2008年09月17日

谷村奈南「JUNGLE DANCE」

JUNGLE DANCE(DVD付)
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谷村奈南
エイベックス・エンタテインメント (2008-05-07)
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<楽曲自体の「露出度」は高くない?>

 奈南と書いて「なな」と読む、現役青山学院大生アーティスト。3作目となるシングルは、クラブのホットなムードを感じさせる、ダンサブルチューンです。

 PVでは露出度の高い衣装を身にまとい扇情的なダンスを踊り、さらには水着も(映像の文脈をぶっちぎって)披露するなど、Gカップのプロポーションを明らかに意識してアピールしているなあと。
 サウンドもまたアドレナリンが出そうなアッパーさがあります。

 ただ、歌詞に関しては…確かに設定としては『都会はジャングル』、『牙や毒、隠し持つ猛獣がいて』デンジャーでスリリングな出会いの場だ、という描かれ方にはなっているものの、エロさはあんまり感じられません。野生、ワイルドさへの志向が読み取れますが、それは『此処じゃ誰も 何にだってなれる』…夢を追い求めたり自分を見出したりするような健全な動機から繋がっているように書かれていまして。
 なのでなのか、『認め合うの 知らない誰かとも』というフレーズも、本能のままに相手を求める…というような艶かしさはあんまり感じられません。

 新しい出会いを求めたり、今のひとときを楽しもうとする刹那的な考え方も、快楽主義に基づくものではなく、精神を開放する自己実現的な欲求に応じてのものとして提示されているのです。
 なので、全然やらしさがない。それは楽曲のコンセプト的に、また彼女の売り出し方的にOKなのかNGなのかというのは、外部からは判断が付けにくいところですが…

 それにしても、かなり多くの場所でシャウトが差し挟まれるのですが、こちらもまた色気があんまり感じられず…これはNGじゃないかなーと。
 発音が悪いわけじゃないと思うんですが、なんというか素人真似っぽく聴こえてしまうのです。本人のセンスの問題なのか、アレンジ時の調整がうまくいかなかったのか…ビンバンと音が響くアレンジ全体にちょっと拙さも感じるので、後者の要因が大きいような気もします。
 セクシーさをウリにしたプロモーションは、ヒット前の倖田來未を思い出しますが、音楽的には当時はR&Bに徹していた倖田來未と比べると、なんというかだいぶチープな印象。

 なんだかんだで耳に残りますし、この一曲で世間に対する知名度はけっこうアップしたんじゃないかなと。そう考えると、ちょっと時代とズレているようなサウンド、そしてPVでの露出攻勢というのは、きちんと相乗効果を生み出したと言えるかもしれません。
ラベル:谷村奈南
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2008年07月06日

チャットモンチー「ヒラヒラヒラク秘密ノ扉」

ヒラヒラヒラク秘密ノ扉
チャットモンチー
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<言葉の響きを生かした詞構成>

 7thシングルにして、相変わらず初期衝動が衰えていないと感じるパワーが溢れているチャットモンチー。メンバー3人が3人とも感性豊かな歌詞を書く点でも注目していますが、今回はドラム高橋久美子のもの。

 彼女は、自分の評価だと、メンバーの中でもっとも職人的に詞を書く人です。今回も、なかなか技巧的に構成を考えているところが散見できます。
 たとえば、真夜中、悶々とする感情を持て余している様子がメロで描かれています。で、『深夜二時』『深夜四時』と時間が進行していくことで焦燥感を出しているわけですが、さらには衝動が爆発するサビで「陽」つまり夜明けを志向する、というところまで表現が繋がっています。
 また、語感にもこだわりがうかがえます。「ヒラヒラヒラク」という響きのよい言葉をベースに、『サクサク』『ビリビリ』など擬音をサビのあちこちに散りばめてみたりしています。メロの『目 爛々と』『血 凛々と』なんてのも、相乗効果を狙っているんでしょうし、『生まれたての陽』などと「陽」という語を多用してきているのも、この「ヒラヒラ」と音の響きを合わせているのでしょう。

 ちなみに、出世作である「シャングリラ」もそうでしたが、一人称が「僕」になるのも、この3人の中では彼女だけです。『いま拳突き上げて』なんて、男らしい表現も混じっていますね。
 こんな点からも、歌詞世界をきちんと構築して作っている印象を受けます。

 ちなみに、あとの2人の書く詞は、どちらも感情優先だったりします。続きを読む
posted by はじ at 03:24| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月08日

DREAMS COME TRUE「ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜わたしたちの未来予想図〜」

ア・イ・シ・テ・ルのサイン ~わたしたちの未来予想図~
DREAMS COME TRUE 中村正人 吉田美和
UNIVERSAL J(P)(M) (2007/10/03)
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<積み上がった確かな時間が、思い描いた幸せを未来から今に落とし込んでいく>

 DREAMS COME TRUEが過去に発表していた人気曲「未来予想図」「未来予想図U」の、今現在を思い描いて作られたという今作。奇をてらうことのない、まっすぐなバラードになっています。

 このシリーズ、特に「U」に関しては有名で、シングルA面では発表されていない(アルバム「LOVE GOES ON…」収録、「笑顔の行方」のカップリング)にもかかわらず、おそらく耳にしたことがある人は多いことでしょう。「ア・イ・シ・テ・ルのサイン」は、『ヘルメット5回ぶつければ』ではなく『ブレーキランプ5回点滅』で覚えている人のほうがずっと多いはず。
 実際、曲ができたのは番号順ではあれど、発表されたのは「U」が先だったりしますし。
 で、この「未来予想図」「未来予想図U」を元にした映画が製作されるにあたり、15年以上の時間を超えた続編という位置づけで、主題歌として作られたわけです。

 二人の幸せな未来を思い描く「未来予想図」。そして、歌詞中で特に印象深い「ア・イ・シ・テ・ルのサイン」の移り変わり。3作品の間には、このふたつを軸として、確かに進んでいく時間の流れを感じさせてきています。

 そして「未来予想図」に関しては、1作目ではただ未来のなんとなくの夢想、というものでした。ひと夏を楽しく過ごし、これからも一緒にいたい!自分自身の未来に、「あなた」もいてほしい…というものでした。
 2作目では、時間は流れて『卒業してから もう3度目の春』。それでも二人は、相変わらず幸せな時間を過ごしています。そして過去を振り返りつつも、『ずっと心に描く 未来予想図は/ほら 思ったとうりに かなえられてく』とこぼすわけですね。ここには、1作目にはなかった重みがあります。二人の時間の積み重ねは、思い描く未来がかなっていくという表現で、確かな幸せとして感じられているわけです。
 そして今回。『わたしたちの未来予想図は まだどこかへたどりつく途中』。かなえられていた未来予想図は、まだ完成していない。しかし、それは、決して悪いことではありません。というか、完成するものではないんだ!と主張されています。
 二人で日々を過ごしていくことの幸せ。それが「U」では、予想図がかなっていくという形で実感されていました。しかし、その幸せな毎日をさらにずっと積み重ねていくうちに、先の未来を見るよりも『あなたとの“今日”に 感謝している』、『一緒にいるこんな毎日が 積み重なって描かれるの』というように、今このときを大事にしたい!と、そんな想いが強く描かれているのです。続きを読む
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2007年12月09日

チャットモンチー「橙」

橙
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チャットモンチー 橋本絵莉子 高橋久美子 福岡晃子
キューンレコード (2007/09/05)
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<感情に任せた、荒削りな呼びかけが渦を巻く>

 前作の両A面シングルのうち、「とび魚のバタフライ」はポップで軽めな作風でしたが、今回はもう一方の「世界が終わる夜に」寄り、かなり重厚な音で歌い上げるミディアムバラードです。というか、このバンドの定番スタイルですね。

 アニメ「BLEACH」エンディングテーマとして使用されていましたが、曲自体はデビューのはるか前、ボーカル橋本絵莉子が高校生時代に作ったもので、地元徳島でのライブでも歌われていたとのこと。
 このリリースは、2ndアルバムの先行シングルという立ち位置。大事な時期という判断もあったのでしょうか。いわゆる「暖めていた」楽曲というのは最近こういう勝負どころで濫用されがちな売り出し方だったり。なので、ちょっと気になりますが、まあ本人たちのスタイルがはっきりと映し出された象徴的な一曲だという印象で、聴いていると思い入れが込められているのをひしひしと感じます。

