2006年01月10日

グループ魂「君にジュースを買ってあげる」

君にジュースを買ってあげる
KRE
グループ魂, 宮藤官九郎, 富澤タク

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<耳に残るポップなサウンド、優しげな態度の裏に潜むのは、ダメ男の傍若無人ぶり>

 彗星のごとく紅白に登場したバンド、グループ魂。脚本家として名前の知られているクドカンこと宮藤官九郎が在籍。歌っているのは阿部サダヲ。松尾スズキ主宰の劇団「大人計画」のメンバーで結成されたパンクコントバンド(おもしロックバンド)とのことです。参考:はてなダイアリーなど。

 まあ紅白出るまで全然知らなかったりするわけですが。そして何でいきなり出ることになったのかもよくわかりません。クドカンがSMAP「BANG!BANG!バカンス!」の作詞したからってのがあるんでしょうか。この人が出場すると聞いて、てっきりスマップはこの曲歌うんだとばかり思ってましたが、そうではなく。う〜ん。


 さて曲ですが、一度聴いたら『あんあんあん あんああんあん』のコーラスが耳に残ってしまってしょうがない…という人も多いんじゃないでしょうか。最初から最後まで、掛け声アリのポップソングをこれでもかというくらいパロっています。楽しい、というよりは、おバカな感じ。
 「ジュース」が何のジュースなのかハッキリしてなくて、下ネタを匂わせているのかなあとも思ったりしますが、実際通して聴いてみると、もう、ツッコみどころはそんなところじゃないですね。

 『恋はやっぱり ギブandテイク/求めてばかりじゃ切ないね』というのがテーマです。それを受けての「君にジュースを買ってあげる」…なんですが、『食事は君が払いなよぉ!』とか叫んでます。なぜか、キレてます。
 その他、甘く優しく歌いかけている体裁をとりつつも、「俺はコレやるから君はコレやってよ!」といった、明らかに理不尽な分担をいろいろ持ちかけてます。というより、押し付けてます。ちっちゃい頃いたよなあこういう悪ガキ。『時々暴力ふるうけど』…って、ダメじゃん!しかも途中のセリフによると、結局ジュース買ってあげてないし。
 どう聴いてもコミックソングです。本当にありがとうございました。

 がんばって解釈すれば、「君」にうまく優しくしてあげられない不器用な男の歌、とかとってみたり、何か男女関係への皮肉なのかも、などと考えてみたりも無理ではないかもですが、まあ本人たちは単純に面白い歌を作りたかったんだろうなと。ジュースを買ってあげると言うのも、愛情ゆえというより、ちょっとした気まぐれの産物でしかないように感じますし。
 なんていうか、ダメ男版「関白宣言」と言うとわかりやすいかなあと思ったんですが、「関白宣言」が「あれこれ口うるさく言うのは愛情から来ているんだ」という思いが示されているのに対し、こちらはもはや「実はいい曲なのかも」みたいな評価を受けるのを放棄しているように感じられて、潔いです。

 コミックソングって、一回聴いちゃうともういいや、ってなるようなものも多かったりしますが、これは面白いと思う人には何回聴いても楽しめるんじゃないかなと。むしろ、中毒性あるし。『あんあんあん あんああんあん』…


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2006年01月02日

コブクロ「桜」

桜(通常盤)
ワーナーミュージック・ジャパン
コブクロ, 小渕健太郎, 黒田俊介, 21STREETリスナーの皆さん

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<花の儚さを強調しつつその強さも描く、話題性たっぷりのバラード>

 前作「ここにしか咲かない花」のロングヒットで一躍メジャーになったコブクロ、新曲は結成のきっかけになったというデュオの原点となるバラードです。
 ここで秘蔵の一曲を持ってくるあたり、しっかり考えてるなあ、と思ったのは自分だけじゃないはず。バラードというのはその性質上、話題を生めるかどうかで売れ行きが決まってくるものだという側面があるわけで。
(以前平井堅「瞳をとじて」でバラード論を書いたので、詳しくはそちらで。これ参照するのひさしぶりだなあ)
 はじめてヒットを飛ばして、セールス的に考えればこれからの立ち位置を固めるべき現時点において、「昔から暖めていた曲」をリリースというのは、ベストな選択といえるでしょう。
 しかも、「この時期に桜?」という聴き手の意表をつく時期設定もポイントですよね。春に出してたら、ここ数年の「桜」ブームのせいで埋もれてしまったかもしれませんし。なんでも、1998年9月に作ったということで、その一連の桜ブームよりも歴史は古いわけですね。
 いずれにせよ、「永遠にともに」のときから感じてましたが、したたかな人たちだなあと。


 内容ですが、実は「桜」に限らず、どちらかというと野に咲く花全般についてをテーマにしているような感じですね。『名もない花』『儚く揺れる 一輪花』とか明らかに桜じゃないですし。あれれ?

 ええと、ちょっと回り道。
 なぜ「桜」が歌に多く使われるかというと、これはやぱり「儚さ」のイメージなんでしょうね。淡い色、散るがゆえの美しさ、みたいなところに日本人は惹かれるわけですから。春になると咲いて散っていく=巡る季節=時間の流れの象徴、という部分もあるでしょうね。
 で、この曲は『桜の花びら散るたびに/届かぬ思いがまたひとつ』というフレーズのみで桜を使っているので、やっぱり世の「儚さ」の比喩だと考えられます。

 で、そんな桜の儚いイメージに対する形で、野に咲く花全般の「強さ」が書かれているように感じました。おしなべて花は散ってしまったり、『実のならない花も 蕾のまま散る花も』あるなかで、でも『アスファルト押しのけて』という強さもある、その強さも持って生きていこう、というメッセージなのかなと思うことにしました。

 サビのメロディの裏で響いているコーラスが印象的ですね。で、最後の最後だけそこがストリングスになり、メロディを二人で歌っています。こういうのは結成当時の路上弾き語り時代ではできなかったアレンジですよね。その当時からこの曲を聴いていた長いファン、そして本人たちにとっても感無量なのではないでしょうか。
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2005年11月13日

関ジャニ∞「好きやねん、大阪。」

好きやねん、大阪。/桜援歌(Oh!ENKA)/無限大(通常盤)
テイチクエンタテインメント
関ジャニ∞(エイト), イイジマケン, 吉岡たく, MASA, 馬飼野康二

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<「大阪」以外の地域に向けられた、ステレオタイプな「大阪」像の再確認>

 さて、関ジャニ∞ですが、とにかく地元に根ざした活動ですねー。このこだわりっぷりはなかなかできたもんじゃないです。あんまり知りませんが、曲デビューの前から確か関西圏ではかなり活動していたんですよね?彼ら。ネタがどこまで続くのかわかりませんが(あるいは唐突に終わるのかもしれませんが)こういう売り出し方はなかなか貴重な類ではないかと思うので、「地元密着型アイドル」というのは。KinKi Kidsなんて、名前の割に歌っているのはエスニックな曲だったりするわけですし。

 まあこういうスタイルも、関西圏という日本でもっともポピュラーかつ巨大な「地方」だからこそ成立するのでしょう。
 「関西地方」というのは、実際問題として東京のある「関東地方」よりもずっと強い括りです。「関東といえば?」より「関西といえば?」って訊かれたほうが、はるかに答えやすいですよね?地方ならではの特色というのは、明らかに関西地方のもののほうが共通認識として知れ渡っているわけです。
 標準ではない、地方ならではの味をアピールしても、それが別の地域にもすっと受け入れられる土壌が「関西」という場所にはあるわけです。

