2004年10月30日

w-inds.「四季」

四季 (CCCD)
winds., Hiroaki Hayama, shungo., Nozomi Furukawa, Takafumi Hoshino
ポニーキャニオン

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 スキマスイッチの手による前作 「キレイだ」では、珍しくちょっと情けなくユーモラスな主人公像の歌詞が新鮮でしたが、今回はまたお馴染みの切なげストイック路線に戻っています。
 ただ今回は、曲にバンドものっぽい生のドラムが使われていてそれがけっこう特徴になっているかと。これ、ちょっと、意図が量りかねます。旋律はダンスビートに乗りやすそうないつもどおりの方向ですし、打ち込みで問題ないように思えるんですよ。新しい要素を入れたかったってだけなのかな。

 タイトルどおり、巡る季節を織り込んで、『瞳を閉じれば いつも/よみがえる 君との seasons』というふうに、『もう今は君に会えない』状況から二人の日々を思い返している、という内容になっています。
 別れた後も相手のことを想っている、という曲によく見られる傾向として、「なぜ別れたのか」ということを明確に描かない、ということがあります。この曲でも『優しさが足りなかったね』という、原因を匂わせるだけにとどまる一文以外は、なぜ二人が離れたのかをうかがわせる記述はありません。だいたいどの曲もこうなんですよね。似たような類のフレーズとしては「ささいなすれ違い」とか「日々に追われて」などが挙げられますが、どれもこれも直接の原因は書かず、「そんなに好きだったんならなんで別れたんだよ」と意地悪にツッコめそうなぼかし方をしていることが多いです。
 理由は簡単、「生々しいから」。別れても好きな人、というシチュエーションは、聴き手のセンチメンタリズムに訴えようとしているわけで、そうするとあんまり「相手の浮気」だとか「マンネリ」だとか「寝取られ」だとか「夜の相性が悪かった」だとか、そういう変に現実的な理由とは相性が悪いのです。だから、その辺には触れずに、きれいにまとめるわけですね。
(あとは遠距離の離ればなれ、卒業、死別などなら、二人の気持ちは変わらなくても別れることになるわけで、そういうシチュの曲が多いのは「切ない」状況を作りやすいためなので、自然なことなんです)

 というわけで、この曲はそういう生々しさを非常に丁寧に排除して、美しい思い出と切ない想いに浸ることができるように細心の注意がなされています。春夏秋冬を組み込むことも、季節の美しさと、『君がいない四季を渡るよ』と循環しつつも決して戻らない時間の流れを印象付ける描き方に生かしてます。


 こっからは余談ですけど、「〜した季節」って使いやすい言葉ですよね。「〜した時間」と言うよりも綺麗で、かなりスパンの長い期間を与えることができますから。平原綾香の「君といる時間の中で」など、「現在」に当てはめるには「時間」の方がよさそうですけどね。過去、あるいは未来(「思い描く季節」とか)には「季節」は優秀です。


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2004年10月14日

ASIAN KUNG-FU GENERATION「君の街まで」

君の街まで (CCCD)
ASIAN KUNGFU GENERATION, 後藤正文
KRE

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 アジカン飛ばしてますね。今年に入ってから「サイレン」「ループ&ループ」「リライト」ときて、四枚目のシングルです。アルバム「ソルファ」も10/20リリースということで、ハイペースな活動してますね。ソルファってソルフェージュの原語かしら。

 相も変わらず骨組みのがっちりしたサウンドですけど、今回はけっこうポップですね。堅いけど軽い。裏声出すイメージなかったんですけど、実に印象的に響いてますね。地声に徹する人なのかと思っていたので、ちょっとびっくり。
 曲の展開がサクサク変わるのも、特徴の一つとしてしまっていいんでしょう。今回だと、最後のリズム変化がやっぱり耳に残りますね。ラルクの「Blurry Eyes」と同パターンかな。

