか。あと、ちまたで話題沸騰の「チョトマテクダサーイ」ってカタコトっぽさ全開のとこなんかもそうですが、言葉の詰め方はめ込み方とかなんかが、もう。

 まさかBoAがサザン的になるとは思いもよりませんでした。若者からの支持はじゅうぶん集まったんで、歌謡曲テイストで幅広い層にもアピールしていこうとしているんでしょうかね。
 まあ、次の曲はきっといったんダンス系に戻るとは思います。でも、今までよりももうちょっと渋い、オトナな雰囲気になっていくんじゃないかなあとも。今回から、新しいステージに移行していくといった戦略がうかがえます。

 しかしBoAって韓流ブームとは無縁ですよねー。いわゆる「韓流」は情念を出してくる傾向が強いとここでも何度か指摘していますが、今回の「DO THE MOTION」が今までよりずっと情念的になっているのは、そういう流行とはまったく別のところでのことのように感じます。
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2004年12月24日

BoA「メリクリ」

メリクリ
BoA, 康珍化, 原一博, 渡辺なつみ, YANAGIMAN, Mel Torme, Robert Wells, COOLDFEET
エイベックス・ディストリビューション

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 さあツッコみたくてツッコみたくてうずうずしてるのですが、でも実際問題、BoAのファン層だと思われる女子学生の間では違和感なく受け入れられるんでしょうかね。世間的には首捻りまくりでも、CDを買う人たちにとってどうということもないのであれば、マーケティング的には成功だと言えると思うんですよ。購入したファンの意見を聞きたいところです。何のことかわからない人はまさかいないと思いますが、タイトルのことですからね。

 ただファン層に合った言葉ならいいとは言いましたが、こうして物議をかもし出すことで話題性を得ようとしている意図もわかりますが、でも純粋な感動系バラードとして作っている曲に「メリクリ」は、正直、いただけないかなあと。少なくとも、スタンダードとして根付くことはありえないんじゃないですか、このタイトルだけで。

 内容そのものは、クリスマスーって感じではないです。『誓う』『贈り物』などそれらしい単語は散見しますが、「特別な夜」を描くんじゃなく、二人で過ごす冬の一日、その平凡な幸せを大事にしていきたい、っていうスタンスですね。ん、だから軽くメリクリなのか。うーん。

 重みのある三連三拍子で、透明感あるAメロ、言葉を詰めて盛り上げるBメロ、伸び上がるサビ、とオーソドックスな歌い上げの作りです。三連リズムがベトつかない(揺れがない、演歌で言う「こぶし」をきかせてない)ので野暮ったくなく、キラキラしたサウンドに合ってますね。
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2004年12月09日

Berryz工房「恋の呪縛」

恋の呪縛
Berryz工房, つんく, 平田祥一郎
ピッコロタウン

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 友達のために、辛いけれど身を引く決意をしたのに、その相手から告白されてしまった、という内容。『告白なんてしないでよ』と困惑してしまう、どう答えたらいいかわからない、という様子が「恋の呪縛」と。多少大げさですけど、まさに恋愛がすべてな10代の女の子には、ど真ん中なのかもしれません。放課後の誰もいない教室というのはちょっとドラマティックすぎますが、こういう三角関係事態はけっこうありそうなシチュエーションですしね。
 友達の気持ちを考えると『やっぱここでうなずけない』けれど、『女同士 友情って/こんなことで はかなく砕けるの』とあるのを見ると、やっぱりこの手の曲におけるお約束「友情<恋」の図式でできているようですね。で、まあ、修羅場になっていくと。おお怖い怖い。
 まあそういう勘ぐりは脇にどけると、この曲中ではこの告白を受けるかどうするかって判断までは明示されていないです。というか、考えられないショック状態の真っただ中にいるわけで。
 こういう、「瞬間」を切り取っている曲っていうのは、女性アイドルに顕著に偏っているような気がするんですが、どうでしょう。これは仮説ですが、大衆というのはアイドルに対して潜在的にスキャンダラスさを求めているがゆえに、アイドルプロデュース側としてはそこを考慮して、事件性の高い、一瞬の出来事と心の動きを描く曲を作っているのかもしれません。
 おお、根拠ないのに何やら社会派っぽい考察になった。

 個人的には、最近のモー娘。よりも曲のクオリティは高いように感じるのですが、舌っ足らずさとどこか間違ったなまめかしさを両立させようとした歌い回しがもうとにかく気になって気になって、どうも好きになれません。こういう歌い方に魅力を感じる層もいるのだとは理解できるんですけど。これだったら、モー娘。のどこか体育会系っぽい掛け声とかのがずっといいなあと。
posted by はじ at 03:06| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月07日

Fayray「口づけ」

口づけ
Fayray, Stevie Nicks
アール・アンド・シー・ジャパン

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 あれ、あれれ?なんだこの昭和歌謡。有線で聴いて率直にそんな感想を抱いていたら、歌っているのがFayrayでさらにびっくり。
 いや、ちょっと前も有線で気になったメロウな曲を調べてみたらこの人の「好きだなんて言えない」だったりしたことがありまして、そんな経験がなかったらきっと今回ひっくり返っていたでしょう。
 だってFayrayって、デビュー時は井上秋緒+浅倉大介コンビだったんですよ?知らない方にわかりやすく説明すると、早い話がT.M.Revolutionのプロデュースしてる方々です。で、まさにそういうデジタルサウンドの曲を歌っていたはずなのに、この暗さの滲み出た音楽。落差が激しすぎです。
 でも公式サイト見てみると、かなり前からセルフプロデュースに移行しているみたいですね。っていうか、それ以前がなかったことにされてますが。もう四年ほどシンガーソングライターみたいな立ち位置で活動を続けていたみたいです。あー、じゃあ「好きだなんて言えない」の頃はもうそういう路線だったのか。あれ、珠玉のバラードですよ。タイトルみたいなシチュエーションが好きな方ならオススメです。