 まず、メロディライン。基本的にはシンプルなんですが、とりあえず全編に渡ってキーが高い。ほとんどずっとクライマックスのような展開です。
 で、それに対してアレンジがやたらと凝っています。や、凝っているのは今回に限ったことではなく、毎回けっこうクセの強いアレンジを出してくるんですけどね。「シャングリラ」では変拍子が入ってきたりしますし。
 今回は、まず出だしのギターとドラムパターンが意表をつきます。そして、メロが2コーラスで別物といってもいいくらいに違います。というか、展開も前後します。その上で最後にアドリブ的なハイトーンを披露し、終わっていきます。
 シンプルなメロディラインに対する複雑なアレンジは、作りこみの跡を感じさせます。年月を経る中で、手が加わっていったのかもしれません。また、構成を考えると不自然な流れ、でも聴いてみると違和感なく盛り上がって聴けるのも、デコボコさや試行錯誤の繰り返しなどアマチュアイズムを感じさせます。

 合わせて、歌詞にも同様の要素があるように思います。ドラマティックな曲調が『もうこれ以上行かないで』と悲痛な叫びを煽っていますが、落ち着いて言葉を追っていくと、全体的に言葉が散らかっている印象を受けます。現在と過去の追想、自問自答と、唐突に登場する「あなた」の存在…
 読んでいくと、ひとつのストーリーが浮かんできました。目を『一人つぶっていた』主人公は「あなた」を傷つけることもあった。そして「あなた」が去っていくなか、『どこにも行かないで』と呼びかけるしかできることがない、『ゼアイズナッシンアイキャンドゥーフォーユー』というわけです。まあ、かなりイメージを補足しているので、他にも解釈の仕様がありそうですが。
 さて、見てのとおりカタカナで英文が表記されていますが、これは試行錯誤やアマチュアイズムに端を発してはいないような気がします。というよりは、英語表記にするとどうしても生じる距離感を作りたくなかった、身近な母国語で表記することで感情の生っぽさを出したかったのかなあ、と思うのです。

 「できることはない」「行ってほしくない」『もうこれ以上歩けない』というような、ネガな主張をしているのも、またチャットモンチーらしいような。
 インパクトがあったのは『甘えぬき傷つけぬいた私は/今度は何を求めるかな』の部分。甘えや攻撃性を認識していながらも、なお求めようとする欲望の強さ。…というより、きっと求めなくて済むならそれでよくて、でも「もう甘えない、傷つけない」なんてことはできないんじゃないかと感じていて…そんな葛藤が、フレーズの背後に透けて見えるような気がします。続きを読む
posted by はじ at 04:36| Comment(1) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月22日

東京事変「キラーチューン」

キラーチューン
キラーチューン
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東京事変 椎名林檎 浮雲
EMIミュージック・ジャパン (2007/08/22)
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<人生は「贅沢」なもの・負の側面の自覚・実感を伝えるための表現>

 「OSCA」に続いて、2ヶ月連続でのリリース。そしてどちらも作曲は椎名林檎ではなくメンバーで、今回はキーボードの伊澤一葉が作曲を行っています。

 「OSCA」では作詞作曲ともに浮雲によるものでしたが、今回は作詞だけ椎名林檎自ら手がけています。
 彼女の一般的なイメージだと、旧仮名遣いを使ったりなど独特の表現方法が思い浮かぶ人も多いでしょうけれど、この「キラーチューン」はかなりその点おとなしく、わかりやすい言葉で綴られているといった印象です。むしろ「OSCA」のほうが抽象的・断片的で難しいと感じるはず。
 キラーチューン、というタイトルどおり…まあ彼女の場合もっと深く込み入った意図があるのかもしれませんが、この詞は、積極的に「貴方」に向けた想いを伝えようとしている感があります。『空も恋も騙せないよ/私は貴方の一生もの』なんて、びっくりするほどストレートな告白だったり。

 冒頭の『「贅沢は味方」もっと欲しがります』はインパクト大。「贅沢は敵だ」「欲しがりません勝つまでは」と叫ばれたという戦時中の標語を持ち出すあたりも、それに真っ向から対抗するあたりも、彼女らしいと感じる人は多いのでは。
 で、これも単にインパクトを狙っているだけじゃなくて、その後の『この感度は揺るがないの/貧しさこそが敵』に繋がってきます。どんなことがあっても、(世界へのor「貴方」への)感性をすり減らすことがないように生きていきたい…伝えたい趣旨は、きっとこちらにあるのでしょう。

 さらにこの流れは、その後も別の文脈へと拡大していきます。
 サビ『季節を使い捨て生きていこう』というようなフレーズも、それって「贅沢」な生き方だよなーと感じさせる表現。しかし、考えてみれば、時はどんどん流れるから、人間ってこういう風にしか本当は生きられないわけで。その贅沢さを噛みしめて、留まることなくどんどん「今」を感じて前に進んでいこう…という意味合いが込められているように思えます。
 この感覚は、その後『「今日は一度切り」無駄がなけりゃ意味がない』とも出てきますね。

 また、2コーラス目も『贅沢するにはきっと妬まれなきゃいけないね』と始まります。で、これは実に椎名林檎らしいフレーズだなあと。
 彼女の作風って、たとえば愛を語るときに「独占」したかったり「依存」したかったりと、強い愛情はある種の負の側面も伴うことを自覚していて、それを前提に翻弄されたりあえて引き受けようとしたり…というパターンがあるように感じます。このあたりの感覚も、きっと彼女としては無視できない部分なのでしょう。
 「贅沢する」を「強く深く愛し合う」と置き換えるとするとわかりやすいですね。誰よりもお互いを求め合うということは、その他の人間を疎外する、差別するということでもある。それを自覚し、その上で愛し合おうとする覚悟がここにはあって、だからこそ「私」の強い愛情が浮かび上がってくるわけです。
 ただ「好き」と言い、二人が想い合う素敵な世界をイメージや空想で生み出すことも、歌という表現方法では可能です。でも、彼女としてはそういうことはしたくないのでしょうね。きっちりと生の手触りを持った感覚や思考を表現したいというスタンスなのでしょう。


 椎名林檎の場合、難しいと思われがちな表現の裏には、単純には表現できない/したくない感情を何とか表現したいというような執念めいたものを感じることが多いです。すべてがそうなのかもしれません。難解で読み取れなかったり、うまく解説できないものも多数ありますが…
 で、今回は、かなり明快な中にも、やっぱり一筋縄ではいかない部分と、だからこその奥深さを感じさせるフレーズが多いなあという印象でした。
posted by はじ at 08:55| Comment(4) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月09日

東京事変「OSCA」

OSCA
OSCA
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東京事変 浮雲 伊澤一葉 椎名林檎
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<楽曲製作の広がり、曲世界の広がり>

 東京事変の久々の楽曲は、中心人物・椎名林檎ではなくギタリスト浮雲の作詞・作曲によるもの。なんでも、椎名林檎の意向として特に曲に関しては他のメンバーが作ったものを使用していきたい、ということらしく、最新3rdアルバム「娯楽(バラエティ)」では一切曲を書いていなかったりしますし。
 確固とした世界観を持ち、かつ病的なほど凝り性の椎名林檎ですが、楽曲を自分のみならず他人に任せるというのは、あえてハードルを上げたかったのか、メンバーを信頼しているからか、それとも自家中毒に陥らないように新しさを求めたのか。個人的には、自分だけでなく複数の人間で世界を構築したいという気持ちが強まったのかなあ、という想像をしています。そもそも、あえてソロからバンドに活動をシフトしたのも、より刺激しあう環境を作りたかったのでしょうし、そういう気持ちが強まったのかなと。
 で、こちらの楽曲ですが、なんだかんだで椎名林檎的な性質を感じるというか、パッと聴きでそんなに違和感はありません。まあ、わざと濁らせるアクの強い歌い方や、鋭利な音作りをするバック陣が健在なのでそう感じやすいという点はありますが。曲の途中でテンポが上がってラストは疾走と、また今回はやたらと攻撃的です。