 「君」と「飛ぶ」という言葉が多用されているあたりだけを見ると「サイレン」に近いものがありそうなんですが、あれよりもずっと落ち着いた雰囲気に聴こえるのは曲のせいでしょうか。実は今のところ聴いた中では「サイレン」が一番好きなんですけど、その理由であるところの「息苦しい焦燥感」はあんまり感じられないですね。
 落ち着いて感じる由縁は歌詞にもあって、『輝く向こうの先までは飛べないけど』という限界点の自覚があったりとか、あと特に気になったのは、『揺らいでいる頼りない君もいつかは/僕らを救う明日の羽になるかな』というとこで、これって「君」よりも視点人物「僕」のほうが優位に立っているっぽい、少なくとも余裕を持って「君」と接していますよね。ちょっと珍しくないですか?男性アーティスト、特に一人称が「僕」な場合って、たいてい「君」に頭が上がらないってほうが主流だという印象があるんですけど。
 でもアジカンは、いつもここまで強気だってわけじゃないですけど、「僕」と「君」の二人がいると、だいたい「僕」のほうが積極的な面があるようです。「君」に対してアクティブに行動したり呼びかけたり、どちらかというと助けられるよりも助けようとする向きが強いですね。
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2004年09月23日

ACIDMAN「イコール」

equal e.p.
ACIDMAN, 大木伸夫
東芝EMI

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 9/15にリリースされた3rdアルバム「equal」の先行シングル、にもかかわらずイントロ部分が7/4拍子(3/4+4/4拍子かな)という、大衆受けなど狙っていない、非常に彼ららしい作りに仕上がっております。
 とは言っても、別に奇をてらっているのではなく、実に自然な感じで変拍子を奏でてますね。個々の技術と音量・幅のレンジと、何よりセッションの確かさに裏打ちされた演奏能力の高さは、もう一ファンとしてよくわかっているわけでして、そのくらいじゃあこちらとしても驚きません。相変わらず全体としてレベル高いです。こんなに一体感ある音を出せるバンド、他にいたら教えてもらいたいですね。

 どうしてポップスって恋愛の歌ばっかりなんだろう、と疑問・不満に思う方にはとてもオススメな、一切の生ぬるさがない硬質な世界観は、もちろん健在です。
 ただし、今回は「感情の発見」とも言うべき一瞬を表現しているかのよう。
 今までは、前回の「水写」なんかでもそうだったんですけど、調和した、もしくは揺らめく空間の中に在って、ひたすら感情に流されることなく見つめ観察する視線があったのですが、今回の曲には「発見」の驚きがあります。『静かな時刻の 静かな感情に/それは降っていた!/ひらりと降った!』そして、『生かされているんだ/花火のように』という理解に到達します。
 これは今までになかった、新しい傾向ですね。悟りというか、途方もない真実に手が触れたかのような感覚が、ここに生まれています。

 ただ曲としては、さすがにそろそろインパクトがなくなってきたかなと。次に何が来るかわからない、鮮やかにスイッチの切り替わる展開は、初めて聴く人にはもちろん衝撃でしょうけど、さすがにデビュー当時から追ってきた身としては、もう慣れてきてしまった感があって、少し。
 サビは、低空からぐっと伸び上がって上に抜けるメロディラインになっていてなかなか素敵です。翳りある声のためにそこまで目立たないのが難点ですが、だからといってこの声でないとこの空間に合わないしなあ。

 またアルバムのほうもそのうち取り上げます。アルバムという場の上で語りたいことも、いくらかあるので。
posted by はじ at 03:14| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年09月21日

奥田民生「何と言う」

何と言う (CCCD)
奥田民生, Charley Drayton
ソニーミュージックエンタテインメント

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『たのしい時何て言う? たのしいですと言う/それでいいだろ 言葉なんか』


 爽快です。




 ・・・と、一言だけで終えるのが、この曲に対して真正面から向き合うレビューになると考えたのですが。しかしそうすると、もはやこのブログの存在意義がなくなってしまうので、男らしくなく言葉をあれこれ並べ立ててみようと思います。