 で「口づけ」ですが。
 もうピアノの雰囲気も、艶っぽいけど幸薄そうなボーカルも、和音の響きも、なんというか完全に日本の暗さで。「はぁ」じゃなくて「ほぅ」というため息が似合いそうな感じ、と言うとわかりやすいですかね。いや、むしろわかりにくいか。
 詞もですね、別れのシーンなんですけど、『口づけは 頬に』という一言に、去りゆく「君」の心を留めたくない、でも何もせずあっさりとは別れたくはない、と相反する激しい感情が渦をなしていまして。山口百恵やテレサ・テンの世界です。いやよく知らないですけど。
 そして今まさに別れるっていう段階ですでに、『泣いてなんかいられない/もう本当の恋はしない』って決意してますしね。これ、凄まじいですよ。「別れても好きな人」とかってレベルじゃないですし。最近、「これが最後の恋(=ずっと一緒だよ)」ってフレーズがけっこう使われますけど、本気でそう考えていたのに結局別れることになったら、この曲の状況に陥ってしまうわけで。恐ろしい。「最後の恋」って確かにいい殺し文句ですが、現実に使うときは用量用法を正しく守りましょう。いやマジで。

 とにかく暗い情念の世界です。でも、ある意味、こういうのが女性のひとつの本質なのかもしれません、と不用意な発言をしてみたり。
 や、基本的にすごく純粋なんですよ、この歌の主人公は。なんですけど、すごく思い詰めちゃっているだけで。思い詰めちゃっているのにそれを相手に見せず、外に漏らさず、自分の中で押し留めようとしているわけです。おかげで、とにかく行き場のない感情が、淡々とした翳りある曲の背後で渦巻いてるんですね。
 ドラマ「愛のソレア」主題歌ということですが、なんかドラマも名前だけでそれっぽい雰囲気ありますね。
posted by はじ at 21:46| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月31日

平原綾香「Blessing 祝福」

Blessing 祝福
平原綾香, 吉元由美, 小林信吾, 坂本昌之
ドリーミュージック

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 デビュー曲「Jupiter」で派手に登場したわりにはずいぶん地味な活動をしていて、うちのアクセス解析でもなんども「平原綾香 一発屋」で検索されるというちょっと不憫な人ですけど、でもなんだかんだ言ってもこれでシングルは5枚目、けっこうハイペースめで活動しているんで、順調といっても差し支えないんでしょう。はじめがヒットしすぎただけかと。

 今回はかなり壮大なバラードで、「Jupiter」再び、という印象。フランスで大ヒットしたミュージカル「十戒」の日本公開に先立って、テーマを日本語詞に訳してカバーしているんですが、ミュージカルという舞台のための荘厳な雰囲気の楽曲、そして訳詞が「Jupiter」に詞をつけた吉元由美、と、曲に伴う要素もかなり似通っています。
 で、デビューしてまだ一年とは思えない落ち着きっぷりの歌い回し。これ、前回の「虹の予感」も相当に難解な曲だったんですけど、それに匹敵するくらい難しいと思うんですよね、歌いこなすの。音の密度の少ないバラードで、一音に詰め込める外国語でもって歌われている旋律を日本語で歌ったりしているわけで、もっとスカスカに聴こえそうなもんです。でもそうならないのは、ゆったりたっぷりした歌い方が、考えるよりもずっと効果をあげているんだろうなあと。

 アレンジもセンスいいですよね、毎回。たとえば今回駆使されているオーケストレイションですが、かなり管楽器(とりわけ木管+ホルン)の柔らかい音が前面に出た作りになっていて。ストリングスべったりだとか、金管楽器全開なホーンセクション主体だったりすると一気に日本伝統の歌謡曲の世界になってしまうところを、実に上品にまとめています。上品すぎて眠くなってしまう人もいるでしょうけどね。退屈になり過ぎないように電子音も混ぜ込んである工夫もなされてます、が、バラードあんま興味ないって人からしたら、興味を引くとっかかりになるって程じゃあないですね。
posted by はじ at 20:20| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月22日

浜崎あゆみ「CAROLS」

CAROLS
浜崎あゆみ, ayumi hamasaki, CMJK
エイベックス・ディストリビューション

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 なんか同じジャケットが四つも別々に発売されていて面食らいました。とりあえず上で取り上げたのはSACDのやつです。なぜかというと、「このCDを買った人はこんなCDも買っています」の項目が、
  CAROLS 浜崎あゆみ
  CAROLS 浜崎あゆみ
  CAROLS (CD+DVD) 浜崎あゆみ
になっていて、たいへん笑えたので。