 内容は、ちょっと難解ですが、おそらくは男女間の駆け引きを軸にしているんじゃないかなと。で、特に『実は腹の下』とか『異種なら交配』とか、肉体関係を示唆すると見られるフレーズが多いです。『嗚呼 疑わしい無罪 そのデバイス』というのも、「デバイス」っていうのは「接続」する機器ですからね。
 男女関係を複雑な言葉や言い回しで描くのは椎名林檎の作風でもありますが、彼女の場合はもっと情念的で生々しさや張り詰めた雰囲気を出してくるもので。『底無しで癒えない 嬲ろうか』なんて言い方とか韻とかは林檎的。ただ、『なけなしの羽振りで揺さぶろうか』『ノンケだしもう摂理で動くのだ』とかその辺りのフレーズは、どことなくユーモアというか、ひょうきんな匂いがします。駆け引きを描いているので緊張感はあるものの、軽さもあるんですよねー。
 これはつい出てしまった書き手の特性なのか、それとも林檎本人のパロディ的な感覚で書いたのか。そういう感覚がテーマに据えられているのかもですが、それだったらやっぱり今までの林檎にはない要素で、新鮮ですね。

 OSCAというのは、スポーツカーの種類だそう。とすると、「DS」はシトロエンDS、「ALFA」はアルファロメオのことでしょうか。スポーツカーはよく女性に喩えられたりしますし、ここでもそういった使われ方とみても問題なさそうです。
 タイトルにこうした現実的なモチーフを採用するのも、林檎にはない傾向ですよね。
posted by はじ at 03:13| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月21日

チャットモンチー「とび魚のバタフライ/世界が終わる夜に」

とび魚のバタフライ
とび魚のバタフライ
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チャットモンチー 福岡晃子 橋本絵莉子
KRE (2007/06/20)
売り上げランキング: 9012


<広大な空と海の狭間を飛び泳ぐ強さ/絶望にふと気がついてしまう瞬間>

 5枚目となるシングルは両A面扱い(ただしもう1曲「風」もあり)。メンバー3人の全員が作詞を行っているのですが、両A面の2曲はどちらも福岡晃子の作詞。そして、まったく正反対とも言える内容になっています。

 「とび魚のバタフライ」は、爽快で抜けのいい明るいサマーチューン。『何て果てしない空!/ひこうき雲のらくがき帳』…気楽に聴くことができるこういう種のフレーズは、初めてくらいに珍しいです。たいていの楽曲は、先に詞を書くという特性の影響もあるのでしょうが、感情のこもったもの、内容の濃い言葉のものなので。
 そこへ行くとこの曲は、単純にホワイトブルーの青い空とネイビーブルーの青い海の、夏らしい穏やかな風景に心地よく浸ることができます。本人達もライブで乗れる曲にしたかったとのことですし、曲製作のレンジを広げるという意味でも、本流にはならないもののこういう曲があってもいいのかなと。

 一般層にアピールしたかった(もしくは、させたかった)のかなーとも思います。実際、とっつきやすいポップな仕上がりですし。ただ、あんまりポップに振り切れているので、ちょっと「かわいらしいガールズバンド」的に受け取られてしまっていそうで心配。そのぶんバランスを取るために「世界が終わる夜に」と両A面にしたのでしょうけれど…

 とはいえ、特に後半のほうの歌詞を読んでみると、決してただ雰囲気とポップイメージだけではないことがわかります。
 「とび魚」=「わたし」は空に向かって『もっと高く跳ねたら/見たことない景色がある』と思い、また海に向かって『深く 潜る きっと新しい水/飛び込んでも怖くないわ』と言ってのける。広がる空にも海にも、上へも下へもどこまででも進んでいこうとする強い意志がこれらのフレーズには宿っているわけです。
 水面を跳ねる「とび魚」を自分自身に重ねるモチーフとして据えたことには、ちゃんと意味があるのですね。


 そして、一方の「世界が終わる夜に」は、タイトルからして非常にダークで、重々しい内容になっています。続きを読む
posted by はじ at 09:38| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月12日

DREAMS COME TRUE「きみにしか聞こえない」

きみにしか聞こえない
DREAMS COME TRUE 吉田美和 中村正人
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<想いを伝える「声」は、真摯なままに拡散していく>

 小説「Calling You」の映画版、「きみにしか聞こえない」主題歌。タイトルからもわかるように、映画のために作られた曲のようですね。

 タイトルにもなっているフレーズ「きみにしか聞こえない」声は、『きみの名前』を呼ぶ声です。「呼ぶ」ということは、『声を上げて 泣くことも』その他いろいろなことを教えてくれた「きみ」は、今は離れた場所にいるということですね。そして、『呼び続けている』のは、きっとまだ「きみ」のことが愛しくて忘れられないからなのでしょう。

 ただし、気をつけたいのは、この「声」は決して「君」だけへのものではない、ということです。
 『きみにしか聞こえない この声は今でも』とあるように、現時点では「この声」は「きみ」だけへ向けられた、他の人には届かない声です。でも、その後では、『この声がこれから/誰かに届いたら ねぇ見ていてね 繋がるように』とも言っています。今は「きみの名前」を呼ぶ「きみにしか聞こえない」声ですが、他の誰かに届く可能性も考えているわけです。

 つまり、この「声」は、「きみ」だけを想い愛する気持ち、ではないのです。もっと広い、誰か人を愛しいと感じる気持ち、くらいの意味合いではないかなと想像することができます。
 心が震えるような気持ち。名前を繰り返し叫んでしまいたくなる気持ち。そんな気持ちが「声」になって「きみ」に届いたからこそ、『誰かを思う/すごく大切なことを』知ることはなかった。そして、「きみ」を思い、離れた今もまだ気持ちは「きみ」から動いていない。でもいつか、誰かに届く日が来るかもしれない…というのが、詞の大まかな流れと考えていいと思います。続きを読む
posted by はじ at 03:49| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月18日

チャットモンチー「女子たちに明日はない」

女子たちに明日はない
チャットモンチー 福岡晃子 高橋久美子 橋本絵莉子
KRE (2007/04/18)
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<退屈な日々を抜け出したい、でもそれはゴールではない>

 今めきめき売り出し中の徳島出身ガールズバンド・チャットモンチーの4thシングル。個人的にも、今年いちばん注目しているアーティストといっても過言ではないかも知れません。年内にアルバム出ないかなー。

 彼女達の特性について、前シングル「シャングリラ」のレビュー時には、こう書きました。“ただうっとり幸せなだけの恋愛じゃ物足りないし、満足できない。そんな強烈な衝動が、彼女達の作る歌詞には現れてくる”…なんというか、ちょっと甘い声や「女の子」(決して「女」ではなく)視点全開の歌詞にもかかわらず、その音が生み出す世界は、その辺の男性ロックバンドよりも遥かにロックなスタイルだなーと感じるのです。

 今回は、さっぱりはっきりとしたシンプルな音で疾走する、潔さあるロックサウンドが展開されています。その上に乗っているのは、ひたすら焦燥感に満ちた歌詞でして。
 現状に満足していない、だんだん日常に埋没していくことへの不安を描くというのは、まあJ-POPの常套手段のひとつです。ただ、『メイクもおしゃれも手を抜き出して/くすんでいった赤い糸』というフレーズは、女の子にしか書けない、歌えないですね。
 「シャングリラ」では携帯電話を落としてしまった、という一節がありましたが、こちらでは、『絡まるエクステンション/ひきちぎってさっぱりだわ』と、自ら日常を抜け出そう、「型にはまった自分」を脱しようとする意志が感じられます。

 で、そうやって日常を振り切ろうとガンガン突っ走るわけですが、だからといって、救われるわけではありません。
 『何から何まで捨てられたなら/どんなにも どんなにも』
 逆に言えば、すべてを捨てることはできないのですね。「あなた」の声だって、遠くなる一方です。
 退屈な日々を離れてみよう、そうすればハッピーになれる…これはそういう枠の中の歌ではないのです。結局のところ、『走ったって見つからない 叫んだって届かない』平凡な毎日を捨てたとしても、それがゴールではない、そう感じているのが伝わってきます。

 結局のところ、この歌は明確な答えを示していません。『分かってるのは ただ一つ』と歌いながらも、それが何かは結局のところ明示されないのです。順当に考えれば「あなた」に向けての何かではあるんだろうと思うのですが、あんまり恋愛に絞った内容でもないですし…
 日常を脱しようともがき、それでもはっきりと得られるものはない。この楽曲に溢れている衝動は、曲の中で答えが出てこないために、落ち着くことはないのです。『走ったって見つからない』、だけどそれでも止まっているよりマシだから走り続けなければ、みたいなジレンマが漂っていて。この強力な衝動が、実に新鮮なんです。
posted by はじ at 21:39| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月05日

DREAMS COME TRUE「大阪LOVER」

大阪LOVER
大阪LOVER
posted with amazlet on 07.06.05
DREAMS COME TRUE 吉田美和 中村正人 JEFF COPLAN
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<外からの視点で描く「ご当地」ソング>