 奥田民生は、ソロを始めてから、ずっとシンプルで直球な言葉、ありのままの言葉を歌おうと苦心し、努力し、作り出してきたという印象があります。
 「男らしさ」ってものが曲中に出されることが多いですが、これが説得力を持ち「カッコイイ」と思えるのは、「カッコつけていない」からなんだと思うわけです。ぱっと見「カッコワルイ」ような、ちょっとためらってしまうところヘンなところも、隠さずに余さずにさらけだしてしまいますし(例:「マシマロ」)、「カッコイイ」台詞を歌うときも、照れなどかけらもなく歌ったり(例:「花になる」)衒いも足踏みもなくストレートに表現する、そこがやはり魅力的なんじゃないかなと。
 なので、この曲はひとつの到達点であるように感じられます。この記事の最初の一文を読んでもらえばわかる通り、真っ向から言葉を飾ることを否定しています。さすがに「言葉」を歌う「歌手」として、言葉そのものまでは否定してませんが、逆に言えば、「歌」として自己矛盾に陥らずにできる、もっともシンプルな結論まで彼はたどり着いたのだ、と言えそうです。


 ただし、考えておかなければならないのは、この「楽しいなら楽しいとだけ言えばいいんだ」というメッセージ自体は実に直球ですが、それは、歌として歌われた時点で、ほんとうの直球とは言えないのではないか、ということです。
 メッセージにはメロディラインができるし、伴奏だって付くわけですからね。音楽という味付けが、否応なく加えられているわけです。

 意地の悪い難癖ですが、それはしかし否定できる主張です。
 奥田民生は、音には余計なものを求めないけど、シンプルなりのかっこよさを追求する。詞も旋律に合わせて、韻を踏んだりリズムを整えたり、君に会いに行こうとする気持ちが『15分くらいのバラードになるだろう』と途方もないスケールであることに触れた上で『君に会って何て言う? うれしいですと言う』と歌うことで、この部分を『(伝えたい気持ちはものすごくいっぱいあるんだけど)うれしいですと(だけ)言う』なんて風にとらせられるようにしたり、いろいろとうまく工夫しています。

 これらは決して「ストレートな言葉を追い求める」という方向性とは矛盾しません。そのものが表現行為である「歌」においては、ストレートさというのはやはり「演出される」ものであるわけですから。
 メッセージを際立たせるために、曲に乗せ、メッセージ以上の言葉を費やす。歌というものはそういうものです。その枠の中で、「シンプルな」メッセージを届けるために、力を抜き、無駄を削ぎ落とした伴奏をつけ、「カッコつけてない」歌詞と雰囲気でもって歌う、奥田民生はそういうスタイルなわけです。

 この辺りを「矛盾だ!」としか思えない人は、歌にしろ小説にしろ表現行為なんてできないでしょうし、楽しむことも難しいのではないでしょうか。いろいろ損してますよ。
 奥田民生は、そこをきちんと割り切っているように感じます。音楽は楽しいものであるべきで、歌手はエンターテイナーでなくてはならない、という自覚があり、かつ「歌」というフィールドで、自然な演出をひたすらに目指す真摯さがあります。


 実に野暮なこと(しかもグダグダめ)を長々と書いてしまいました。まあ、奥田民生については何を書いても野暮になってしまうわけで、そういう素晴らしさという類もあるのだということを、この野暮な文章で理解していただければ、と。
posted by はじ at 19:01| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年09月18日

ORANGE RANGE「チェスト」

チェスト
ORANGE RANGE, HIROPES, Paul Gilbert
ソニーミュージックエンタテインメント

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 俺たちこんなヘビーな音も出せるんだぜ、ってとこでしょうか。うん、その点はちょっと見直しました。こういう音鳴らせるとは思っていなかったんで。
 でもバリバリにロックぽいサウンドを前面に出しているにしては、ラップで『先導はこのマイク一本で十分』って言っちゃってますが、楽器隊の方々はそれでいいんでしょうか。せっかくキメてるのにー。
 にしても、短いですな。これで限定10万枚生産、ってちょっとあくどくないですか?売り上げに執着する人たちには見えないですけど。

 ヒップホップじゃないですね。どっちかというと、洋楽的です。外国語は一音に詰め込むことができるので、まくし立てて歌えるわけで、そういう感覚で日本語でも言葉をぐっと詰め込んで歌っている、っていう。音のせいかもしれませんが。