 さて、バラードです。確かにこれからの時期はバラードが似合う季節で、バラードの比率が増えるように思うわけですけど、いくらなんでも「雪」がどうこうという曲が9/29リリースというのは、早すぎはしませんかね。いや確かに『白い雪が街を染める頃にも』と想像しているシチュエーションだから冬になる前でもいいんですが、9月ったらまだ夏の暑さが残っていてもおかしくない時期なのに。
 なんというか、ロングセールスを見込んでいるのは間違いないですよね。少なくとも、クリスマスまでは売れるんじゃないですか(クリスマス自体も、最近は11月から商戦が始まりますし)その頃にはすっかり耳に浸透して、「新しいクリスマスソング!」「新しい冬の定番曲!」と呼ばれている姿が目に浮かびます。四枚出しといい、あからさまな販売戦略が鼻につきます。

 と難じつつ、浜崎あゆみの曲の中では好きなほうなんですよね、これ。旋律はいつもの浜崎だなあってくらいにしか感動はないですけど、詞が変に壮大な語りにならずに、最初から最後まで等身大の女の子の視点になっているのが好印象。そんなに特別なことは歌ってないんですけど、さすがにソツないですね。
 そもそも浜崎あゆみは、初期にこうした等身大の詞を書いたから「恋愛の教祖」と祭り上げられたわけで。別に本当に教祖様みたいに、「人は〜」とか変に大きな視点からメッセージを発せられても、ちょっとなあ、と思うわけです。トップアーティストになってから、アルバムではどうか知りませんけど少なくともシングルではそういう歌詞が目に付いていたんで、それに辟易していた流れもあって、今回は原点回帰っぽくていいなあと思いました。

 あ、『いつか過去を許せる日が〜』とお得意の「傷ついた悲しい過去」を持ち出しているとこが引っかかりますが。いらないじゃんこれ。現在より先だけでまとめてしまっても、じゅうぶんよかったのになあと。癖になってますよね、過去の傷跡うんぬん。わざわざそこまで原点回帰しなくてもいいのに。

 聴いていてどうもシチュエーションが 中島美嘉「雪の華」にそっくりだなあと思っていたんですけど、改めてちゃんと比べてみたらそうでもなかったです。「雪の華」一人称「ボク」でしたし。でもシチュエーションはだいぶそっくりなんで、むしろ表裏一体って感じかなと。読み比べてみてください。
posted by はじ at 23:41| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月20日

hiro「光の中で」

光の中で (CCCD)
hiro, H.U.B., 園田凌士, 中野定博, 村山達哉, Suitcase Air Line
エイベックス・ディストリビューション

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 映画「デビルマン」主題歌。その映画のほうは多方面でさんざんな評価を受けているようですが、まあとりあえず中身の出来はおいといて、主題歌にバラード起用ということはやっぱり感動路線を行っているんでしょうかね。「光の中で」というタイトルからすると、きっとラストには救いがあるんだろうなあ、と見てもいないのに推測します。

 広々としたイメージを抱かせる音作り、ストリングスアレンジ、壮大さを受け手に与えようという意識丸出しの曲調なわけですが、どうもhiroの声って聴いていてそこまで壮大な印象ないんですよね。よく言えば親しみやすさがあり、悪く言えば迫力が足りない。リンク先のアマゾン、「CDジャーナル」データベースの引用には「ジャズ・プロジェクト、Coco#d’Orを経験して大きく成長した彼女のヴォーカル」とありますが、よく聴こえさせようとするテクニックは確かに上達した感じです。本質的に歌がうまくなっているかどうかはちょっと疑問かと。昔からこの人の歌いかたって人工的な気がしてしょうがなく、その方向をより強めたようで、ちょっと。

 詞。オーソドックスで口当たりのよいフレーズが満載です。曲もそうですが、詞のほうもまた「この曲はいい曲ですよ」と主張しているように見えます。「抱きしめて」「想い出」「未来」「勇気」『季節を重ねて』「いつの日か」などなど、単語そのもののいい印象で固めていて。
 そうやって響きのよさで作っていくと、結局どんな状況なのかよくわからない、ってことになります。例示すると、『せめて夢で会いたくて』というくだりが、どうも全体から浮いているような気がするんですよね。これって切実な感情なのに、他は基本的に幸せムードですし。

「バラードは、どんなにいい曲でも何らかのインパクトがないと売れない」ということを平井堅「瞳をとじて」のレビューの時に書きましたが、逆に言うと、「話題性があればけっこうごまかしがきく」ということでもあります。映画のエンディングで流れ出したり、ファンや共感するフレーズがある人などだったら「いい曲だ」と思える仕上がりにはなっているんじゃないかと考えるんですが、そういう思い入れのない人にとっては、特に目を引くものはないでしょうね。自分のようにバラード好きでもなければ、退屈に聴こえてもしかたないかと。
posted by はじ at 22:53| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月18日

Fiction Junction YUUKA「暁の車」


暁の車
FictionJunction YUUKA, 梶浦由記
ビクターエンタテインメント

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 「機動戦士ガンダムSEED」の、もともとは挿入歌だったのが人気が出てシングルになった、という解釈でいいんでしょうかね。どうもそういう流れみたいです。
 で、確かに人気出るだけあって、いい曲なんですわ。まあ自分の好みに合うってとこもあるんですけど、オリエンタルでどこか悲しげな旋律、愁いを帯びた歌、情景的な詞。緩やかな1コーラスから、駆り立てるようなリズム隊が入ってドラマティックに盛り上がる展開。うん、完全に世界が出来上がってますね。