 ドリカムの贈る大阪ソング。ご当地ソング、最近だとaiko「三国駅」とか関ジャニ∞の一連の活動とかが思い浮かびますが、どちらにせよ「大阪」だなーと。まあ、YUI「TOKYO」とか東京が冠せられた歌は多いですけど、東京はなんか都会での生活とか上京とか、「その土地らしさ」とは別の意味を与えられるケースが多いんで、本来のご当地ソングとはまた違ってくるような気もします。

 で、こちらもご当地ソングにしては特殊なケースで。それは、主人公が東京の女性で、大阪の恋人に会いに行くというシチュエーションであること。その土地をよく知る人間ではなく、外部の視点から「大阪」という場所を描いているんですね。

 遠距離恋愛、遠い道のりを経て会いにきて、東京ではなくこの大阪で暮らしていくくらいの決意を伝えてみても、煮え切らない相手にやきもきする。そんなシチュエーションなのですが、この裏には、上で述べた「ヨソモノから見た大阪」視点を絡めつつの、実に巧妙な作り込みがあるなあ…と感じるんです。

 「あなた」の他には馴染みのない場所、だから「あなた」だけが頼りだし、不安でも頑張りたいと思う女心。それを際立たせているのが、『何度ここへ来てたって/大阪弁は上手になれへんし』というフレーズです。慣れない言葉遣い、でもゆくゆくはここで暮らしたいから、なんとか上達したい…という気持ちをここに見ることができます。

 で、自分も関東人なのでよくわかりませんが、実際のところこの曲の歌詞の大阪弁はかなりアヤシイらしいのですね、どうも。でもそれはたぶん、慣れていなくても頑張ってここの言葉を使っていきたい!…と考えている、一途な「わたし」というキャラクターを浮かび上がらせるために、わざとエセ大阪弁で書いているんでしょうねー。ただユーモアや大阪らしさを出すだけではなさそうだなと。

 で、二人の温度の差というか、すれ違ってしまう感じも、遠距離恋愛ならではのものだなーという。
 かたや東京モンの「わたし」は、大阪にもっと溶け込みたいという気持ちがあるから『万博公園の太陽の塔 ひさびさ見たいなぁ!』と大阪らしいスポットに行きたがる。でも、地元に住んでいる「あなた」側にしたら、そんなものは珍しいわけでもなく、わざわざ見に行くようなところでもない。で、生返事してしまい『「そやなぁ‥」って行くの?行かないの?』ということになってしまう、と。

 また、東京タワーと通天閣を比べてみたりするのも、同じように大阪に寄っていこうとする気持ちがあるからこそなんでしょうね。真剣にそう言ってのける女心もよくわかりますが、言われた男としては確かにちょっと笑ってしまいそうです。
 やっぱりこうして比較を持ち出してくるのとかを見ると、大阪という地の内側に入ってきたというよりは、まだ外から扉をノックしている段階なのでしょう。知らない土地に慣れるのはただでさえ大変なのに、そこには恋愛という要素があるため、『毎週は会えないから けんかだけは避けたいし』というような遠慮もあったり…なかなかに道のりは長そうですねー。

 …と、「わたし」と「あなた」の行く末に思いを馳せてしまうくらい、細かい部分まで設定とキャラが生きているなあ、という。続きを読む
posted by はじ at 02:57| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月12日

DREAMS COME TRUE「もしも雪なら」

もしも雪なら/今日だけは
DREAMS COME TRUE 吉田美和 中村正人 AKON
ユニバーサルJ (2006/11/29)
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<切なさに感情移入するために、王道を外す選択>

 長い間トップアーティストとして活動を続けてきたドリカム。その楽曲は毎回バラエティに富んでいて、たいへん参考になるものばかりです。
 今回も、そのキャリアゆえの細かいテクニックを至るところに見つけることができます。

 たとえば、メロディ構成。『会いたい人に会いたいと言えないクリスマス』という印象的なメロディがありますが、これ、はじめに登場するときは『会いたい人には会えない』と、途中で切れた形で歌われるんです。残ったメロディ部分は歌われず、代わりに楽器でなぞられていまして。
 序盤では「…」と後を飲み込むかのような見せ方をし、次はちゃんと歌いきってそのままサビへと繋がる、効果的な構成になっています。

 サビのメロディラインは、それほどドラマティックではなく、淡々としています。しかし、『大人のほうが 恋はせつない』というフレーズと豊かな声が乗ることで、表面上は押さえた中にたぎる感情がある、というまさに「大人のほうが切ない」通りの表現になっているんじゃないかなと。
 シチュエーションとしては、『あなたはすでに誰かのもので』『はじめからかなわないことの方が多い』恋人がいる相手への恋という状況です。しかし、「大人のほうが切ない」というフレーズは、その状況に共感できない人も巻き込む大きく強い言葉ですね。


 クリスマスというと、想いが通じ合うハッピーな内容のもの、そして想いが届かなかった悲しく切ない内容のものに二分されます。ただ、悲しい曲にしても、クリスマス自体はその切ない感情ゆえに印象的に演出される場合が主流です。それを『クリスマスが 急にきらいになる』と否定することで、消化しきれない想いの深さを物語っているわけです。
 さらに、『もしも雪なら 雪になったら/あきらめないって ひそかに賭けてた』というフレーズ。何かと雪を降らせがちなクリスマスソングやストーリーが多いからこそ、雪が降る奇跡が起こらないこの曲の結末がよりずっしりと重くのしかかってきます。相変わらず感情移入度の濃い楽曲になっています。
posted by はじ at 01:56| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月23日

チャットモンチー「シャングリラ」

シャングリラ
シャングリラ
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チャットモンチー 高橋久美子 福岡晃子
KRE (2006/11/15)
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<ポジティブじゃ物足りない、負の感情さえも巻き込んで暴れまわる強い衝動>

 個人的に大注目しているチャットモンチーの、アニメ「働きマン」エンディングテーマになったシングル。

 タイトルにもなっている「シャングリラ」は、「理想郷」を意味する言葉です。曲中で繰り返し放たれるし、それだけでなく、手前で拍子を1拍余らせ一定のリズムをわざと崩すことで、余計に印象づかせてもいます。
 しかし、これは楽園のような「どこか」を明確に目指している歌ではありません。『僕らどこへ向かおうか?』と、進む道さえも、いやその前に「君」と二人で共に進んでいけるかさえ、かなり不安だったりします。

『夢の中でさえも上手く笑えない君のこと/ダメな人って叱りながら愛していたい』
『君を想うと今日も眠れない僕のこと/ダメな人って叱りながら愛してくれ』
 叱る。あんまりJ-POPではお目にかからない言葉です。
 ここ、叱らないでただ「愛する」だけだと、互いに相手の弱さを受け入れあいたい、みたいな文脈になり、そっちのほうがより「ラブソング」らしいです。でも、そうじゃない。反発し、それでいて愛していたいし、愛してほしい。「受け入れる」じゃぬるい、もっと赤裸々な関係でいたい。そんな激しい感情が背後には見え隠れしています。

 チャットモンチーの本質はそんな激しさだと個人的には感じていて。ポップスの歌詞って、何かと優しさを感じさせる内容や甘いささやき、退廃やノスタルジーなどキレイなものに終始しがちなのですが、その裏側にある「負」の感情を曝け出してくるんですね。
 「恋の煙」では独占欲、「恋愛スピリッツ」では嫉妬心。ただうっとり幸せなだけの恋愛じゃ物足りないし、満足できない。そんな強烈な衝動が、彼女達の作る歌詞には現れてくるんです。

 聴きやすいボーカルと適度にソリッドで実験的なサウンドメイクよりも、自分はこの強い衝動に惹かれるんですよね。
 転んでも『君の手を引っ張って離さない 大丈夫さ』なんて、何が大丈夫なんでしょう。すごく自分勝手な主張で、しかもそれをわかった上で(だってそんな「僕」を「叱りながら愛して」ほしいんですから)言ってのけている。
 利己的な自分を曝け出しながら、それだけ「君」といたいんだと主張している。優等生じゃない言葉だからこそ、その強い感情が浮き彫りになるんです。
 『希望の光なんて/なくったっていいじゃないか』…その強い感情の行く先が、たとえ悲劇であってもですね。そう考えると、理想郷「シャングリラ」というタイトルは、なにか逆説的な響きを帯びても響いてきます。
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2006年08月26日