 で、全国的なコンセンサスのある「関西」の一大拠点「大阪」の印象を、そのまんま歌にしたのがこの曲なわけです。いわく、「関西弁」「商売」「陽気」「お笑い」…実にベタです。大阪にも内気な方や暗い方も当然いるんだと思いますが、そういう種の人をさらに肩身狭くしちゃっているんじゃないかってくらいに全国的なイメージです。
 とにかく、ステレオタイプな大阪像に終始してしまっていて、なんか新味ないなー…というのが正直なところ。本当に「大阪」の表面を撫でただけで。これは「地方から全国へ発信」というスタンスの弊害なんでしょうかねー。ちょっとあまりにも「そんなの知ってるよ」ということの再確認に過ぎないような。
 合間にコントが挟まっているんですが、これがまた微妙なネタで…ベタベタで、まあファンはメンバーのやり取りが聞けてきっと楽しめるんでしょうけど。限定版と通常版でネタが違うらしく、自分は通常版を聴いたんですが、限定版はもっと面白いんでしょうか。謎。

 どうせだったら、もう他地方の人を無視するくらいディープにやっちゃってもよかったんじゃないかと。地名とか出しまくりで、地元ネタ満載で。『空に浮かぶ太陽』を「道頓堀のグリコの看板の人がしょってる太陽」にするとか。…ダメか。
 でも、そういうディープな方向性のほうがきっと、ネタがわかんなくてもわかんないなりに楽しめると思うんですよね。本当に地元密着っぽさが出て。今回はパックツアーとか、観光案内所っぽすぎかなー。大阪、やっぱりいいよなーという気にはさせられても、より深く知りより好きになる、とまでは連れてってくれないかなと。
 まあ、アイドルなので、広く受け入れられない方向には行けないんだと思いますが。
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2005年08月08日

KinKi Kids「ビロードの闇」

ビロードの闇(通常盤)
ジャニーズ・エンタテイメント
KinKi Kids, Satomi, CHOKKAKU, 上田ケンジ, 十川知司, 吉田健, 家原正樹

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<哀愁漂うラテンムードの曲調に乗った、雅語的な言葉でつむがれる「東京砂漠」>

 さて、キンキとしてはもはやお馴染みといってもいい、「僕の背中には羽根がある」「Anniversary」などの流れを汲んだ、哀愁ラテン系サウンドです。もうお手の物、といった感じですね。ジャニーズの中では、こういう物悲しい方向性の担当は彼ら、と割りふられているかのようです。

 ただ今回は、妙に凝った言葉遣いが特色。『砂漠のように辛辣なこの都(まち)の片隅』で「キミ」を『擁き(だき)寄せ』たりするわけですが、ルビ振らないとわからない当て字がたくさん。
 エキゾチックな曲調に導かれて、都会を「砂漠」と表したり自らを『彷徨人(さまよいびと)』と言ってみたりしているんでしょうし、そんな茫漠とした世界のイメージの中でただひとつ「キミ」だけが大切…という曲世界観を作っているので、あんまり砕けた言葉よりも、物語的、詩的なフレーズのほうが確かに雰囲気ができやすいかと思います。
 でもちょっと、さすがにやりすぎなような。『この澪つくし守るよ』とか、和歌の掛詞だし。しかもわざわざそう書く意味がわからないし。普通に「身を尽くし」って書けばいいんじゃ…なんで?

 あと、こうした言葉の耽美的表現は、どっちかつーとタッキー&翼の守備範囲ですよね。うーん、やはり男性アイドル業界では、「等身大」型から「憧れ」型への回帰が始まっているのだろうか。興味深いです。
 「憧れ」型うんぬんに関しては、タッキー&翼「仮面」の記事を参照ください。

 しかし彼ら、哀愁漂う曲になると、終末的なイメージになりますね。信じられるのは僕と君だけ、みたいな。そういうヒロイズムも展開できる点では、やっぱり非日常的なキャラクターも持ち合わせているのか。芸風広いですね。
posted by はじ at 00:40| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月29日

コブクロ「ここにしか咲かない花」

ここにしか咲かない花
ワーナーミュージック・ジャパン
コブクロ, 小渕健太郎

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<ドラマティックに展開し、最高地点を保ち続ける、ひたすら感動を煽るメロディライン>

 ロングヒットしています。二年くらい前まではパッとしない印象だったんですが、まさかここにきてブレイクするとは、と、正直驚いています。
 わざわざドラマ「瑠璃の島」の舞台になった島まで出向いていって作った歌だそうで、その関係のタイアップ効果ももちろん大きいのでしょうが、今回、特に注目するべきは、彼らの「メロディラインの盛り上げ方のうまさ」です。

 メロは穏やかです。どこか懐かしい響きをかもしつつ、淡々と歌います。それが、サビでは一気にボルテージが上がっていくという仕掛けになっていまして。
 詳しく見ていきましょう。
 サビ出だし『あの優しかった場所は今でも』ここは、バックやボーカルは一段盛り上がりますが、旋律自体はまだ低い位置にあります。それが『変わらずに』でぐっと上昇し、『僕を待ってくれていますか
』で、一気に沸点へと達します。ここまでの4小節だけで非常にドラマティックな造りになっているので、聴き手をはっとさせ、ぐっと引き寄せることができるのですね。

 さらに、特筆すべきはその後。『最後まで笑顔で 何度も振り返り 遠ざかる姿に』と、ピーク位置で声を張り上げ続けます。
 ただハイトーンで歌うというだけでなく、ほぼ同じメロディを「三度も」繰り返すことで、より強い印象付けを与えています。しかもこういう箇所、二人いるのだから、前と後で交代しても面白そうなのに、そうしないのです。一人が二回とも声を張り上げ、もう一人はエコーのように後から入る…前段の4小節の展開で一気に達した頂点を、降りることなく維持し続けているわけです。で、テンションが沸騰し続けたまま『唇かみしめた』と、さらに一段上がってブレイク。実にドラマティックです。

 さらにその後、いったん落ち着いたかと思ったら、『今は込み上げる 寂寞の思いに』と、二段を踏んで再び最高点まで登ってきます。
 この、過剰なまで盛り上げようとしてくるメロディライン、なぞったらそれだけで「絶唱」にならざるを得ないわけでして。そりゃ、胸に迫ってもくるってもんです。
 聴いていると、あの曲を思い出しました。
 あれですよ、あれ。華原朋美「I'm proud」。
 

 ちなみに、歌詞もちゃんとこのメロディの流れに沿って盛り上がるように作られているという感があります。ちょっとそこまで解説するには、あまりにもこの曲はドラマティックすぎてお腹いっぱいなので、歌詞まで細かく触れていくのはやめておきます。興味のある方、上で挙げたような旋律の流れを意識して、詞を照らし合わせてみてはどうでしょうか。きっと楽しいと思います。歌詞と旋律の相互作用をお勉強するには、なかなかいい教材にもなりそうです。


 さてコブクロ、前作の「永遠にともに」も相当な力の入るメロディライン作りでしたし、この正直やり過ぎなくらいの盛り上げ方は、偶然ではなく、しっかり体得したもののようです。しかも今回のカップリングの「六等星」はどちらかというとあっさりしたタイプですし、ちゃんと使い分けどころもわかっているっぽく。
 こりゃあ今後、JPOP屈指の「盛り上げ屋」「泣かせ屋」になることも考えられます。期待しましょう。
posted by はじ at 01:26| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月23日

K「over...」

over...
ソニーミュージックエンタテインメント
K, shungo., tasuku, MIZUE, 中野雄太, B.McKnight, B.Barnes, M.Barnes