 タイトルの「暁の車」というのは、歌詞中の『優しい手にすがる 子供の心を/燃えさかる車輪は振り払い進む』という一節から順当に判断すれば「無慈悲な時間の流れ」っていうところでしょうね。もう戻らないし戻れない幼い日の別れ(たぶん死別)、それを嘆いている間も時間は無常に進んでいく、というのが大意になっています。
 で、そういう「時間」というような概念上の抽象的なものを、具体的な描写として映像的に表現しているところがポイント高いです。上の時間=車輪(ついでに『ギターラ』の調べもそうね)の一文もそうですし、大人になってしまったことを『やわらかな額を失くしても』と書いたりもしてます。こういう映像的な描き方をとる手法は、自分がラルク好きな理由の大きなひとつだったりするくらいに好みです。この曲の場合、描いている内容なんかはラルクというよりはポルノグラフィティぽいですけど。
 難点が一箇所だけあって、『悲しみに染まらない白さで/オレンジの花びら 揺れてた夏の陰に』で、色が見事にかぶっているという。まあこの場合の「白」は概念上のもので、潔白、純粋、信念あたりに置き換えれば通りはしますけど、もうちょいうまくやってほしかったですね。できたはずだし。

 思うんですが、映像的、物語的な曲っていうのは、アニメという媒体に合ってるんじゃないかなと。現代を舞台にしたドラマだと、感情移入できるような「等身大」の共感を得られる曲のほうがいいんでしょうけど、アニメは普通、多分にフィクション要素を含んでいるものなので、イメージを喚起できるほうがフィットするんじゃないかなと。ああ、でも、オープニングテーマとかはノリ重視か。

 まあ、いい曲ですよ。ジャケット的に買いづらいかもですけど。
posted by はじ at 22:03| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月17日

BENNIE K「サンライズ」

サンライズ
BENNIE K, MineChang, HAMMER, TSUYOSHI
フォーライフミュージックエンタテインメント

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 スマッシュヒット中です。
 何者なのかまったく知りませんでしたが、調べてみたらボーカルとMCの二人組女性ユニットとのことです。歌とラップの混合は男性グループではいくつか思いつきますが、両方女性というのはちょっと珍しいですよね。

 とにかくノリがいいです。ノンストップ。前倒しでガンガン突き進んでいくメロディライン、ポジティブな歌詞、かなり重さの乗ったラップ。加えて、インパクト大なのがサビ中の『"ah ha ha"』と笑い声を乗せているとこ。ただアップテンポなナンバー、ただいい曲だってだけではセールスにつながらないってのもよくあることですが、こういう引っかかりがあると、興味を持たれやすいですよね。

 近々三枚目のアルバムリリースを控えた彼女たちの突然の大躍進は、おそらくひたすらエネルギッシュなこの楽曲に因るものなんでしょう。公式サイトのディスコグラフィーで過去からこの「サンライズ」まで試聴できますが、どちらかというと今まではR&B風味なタイプばかりで、ストレートにロックで決めてきたのは初めてのようです。
 うん、でも、この路線でいったほうがいいんじゃないでしょうか。ヒットした方向ってのはやっぱりマスイメージになっちゃうわけで、これでR&Bに戻るとすごく地味にとらえられちゃうだろうなという点がひとつ。もうひとつは、ラップ部分の歌詞センスがかなりイケイケな上に声も攻撃的なんで、今回みたいに力押しでいったほうが効果的なんじゃないかなと思うってことです。

 ラップだけでなく、「"ah ha ha" oh yeah」もそうだし「Ooops!」「here we go!everybody say ahah」という、もはや定型な「ノリのよい英語」満載。あと、サビに裏で入ってくるヒュルヒュル言ってるストリングスとか、そういう「なんだかんだいってもやっぱり日本人としては弱いツボ」を押さえているところも、スマッシュヒットの一因なんだと思います。
 あと、こういう突き抜けたフレッシュ感ある曲ってやっぱり定期的に恋しくなりますよね。で、そういうタイプの曲はすでに売れているアーティストでなく見慣れない顔でないと、という面もありますし。
 あ、なんかこう書くと難癖つけているように思うかもしれませんけど、そんな意図はまったくないですよ。念のため。

 それにしてもPV試聴すると「アッハッハッハ」っていいながら振りをつけてますね。実際にいつもやってるんでしょうか。気になります。
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2004年10月15日

美勇伝「恋のヌケガラ」

恋のヌケガラ
美勇伝, 湯川れい子, 鈴木Daichi秀行, つんく, 鈴木俊介
ピッコロタウン

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 はたしてこれから何曲出るんですかね、このユニットは。アルバム一枚ならともかく、二枚出せるのかな。確かにモー娘。だったら人多すぎるしタンポポじゃ名前に合わないし、って感じの曲ですけど、またえらく方向性が限定されそうな名前つけたもんですよね。「この曲に限って言えば」合っているとは思いますけど。
 おや、作詞作曲につんくが参加してませんね。これからもこのユニットに関してはそういう路線で行くんでしょうか。作曲はたけってのは、確かに名前には合っているかも。

