2004年09月08日

大塚愛「金魚花火」

金魚花火(通常盤) (CCCD)
大塚愛, 愛, Ikoman
エイベックス・ディストリビューション

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 金魚花火って、造語だと思ったら実在するんですね。参考:こことかこことか。
 とは言うものの、実在の金魚花火そのものではなく、『心に泳ぐ金魚は』とあるように、言葉のイメージから曲を広げていったような感じですね。

 一年前、つまりデビュー以前からあたためていた曲と言うだけあって、思い入れも感じられるし、きっちり作ってある印象。この人、あんまり量産させるよりも丁寧に仕上げていったほうが絶対にいいかと。
 いや、今回の曲がいいのでぶっちゃけますが、これもデビュー前からあった「さくらんぼ」はともかく、「甘えんぼ」は無理やりコードに合わせたような旋律だし、「Happy Days」はノリと勢いとツッコミがすべてだったし(それはそれで楽しかったけど。特にツッコミ)、プロのシンガーというには、まだまだ未成熟な面が多いのですよ。まあ、女性芸能人とかで舌足らずなしゃべり方がウケたりするように、そういうのをある種の魅力としてやってたり受け取ってたりする面もあるわけですが、でもやっぱ内容は薄いより濃いほうがいいわけで。

 今回の「金魚花火」は、たとえば旋律への言葉の乗せ方にこだわりがありますよね。言葉の響きを生かそうとして使ってる感じ。『ぽたぽた落ちる』とか『あなたの優顔(ゆうがお)』とか。やればできるじゃん。できないのかと思ってましたよ、メロディに沿った詞を乗せるの。今までのシングルのメロとか、手抜きに見えるくらいにやばいですからね。
 だから、アラがでないようにゆっくりひとつひとつやっていって欲しいんですよ。でも、エイベックスだし、無理かな。本人も「焦らずじっくり」なんて気はなさそうだし。


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2004年08月21日

上戸彩「あふれそうな愛、抱いて」

あふれそうな愛、抱いて (CCCD)
上戸彩, 三浦徳子, 清水信之, 広沢タダシ, Sin, T2ya
ポニーキャニオン

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 前作「風」に引き続き、織田哲郎提供曲。「風」の和風さはやっぱりあれ一回限りのようで、今回は織田哲郎の真骨頂、爽やかな夏向きポップスに仕上がってます。ZARDが歌ってそうな。あ、でもあんまり90年代っぽくはないな。
 一聴するとシンプルで耳に入りやすい感じですが、けっこう和音だとかいろいろ工夫されていて、旋律も音程の跳躍が頻出したり半音の揺れがかなり組み込まれていたり、実際には意外と歌いにくいと思われます。跳躍は一応ちゃんとできてますが、半音のうねりの感じはあんまりうまくないですね。やっぱり根っからのシンガーじゃないから仕方ないのかなと。試しにaikoに歌わせたら、かなり差がわかりやすく出てくると思います。

 半音の微妙な味わいがあんまり出せてない、というのも関連するのですが、『去年とは少しだけ違う/君がいない夏』という、一年前の恋を思い返しているシチュエーションなのに、あんまり切ないって感じがしないんですよね。爽やかさ、軽快さがずっと勝ってしまっていて。タイトルも失恋ものっぽくはないし、歌い方のせいもあるんでしょう。

 あと、間奏がいい加減すぎると思うんですがどうでしょう。手抜きっぽく聴こえます。
 織田哲郎の作るメロディとしては、サビ始まりとかBメロでの転調とかベタでありつつも、膨らみと豊かさがあって、かなり自分好みなほうなんですけどね。もったいないなあ。
posted by はじ at 10:37| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年08月09日

安室奈美恵「ALL FOR YOU」

ALL FOR YOU(CCCD)
安室奈美恵, NATSUMI WATANABE, JUN ABE, AKIRA
エイベックス

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 出だしのストリングスだけ聴くと、曲間違えたかって思いますね。特にこのところはスタイリッシュでドライでクールなナンバーを続けていた印象があって、しかもその路線を実にマイペースにこなしていた感があったので、こういうのが好きなんだなあ、うまいこと過去から脱出して自分の道を歩けているなあと思っていたら、急にウェットなバラードなんだもの。

 でも、安室さんも、こうした壮大さあるバラードを歌うようになったんですね。「CAN YOU CELEBRATE?」で『二人きりだね 今夜からは 少し照れるよね』と歌っていたのに対し、今はもう照れることもなく、堂々とした歌いっぷりを聴かせてくれます。フェイクとかの響かせ方も、さすがにその辺の「それ感情のままにアドリブしてないから!」感丸出しな似非フェイクとは違い、もう手馴れたものです。詞がなんかかなり英語混じりで多少野暮ったいですが、メロディにはうまくはまっているんでさほど違和感ないです。