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<沖縄より先へ、「ほんのちょっと、別の世界」韓国>

 韓流ブームについては、いわゆる「沖縄」が特別視される傾向と似たものがあるのではないか、と考えています。これは世間であんまり言われていないけど、自分では、なかなかいい線ついてるんじゃないかと思ったりしている仮説なんですが。
 音楽に限らず、このブーム全体に当てはまると感じているんですが、まあここは音楽ブログなので、音楽にのっとって話していきます。
(曲についてだけ知りたい人は、最後のブロックまで飛ばしましょう)


 先駆けになった「冬のソナタ」の主題歌、Ryu「最初から今まで」からずっとそうなんですが、「韓流」と銘打たれて世に出される歌は、どれも「邦楽よりも邦楽っぽさが濃い」曲が多い、すごく「歌謡曲っぽい」なあと感じています。
 歌謡曲っぽいとはどういうことかというと、それは「コード進行への依存度が高い」ものだと考えています。和音の移り変わりの循環パターンが前面に出て、それを元にしてメロディを構成しているんじゃないかというフシがあるくらいにコードの作用が大きいと、「ベタベタっぽい」けれど「はっきり耳に残る」、わかりやすく受け入れられやすい音楽になります。
 韓流の音楽はそういう狙いがあるのかどうか、どれもいわゆる「泣き」のコード、それをきっちりなぞるメロディラインを有していまして。パッと聴きさわやかな、韓国でヒットした曲のカバー華原朋美「あなたがいれば」も、実際は間奏にパッヘルベル「カノン」という、日本人が大好きなコード進行を持った曲がフィーチャーされていたりとかしまして。

 「韓流」の音楽は、日本のそれとほとんど変わりありません。大学時代に二度韓国に旅行に行きましたが、CDショップに入って聴こえてくる歌は、日本とまったく違和感もないくらいで。むしろ、上で述べたように、今ブームに乗って出されている曲の傾向は、日本の今のポップスよりも邦楽のルーツに近い位置にあるように考えています。
 では、なぜそれがヒットするのか。
 それは、「韓国」が、たとえば90年代には「沖縄」だった位置に今あるからではないかな、と思うんです。続きを読む
posted by はじ at 02:21| Comment(4) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月20日

関ジャニ∞「大阪レイニーブルース」

大阪レイニーブルース
テイチクエンタテインメント
関ジャニ∞(エイト), マサ, 馬飼野康二, タケシ, 吉岡たく

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<「歌謡曲テイスト」とは、どんなに濃くてもあくまで「テイスト」>

 あらら、もうすっかりこっちの路線で決定なのでしょうか。や、トラジ・ハイジといい、最近どうもずっと保守寄りだったジャニーズが、また面白いこと始めだしてくれたなって気分なのですけどね。演歌・ムード歌謡路線でいくなら、そのまま突き抜けてほしいです。カップリングは普通のポップスですけど。

 『かえられへん/戻られへん』のインパクトがでかいですよね。実は、このサビ頭の箇所とあとは『せやけど』くらいしか大阪弁使っていないんですが、じゅうぶんに大阪ーっていうイメージを聴き手につけちゃってますもんね。あ、タイトルのインパクトもあるでしょうけど。こう、「一昔前」テイストなネーミングセンスが。

 レトロさっていうのは、椎名林檎の文語体、エゴラッピンなどのムード歌謡的サウンドなどさまざまな種類ありますが、どれも、中途半端ではなく全面的に押し出せば出すほどウケているような感触があります。で、すっかり一部にはジャンルとして根付いているようで。
 関ジャニについてはきっと「ダサかっこいい」くらいを狙ってやっているんでしょう。渋いピアノとかトランペットとか泣きのギターとか、すごくそれっぽさを出していながら、ジャカジャカとリズムを刻んでいるほうのギターは音を尖らせてダサくならないように響かせてあるなど、アクが強すぎないようにうまいことバランスとっている感じなのが、ジャニーズらしい作りです。昭和っぽさと現代洋楽的ブルースをうまいこと足した塩梅。リズム隊をもっと緩ませたりすると、きっとモロ日本民族らしい粘り気が出てくるはずですが、その辺をサラッと切り上げているわけですね。で、あくまでもアイドルらしさを保っているわけです。
posted by はじ at 00:53| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月05日

ケツメイシ「さくら」

さくら
ケツメイシ, Naokit, YANAGIMAN
トイズファクトリー

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 なんだか聴いていると変な脳内麻薬が出てくるくらいクセになりそうなんで、いつも記事書いているとき曲はひたすらかけっぱなしにするんですが、やめておきます。どこを切り取っても耳に残る、すごい曲です。ヤバイです。

 「桜」は散るがゆえに美しい、というのは、よく言われることです。ただきれいだからってだけでなく、その淡さ、儚さが、日本人の心をとらえるというのはあると思います。それは死ぬことと見つけたりの武士道や神風特攻精神とか、そういう方面もあるのかもしれませんが、やっぱり四季が移り変わるから、ってこともあると思うんですね。むしろあんまり言われない気がしますが。
 季節は終わってしまう。でも二度と戻らないわけではなくて、またそのうち巡ってくる。そんな円環が「桜の散るさま」や「夏の終わり」や「紅葉と落ち葉」や「雪解け水」を風流なものとして見るワビサビ的な美学を日本で発達させたんだと思ったりするわけですが、あんまり話がズレるのもなんなので強引に戻すと、ここで「季節はまた巡ってくる、でも、君との時間は戻らない」とすると、ワビサビ的な風流さの上にさらに追慕の念がかぶさって、とても強い感情を表せるわけです。

 この歌の『花びら舞い散る』はきっと花吹雪で、満開の桜の中ぽつんと独り、みたいなイメージだと感じるわけで。そうすると「季節の終わり」表しているってのとはちょっと違ってきます。ただ、むしろ「終わり」よりも「真っただ中」の方が、『君』がいないことを強く意識させられるんじゃないかと。「移り変わり再び巡ってきた季節」を意識させられればさせられるほど、「もう帰ってこない君」の不在感は鮮やかに描き出されます。舞い散る花びらの美しさに『忘れた記憶と/君の声が戻ってくる』『目をつむれば君が傍にいる』と、思い出は激しく呼び起こされつつも、肝心の『君』はどこにもいないのです。
 単純に桜の花と「別れ」の情景を重ねて歌い上げた森山直太朗「さくら(独唱)」よりも、技巧的に作ってある感じですね。

 上で触れた季節の円環がどうこうってのは、もしかしたら、和音進行/リズムやストリングスのトラックが、なぜかひたすら同じように刻まれ続けるだけなのにもかかわらずひどく聴き手を揺さぶってくる、という現象にもつながってくるのかもしれません。今回の「さくら」のように、マイナーに収まっていくコードを日本人が好むのは、散りゆく花、過ぎ去る季節の寂しさを愛でる土壌があるからかなあと思ったりもします。


 あ、カップリングの「ケツメンサンバ」は、中身は「はじまりの合図」をラテンにしただけのような普通の陽気な音楽だったので、もっと毒気とか期待していた自分としてはやや拍子抜けしました。
posted by はじ at 01:43| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年01月31日

KinKi Kids「Anniversary」

Anniversary (通常盤)
KinKi Kids, Satomi, 家原正樹, 安部潤
ジャニーズ・エンタテイメント

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 『何気ない今日という日が/ボクらの記念日』
 その前のフレーズから、意味がつながってなかったりするのですが(毎日が記念日だったら「キミ」を泣かせずに済むのか?)。まあ、街角で耳に入る一瞬、テレビに映る瞬間に聴き手を掴まなければいけないポップスでは、よくある、むしろ必要でさえあることなので、スルーしましょう。自分も中高生のころは、こういうのが気になって仕方なかったんですけどね。