 曲はハイテンポで、前倒しにリズムを食って畳み掛けてくる攻撃的な作り。この手法は簡単にかっこよさ出せるんですが、下手にやりすぎるとグダグダになりがちです。かく言う自分が作曲初心者のころ、よくハマりました。その点いくとやっぱりプロなんで、ややえげつなく連発するわりにはちゃんとまとまっているかと。
 で、かっこよく決めている一方で、旋律ラインは非常に歌謡的です。たとえば目立つのが同パターンの反復で、Aメロ『鏡の前で泣き真似したらポロリと涙』と、同じリズムと音幅がコードに対応して少しずつ下がりながら三回重ねられてます。んでしかもこの手のラインはもう邦楽の黄金パターンと言っても過言ではないくらいの王道。Bメロも同様。サウンドは現代的でも、中身は何十年前から変わらない日本的哀愁の世界です。つまり、いつものハロプロの曲パターンです。
 詞もしかり。つんくほどのおちゃらけはさすがにないものの、なんか『ミスター・ドクター・ラヴ』と、ちゃんと「つんく的ツッコミどころ」まで用意されています。まあこの種もアイドルの伝統っぽいものですし、そんな独特のものってほどでもないんですが。
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2004年09月26日

BoA「QUINCY/コノヨノシルシ」

QUINCY (CCCD)
BoA, 康珍化, Samuel Waermo, Marcus Dernulf, Jan Lysdahl, Harry Sommerdahl, 相田毅, コモリタミノル
エイベックス・ディストリビューション

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 どっちも有線でバリバリかかってるので、まとめて紹介。「QUINCY」がA面扱いなんですね。曲としては「コノヨノシルシ」のほうが面白いと思うんですけど。

 「QUINCY」はなんかちょっと、クールじゃなくないですか?あんまりダンサブル系って好きじゃないのにBoAを一概に嫌えなかったのは、ホットになり過ぎないセンシティヴなものがあるなあと思っていたからでして。
 この曲って、そういう部分を切り捨てて感じます。直接的すぎ。一見するとBoAかもですけど、実際にはMAXですよこれは。原曲あるカバーなんだそうですけど、ちょっと曲選間違えたかなと、個人的には思うのですが。

 で、「コノヨノシルシ」こっちが本来のBoAかなと。複雑なリズムトラックと、憂いをどことなく含んでいる歌。人気だった未発表曲というのも納得。
 ただツッコみどころはあって、たとえばこの曲一人称が「僕」なんですけど、これの意図がいまいちよくわからんのです。
 女性ボーカルが「僕」と歌うと、ZONEなんかがそれで売っているように、叙情的で純真な雰囲気をそれだけで出せるんで、いい手法なんです。この曲でも、女の子が『君はかけがえのない/コノヨノシルシ』と言ったら、ちょっと強さがある感じしません?でも、実際はその前に『僕に』が付く男の子の心情で、そうするとずっとロマンティックな響きになるんですね。男が歌うと、きっとクサいですが。
 確かにちょっと普段よりも切なさをかもし出している楽曲ですけど、もっと緩やかなアレンジならまだしも、やっぱり明らかなダンスミュージックアレンジの範疇で「僕」で歌っても、効果薄いと思うんですよね。普通に「わたし」でも、ここは何の問題もないんじゃないでしょうか。
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2004年09月21日

Berryz工房「ハピネス〜幸福歓迎!〜」

ハピネス~幸福歓迎!~
Berryz工房, つんく, 守尾崇, 鈴木俊介
ピッコロタウン

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 モーニング娘。の妹分、みたいな捕らえ方でいいんでしょうか。なんかもっと他に似たようなユニットがいくつかあったような気がするんですけど、もう全然わかんないです。

 最近のつんくにしては、いい曲なんじゃないでしょうか。曲のノリとか。
 歌ってる子たちも、楽しそうですし。うまくはないですけど。っていうか、「かっこいい歌い方」あるいは「大人っぽい歌い方」というものを何か勘違いしてますね。巻き舌っぽく、はすっぱめに歌うのがすんごい気になります。つんくの趣味からいって、たぶんわざとやらせてんでしょうけど。モー娘。もそうだったし。あっちはまだ聴けるけど、これはさすがに幼すぎてちょっと厳しいなあ。
 でも、こういう歌い方に憧れる小中学生の女の子はいっぱいいて、そういう子たちにはきっと受けるんでしょう。あと、こういうギャップを楽しめるそれ以上の方々もですか。自分としては、元気でまっすぐな声がわりと好印象なぶん、こういう英語に毒された発音はマイナスに感じてしまいます。

 詞。ツッコミどころが山ほどあるんですが、こないだの「なまず」に代表される一連のつんく作品は、ツッコんでも意味がない、あるいは負けな感じなので。
 しかしそれにしても、『教室の会話も/カフェで話す真剣も/全部 あなたは オーラね』とか、全盛期の小室哲哉を超えましたね、言葉の壊れ具合。
 うーん、でも、一応意味はだいたい通じるわけで、この「ちゃんと意味が通っている文」にはありえない「だいたい通じる」って感覚、というのはあると思うんですよ。現実に会話していてうまい言葉が見つからなくても、海外旅行先とかでも、言葉ってけっこうノリで通じたりするじゃないですか。だから、どうせ歌なんだしってことで表現としてはアリなんじゃないか、とも思うわけですよ。
 でもやっぱりソワソワしてしまうのは、「若い世代に人気のユニット」→「若い世代に影響力がある」→「日本語の崩壊に拍車が」って流れを想定してしまうからなんでしょう。個人的にも、歌の中ならまだアリだと思いますが、現実に「あなたはオーラね」はさすがにちょっと、ね。ただ、つんくの場合確信犯ですから。影響があることを見込んで、わざとこういう言葉入れてるフシがありますから。そういうのってセンス必要ですけど、あんまりほめたくはないセンスですよね。うーん。