 何で急にバラードなのかと思ったら、ドラマのタイアップなんですね、これ。ああ、この曲が「君が思い出になる前に」の主題歌なのか。この題見たときあのスピッツの過去の名曲がついに「空も飛べるはず」「夢じゃない」に続き再燃か!とか思っちゃいましたよ。っていうかスピッツファンはみんな、何も関係がないことに気づいてずっこけたんじゃないかと。まあ、タイトルには著作権は適用されないことですし。
posted by はじ at 20:51| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月24日

大塚愛「Happy Days」

Happy Days (通常盤)
大塚愛, 愛, Ikoman
エイベックス・ディストリビューション

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 すっかりツッコミ系シンガーとしての地位を不動のものにしましたね。声にエフェクトがかかってるのはツッコミを生かすためなんじゃないかと思えてしまうくらい。「さくらんぼ」のあの見事に決まった「もう一回!」路線をさらに広げてくれてうれしい限りです。
 まあ、自己ツッコミってのは往々にしてサムいもんなんですが、でも実際ポップス聴いていると、こういうツッコミ入れたい歌ってありません?たとえばぱっと思い浮かんだのが川嶋あい「525ページ」で、『100年先までずっとね一緒だよと海で言われたよ/今はまだまだまだ 夢の中の世界だけなんだ』なんて実に大真面目に歌ってますけど、それこそ『夢かい!!』ですし。けっこう邦楽の歌詞って、一見ステキなようでも冷静に読んだら『どんなんやねん!』ての多いですよ。そう考えると、こういう素人上がりの子が(同い年か・・・)そういう邦楽の世界に入ってきて曲を作る上で、自己ツッコミしてしまうってのはなかなか面白いですよ。
 最後の繰り返しにもツッコミが欲しかったなあ。余韻ぶち壊しですけど。

 曲はやり過ぎなくらい激しいアレンジになってますね。まあこれだけやらないと、「さくらんぼ」と似ているって言われちゃうんでしょうけど。今も言われてますが、それ以上に。大胆さは褒めていいんじゃないでしょうか。
 あと、サビの『Happy Days』コーラスが四回入るわけですが、メロから続く最初の一回だけ頭がメジャーで、あとの繰り返しになると頭がマイナーコードになっているのなんか、芸が細かくていいですよね。ええ。

 まあスマッシュヒットで成り上がって、んでまあ歌詞にハートマーク使ったり『頭なでなで』とか明らかに狙いまくりだったりとか、まあそういう路線の宿命として、かなり痛烈な批判の声も上がってきているみたいです。
(しかし「さくらんぼ」だけだった、みたいな意見多いですけど、今回比べてそんなに劣るとは思えないですけどねえ。歌詞もメロディも。「さくらんぼ」って、良くも悪くもチープな出来でしたし)
 確かにDVD付き絵本付き(ちょっと気になる)で売ったりとか、シンガーソングライターと名乗るにはちょっと引き出しが足りないんじゃないかなとか、歌唱力もかなり疑わしいものがあったりとかはするんですけど、まあいいと思いますよ?こういう能天気なうたっていうのはバランス的にも必要だと思いますし。素晴らしい感動的な歌ばっかりあっても疲れちゃうだろうし、「音楽ってのはもっと・・・」と一家言ある人たちも、攻撃対象がなきゃつまらないと思いますし。
 消える消える言われてもいますが、案外、わりと生き残るんじゃないですかね。人気よりもむしろ、本人の能力とやる気のほうが問題そうです。今のソングライティングの力だと、たぶんあっという間に曲が尽きるんじゃないかと。コード、メロディ、詞の語彙やモチーフのストックがなさ過ぎる。
 まだ数曲はアレンジでごまかせるかもしれませんが、aikoのように歌を自然につむぐんじゃない、どう考えてもまず頭で作っている人なので、もうどんどんと自分のスキルの幅を広げていかないと、絶っ対にやばいです。
 そしてそういう努力する前に、ぷいっとやめちゃいそうな雰囲気もありませんか?この人。そのほうが、らしいというか。