 語るべきなのは、この曲が発しているのは「平凡」なものこそが「特別」なんだ、という主張だってことで。
 「毎日が記念日なんだ」というのは、容易に「すべての人が違う花なんだ」と歌った「世界に一つだけの花」と照らし合わせることができます。同じパターンに「二人こうしていられることが奇跡なんだ」ってパターンがありますね。
 こうした方向性は、やっぱり「共感を呼ぶ」ことを目標に作られているアイドルポップスの性質上、今の社会を反映していると言えるでしょう。「世界に一つだけの花」から二年になりますが、まだまだその流れは太く続いています。そんなのは甘い、と思っている方もいらっしゃるでしょうし、邦楽界においてもアンチな流れは皆無ではないですが、やはりまだ「オンリーワン」志向に取って代わるような大きなイデオロギーは現れてきてはいませんね。

 その他のフレーズだと、『キミヲアイシテル』とカタカナなのが目を引きますね。自然にさらっと言えない「ボク」の気持ちを表しているのかもしれませんが、すごく、こう、若さを感じる表記のさせ方ではあります。
 あと、『なんか不思議なんだ/キミがボクを好きな/理由がわからないよ』というのも、今までのラブソングにないものを感じます。こう言うとなんですが、えっと、ラブコメ漫画的というか。
 歌って、自分の「好き」を伝えるものばかりで、相手の「好き」を受けて考えるというケースは、けっこう稀な気がします。漫画だと、そうでもないですよね。


 えーと、曲のことにも触れておくと、なんだかとてもエキゾチックさ盛り込みまくりというアレンジになっています。キンキは「僕の背中には羽根がある」とか昔からこの手のありましたし、作曲の織田哲郎も、上戸彩「ウソツキ」とか、ラテン歌謡とでもいう方向が最近好きなのかなあ、とも思ったりします。
 で、それでも結局サビの決め所はストリングスが幅をきかせている辺り、やっぱり邦楽だよなあと。
posted by はじ at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月25日

CHEMISTRY「白の吐息」

白の吐息
CHEMISTRY, Juve, 村山晋一郎, 島健
DefSTAR RECORDS

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 もうお手の物、といった冬のバラード。
 ただ彼らは、ゆったりなテンポの曲が多いことは多いのですが、たいていリズムトラックが細かく打ち込まれているので、聴いていて散漫な印象をあんまり受けないです。今回もはじめはピアノでリズム感を出し、そのうちだんだんと打楽器が増えていきます。毎回思うのですが、このリズムがよく練られていて、ここだけ聴いていてもなかなか飽きないものがあります。また、ストリングスだとかのその他の伴奏も、いろいろ裏で動きつつあくまでもボーカルをメインに据えて、脇に徹しているところもよく出来てるなあと。

 曲調は一見しっとりR&Bだっていう雰囲気を漂わせていますが、実際のところ少しも複雑なメロディラインじゃないし、旋律はまったくR&Bとは言えないような。ごく普通の、脈々と受け継がれてきた邦楽的な旋律です。サビなんか特に、べったりとコードをなぞる(しかも反復する)典型的な日本人好みな流れ。バッキングが洗練されてるっぽいので、ドロドロしては聴こえないですけど。
 『まだ互いのことを全部 知らずに来た初めての冬』とあり、やや悪意をもって詞全体を要約すると、『町を賑わすざわめきの夜』(=クリスマスでしょうね)に「次の段階をさりげなく目指そうとしてる」「全部知りたい」男の子の心情なわけです。そう言うとミもフタもないですが、でもそれを『今を誓おう』というちょっとかっこよさげなフレーズでロマンティックさを主張しているように、曲もまた歌謡曲全開なメロディを綺麗な伴奏でまとめる、と詞も曲も非常においしいとこ取りな仕上がりになっています。

 戦略的な「狙ってる」要素をあげつらいましたが、でも実際その出来はきっちり秀逸にこなされているので、聴いていてじっくり浸れますね。
posted by はじ at 11:37| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

GLAY「ホワイトロード」

ホワイトロード
GLAY, TAKURO, MASAHIDE SAKUMA
東芝EMI

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 イントロだけ聴くともはやロックバンドじゃあないですが、でもGLAYはバラード過多になってうまくいかなくなったX JAPANのようにはならなさそうな感じですね。こうした冬のバラードはむしろ彼らの本領なんじゃないかっていう気さえします。堂に入ってますよね。やっぱ函館出身だからなのか。
 そんなわけで鐘やら鈴やら鳴りまくりで、もちろんピアノやストリングスもばっちり入ってて、とてもバンドらしからぬアレンジになってます。でも、ギターソロとかで三連上昇形をかましてくる辺り、雰囲気わかってるなーと。

 詞は、TAKUROらしさ全開で。彼の作る恋愛物語は、長い道のりの果てに成就する、というタイプが非常に多いように思います。「BELOVED」「HOWEVER」「都忘れ」「ずっと二人で・・・」どれもこれも、重みがあるんですよね。TERUの声のおかげもあるんでしょうけど、たとえば今回で言うなら『眠れぬ夜はいつだって 去り際の「またね」を心で巻き戻し』など具体的な「今まで」の出来事を2コーラス目のメロで延々とつづっていたりしていて。こうやって、かなりたくさんの事柄を積み重ねている点が、「これから共に生きていく」という決意の重みにつながってきているんじゃないかなと。

 ただ、『最後の恋』『不器用な優しさ』『あなたでした』など、見覚えのあるフレーズがちらほらあるのが微妙です。特に「最後の恋」はもういつの間にか邦楽詞の定番の言葉になってきましたね。
 あと『子供を抱き』が唐突すぎて、よくわからないです。
posted by はじ at 06:22| Comment(6) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月21日

CHEMISTRY「Long Long Way」

Long Long Way (CCCD)
CHEMISTRY, 佐々木圭一, 河野伸, 麻生哲朗, 益田トッシュ, 韻シスト
DefSTAR RECORDS

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 遠い「あの頃」の追慕。『雨上がり 空の匂いは/何か思い出しそうな気にさせられるよ』と描かれる一コマのように、ふとしたことで誰もが、歩んできた『記憶のレール』を振り返り、懐かしがり、戻れないことを実感する・・・そんな、王道を行く曲です。
 非常に上品にまとめられている感触を受けるのは、ちゃんと理由があります。ひとつは、過去を振り返る内容でありながら、「恋愛」の要素が絡んでこないこと。「再会」というシチュエーションなので男女間のシチュエーションを想像出来ないこともないですが。
 で、もうひとつは、通してほとんど感情を押し出してくる箇所がでてこないこと。「あの頃はよかった」とか「戻りたいけどもう戻れない」とか、もちろんそういう気持ちもあるんでしょうけど、それを直接言ってしまうと、とてもベタベタになってしまうわけで。あえて寂しいとか切ないとかを書かずに、そうした想いをさらりと表現しているんですね。最後の懐かしい風景のたたみかけなんて、それだけでじゅうぶんに気持ちが盛り上がりますし、ここで心のうちまでさらけ出してしまったりすると、ちょっとくどくなっちゃいそうですから。

 そうして昂ぶりすぎることのないように構築された詞に対応するように、曲も明確なサビを持たない構成になっています。が、決してだらだらするわけでなく、細かくてハネていて手の込んでいるリズムトラックが緩やかな旋律を阻害せずに引き締めていたり、後半はキーの上がる転調や複数の旋律を重ねることによって盛り上げていたり、飽きないような作りになっています。
posted by はじ at 13:26| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月19日