手嶌葵「テルーの唄」

テルーの唄 (ゲド戦記 劇中挿入歌)
ヤマハミュージックコミュニケーションズ
手嶌葵, 宮崎吾朗, 寺嶋民哉

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<聴き手の感情を揺さぶるための「子守唄」のイメージ>

 というわけで、この夏のジブリ新作映画、「ゲド戦記」テーマ曲です。歌い手の手嶌葵は劇中テルー自身の役を務め、作詞は監督の宮崎吾朗自身が手がけています。
 曲タイトルも役名が入ってますし、正当なレビューをするなら本来は映画作品を観ないといけないところなんでしょうが…残念ながらまだ未見です。まあ、このブログは、取り上げるどの曲も予備知識がない人にも楽しんでもらえるように、というコンセプトのもと曲だけを見ることが基本なので、むしろ映画を観ていない人にも興味深く読んでもらえるようにするためには映画と絡めないほうが都合がいいのでは…ということで、理屈を捏ねつつ、ご容赦を。

 映画の原作は「世界三大ファンタジー」と称される小説作品で、当然ながら舞台も「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」とは違い、欧州的な雰囲気…いわゆる西洋ファンタジー世界っぽい感じです。自分の知る限り。ですが、この主題歌は、むしろ日本民謡的な旋律をしているし、また詞でも『悲しかろう』とか『虫の囁く草原を』みたいに、ちょっと古風さが漂っています。アレンジも、どこかでわらべ歌っぽい雰囲気を出そうとしているように感じたり。なんだか、子供の頃の夕暮れの風景を思い浮かべちゃうんですよね。同じように感じる人、きっといるはず。
 推測ですが、感じさせたかったのは「和風」というよりも、もっと根本的なところ…郷愁とか、童心とか、子守唄のような安らぎとか、そういうことなんじゃないかな、と。西洋世界に日本っぽい曲を当ててミスマッチを狙ったとかそういうんじゃなく、あくまでも伝えたいことがあって、それがこの曲に漂う物悲しさ、懐かしさでこそ表現できる。そう考えたんじゃないのかなあということです。西洋東洋関係なく、ただ郷愁を感じさせたい、浸ってもらいたいと思ったときに、この童謡/子守唄のようなフォーマットが最適だ、みたいな。
 実際、子守唄って不思議ですよね。赤ちゃんを寝かしつけるための唄なのに、なんだか哀愁があって、どこか鎮魂めいた雰囲気もあって…

 『心を何にたとえよう』というフレーズが印象的です。鷹、花、「あなた」…身の回りのものから影響されて発生するさまざまな感情、言葉にならないような移りゆく思いを、それでも何か表現したい、というような。あえて感情を表に出してこない囁くような歌い方(これがやっぱり子守唄チックなに思うんですが)でこうした内容を歌っているので、むしろ聴き手はあれこれ考えさせられますよね。
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2006年01月02日

東京事変「修羅場」

修羅場
東芝EMI
東京事変, 椎名林檎, ネッド・ドヒニー

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<やや内にも向かった演奏、矛盾を含む強い感情、じわじわと迫りくる「情念」の空間>

 相変わらずの林檎テイストが満々ですが、それでもやっぱりメンバーが変わったことによって、確実に音が変わっている部分があるなあと。今までの東京事変、「群青日和」「遭難」とかは、とにかくわーっと各自突っ走る、衝動的な面が濃かったように感じていたのが、この曲ではそれがだいぶ抑えられている風だなあと。や、もちろん個人個人の音は相変わらず鋭いですし、お互いを刺激しあってもいるんですが、それがどどっと押し寄せるように迫ってくるのではなく、背後に潜ませにおわせている感じというか。
 新メンバーの浮雲・伊澤一葉ご両人の顔見せの意図なのか、それぞれギター・キーボードソロが割り振られているんですけれども、明らかに感情がこもったプレイでありつつも、過剰さはないですよね。クールさ、クレバーさを感じさせるなと。次のアルバムが「大人(アダルト)」なのも、なるほどなあ…と。

 まあ、そんなところもありつつ、椎名林檎の歌詞世界は相変わらずでありつつで、今回の曲は「情念」を強く感じさせるなあというのが率直な感想です。表にはそれほど出さないけれども、奥では強い感情が渦巻いている…みたいな。
 そしてその「情念」は、「相手を好きになる/想い悩む・苦しむ」「相手を忘れる・失う/楽になる」の狭間で逡巡する感情…と読めるかなと。前二作までと同じく、アンビバレントを内包した思いですね。「貴方」を愛するが故に傷ついてしまう、逆に言えばそれだけ激しい自分の感情に振り回されていると見られます。
 理性では『一層この侭通わないとて構わない』『揺れては末(おわり)』『是以上識りたくなどない』と、「貴方」から遠ざかろうとしている、あるいは自分自身に言い聞かせようとしているようです。しかし、本心では、そんなことはできないわけですね。『何方か(だれか)に会えば記憶を奪取まれよう(ぬすまれよう)/喉を使えば貴方が零れ出で溢れよう』…ここは、誰かに口を開けば「あなた」のことばかりを話してしまう、ということなのかなと。

 今回は前二作に比べるとなかなか難解で、これ以上踏み込むともうそれは個人の主観に過ぎなくなりそうなので、ここまで。また他にも、心中の歌だとか、「貴方」には別の想い人がいるとか、そういう解釈もできるかなーと。そっちのほうが「修羅場」って感じですし。
 ま、でも根本にあるのは「貴方」への想いが募りすぎて苦しんでいる、というところで間違いないかなと。シンプルな感情のはずなのに、どこまでも複雑に膨らみねじ曲がり混沌としていく胸の内、そういう「情念」を表現したいがために、椎名林檎の世界はこういう小難しい表現方法になるのかなあ、とちょっと思いました。
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2004年12月28日

TiA「ねがい」

ネガイ/バースデーイヴ
TiA, 渡辺なつみ, 大野宏明, H.U.B., Face 2 fAKE
ERJ

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 デビュー曲「Every time」でビックリさせられて以来、勝手に注目している17歳の新人TiAの3rdです。
 超シンプル&オーソドックスなバラードで、まあきっと魅力である声の良さを大々的にアピールしたかったんだろうなという計略がはっきり見えてまして、それが成功したのかどうなのか、それなりに有線なんかでも流れているようです。試聴はこちら。なんか雰囲気だけでなく、メロディラインやコードまで、MISIA「Everything」っぽいですね。声質はけっこう違いますけど。

 似ている曲があるから、ってわけではなく、フレッシュさに欠けるような。本当に何のひねりもないんですよ、今回。「いい歌でしょ」ってオーラ出しまくりで、確かに悪くはないんだけど、「Every time」で見られたようなみずみずしい感性が、かなり無視されているような気がするんですよね。
 作詞も作曲もクレジットは完全に外部委託でして、曲調といい『私だけの あなたでいて』『つないだ手のぬくもり』など定型的な詞といい、型どおりの曲を作って押し込めているような感じ。売れ線を狙うのは非常に職人的な難しさがあり、それ自体が悪いことじゃないんですけど、でも今回は歌い手の魅力をいくらか殺してしまっていると思うんです。
 ま、自分が入れ込んでいるだけの話って噂もありますが。
 
 とにかく2nd「流星」の記事で心配したことが起こってしまった、という感あり。もっと自由にやらせてあげた方がいいと思うんですけどねー。
 ただ、全部自作しろ、とは言いませんが。c/wの「バースデーイヴ」は、やはり自作曲ではないけど、いい味出てるんです。こうやって他人の作った曲を歌いこなしていくのは、ステップアップしていくにはプラスに働くはずですし。
 なのでやっぱり今回の問題は、できた曲が「狙い過ぎ」な点だったなと。今回だけならいいんですけど、これからもこういう路線でいくとしたら、やだなー。

 とりあえず、方向性を見極めるため、1stアルバムを聴いてみることにします。
posted by はじ at 22:59| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月04日

玉置成実「Reason」

Reason
玉置成実, shungo., ats, Saeko Nishio, Yuta Nakano, mavie, Miki Watanabe
ソニーミュージックエンタテインメント

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 「ガンダムSEED DESTINY」のテーマだと聞かなくてもすでにアニメ主題歌っぽい、キメキメの打ち込みデジタルナンバー。こういう曲って最近めっきり減ったような気がしますが、気がするだけですかね。一定量の需要は常にあるのですけどね。