2004年07月02日

上戸彩「風」

風/贈る言葉 (CCCD)
上戸彩, 三浦徳子, 清水信之, 武田鉄矢, Sin, 織田哲郎
ポニーキャニオン

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 和風。最近のアイドルだとか女優さん系の曲は、必ずひとつこういうの出しているような気がします。作曲が織田哲郎で、途中まではアレンジ次第では「ZARDの一曲」でも通用しそうなんですが、サビは明らかに和音階を意識して作っています。やっぱり今はそういう流れなんだなあと。どうしても流行りものは安易に感じてしまうのですけど、コーラスのシメの「スポポポポン」と鳴る鼓の音が、はまっていて楽しくていいなあとか思ってしまったり。
 詞もいわゆるアイドルっぽさが全開で、「あなたの身近にいる、等身大なわたし」という方向性。『走った後 振り返る時/それは もっと ずっと先だね』という、「今を回想する未来を今想像してみる」という近年の傾向も見られます。(ここんとこ、詳しくはガガガsp「祭りの準備」の項を参考に)
 サビ頭に『永遠だと感じるもの』と、そこまでからいきなり壮大に、抽象的になるわけですけど。案外、和風なメロディとアレンジが、この『永遠』という途方もないものに対しての感情をフォローしてくれている向きがあります。説得力を持たせてくれている、までかは微妙なところですが、でも「おいおいいきなり永遠なんて言われてもなあ」となりにくい、聴き手がすっと言葉を受け入れるための潤滑油にはなっているのかなあと。和旋律の持つ響きのレトロさがそう感じさせるのか、実はこの和ブームの走りである元ちとせの影響によるところなのか、はたまた別の原因があるのか、ちょっとわかりませんが。
posted by はじ at 15:37| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年06月21日

安倍なつみ「だって生きてかなくちゃ」

だって 生きてかなくちゃ
安倍なつみ, つんく, 鈴木Daichi秀行, 湯浅公一
ハチャマ

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 基本的には、大昔からおなじみのアイドルポップスを踏襲して作られています。かなり暗めに傾いてますが。
 こうした、歌謡曲的短調の響きってのはシャ乱Q時代からのつんくの得意分野で、聴き手の哀愁を誘いやすいんですけど、ともすると、野暮ったく洗練されてない印象を与えがちになります。まあそこを本人でなくこうしてアイドルたちに歌わせることで、うまいこと良さだけを引き出している感じですかね。
 冒頭の『夏がまた 試してるんだ(二回目:笑ってるんだ)』とか、タイトルとか、ドキッとさせる演出が利いてます。前回の「22歳の私」から、「等身大の一人の女の子」のイメージを前面に打ち出していて、だから「だって生きてかなくちゃ」なんて多少大げさな決意をさせると、現実の困難さに立ち向かっていく健気さを存分にアピールできるという寸法です。そういう意味では、内容が暗ければ暗いほど、決意が悲壮であればあるほど、聴き手の「つい応援したくなっちゃう度」をあげることができるわけで。
 ただ、はい。安倍なつみの「等身大」なキャラクターもうまくはまってはいるんだけど、実際に現実で苦難の連続を経験したソニンの「不幸キャラ」のほうが、説得力ははるかに上だよなあとか思っちゃいます。

 しかし、こういう曲を聴くとつくづく、JPOPなるものは装いだけは常に最先端の音楽ということになっているけど、根本には演歌的な世界が絶えず流れているんだなあ、と思います。少なくともつんくのメロウな楽曲に関しては、「切ない」と言えばポップスだけど、だちらかというと「情念が渦巻いている」演歌に近いんじゃないかなと。
posted by はじ at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年05月12日

aiko「かばん」

 相変わらずの、傍若無人なまでの自由気ままさ、感覚に任せた歌作りです。でなきゃメロのこんな変わったコード展開とそこからもはずれ気味の旋律、なんの前触れもないサビでの転調、そしてキメ場所、『収まらないんじゃない?』と『好きだったんだよ』の半音進行なんてものが生み出せるはずはありません。理論のお約束に縛られず実に奔放に歌が展開していくのは、とても心地よいです。
 ただ、今回はちょっとだけ過剰かなと。部分部分でしまりがなく思えたり。
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2004年05月07日

宇多田ヒカル「誰かの願いがかなうころ」

 今までにないくらいの濃さです。密度が高い、ぎゅっと詰まっているというよりは、聴いているともうどろどろと溢れ流れているくらいに歌がこもってます。ピアノの音の過剰なウェットさもかなり影響しているんでしょう。構成的にはメロとサビの二パターンしかないのに、少しも単調に聴こえてきません。むしろ反復の効果で、ボルテージがどんどん高まっていくというか。

 で、詞も、またこれがうまいんだ。浸りつつきちんとした客観的な距離感があり、で深読みもできるこのバランス。隅をつつけば欠点もなくはないけど、声がいいんでそんな些細なことはどうでもよしです。
 と、ベタ誉めはしたものの、あんまり曲全体の内容の情報量がボリュームありすぎて、聴いていて疲れてしまうってのが、ちょっと辛い。
 ポップミュージックってのは、もっと楽に楽しめるものでないとなあ。ポップスを超えたとも言えるけど、聴くのに体力の要る歌は敬遠してしまうのです。ジュディマリ、ブランキー、aiko、ナンバガなんかもそうでして。おっそろしく個人的な理由かつ個人的な感じ方ですが。
posted by はじ at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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