Gackt「君に逢いたくて」

君に逢いたくて
Gackt, Gackt.C, Chachamaru
日本クラウン

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 まだ「君」を忘れられずにいる。と、それだけですね。シンプルでなんのヒネリもないですが、シンプルなバラードにはそのくらいでもいいかもしれません。手を抜いている感もなくはないですが、でもまあ一応まとまってはいます。ファンは感動でできるでしょうし、ファンじゃない人もその聴きやすいシンプルさ、響きのよさに惹かれたりもそうるんじゃないでしょうか。
 ガクトは実際、自分の内側の伝えたいことを表現する「アーティスト」というよりは、自分のできること、求められているものを把握し形にする「エンターテイナー」だと思います。
 MALICE MIZER在籍時はマリスに合う詞を書いてましたし(ガクトが抜けた後のマリスの詞の惨状といったら、そりゃもう)ソロ初期はまだマリスっぽい「Mizerable」とかなんかテンションの高い「Vanilla」とか方向を探ってる感がありましたけど、パブリックイメージが固まるにつれ最近はすっかり安定してきているように思います。その安定ゆえに、新鮮さを求める人にはちょっとつまらないかなあと思いますが、ソツなくかっこよく決めているかと。
 あ、二コーラスの歌詞は、冷静に見るとちょっとアレですが。『出逢った瞬間に恋に落ちて』はいいんですけど、そのあとが『思わず君を抱きしめていた』って。これ、かなり危ない人ですよ。そして「君」も全然抵抗しないばかりか受け入れてるし。うーん、まあ、ドラマティックなシーンだということで!おしまい!
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2004年11月16日

ゴスペラーズ「ミモザ」

ミモザ
ゴスペラーズ, 安岡優, 清水信之
KRE

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 単純に、出来がとてもいいです。

 あのー、自分べつに絶対音感とかなんてないんですけど、いちおう下手ながらも楽器吹いていたりするとですね、やっぱり音程とかに敏感になってくるわけですよ。ユニゾンにしてもハモリにしても、微妙なブレとかってどうしても出てくるもんなんですね、たいていの場合は。
 でもゴスペラーズは流石というか、ほんとうにキレイにハモってます。もちろん厳密に見ていけば機械じゃないんだから多少のブレはあると思うんですが、耳ざわりの良さは間違いなくトップクラスと言っていいでしょう。
 かつ、五人いることの強みを生かして、ハモリ、合いの手、掛け合いなど、さまざまに声を絡ませてくるのもポイント高いです。まあここまでは別に今始まったことじゃないわけですが、今回は特にラスト付近が、リードボーカルが踊る「ミモザ」への語りかけ、バックコーラスが出会いの時の回想、というようにきっちり分かれていて、意図的ではないのかもしれませんが、現在と過去とが鮮やかに交錯してきて、思わずぞくっとしてしまいます。

 作詞はメンバーの安岡優でして、この人のクサそうでクサみのない綺麗に織られた言葉はかなり好きだったりします。『ただまっすぐに運命を迎えに行くだけ』とか、冷静に考えるとよく内容のとれない言葉ばかりなんですが、でも甘いんですよねー。そこの手前の『ミモザの花の季節を いつしか時が追い越しても』というのは、単純に花の咲く季節ってことではなく、歌詞中では「ミモザ」=「君」なのだから「君のもっとも若く美しい盛りが過ぎたとしても(愛してるよ)」って意味を込めてるんでしょうね。そこに「運命」を見るくらいに真剣なんですから、『きっと最後の恋さ』という台詞も軽々しくなくていいかなと。
 個人的な好みだと、もうひとひねりくらい表現に凝ってもらえるとツボど真ん中なんですけどね。このくらいの真面目さがゴスペラーズには合っているかな、とも考えますが。

 あ、サビの旋律の流れが、倖田來未「奇跡」とかなり似通っています。まあ珍しくないラインで盗作だとか言うのはアホらしいレベルなんですが、同じようなメロディーの流れの上でも、倖田來未はR&Bの人らしく細かい音を多用し、ゴスペラーズはむしろ数を減らしシンプルにして印象的にコーラスを響かせる、と両者の音楽性の違いが見えてくるようで、とても面白いです。
posted by はじ at 12:42| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月06日

コブクロ「永遠にともに」

永遠にともに
コブクロ, 小渕健太郎
ワーナーミュージック・ジャパン

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 このところ佐藤竹善や所ジョージと組んでみたりして、ずいぶん活発な活動をしていたコブクロですけど、その波に乗った今、自らのシングルは、渾身のバラードで来ましたね。
 えっと、バラード作品のたびに引用している気がしますが、平井堅「瞳をとじて」のときに述べた拙文「バラード論」に照らしてみると、実によい時期に発表された曲だと思うんですね。露出が増え、話題性を手にしたところに、バラードを持ってくる。バラードは興味がなければ退屈なものですが、興味を引きさえすれば「名曲」だと感じやすいものですから。しかも内容が「ブライダルソング」と、これまた特別なものですし。
 さらに、曲自体にも大きなインパクトがあります。それが、サビの『共に歩き 共に探し 共に笑い 共に誓い・・・』という畳みかけ。実に「共に」を12回も繰り返します。これは、ものすごいインパクトですよ。
 心得たもので、サビ直前に旋律も伴奏も思い切り盛り上げにかかりますし、その上でさらに大きな武器のハモリで、もう一段ぐっと広がりを持たせてます。こりゃ、結婚式で実際に歌われたら泣きますよみんな。

 チャートを見ると、ロングヒットの兆候もあります。普遍的な要素も持ってますし、大ヒットにつながっても、まったくおかしくはない一曲ですね。
posted by はじ at 23:39| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月18日

関ジャニ∞「浪花いろは節」


浪花いろは節
関ジャニ∞(エイト), MASA, 馬飼野康二, TAKESHI, 吉岡たく
テイチクエンタテインメント

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 関ジャニ∞ってのはユニット名でいいんでしょうか。これ演歌扱いになってますけど、これからのリリースも演歌でいくのでしょうか。ちょっと怪しいです。

 で、デビューが演歌ってのは、ハロプロ系と同じような、ちょっとおちゃらけた感じのある種親しみやすさみたいなのを出す意図があるんでしょうね。戦略としてやらされてるんだけど、それにしてはなんだかヘンで「そんなんやっていいのかよ」と思わずツッコミをいれてしまいそうになるような。
 まあでも「演歌」というよりこれ「音頭」ですよね。『踊りましょう』って言ってるし。演歌的な情念の世界は全然なく、からっとしてます。けっこう多い「なんちゃって」ではなく、完全な陽音階ですしね。徹底して五音しか使われてないです。
 いろは歌を全部覚えたのは褒めてあげましょう。あれをラップにするってアイディアも斬新だと思います。ただ、曲中に一回でいいかなあ。何回もまくしたてられても。

 とりあえず、長いこと真面目なメッセージソング系、等身大路線をとっていたジャニーズから、ひさびさに能天気エンタメ路線が出てきましたね。光GENJIとか忍者とか、あの頃以来ってことになります、たぶん。
 ようやく日本も深刻な不景気を脱したって感じですかね。同じ「踊ろう」にしても、とても真面目で感動系だったV6『WAになって踊ろう』の頃(1997)とは、だいぶ社会の雰囲気も変わってきたんじゃないのかなと。

2004年10月16日

GOING UNDER GROUND「サンキュー」

サンキュー
GOING UNDER GROUND, 松本素生
ビクターエンタテインメント

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 ひたすらセンチメンタルな音楽で突っ走るGOING UNDER GROUNDの最新シングル。通して試聴できるPVはちょっと映像的に強烈ですが、ひとたび聴いてしまえば、何かしら心が揺さぶられるものがあるはずです、と言い切れる、切なさ全開な出来になっています。いや毎回そうなんですけど、今回は特に少年時代の回想なイメージが強く、凶悪なくらいに郷愁のツボを刺激してきます。