 なんか『変換ってく』で「かわってく」、『あの頃の二人に戻るかな?』で「なれるかな」と読ませていたりして、なんだかTWO-MIXを思い出してしまいました。こういう当て字も、このテの曲には多いですね。TMRとかもそうだし。リズムとか、サビが同じパターン二回でできているとか、『約束』『奇跡』『真実』あたりの単語とか、伝統を踏襲している(?)箇所が、多く見られます。
 ただ、意外にもボーカルがけっこう独特というか。メインストリームなのは、伸びやかでどこか無機的な歌い方なんだと考えているんですが、この玉置成実って人はけっこう感情を入れているというか、楽しそうに歌っているのが印象深いです。ちょっとぶっきらぼう気味ですけど。
posted by はじ at 23:39| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月28日

DREAMS COME TRUE「ラヴレター」

ラヴレター(初回)
DREAMS COME TRUE, 吉田美和, 中村正人
ユニバーサルJ

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 やー、いい感じですね。ドリカム真骨頂というか。アレンジ効かせまくりーのフェイク入れまくりーの超絶技巧もまたドリカムらしいといえばそうなんですが、こういうシンプルな作りにボーカルの力と身に覚えがある人には殺人的な威力の詞、がやっぱり原点かなと。
 そう、原点に立ち返った感じがしますよね。なんでだろう。「ROMANCE」あたりからここ数年、詞がちょっと大人っぽい内容になったからかな、10代っぽい恋愛から20代っぽい恋愛に・・・とか思ったんですが、別に初期だって子供っぽくはないし。うーん?
 などといろいろ考えてみましたが、結論としては「みずみずしさ」が戻ってきたのかなあと。最近の曲も出来が悪いわけじゃなくて、迫ってくる「生々しさ」は常にあったけど、アダルティーだったり気だるかったり技巧的だったりはしても「みずみずしさ」はやや欠けているところがあったのかもなあ、と考えました。やっぱり描かれている感情のピュアさって部分が大きいのかな。インタビュー(試聴あり)とか読むとメロディーの大元は小学校時代からあった(!)ということで、そういうのも影響しているんでしょうかね。

 タイトルは「ラヴレター」ですが、 シチュエーションとしては「直接告白してふられた後」の気持ちにスポットが当たっています。でも、自らの想いをつづった『出せない手紙』も歌詞中に出てきて。この「手紙」は「気持ち」の比喩とみてもいけそうですけど、『言わずにいられない程』というフレーズや全体の流れから考えて、「ラヴレターを書いたけど出せないままだった。でも、『あなた』と会ったときにあんまりにも気持ちが込み上げてしまって、直接告白して、だけど断られてしまった」という展開を想像してみました。まあ、勝手な解釈なんですが。
 でもそう考えると、ふられた後にも『出せない手紙』は手元に残っていることになるわけで、想いが実らないことが確定した後でも「好き」という自分の気持ちを嫌でも意識させられてしまう、なんて実に切ない状況が思い浮かびまして、自分好みなのです。

 出だしの『一点の曇りもなく/あなたをずっとずっと好きでした』という、このフレーズだけで一曲作れそうな、ストレートに刺さってくる想い。告白したときのことを回想して、ふられたのにもかかわらず相手のことを考えて『ごめんね』『ありがとう』と言ういじましい想い。そしてふられた今、どういう顔をして「あなた」に会えばいいんだろう、という考えただけで身もだえするような感情。特に最後の想いは、ずっとたゆたうシャッフルのリズムに乗った旋律だったのを急にまっすぐにして、シリアスさを際立たせています。
 それぞれに重みのある三つのピュアな感情を一曲にまとめて、しかも冬の雪が降り積もる情景をそこに浮かび上がらせてもいて。これはもう、ドリカム中でも屈指の出来と言っていいんじゃないでしょうか。
posted by はじ at 11:18| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月11日

東京事変「遭難」

遭難東京事変, 椎名林檎, Tom Glazer東芝EMIこのアイテムの詳細を見る


 バンド二作目、今回は椎名林檎自らの手による作曲。なんというか、鳴っている和音から微妙に外してくる、スケールから半音ずらしてくるメロディワークが流石って感じがします。コード上やスケール上にない音を乗せると、明快ではなく深い、一筋縄ではいかない響きになるわけで、そういうのを出したい、あるいは自然ににじみ出てきてしまうんだろうと。
 わかりやすい例がサビの最後『「救助して。」』で、ここ楽器のほうは暗い感じで終わる響きになっている(=和音が短調で解決している)のに、歌の「て」は微妙に浮いた感じで伸びているじゃないですか。これだけでかなり倦怠っぽさが漂うようになるんですよね。
 で、相変わらず演奏隊がどれも触れたら切れそうないい音してますよね。

 歌詞も前回の「群青日和」と同じく、一見よくわからない独特の言い回しを使ってはいるものの、描かれている気持ちそのものは難解ではないです。『傷付け合いの会話』がエスカレートしていくけれども愛しさはお互いにあって、の『如何にでもなりそうな事態』。そこから相手の手を掴んで引きとめ『振り向きもせず/慈しみ合う』なかでの、『如何にかなるかも知れない』という思い。こうした、制御できず乱れるままの感情を描き出そうとするのが、椎名林檎の特徴のひとつかなと。
 で、そうした、かきむしるような激情から『「救助して。」』もらいたい、引き戻してもらいたいという状況が、タイトルの「遭難」なわけですね。さらに、その状況は『「出遭ってしまったんだ。」』という言葉の示すとおり「出遭い」によって引き起こされた事態なわけで、わざわざ「遭」の字を使うあたり、うまいこときっちり掛けてるなあと感心します。なんだかカッコいいからって理由だけで「出逢い」とか、もしくは「思い」を「想い」とかわざわざ書いちゃったりする人は、椎名林檎を見習いましょう、ということで。
posted by はじ at 22:53| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月04日

W「ロボキッス」

ロボキッス
W, つんく, 高橋諭一, 鈴木Daichi秀行
アップフロントワークス(ゼティマ)

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 うん、曲はいい感じですね。やっぱり、つんくは「いかにもなアイドルっぽさ」をいつも念頭において考えているようなので、そうするとこのくらい子供っぽさがあって、割合ハチャメチャにできる方が、持ち味を生かせるんかもしれません。「〜だわ」っていうわざとらしい口調がハマるとことか。

 ロボット、というモチーフを出してきたのが、やはりポイントです。「キス」「恋」を前面に出しまくってきても、ロボットのイメージがクッションになっているため、うざったくなりそうなのを抑えてるんですね。
 これは、聴き手の頭の中に「ロボットは感情を伴わない、そのはずだけれどある人間と出会うことで愛を知っていく」という類の「物語」が、すっかり頭の中に染みついているからこそ、生きてくる戦略です。実際には、この曲の歌詞中にはそんな「物語」は描かれてはいません。むしろ、いつものつんくのパターン、恋愛をいつも積極的に志向しているような生身の女の子の姿が見えています。でもそこに「ロボキッス」というタイトル、機械的な音楽作り、そして『キスはわかるわ〜ロボットだっても』という一文をスパイスとして加えるだけで、聴き手の頭の中には「愛を知っていくロボット」という物語が勝手に創作されて、ひたすら「好き」を連呼するサビにも、深みを感じるようになります。無意識下の影響って、けっこうすごいもんなんですよ。
 あ、「アイドル」における「偶像性」ってのも、メディア文化の発達した現代だと「プログラムされた人間像」という見方が自然と呼び起こされるわけで、こうした点でもロボットと親和性高いですよね。よく知っているわけじゃないですけど、その昔Winkなんかも、人形みたいな振り付けしてたじゃないですか。確か。あれもそういえば女性二人組アイドルユニットですよね。

 とりあえず今いちばん力が入っているようですね、ハロプロとしては。それだったらデビューがカバーだったのはいったいなんだったんだろう、という話になってくるんですけど。
posted by はじ at 22:53| Comment(0) | TrackBack(1) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月04日

東京事変「群青日和」

群青日和
東京事変, 椎名林檎, Lorenz Hart
東芝EMI

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 椎名林檎のバンドとしての再始動一作目です。PV試聴を参考にしてもらえばわかる通り、非常に突き抜けたバンドサウンドを展開してます。どの音も全開だあって感じですけど、一番印象に残ったのは、ドラムのシンバルの耳に残る響き方。ちゃんとリズム刻み付けつつも、『新宿は豪雨』な降り注ぐ雨っぽさも出しているようで。そう見ると、キーボードは新宿の喧騒でしょうかね。