 と、ツッコもうとするとこのように泥沼になるので、あとは『10月の出会いは/長く幸せになると/本で 見たの』って嘘つけお前いま作っただろソレ、って程度でとどめておきましょう。
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2004年08月13日

浜崎あゆみ「INSPIRE」

INSPIRE(DVD付)(CCCD)
浜崎あゆみ, ayumi hamasaki, H∧L
エイベックス

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 「No way to say」の時に、「浜崎あゆみはこれこれこういう詞の書き方をしていて、この点で支持を集めているんだと思うけど、でも自分はそういうのは好きじゃないし、いつもおんなじ展開だからいちいち取り上げてもおんなじこと書いてしまいそう」とばっさり言いまして。んで、次に出た「Moments」は本当に「No way to say」で書いたことに加えることがほとんどないと判断して、取り上げませんでした。

 今回は変化があったかなあと。またしても『そう人はひとりじゃ生きれない』とまたいつもの「人はみな」「誰もが」系の言い方がなされてますが、今回は『そんな当たり前の事とか』『今更身に染みてる』と、すでにそういう言い方が食傷気味であることにきちんと言及していて。
 おいおい、今まで散々自分が言ってきたじゃないかー、とツッコんでもいいんですが、それだと非生産的なんで、詞の内包するメッセージが一歩次のステップに進んだ、と好意的にとらえることにしましょう。今回は曲自体に力強さがあって、それがボーカルにも言葉にも吸い付いてなかなかいい味出しているので、メッセージを受け入れやすい、というのもありますし。

『ねぇ愛だとか夢だとかを/口にする事は/カッコ悪い事なんかじゃない』
 そう歌う彼女は、実にカッコいいです。ここの一文が間違いなくこの曲の肝になっていて、すべての聴き手の心に波を立たせることのできるフレーズだと思います。
 ただねー。うーん。
 「愛だとか夢だとか」を口にするのって絶対にカッコ悪くって、でも口に出すのがカッコ悪いからこそ、普段口に出さないでいるからこそ、それは素晴らしいんじゃないのかなあ、と思う自分には、ちょっと受け入れがたい台詞です。
 歌の中で煽るぶんには、構わないんですけどね。ただ、ものすごい影響力を持つ彼女がこんな高らかにこう歌っちゃうと、日常生活で照れもなく「愛だとか夢だとか」言えてしまう人が増えるんじゃないかって想像してしまって。怖くないですか?そういうの。

 もう何回か触れてますが、いつの間にか、青春真っ只中の学生が「青春」という単語を使うのが恥ずかしくない時代になっていて。そして「愛だとか夢だとか」もまたそうなっていく、と。ずいぶんとまあストレートな時代になってきましたね。
 「秘すれば花」、「恥の文化」の日本は遠くなりにけり。自分が保守的なだけなのかなあ。
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2004年08月12日

平原綾香「虹の予感」

虹の予感
平原綾香, 坂本昌之
ドリーミュージック

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 一般にはもう、一発屋としての評価で固まってしまっているんでしょうか。個人的には、MISIAあたりよりも好きなんですけどね。

 こういう16ビートの、遠くのほうでジャカジャカとギター(エレアコ限らず)が鳴っている曲って、個人的に弱いんですよね。スピッツ「青い車」とかSOPHIA「君と揺れていたい」とか。で、そこに、さらさらとざらざらの間くらいの粉っぽさのあるハスキーなボーカルが、うまいこと合っています。サビで、オクターブ上の、かなり高い音域でハモリやっているのが、かなり強く入っているのもいい味出してます。聴いていてもダレず、退屈しない感じに仕上がっているかと。

 前回の「君といる時間の中で」と同様、歌詞は相変わらず冷静に考えると訳わかんない感じですが、これは芸風なのかなあ。傍目から見るとなんだか、どういう言葉を使えば雰囲気が出せるかは本能的にわかっているんだけど、その単語をセンス任せにつなげてみたら、本人にもなんとなくのイメージ以上のものが見えてないんじゃないか、という感じで。詩的技巧的と言うにはちょっとなあ、と思いますが、今回は「想い」=「涙」=「雨」から「虹」へ、というテーマ性方向性があるんで、それなりにはまとまっています。
 聴き手のイメージ喚起が目的でわざとこういう詞の書き方をしているんだとしたら、もうちょっと言い回しを考えたほうがいいんじゃないかなあと思います。あ、期待しています。

 今回はシングルとしては初めて、詞だけでなく曲も自作ということですが、悪くないですね。うまく提供曲と混ぜあって、自作にこだわり過ぎずにやっていくほうがいいんじゃないかなと。
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2004年08月06日

BON-BON BLANCO「手のひらを太陽に」

手のひらを太陽に
BONBON BLANCO, やなせたかし, 大島こうすけ, PANINARO 30, Munetoshi
コロムビアミュージックエンタテインメント