 ここで、「詞のどういう箇所が切なさを出しているのか、引用して分析する」ってのがいつもの自分のスタイルなわけですけど、この曲の場合はっきり言って「全部」です。どこを切ってもセンチメンタルまっしぐら。
 ただし注意しておきたいのは、ここにあるのは単なるノスタルジーではないってこと。回顧であっても懐古ではない、「あの頃はよかった」ではなく、「あの頃からいろんなものを失った今」の自分を見つめている視線(『僕はどんな風に見える?』という問いかけが示すような)が中心にあるというか。「懐かしさ」よりも、「寂しさ」「喪失感」が前面に押し出されているわけですね。
 で、そうした心残りの最たるものとして『君に言えなかった「サンキュー」』がある、と。伝えたかったのに伝えられなかった感謝の言葉、それは切ない感動な要素トップ3に入るくらいの強力なものです。かく言う自分も最近KOKIA「ありがとう・・・」で泣きましたが。この「サンキュー」は先に述べたように全体がとにかく切々としているので、あざとさもまったく感じません。それは、「ありがとう」ではなくてもっと軽めの「サンキュー」であるせいもあるかもしれません。こっちはこっちで、過ぎ去った日の親しさ、みたいなものを内包していて、ぐっとくる言葉なんですけど。

 で「いろんなものを失ったり、不完全な自分だけど、前向きに生きていくよ」という締め方になるのはもうこの種の曲の必然なんですけど、しかしポジティブさの描き方までもたとえば『すり減らした靴と声で』、『泣きたいときに泣ける強さが/どこかでかならず僕らを守りつなげる』と、手にしているものは貧弱で、強さとして掲げるのは泣けることで、とぜんぜん力強くないナイーブさでもって示されています。文句なく、センチメンタルに徹底した詞世界だと言えるでしょう。

 音もセンチメンタルです。キーボードがひたすらビブラフォンの音色をこれでもかというくらいに柔らかい音で奏でていて、これだけで雰囲気が十分に出てます。盛り上げ方もよく出来ていて、前作「ハートビート」の時指摘したアレンジの難が、ずいぶん改善されている印象です。間奏前のブレイクと、たまにやっぱりドラムのシンバル系が重く聴こえるのが気になったんですけど、あとはかなりよく出来ていると思います。
 声も味あっていいですよね。『欲しがった』のとこの言い方とか、実にうまいし。

 前から気になってたんですけど、シングルタイトルって、カタカナ縛りなんですかね?なんだかこだわりがありそうですが。
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2004年10月05日

KREVA「音色」

音色
KREVA
ポニーキャニオン

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 現在メンバーが各自それぞれにソロ活動中の、KICK THE CAN CREWです。どうも地味にやってるっぽいなあと思っていたら、KREVAのこの曲でそんな印象を払拭させられました。
 とにかく、絶大なインパクト。このめっちゃ耳に残るトラック(ループする伴奏ね)を作った時点でかなり勝ちな上に、『愛してんぜ音色』と、音楽への情熱をひたすら赤裸々に綴っているのも、とても印象深いです。なまじ相手が音楽なだけに、ベタ誉め感服尽くしまくりな賛美をすればするほど、「心から音楽をリスペクトしている」という風に歌い手の精神性が高まってくるわけで。こういうの、たとえば適当に外人の女の子の名前とか使って歌うと、間違いなくチャラい雰囲気になってしまうとこです。
 呼びかけを「音色」にしたのはライム上の理由が第一でしょうけど、ずばり「音」「音楽」というよりもどことなく色気が出ていて、これも成功。『俺だけのモンになんないってのはわかってんだけども・・・』と跪いてみせるのも、うまいバランスです。アイディア勝ちですね、完全に。

 ラップにしてはずいぶんと音の上下動が激しいですが、これも演出のうちなのかなと。憧れの「音色」にすがり付こうとする感じ。こんだけの惜しみない愛の告白を平板な音程で歌っていたら、説得力なさそうじゃないですか。ちょっと熱に浮かされたような雰囲気の、でも淡々と続いていくトラックに、感情と声域を振り乱して乗せていく「音色」賛歌。世界がきっちり築き上げられている名曲でしょう。
posted by はじ at 13:00| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年09月28日

氣志團「族」

族 (CCCD)
氣志團, 綾小路翔
東芝EMI

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 これ、CMでやってるやつですね。カフェオレの宣伝でオレオレ言ってるのはハマリすぎなんで、タイアップから作ったんですかね、もしかしたら。
 一曲の中に、いろんな掛け合わせが含まれています。リズムに合わせてテンポよく韻を踏んだ歌詞もたくさん見受けられますが、それ以外にも、カフェ「オレ」=俺=「OLE!」=サンバホイッスル、とか。またタイトルの「族」とは、一見した見た目はヤンキー兄ちゃんだけど中身は熱い気さくなエンターテイナーでお茶の間にも安心な彼ら氣志團自身のように、「暴走族」かと思わせておいて実際には「家族」「血族」とか血を分けた仲間たち、みたいな意味合いのようですし。
 サンバホイッスルで始まって、親しみやすいメロディラインでほのぼのかと思いきや、途中いきなりかっこいいロックンロールに豹変し、ヒートアップしたところでもう一度「OLE!」の連呼に戻って熱く歌い上げるという、けっこう凝った構成になってます。最後の繰り返しとか盛り上がりまくりですね。
 ただ、ちょっと盛り込みすぎでごっちゃになっている感はありますが。奇抜な風貌に熱いジャパニーズポップスの「氣志團というバンド」をアピールしたいのか、歌詞中にあるような、身の回りの人たちとの絆を呼びかけたいのか、口ずさめる親しみやすい曲も作れるんだぜとアピールしたいのかストレートなロックもできるんだぜとアピールしたいのか、ちょっと絞りきれてないんじゃないかなと。

 や、でもこういう「楽しめる」歌を作ってくれるバンドは今とても貴重なんですよね。頑張ってほしいものです。
posted by はじ at 23:52| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年09月03日

GLAY「BLUE JEAN」

BLUE JEAN
GLAY, TAKURO, 佐久間正英
東芝EMI

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 すっかりポップロックバンドって感じになってますね。明らかに、ギターなどバンドの音から曲を立ち上げていくのではなく、まずポップな曲ありきで、それに合わせてサウンドを作り上げている感じです。

 なんていうか、詞、これ、サザンオールスターズになってきてません?夏の曲っていうこともあって、湘南の地名がでてきそうな勢いに見えますけど。『もう誰もいないBAYにて/過ぎ去りし日の夏を詠んでいた』とか『逢い戻りは蜜の昧』とか『心変わり 今はまだ言わないで/やけに好きよ』とか、言い回しが。今までそんなこと感じなかったのに。曲調の軽さもそう聴こえさせてるのかなあ。うーん。
 まじめ・一途・ひたむきで芯の通っている意志、っていうものがTAKUROの詞には通底してあるように思うんですが、だんだんその辺り余裕が出てきたというか、俯瞰したり色気を出してみたりとか、そういう部分が出てきているっぽいです。もともとポップス職人の素質ありますからねTAKUROは。泣かせ方とか心得てるし。

 メロディライン、微妙に音が足りないような。ちょこちょこ隙間が空いて感じられるんですが、どうしたんですかね。たまにあるんですよ、今までにない動きを取り入れようとして、やや物足りなく感じてしまう部分って。「GLOBAL COMMUNICATION」とか。新しいものを求めるのはよいことなんですが。
posted by はじ at 23:21| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年08月14日