 そうした音の雨嵐の中で、きちんと存在感を切り開いてくるボーカル。声も、ちょっと毒っ気は薄れた詞世界も、相変わらずバリバリにキャラ立たせにきてますね。
 この「椎名林檎世界の構築」への偏執的な情熱が、デビュー以来コアなファンを獲得してきた大きな要因だと思うのです。

 ただ今回からは、ちょっと事情が変わってくるんじゃないかなと。今までのソロ活動形式だと、あくまでも個人によって計算された世界だったって印象があるわけですが、バンドという形式を取ることで、演奏者がメンバーとしてそれぞれに「せめぎ合う」、つまり椎名林檎個人の範囲を超えていくスタイルで行きたいのかもしれないなあ、という気がします。個人の内側で葛藤するよりも、一つの音楽を作りつつも対等にぶつかっていける仲間を設定することで、より「椎名林檎らしさ」が出せる、ということも期待できるわけですし。主張しまくるバンドサウンドVS椎名林檎のカリスマ的個性、という構図を、音から感じました。
 それぞれの演奏者の能力が高い地点で拮抗していないと空中分解してしまいそうなやり方ですが、少なくとも今作においては、椎名林檎の持ち味をまっすぐに放出できていますし、成功なんじゃないかなと。メンバーの放つ衝動の方向と強さがうまくかみ合っているんでしょう。

 詞は、一時期に比べるとぐっとわかりやすくなってますね。それでも日本語訳が必要そうなほど、凝った言い回しだらけですけど。基本的には、「あなた」と「わたし」の気持ちのすれ違い、そこからくる対話の白々しさへの苛立ち、ひとりになって行き場のなくなった思い、とまで読んでいけます。
 特に行き場のない悶々とした思いというのはこの人の得意分野なわけで、『答えは無いの? 誰かの所為にしたい/ちゃんと教育して叱ってくれ』なんて、「教育」とか独特なわりに生々しいですよね。
 で、そうした感情と、舞台である雨の東京の情景を重ねていたりもしますね。
 『突き刺す十二月と/伊勢丹の息が合わさる衝突地点/少しだけあなたを思い出す体感温度』というフレーズに注目してみます。「伊勢丹の息」というのは、きっと外に漏れてくる暖房の比喩でしょう。刺さるような寒さの街を歩いていて、デパートから温風が流れてくる、そこに「あなた」の温もりを思い出しているわけです。少し視点を変えると、「あなた」の温もりが無ければ「わたし」は常に突き刺さるような寒さの中にあるんだ、ということですね。『誰か此処へ来て』という叫びも示すとおり、他者への依存具合が非常に高い「わたし」の姿が見えてきます。

 曲のテンションも高いことですし、解釈とかあんまり気にしないで、言い回しの妙だけ楽しんで音だけ聴いててもよさそうですけどね。
posted by はじ at 19:01| Comment(3) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年09月23日

東京エスムジカ「月夜のユカラ」

月夜のユカラ
東京エスムジカ, 早川大地, 佐藤”フィッシャー”五魚, Spanish Connection, こだまさおり, 瑛愛
ビクターエンタテインメント

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 『今宵 朧月夜』で始まる、有線でずっとかかっていて気になった曲です。

 ゆったりとしたサウンドは和風、というか非西洋風と言うほうがいいかな。歌い方、音のひっかけ具合は、元ちとせみたいな島唄の手法っぽいです。でも強調しすぎないし、「ユカラ」というのはアイヌ語で「叙事詩」の意でむしろ北だし、音楽の作り方から言っても、単純に民族音楽的な響きを作り出そうとしているんじゃないかなと。
 また、声を生かそうとするってより、声も楽器の一部のようにして、全体の幻想的なサウンドの一環にしているフシがあります。だから言葉もそうで、ほとんど古語的な言い回しになっています。雰囲気作りが第一みたいですね。途中、祈祷の呪文みたいにカタカナ表記になっていたりしますし。
 その辺りが功を奏しているのか、耳について離れない曲になってます。決して欧米ではありえない「月夜」のムードが漂ってますね。
posted by はじ at 14:23| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年09月14日

W「ああ いいな!」

ああ いいな!
W, つんく, 鈴木Daichi秀行, 平田祥一郎
アップフロントワークス(ゼティマ)

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 ぱっと聞きで、リスナーをひきつけるための手法というのは、いろいろあります。サビで始まる、転調を多用する、などなど。その中の一手法として、今回の『なまずはうろこがな〜い』という突飛なフレーズができるわけです。なので、「意味がわからない」「何を急に」「だからどうした」等々の紛糾は、意味がないし、製作者の思う壺なわけです。
 ただやっぱり、曲単体でならともかく、ドラえもんのエンディングとしては、ハメはずし過ぎな気もしますよねえ。なまず。なまずだしなあ。
 まあ、問題なのは、以前オープニングもばっさり変えた前歴もある、アニメスタッフの側にあるような気もしますが。

 完全に子供向け路線な感じですが、じゃあデビューが昔の歌謡曲のカバーだったのはどういうことなんでしょうか。いろんな歌を歌わせて、経験を積ませ、育てていこうってことですか?怪しいなあ。
 一応、子供がきっちり楽しめる出来になっていると思いますよ。アレンジを変えれば「みんなのうた」にも出せそうです。大人のファンの方には、ちょいと辛いかもしれませんけど。
 発想の飛躍なんか、うまい具合ですよね。ただちょっと恋愛の方向に持っていきすぎかなと。でも、最近の子供はおマセさんですからねえ。

 しかし、ユニット名が「W」だと、検索しづらくてめんどいですわ。
posted by はじ at 19:04| Comment(0) | TrackBack(1) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

TiA「流星」

流星 (CCCD)
TiA, 小林夏海, 河野圭
ERJ

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 前回、デビュー曲「Every time」をベタ誉めしました、弱冠17歳・TiAの2ndシングルです。
 デビュー前、中学生時代に作ったという、完全に自作だった前作とは異なり、今回はアニメエンディングのタイアップということもあるからか、詞・曲ともに共作者の姿が見えます。そのせいか、ちょっと歌い方が窮屈めになっている感が。伸びやかな声は、小柳ゆきよりも肩肘張ってなく、MISIAよりもブルージーでないぶん健全なつややかさがあり、相変わらず魅力的なんですが、詞の言葉の流れよりもメロディラインをなぞることに意識を置きすぎている感があります。
 本当に自由自在に歌っていた前作よりも、ちょっと曲を自分のものにできていないかなと。まあきっと人の手が入った歌を歌いこなすのは初めてなんでしょうし、しょうがないかなとも思いますが。

 詞、うん、いいんじゃないかな。うだうだ悩む曲が多い昨今、『「自分らしさ」なんて
考えても意味なんてないね』『迷い続けることが ひとつの答えになるよ』と、すぱっと言ってのける17歳。うん、爽快。みずみずしさに溢れてます。こういう言葉を自然につむげるセンスがあるので、これからにとっても期待。
 ただ、まだ多感な時期ということもあって、既存のフレーズ、節回し、定型句に毒されてしまわないかだけが心配で。まだ無意識で言葉を織り成しているっぽいので、意図的戦略的に曲を作っていくこれから、どこかで聞いた言葉を知らず知らず使ってしまうようなことがありそうで。今回も、『「何が間違っているのだろう?/何が間違っていないのだろう?」』ってな自問自答は、とってもありがちなので。
 また、共作ということで、その道のプロが「売れる」「惹きつけられる」狙ったフレーズを取り入れようとしてくる、ということも考えられます。そんな方針になったら、せっかくの彼女の感性が台無しになってしまいそうで。うーん。
 なので、ぜひ大事に育ててもらいたいです。できるだけ好きなように作って歌わせてあげるほうが、才能を伸ばすことにつながってくると思いますが、そんなことここで言っても仕方ないか。
posted by はじ at 17:59| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年08月01日

Tommy february6「L・O・V・E・L・Y〜夢見るLOVELY BOY〜」

L・O・V・E・L・Y~夢見るLOVELY BOY~(CCCD)
Tommy february6, MALIBUCONVERTIBLE, HAWKER MIKE, RAYMONDE IVOR, トミー フェブラリーおねえさん, マリブ コンバーチブルおにいさん
DefSTAR RECORDS