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 えーっと。
 楽しそうですよね。
 えーっと。

 うーん、楽しそうだから、いいかなあ。


 この歌の作詞って、やなせたかしなんですか。知らなかった。一番が『生きているから歌うんだ』で『悲しいんだ』、二番が『笑うんだ』『嬉しいんだ』になっているこの順番はいいですね。あと、動物でなく昆虫や軟体動物を持ってくる辺りは、さすがアンパンに命を吹き込むだけのことはあるなって感じですね。

 うーん。しかし、そのまんま過ぎだよなあ。うーん。
 いちおうラテンパーカッションは賑やかに入っているけどさ。ボーカルも楽しそうで、それは突き抜けていていいんだけど、どちらかというとカラオケで弾けている楽しさに感じられてしまって。�命賛歌って響きはいまいちしないような。ああ、でも、

>そして現在、この歌を子供達に歌い継いでゆく目的で、
>ボンブラが全国の小学校を廻っています。
(公式ホームページより抜粋)

 小学�のころなんてそんな歌の感動なんて考えないで歌っているもんだし、元気よければ十分いいのかも。
 でも、わざわざ歌い継ごうとしなくても、ずっと残る歌なんじゃないのかなあ。これ。

 まあとりあえず、前回の「BON VOYAGE!」とセットで、元気よい少女ユニットってイメージは定着しましたね。あとは次のオリジナル曲次第かな。
posted by はじ at 02:17| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月21日

林明日香「SANCTUARY〜夢の島へ〜」

SANCTUARY~夢の島へ~(CCCD)
林明日香, 伊集院静, 島袋優
東芝EMI

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 知らない方も多いかな。方向性としては、元ちとせから島唄のナチュラルなこぶしや南国っぽさをなくした感じ、と言うとイメージしやすいでしょうか。声の響きはだいぶ違いますが、豊かな声量や、壮大な自然を歌に織り込むところは共通しています。で、そら恐ろしいのが、そんな相当いい声を持っている彼女はまだ若干15歳、中学三年生。平成元年生まれ。ちょっと嘘だろうと思うくらい大人そのものな声の響きをしている本格派です。
 作詞が伊集院静。タイトルどおり、地上の楽園、聖域のような島の描写と、そこで大自然に混じり「あなた」と愛し合い生きていく、という詞世界です。元ちとせもそうですが、これだけ声質が半端じゃないと、壮大な自然だの大地の愛だの歌わないと釣り合わない、みたいな難儀なところがあって。人間の及ばないものを歌っても説得力がある一方、「あなたとわたし」のごく普通の恋愛のことになると聴いていてちぐはぐに感じてしまいがちで。その点この曲は、うまく両者を絡めて、壮大さと個人的な恋への共感の両取りを狙って作られています。
 ただ、ですね、やっぱり15歳だなあというか。声のポテンシャルは業界全体を見回してもトップクラスだと思うんですけど、いかんせん、表現力が。どうしても恋愛要素な部分とかが、ただ歌詞をなぞって歌っているだけのように聴こえてしまうのです。まあ情感込めろったって、あの歳じゃ無理あると思うんですけどね。アドリブ・フェイクとかも全然しないですし。だからやっぱり吉田美和や宇多田ヒカルはすごいよなあ、と、思っちゃうわけです。
 まあ彼女はまだ15歳、成人するまででさえあと5年もあるわけで。今後まだまだまだ先があるんで、更なる成長に期待しましょう。
posted by はじ at 21:44| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月06日

星村麻衣「ひまわり」

ひまわり (CCCD)
星村麻衣, 前田たかひろ, 井上うに
ソニーミュージックエンタテインメント

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 輝かしい夏の象徴である「ひまわり」の名を冠した曲は数あれど、その中でもっとも暗い曲なんじゃないでしょうか。失恋の歌だから、ってだけではなくて。
 歌詞検索サイトで「ひまわり」「ヒマワリ」「向日葵」と入れてざっと調べてみた限りでは、だいたいひまわりは「理想の姿」「夏の記憶」「元気さ、明るさ」「まぶしさ」の具体的なイメージとして使われています。そして、ひまわりの指すものが「夏の記憶」である場合はひたすらノスタルジーに終始する曲もありますが、ほとんどの曲は、「(ひまわりのように)生きていこう」という、明らかに前向きな方向性を持っています。
 ただこの星村麻衣版「ひまわり」は、前向きに生きていこうと思いつつ、「前に進みたいのに進めない、『君』を忘れられない」というためらいの面が色濃く出てきています。この葛藤が、歌声でもっと迫力を持って伝わってくるとよかったんですが、そこまでの力はないようです。旋律も、微妙に隙間があるし。『だけど夜空を見上げる ひまわりになりたいんだ』ってフレーズはかなりいいと思うんですが、全体の苦悩の色からするとやや前向きすぎて浮き気味だし、ちょっといろいろと損している感じです。