 ところで、この人たちって決まった略称とかないですよね?みんなオレンジレンジって全部言ってますよね。微妙な長さ。
posted by はじ at 10:24| Comment(4) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年09月16日

EXILE「HEART of GOLD」

HEART of GOLD(CCCD)
EXILE, Kozo Nagayama, Kei Kawano, RATHER UNIQUE, MICHICO, MAKIDAI, USA, SOHJIN, T.Kura
エイベックス・ディストリビューション

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 情報によると、スペースエンタテイメント「Beat Pops」の公演“HEART of GOLD 〜STREET FUTURE OPERA BEAT POPS〜”テーマ曲と言うことですが、結局それがどういうものなのかが今いちよくわかんないです。

 曲そのものは、壮大な内容を歌ったバラード。お得意のバリバリR&Bサウンドですが、いつも通りの安定感が逆に、曲の壮大さを邪魔している気もします。
 『気づかずに 誰かを傷つけ〜』以降のCメロはいい雰囲気。最後のサビのリフレインのバックコーラスは、なんかもっと荘厳って感じに聴こえさせることもできたんじゃないのかな。あんまり響かせ方がうまくない気がします。アレンジはかなり凝っていて、「おっ」と思うブレイクポイントがいくつもあったのですが。

 詞は、かなりスケールの大きな言葉ばかり使っていながらも、わりと違和感なく溶けさせているんじゃないかと。フレーズが単語に負けてない。『永遠の前の 静かな一秒』とか、好きな表現ですね。
 ただ、どうしても不可解なのが、さんざん「金色」を主題において歌い上げてきているのに、最後のシメが『赤い花が咲いた』なのは、いったいぜんたいどうなっているんでしょうか。ギャグなのかと思っちゃいましたよ。うん。
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2004年09月13日

嵐「瞳の中のGalaxy」

瞳の中のGalaxy/Hero(DVD付き初回生産限定盤)
嵐, 藤井フミヤ, CHOKKAKU, SPIN, 石塚知生
ジェイ・ストーム

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 いいじゃないですか。ジャニーズは、たまにこういういい曲を作るから案外あなどれません。
 って、藤井フミヤ作詞作曲だったのか。言われてみれば、確かにそんな感じ。編曲がすごくいつものジャニーズっぽいから、気がつかなかったのかも。フミヤが歌うなら、もっとシンプルに歌い上げ型になるんだろうなあ。

 一読すればわかることですが、メロにちょこちょこと女の子の台詞が組み込まれていて、これはメロディラインからしても実にうまく組み込んであります。ちょっといかにも過ぎるきらいがありますけど、まあこのいかにも青春映画な雰囲気が、この曲の肝なわけで。
 『ペパーミントと涙の味がした』とか『そして僕は星座になって』とか、藤井フミヤらしいキザっぽい部分もなきにしもあらずですが、その辺がうまいこと、10代ユニットらしい若さ初々しさで中和されて、いい具合になっている感じがします。この点では成功ですが、ただ曲的にはあんまり多人数で歌うタイプの歌じゃないように思うので、サビの合唱はちょっとなー、と。
 何年か前のキンキが歌っていたら、曲的にはベストだったのかも。今だとさすがにこの歌の似合う旬を過ぎている感じなんで。
 まあ、嵐もこれでミディアムバラードを開拓できたんで、いい経験だったんじゃないかと。洗練されてはないですが、だからこそ若くて青春ぽくていいんじゃないかと。


 ところで、「南くんの恋人」主題歌だそうですね。昔、武田真治が主役やった時は、ドラマほとんど見ない我が家ではほんとうに珍しく、毎回見ていた番組でした。でも今回もきっと、内田春菊の原作漫画とは方向違った路線なんだろうなあ。これはこれで素晴らしいんですが、うかつに読むとヘコむので、ご注意を。
posted by はじ at 17:42| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年08月23日