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 上記「トミーフェブラリーおねえさん」とかあるのは、おそらくポケモン劇場版のテーマだからでしょう。好きそうなノリですよね、そういう役柄演じるのとかって。
 えーっと、いつも通りとしか言うことがないような。アニメ主題歌だっても、ぜんぜん変えることもないですからね。キラキラした音と、ややファンタジー入ってる夢見がち少女な詞。しかも今回は『エル・オー・ブイ・イー』とかやってるし、いっそうその傾向に拍車がかかっている感じです。『冒険したい あなたとなら!』とちょっとアニメ意識しているっぽい箇所もありますが、音がこんなマイペースなテンポで80年代バリバリと言われるディスコなサウンドだと、浮いてしまっていないのか実に心配です。

 前回の「MaGic in youR Eyes」とかは案外気に入ってしまったんですが、今回はそうはよく感じないです。個人的に。何がそこまで違うんだか、自分でも本当にわかんないですけど。強いて挙げればメロディラインかなあ。
posted by はじ at 18:48| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月10日

DREAMS COME TRUE「OLA! VITORIA!」

OLA! VITORIA!
DREAMS COME TRUE, 吉田美和, 中村正人, MASAYOSHI TAKANAKA, DAVID SPINOZZA
ユニバーサルJ

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 すごくラテンぽく感じますよね。歌も音もいつものドリカムなのに。詞にポルトガル語が入っているわけですが、その影響力はあんまりないだろうし。もともとラテン系の素質があった、ということなんですかね。力強いボーカルの伸びだとか、幅のあるアレンジ力だとか。そういう日本人離れしている力を持っているのに、叙情的「切ない」邦楽的な歌も一級品なわけで、つくづくすごいよなあと。

 さりげなく混じった5/4拍子が、ずんずんと迫る力強さを出しています。構成も、昂ぶりを抑えている感じのAメロ、ぱっと視界が開ける伸びやかなBメロ、そして力強いサビと盛り上がりを計算して作られています。が、ちょっと残念なのはBメロ、ここ単体ならいい出来なんですが、ちょっと全体のラテンなノリからは浮いて聴こえてしまいます。わざと雰囲気をぱっと変えているのかもしれませんが、自分としてはマイナス要因。
 ドリカム今年入ってから元気ですね。確かに当分はフォロワーなんぞ寄せ付けないでしょうしその前に出ないだろうし、まだまだ頑張ってもらいたいです。
posted by はじ at 19:09| Comment(0) | TrackBack(1) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年06月30日

TiA「Every time」

Every time(CCCD)
TiA, 河野圭, Kathy Sommer, Sally Wacht, 藤本和則, 安部潤
ERJ

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 ええ!?17歳になったばっかり?嘘でしょ信じられん。
 いや、歌がうまいってだけなら、まあ最近そういう人いっぱいいるし、わかるんですけど。この歌、作詞作曲も本人、しかも作ったのが中学生のときだということで。で、ちょっと仰天するくらい、出来がめちゃくちゃいいんですよ。
 『君は僕のこと 何も知らないと/そう言われて 急に息が出来なくなる』なんていいですよね。で、『知らず知らず 好きになっていた』と続くBメロでは、メロディに弾みがついて、ボーカルのみずみずしさがぱっと溢れてくると。ここが出色で、何気なく聴いていてもはっと興味をそそられるくらいの力があると思います。サビはそこまで飛びぬけたものはないですけど、最後の「あなたを想う」と広がるイメージで終わるのがいいですね。システム的に言うと、主音(ドレミファソラシドで言うなら、ドね)で終わっていないためにこうした印象になるんですけど、そういう響きを、おそらく無意識のうちで理解して使うセンスがあるわけです。

 詞は、全体を見ると、「海での二人」という状況がまずあって、そこから少々気張って広げすぎかな、と思ったりはしました。愛は何よりも強いのよ、壮大なのよ、みたいな、思春期の女の子によくある浸りすぎな傾向がちらほら。ただ、弱冠17歳でのデビュー曲だからむしろ初々しくてプラスにも映るし、『太陽が昇り 月が沈むまで』あなたのことを想っている、ってのとか、やっぱりちょいと大げさすぎるんですけど、でもこの表現自体は非凡なものがあったりして。なかなか使えないですよ、こういうフレーズ。
 歌もうまい。うまいっても見せつけるうまさじゃなくて、ナチュラルな響きがして。総じて、とても四つ下とは思えないレベル。センスが磨かれすぎだけど、オフィシャル見ても、宇多田ヒカルみたく、特殊な環境や経験を経ているってわけでもなさげ。どういうことだこりゃ。

 というわけで、中学生の間にできた曲で高校生が歌っているとはとても思えない完成度です。こんなショック受けたのは、広瀬香美が「ロマンスの神様」を中学生のときに作った、って聞いたとき以来ですわ。正直なとこ、平川地一丁目がすっかりかすんでしまいました。やっぱり女の子の方が早熟なんでしょうかね。
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2004年06月14日

Tommy heavenly6「Hey my friend」

 Tommy february6ではなくheavenly6です。まあ中身は一緒なんですけど、方向性がだいぶ違うので、使い分けたいっていうことなんでしょう。
 februaryはブリグリ時代とは一線を画した少女っぽさ全開のメルヘン世界を繰り広げていたわけですが、このheavenlyの方はむしろブリグリ時代に近い匂いを持ってます。曇ったような重苦しい音と、『出口が見えなくて』『すべてがデタラメに見えるこの世界で』などの塞ぎがちな詞。februaryとは正反対っぽいですが、「あなた」にすがるところなんか、かよわい女の子、っていう部分でfebruaryと共通してます。やはり元は同じで、一人の女の子の両面を切り取った感じ(躁と鬱ってくらいに極端ですけど)と言えそうです。
 平井堅「キミはともだち」とは違い、この曲の「my friend」は、異性でも同性でもいいような気がします。異性なら恋愛感情ありでもいいけど、なしでもいいような。加えて、悩み苦しむheavenlyが明るく前向きなfebruaryを求めている、みたいな、自己内での葛藤と解釈しても面白いんじゃないかと。
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2004年05月31日

W(ダブルユー)「恋のバカンス」

 モー娘。の辻と加護のコンビです。昔はどっちがどっちだか顔の区別つかなかったもんですが。
 もう、なんつーか、カバーはお腹いっぱいですよ。さすがに。カバーの意義っていうのは、

 1.過去の名曲へのリスペクト
 2.既知の曲を斬新に解釈・アレンジ
 3.既知の歌い手に新たなイメージ付与

 という要素があるわけですが、今回とかは3だけ、つまり辻と加護にこういうレトロでアダルトな雰囲気の歌を歌わせることでギャップを出して新たな魅力とする、みたいな感じ。低年齢アイドルに大人びた歌を歌わせるなんていうのはもうそれこそ使い古された手法だし、カバーでそれをやるってのはつまりはじめから「大人っぽい曲」を拝借してきて、曲自体のイメージをそのまま流用するわけで。つまりWというユニットのキャラクターを立てるためだけに、過去の名曲が使われているってことで、上の意義の1と2は完全に無視されているわけですよ。
 それだったらまったく逆のコンセプトである、歌い手のイメージで過去の曲をウクレレ弾き語りにアレンジしているつじあやののアルバム「COVER GIRL」のがずっといいですね。こっちも、流行に乗っている感は否めませんが。
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2004年05月09日

DREAMS COME TRUE「マスカラまつげ」

 実はあんまりちゃんと聴いてないんですが。
 とにかく、迫力があるわけです。揺さぶってくるものがあるのです。歌詞は、特にこうした失恋の曲は描写的で、細かいところまで現実的で、ひときわ生々しいストーリーが語られていたりして。

 この失恋の生々しさは、語られるストーリーがキレイキレイした「詞」ではないというところから出てきているんだろうなあと。歌詞ってのは何かと抽象的になったり状況や言葉を勝手に選別したりしまいがちなんですが、吉田美和はあえてそうした不思議なお約束を踏み終越えます。たとえば水入れたバケツ持った友人の姿に笑っちゃったり、泣きながらうどん食べたり、今回なんかだと涙のせいでマスカラが落ちて『みごとパンダ顔』になっちゃったり。そういった、物語としてはちょっと格好が整わない、完璧じゃない部分が、出来過ぎたキレイな別れのシーンよりも、揺さぶられるような共感を呼ぶわけで。
 吉田美和の歌唱力と『パンダ顔』な主人公、ってのはけっこう不釣合いな気がしてしまうんですが、まあありなんでしょう。『こっちをもう見ない あなたはだあれ?』なんてドキッする一文を効果的に使えるのはやっぱりあれだけ感情を乗せて突き抜けてこれる声があるからなんでしょうし。
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