ケツメイシ「君にBUMP」

君にBUMP
ケツメイシ, YANAGIMAN
トイズファクトリー

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 ゆるゆるなダンスチューン。ケツメイシってこういうこともできるんだなあ、とちょっと感心。でもそんだけだなあ、個人的には。華やかで楽しげで、聴いているぶんには悪くないですけど。
 「楽園ベイベー」「夏の思い出」「上海ハニー」など、「夏っぽいヒップホップ」が毎年ひとつふたつは定番曲の地位を獲得しつつある今の流れで、あえてオールシーズンな曲を作ってきた、っていうのは、何か意図があるんですかね。まあ、開放的っていう点では、夏向きな曲ではあります。

 今回は、「踊れる曲」として作ったらしく、ブラスや間奏後奏のサックスの主張が強くなっていて、ボーカルより目立っているくらいです。歌うことをではなく、音と生み出す雰囲気をより大事にしているようですね。
 前回の「涙」よりも叙情的なものは控えめになってますが、それでもさりげなく『時が過ぎていく』『笑顔を取り戻せるから』などと、ほろっとさせる部分がやっぱり加えられてまして。パーティーチューンとはいえどテンション任せに突っ走らない曲調だとかもあって、ヒップホップグループではかなり精神年齢が高い部類なんじゃないか、とリリックから感じました。
posted by はじ at 22:10| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月28日

CHEMISTRY「mirage in blue」「いとしい人」

mirage in blue(CCCD)
CHEMISTRY, 浅田信一, USKE, 堂珍嘉邦, SPANOVA, 川畑要
DefSTAR RECORDS

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 「mirage in blue」は浅田信一作詞。どっかで聴いたことがあるような気がする名前ですがどこだろう?浅井健一と間違えているわけではないですよ一応。
 ともかくこの人の書いた詞が徹底的なまでに風景描写に割かれていて、聴き手のイメージを喚起させるのに尽くされていて、んで結局何が言いたいんだ!『何処までも駆けて行くよ』って言ってるけど何処に行くつもりなのかようわからん、って具合になってしまっていますが、村分は情景描写が大好きなので、その辺はあまり気にせずに、どっぷりと空想に浸ってしまったり。まあ、そもそも普通は「何が言いたいのか」なんて深く考えずにみんな聴いているとは思いますが。
 しかしこの曲、詞を抜いて考えても夏っぽさがあるのはどうしてだろう。アップテンポなR&B、ってだけなのに。

 両A面ということで、映画「69 sixty nine」の主題歌として既発アルバムよりカットの「いとしい人」、こちらは歌っている堂珍嘉邦の作詞で、出だしが『木漏れ日の遊歩道』と来ているように、またしても描写的な要素が強いです。が、やや語彙の幅が狭いかな。その、言ってみれば「シンプルさ」が、この曲ではうまい具合に「ひたむきさ」として機能している感じがあります。
 とにかく穏やかで落ち着きのある、サビの存在しない淡々とした進行が特徴。邦楽ヒットチャートには不向きですが、映画のエンドロールとしては打ってつけの作りでしょう。後半ではガンガンにフェイクを入れてくるわけですが、アドリブ的なメロディーは細かく高く極まってくるのに、歌は決して冷静さを失わず、ファルセット使いっぱなしで絶叫しない点、この控えめさがグッときますね。


 ケミはすっかり風格を身につけた感があります。単純な歌のうまさだけでない、「雰囲気のある曲」を歌う際の雰囲気の出し方とかを獲得したんじゃないかなと。ちょっと作り物めいた部分は、どうしてもありますけど。
 平井堅がどちらかというと内面の心情吐露に寄っているので、ケミストリーは今回や初期の「Point of No Return」とか、描写で惹きつける曲が多い感じだし、そういう方向でぜひこれからもいってほしいです。と、勝手な願望。
posted by はじ at 18:30| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月09日

氣志團「結婚闘魂行進曲『マブダチ』」

結婚闘魂行進曲「マブダチ」(CCCD)
氣志團, 綾小路翔
東芝EMI

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 この人たちは本当にエンターテイナーだなあ。邦楽の歌い手が「アーティスト」と呼ばれ、自分自身を表現することがカッコいい、すばらしいと考えられがちな今のミュージックシーンで、エンターテインメントに徹することのできる姿勢は、実はすごく大変なもんだと思うんですね。
 まず恰好。彼らは自分の信念に沿って、ああいうメイクをしているわけじゃあないわけで。いや知らないんですけど、まさか本気で普段からああいうスタイルじゃないでしょうし。あれはまず見た目から惹きつけよう、楽しませようとしているわけで。しかも、横浜銀蝿や聖飢魔Uなどのこの系統の先達とは違い、恰好にそぐわない超王道なポップソングを歌っているわけで、このギャップというのも意図的なものでしょう。斬新な試みです。

 結婚闘魂行進曲というだけあって、メンデルスゾーン「結婚行進曲」のメロディがふんだんに盛り込まれているし、「闘魂」と言えばこの人なアントニオ猪木の有名なセリフも混ぜられてます。ギターも、ギタリストの見せ場であるお約束の間奏ソロもなく、ひたすらポップなフレーズに徹してます。こうした曲作りの方向性からも、演奏する自分たちが主体なのでなく聴き手を楽しませたいという意識が見てとれます。
 詞もソツがない。いかにもやんちゃ仲間な友人に向けての熱い祝福のメッセージ。さらにお父さんお母さんへのケアや、『今日は俺少し泣ける』とさりげなく感動を混ぜもして、隅々まで気配りが行き届いてます。

 結婚式で実際に歌われる姿が目に浮かぶようですな。男のブライダルソングの定番ってちょっと思いつかないですし。長渕剛「乾杯」とかかな?プロポーズの歌ならいくつかあるんでしょうけど。と、結婚式にまったく行ったことのない人間は考えてみる。
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2004年06月20日

ケツメイシ「涙」

 4/21リリースですが、ずいぶんとロングヒットになってます。

 この手の曲は苦手というか、あんまり興味がなくて、まずこの曲をラップだとかヒップホップだとか、どう呼んでいいものかがまずわからなかったり。
 けれどこのジャンルにおいて、最近の流れとして特筆するべきなのが「叙情性」いわゆる「泣き」を前面に出した曲調がかなり大きなムーブメントになっていること。ちょっと前までは「俺がナンバーワンだ!」みたいなものばかりだったのに、いつの間にかそうしたアッパーなものとは別に、すっかり邦楽におけるヒップホップの特徴のひとつになってます。
 この「叙情ラップ」(便宜上、今名付けた)は、多くの人に受け入れられるちゃんとした根拠があって。たとえばヒップホップってのはバックトラックはだいたいシンプルなループになってるのが通式ですが、この循環コード繰り返しってのはかなり人間の感性に訴えてくるものなんです。しかも今回の「涙」のように、哀愁漂うマイナー調をストリングスで流したりしたら、それだけで日本人は琴線をくすぐられます。
 また、韻律で詞をつむぐのも、情感を込めるのには有効です。音を重ねることでそれぞれの言葉の持つ喚起力が強くなるし、「〜して、〜して」と動作の連続になりやすいのも、押韻としてはやや弱まるものの、畳み掛けてくる調子が生まれて、聴き手に押し寄せてきます。
 さらに、日本には昔「青春フォーク」というジャンルが成立していて。これは「哀愁を帯びた音楽」と「語っているような歌い方」という二点において、いわゆる「叙情ラップ」と共通しています。つまり、こうした「叙情ラップ」を受け入れる土壌が日本には根付いていた、これもかなり大きいと思います。だってたぶん、外国では、こういうのないんじゃないかなと。日本独自のジャンルとして非常に注目したいところです。
 特にこのケツメイシは、「日本語で表現する」ことにこだわりを持っているようで、好感が持てます。今回も考えて日本人のツボを押さえにかかっている感が。『泣いて 泣き疲れるまで 湧いて 湧き溢れ出てくるだけ』とか、『飲んで飲んで飲まれて飲んで/飲んで 飲み潰れてしまうまで』(河島英五「酒と泪と男と女」)を思い出させます。まあちょっと飛躍しすぎかもですが、こういう繰り返しってやっぱり母国語で言ってこその情感、臨場感だと思います。
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2004年06月15日