 しかし最近の女性ボーカルは、傷とか過去とかトラウマとか、そういう暗いものに惹かれがちな一群があるように思います。たとえばこの「ひまわり」では、失恋から立ち直る前向きさ、「ひまわりのように強く明るく」というメッセージではなくて、失恋を忘れられない、悲しさや『君』との記憶に浸っているという部分に重きが置かれているわけで。「悲劇」が中心にある、そうしたタイプの曲を好んで歌う人が多いように思うわけです。
 浜崎あゆみなんかは典型的で、だいたいどの歌でも「傷」が出てきます。「傷ついた私」を救ってくれる「あなた」だったりその逆だったり、「人はみんな傷つくものなんだ」だったりしますが、わりとポジティブに「悲劇」から抜け出してきます。対して、鬼束ちひろは、なかなか救われようとしません。奥田美和子なんて人は、あんまり救われるつもりもないようです。あれ、案外いないか。
 もうちょっと範囲を広げますか。最近のメッセージソングというものは、「悲劇」が前提にあって、そこからどうするか言葉を練っているフシがあります。伝えたいメッセージが先にあって、その中で「過去や傷は気にするな」と言うのではなくて、まず傷ついた出来事、忘れがたい悲しみがあり、じゃあどうするか、という形になっている傾向があるかと。つまり、「苦しいことがあっても・・・」じゃなく、すでに「苦しい」わけです。だからなかなか、その「苦しみ」、「悲劇」から抜け出せないような歌もできやすい、とかね。
 ヒットチャートの傾向は、そのまま聴き手の傾向に当てはまります。現況に、苦痛を感じている人が多いのかもしれません。
 また、落ち込んでいるときにはポジティブな歌より沈んだ歌を聴いた方がリラックスできる、という人も増加傾向にあるような気がしていまして、その手の方々に「暗い歌」「悲劇の歌」というのは需要があるんだろうなあ、とも。
posted by はじ at 02:01| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年06月24日

HALCALI「マーチングマーチ」

マーチングマーチ
HALCALI, RYOZ, DJ FUMIYA, BIKKE, 高野寛, Nathalie Wise
フォーライフミュージックエンタテインメント

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 あー。苦手です。どうもこのノリがダメです。いや、このぐにゃぐにゃな雰囲気が持ち味だとはわかっているんですけど、自分には肌に合わないようです。
 「PUFFY二代目」みたいな位置付けになっていたり、いや違うまったく斬新なヒップホップだと言われていたりするわけで、まあ確かにこのダラダラなのはけっこうセンスいることだと思うんですよ。のっぺりとした声でいて、表現は(二人で交互に歌えるからってのを差し引いても)かなり自在にやってるし、脱力した流れでいて、実際には相当な言葉が畳み掛けるように詰められているわけだし、バックトラックもゲームっぽい効果音とか遊び心いっぱいだし、そうしたのをひっくるめて、おそろしく耳に残る曲に仕上がっているわけです。これ、いったん気に入っちゃうと絶対中毒になります。
 自分にはどうしても、ラップの最後を半疑問形って感じにあげたりするのがいちいち気になったり、味わいとして楽しむべきダラダラ感が間延びにしか思えなくって、聴いていてむずむずしちゃうんですけど。

 『お子様にはモノよりメモリー』『麻布十番』『ノセちゃう秋バのマイノリティー』とかも、小ネタ満載で面白いんですけどねえ。
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2004年06月10日

平原綾香「君といる時間の中で」

 この手の女性アーティストが自分で作詞をすると、なぜかどうも言葉がとりとめのないものになるんですよね。なので、客観的に分析しようとすると「?」と首をひねることになります。たとえばサビ部分、『涙も笑顔も 今歌う願いは いつも心に描く空』って、歌として聴いていると抵抗ないんですが、冷静に考えると意味が通ってこないんですよ。
 まあ、歌詞を、文法的にどうだとか細かく言うのはあれなんですけど。聴き手にとって心地よければ成功なわけで、そのためにある程度約束事を無視して言葉を散りばめるのは、まとまりがないのではなくて、聴き手のイメージを引き出そうとするセンスと呼んでいいかと思います。プロ作詞家はそういうの意図的に使うし、歌詞に英単語が混じるというのも注意をひきつける手法なわけだし、あとは作り手と受け手のセンスが合致するかどうか、なわけです。

 で、「この手の女性アーティスト」が、言葉の整理がつかなくなっても作り出したいものっていうのはずばり「共感」なわけです。おそらくは同世代の同性を想定して、そういう人たちから共感を得る言葉をつむごうとするあまり、文章としてまとまりがつかないものになる。でも共感を得られれば、それは成功なんです。
 問題は「共感」を得るために使われる単語が、ありがちで安っぽいものになりがちだということでしょうか。たとえば『私の胸にきっと聴こえる/「叶わぬ夢など ないんだ」と』とあるんですが、この『夢』って単語があんまり唐突すぎて、いまいち響いてこないんです。ちょっとかっこいいこと言いたいだけちゃうんか、みたいに思えてしまって。
 人間関係を描く恋愛の歌に、申し訳程度に個人の「夢」が出てくるととても萎えてしまいます。恋愛と夢ってだいぶ方向性違うもんだと思うんですよ。いやまあ二人で生きていくんだってのも「夢」のひとつだとは思うんですけど、そこまできちんと踏み込んで「夢」という言葉が使われているとはとても感じられないような歌が多いです。安易すぎる。
 あ、ちなみにこの曲に限っては、恋愛がメインなのか未来への夢がメインなのかもようわからんくらい、すべてにおいて漠然としたイメージで出来上がってます。そういう渾然一体となった世界を表現したかった、のなら、もっと安易な単語を使わずにやってほしいものです。
 旋律もあんまり惹かれないし。声は好きなんだけど。

 本日のコメントはちょっとまとまりきってない感じ。うーん。
posted by はじ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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