SMAP
ビクターエンタテインメント (2008-03-05)
売り上げランキング: 22967
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<売れ線からは外れた、少し大人びた雰囲気>
「Around The World」や津軽三味線の吉田兄弟とコラボした「Change」などで話題を呼んだ、カナダ人兄弟を含むバンドMONKEY MAJIKによる楽曲提供。穏やかさに溢れた愛の形を描いた内容になっています。
ここ最近のSMAPの楽曲は、けっこう毎回何かしら新しい試みを盛り込んだ意欲作ばかりだったりします。「世界に一つだけの花」のビックヒット以降、彼らにはある種「普通のJ-POPソング」には戻れない、といった見えない縛りみたいなものができているように感じます。
でも、なんというか、今ひとつ爆発力のあるものがないという気もします。それは、コンセプチュアルな楽曲制作が「売れる曲」制作とイコールではない、ということが大きいかなと。で、放っておいても一定数の売り上げは見込めますし…だから、話題になるような要素を毎回乗せてきながらも、曲自体には大きなパンチは感じられない、みたいなことになっているのではないかなと。
や、今回の曲も決して悪くはないのです。むしろ、大人の余裕が感じられる、穏やかな優しさに満たされた音楽に仕上がっています。『別れの無い出会いだって約束するよ』なんてドラマティックな台詞が、ドラマティックな音の盛り上がりも伴わずにさらりと歌われているのなんて、実にスマートですし。
曲の主題である「そのまま」の状態を肯定するのも、若い者には歌えないものだろうなと。特に、今の若者が共感しているのは、相手と「より新しい」あるいは「より良い」未来を作っていこう、成長していこう、というポジティブなメッセージです。そうではなく、現状を改善していくのではなく「そのまま」を受け入れていけばいいんだ、とこの曲は歌っているのですね。こういう点も、ちょっと大人びた雰囲気を形成している大きな要素と言えるでしょう。
ただ、そんな大人びた雰囲気というものは、印象的にはどうしても「薄め」になってしまうわけで。いい曲でも、大ヒットには繋がりにくいものなのです。
まあ、SMAPももういい年齢になってきましたし、若々しくJ-POPど真ん中の王道ソングは、たくさんの事務所の後輩グループに任せておけるし…このくらいの、緩やかに歳を取ってきている雰囲気のシングルがちょうどいいのかもしれません。