GLAY「天使のわけまえ」

 なんかメロディラインがTAKUROぽくないような。これじゃどっちかっていうとラルク・・・っいや、そこ通り越して歌謡曲めいて聴こえます。もっとかちっと音を並べてくる印象が強いんで、ギャップでそう感じるのかもしれません。曲が激しいんでそんなに目立たないし、そこまでの違和感じゃないんですけどね。
 「天使/悪魔」の対立を中心にやや耽美な詞が展開されているわけですが、凝ろうとするあまりやや微妙な表現がちらほら。「天国」と対応して『地獄絵図見て育てられた魔性の女』なんてフレーズがありますが、なんかここ浮いて感じるなあ、とか。
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2004年06月13日

ガガガSP「祭りの準備」

 学園祭の準備で出会った君、祭が始まったら会えないから祭なんか来るな、っていう、ただそれだけの歌。ほんとに、ただそれだけを絶叫しているだけ。それ以外の状況説明も、君がどんな人かとかも一切描写なし。ひたすら悶々と悩む片思いを叫んでいるだけ。
 これはつまり、聴き手側で補完しろってことなんでしょう。あえて細かい描写を省くことで、大量の人々の経験やノスタルジーに重ねられるようにしているわけです。浜崎あゆみ等の「傷付いた」や最近流行の和風メロディに感じる郷愁などと同じようにして「学園祭の準備」が使われている、と。だいぶ限定されたシチュエーションですが、ハレの時間が始まる前の高揚感というものは想像しやすく魅力的だし、歌詞詰め込みまくりな歌い方がそれをさらに煽っているんで、さほど気にならないかと。

 でも、最近はずいぶん「青春」ってものが変質している気がします。昔は大人が若者を見て使う単語で、当人たちにとっては口にするのも恥ずかしい言葉だったような気がするんですが。それがだんだんと「恥ずかしいけど言っちゃうぜ」から、当たり前のように使われだしているような。多分ゆず・19あたりから青春パンクなるジャンルへの流れが関わってきていると思うわけですが、気になるのは、「青春」という単語にはどうしてもノスタルジーが漂っていて、それが大人だけ使っている頃は当然問題なかったんですが、現役たちも使うようになった今、青春真っ只中な若者がノスタルジーを求める、みたいな奇妙な流れがあるように思います。つんくなんか、その流れを意図的に利用して詩を書いてより流れを加速させている感があります。

 この「祭りの準備」も同様で、『毎日君に会えるこの日々は/僕の人生で一体何番目位の/幸せに入ってくるのだろうか』とか、途中のセリフの『この気持ちが過去になってしまうんでしょうか(うろ覚え)』とか、現役学生視点なのに妙に先のことに思いを馳せ、「思い返す」ことを考えているのは、「青春」のノスタルジーがどんどん現役にまで拡大浸透していることを示しているように思うわけです。
 まあ、情報がどんどん増えていく社会の加速って流れによるところでもあるだろうけど、あんまりいいことじゃないように思うんですけどねえ。

『「昔は良かった時代がとても良かった
若人もキラキラしてさ夢も希望も持ってた」
嘆いてるあなた22歳』
(SOPHIA「進化論」)
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2004年05月27日

河口恭吾「愛の歌」

 なるほど、二連続でシンプルなバラードを出すってのは、一発屋で終わらないためにはなかなかいい選択かもですね。変にアップテンポとかを出すより、「桜」でついたイメージをそのまま利用できるし。それともこの人引き出しがこれしかない、ってことはないですよね。

 さて、この曲、触れるほどの内容はないです。なんのひねりもない直球ど真ん中。
 そういうのってあんまり好きじゃないんですが(解説もできないしね)ただ、とにかく「ラブソング」を煮詰めて煮詰めて、余計なものを全部削ぎ落として、純粋な結晶だけを取り出した、というくらいの歌はやっぱり迫るものがありますよね。ゆず「オーバー」とか、ドリカム「LOVE LOVE LOVE」「すき」とか、あとはメッセージ系だけどブルーハーツ(特に真島曲)とか。
 ただこの歌はそこまでの高みにあるかというと、微妙なところ。曲の雰囲気、言葉の響きだけを考えて作られたんでしょうかね。聴き心地は悪くはないですが。
posted by はじ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年05月10日

キンモクセイと東京ジェンヌ「二人のムラサキ東京」

 レトロ。もうどっからどこを見てもレトロ一色。まずデュエットである点からしてそうだし、タイトルも詞もリズムもメロディラインもコード進行もオルガンの音色も、何から何まで古めかしい。キンモクセイってほんとこういうの好きね。
 レトロ、古めかしい、というのは雰囲気的な表現でしかないんで、もっとしっかり言うとつまり「昭和ムード歌謡」っぽいと言うことで。しかしリアルタイムでそういう類の音楽に触れたわけでもないのに、どうして「古風」な感じがしてしまうんでしょうか。

 古風、というのはつまり「今っぽくない」ということです。かつ、「昔はこうだったかもしれないけど」と思うような内容がレトロさになるわけでして。たとえばギター中心のバンドサウンドや打ち込み系と比較したら、この曲の「ズンチャチャ、ズン、チャ」という野暮ったいリズムやチープなオルガンの音は古い、とみんな思っているわけですね。歌詞にしても、『だって君はクールな東京の人』など「東京(=都会)」を特別視している視点に、きっとみんな一世代前を感じるんでしょう。そもそもこの妖しい雰囲気の楽曲で「東京の夜」を歌っていること自体が「現代的じゃない」雰囲気ですよね。都会のオトナのムードへの憧れを誘ってる感じなのとかが。

 でも今だって、都会に憧れている地方の人はいっぱいいるはずで。じゃあなんでそうした感覚が古めかしく思えるのかというと、現代の邦楽シーンが完全に「都会」を前提にして作られているからではないでしょうか。テレビなんかもそういう傾向ありますが、都会に暮らす人間の心情に基づく内容ばかりがあふれてしまったため、ビルなんてほとんどないような町に住む人でも都市の孤独を歌う歌に共感したり、東京で働くキャリアウーマンの恋愛模様を描いたドラマに一喜一憂できてしまうのが現代のひとつの側面で。憧れはもちろんあるけど、今はお手軽に邦楽聴いたりテレビ見たりファッション誌を買ったりすれば都会とつながっていられるようになっていて、いわば全国のみんなが都会に住んでいると錯覚できる環境が出来上がっているわけです。
 だから殊更「東京の夜に暗く渦巻く情念の世界」なんてものが過去の遺物に思えるんじゃないかなと。いまや東京は昼も夜もすっかり全国に開けっぴろげに開放されているわけですからね。

 このキンモクセイや、ゆず・19などのネオアコ組、それに最近の和風曲ブームは、そうした都会中心主義の流れに対して湧き上がってきたものなんじゃないかなと。田舎的というか、素朴さ、懐かしさをくすぐるわけで、実際はやっぱり「都会的な人々」に向けての音楽だったりするんですけどね。

 と、たまにはエセ文化論じみた文章を展開してみたり。長くなりすぎた。
 一つの曲からでも現代社会を語ってみちゃうことは可能なのです。曲のレビューにはなってないような気もしますが。
posted by はじ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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