ASIAN KUNG-FU GENERATION「リライト」

リライト (CCCD)
ASIAN KUNGFU GENERATION, 後藤正文
KRE

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 しなりのある硬さを持った、一本きちっと筋の通った音。「サイレン」でアジカンを知った自分でも、明快に「アジカンらしい」と言えてしまうほど、自らの個性を発揮している一曲に仕上がっています。大型アニメのタイアップも得て、堂々のブレイクといったところでしょうか。

 音楽に「硬質な響き」があるというのは、まずやっぱり、かっちりとした演奏だからということが大きいですかね。リズム隊のドラムとベースがうまいのは前からほめてますが、ギターもまた、リズムにひずみを出さない、拍を際立たせる演奏に徹してますね。この「リライト」の前奏なんか顕著ですけど。このきっぱりした演奏スタイルが、いい感じに音同士をこすれ合わせて、火花を散らすような引き締まった印象を与えるんでしょう。
 また、詞の言葉も非常に硬質です。硬い響きの言葉、そして固い意味の言葉、が多く、『存在の証明』に始まり「超幻想」だの「起死回生」だの「全身全霊」だの『「尊厳」と「自由」で矛盾してるよ』だの。そして、そのカタい単語を、旋律の中にぎゅっと詰め込んでくる。ポルノグラフィティが「ラック」でやっていたような感じですね。アジカンはもうお家芸らしく、毎回こんな風にして、カタい言葉にさらに強固なインパクトを与えています。

 かっこいいだけじゃなく、中盤には突如としてオリエンタリズム溢れる間奏が出てきたりもしてます。もともとそうした音楽を作る傾向があるようで、かつ今回は全体としてはあんまり東洋っぽい要素がないので、ここで釣り合いとったんでしょうか。バンド名もアジアって言っているし、毎曲オリエンタリズムさを出さなければいけない、みたいなポリシーでもあるんでしょうかね。
posted by はじ at 23:44| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年08月08日

175R「夕焼けファルセット」

夕焼けファルセット (CCCD)
175R, SHOGO, MASAHIDE SAKUMA
東芝EMI

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 タイトルに反して、ファルセット(裏声)一回も使ってないんじゃないでしょうか。いまどき珍しいくらいファルセット使わない旋律・歌い方だってイメージもあるし。

 曲調、なんかどうしても既視感あるんですが。鳴っている音とか、そもそもの「コード進行の幅」が狭いんですよね。もちろん細かく見れば違ってくるんですが、ファンじゃないただ街中で耳にしたような人からしたら、新鮮味は感じられないと思います。サザンのような偉大なる黄金パターンだと言うには、複数のバンドが似たような曲作っている現状では、ちょっと足りないかなと。うん、このハイテンポハイテンションな曲をいくつも作れるパワーってのはすごいと思いますが。

 詞。『いつかこの場所でサヨナラを言うよ』つまり「今」はまだ別れのときではないわけです。『新しい旅はまた始まっていく』と進んでいく=変わっていく自分の描写があり、おそらくはこれは「今はともに進んでいる仲間とも、いつかは別れるときがくるんだろう」という思いにつながっていくんじゃないかと。こうした「いつか来る仲間たちとの別れ」は、青春時代、学園生活の時期のことを想起させます。
 ただポイントは、主眼にあるのがまさに今を精一杯生きていくということなのに、先の別れる日のことまで考えている、という点で。ガガガSP「祭りの準備」でも触れたような、「ノスタルジー込みの青春」という方向性なんですね、これも。『サヨナラを言う』日のことをなんとなく考えつつ、『僕は生きている 明日を変えていく』わけです。がむしゃらなんだけど、ただがむしゃらなだけではなく。

 こういうのってのはやっぱり「モノより思い出」、思い返すための今この時という感覚、何かのイベントがあれば写メールを撮りまくるというような、記録メディアの発達による若者の行動心理の傾向が見て取れるような気がします。このへんきちんとまとめてみたいかもですが、面倒だなあ。
posted by はじ at 15:49| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月30日

稲葉浩志「Wonderland」

Wonderland
稲葉浩志, Inaba Koshi, Ohga Yoshinobu, Terachi Hideyuki
バーミリオンレコード

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 B'zの稲葉浩志ソロ。念のため、名前の読みは「こうし」ですよ。いつもめんどくさいんで「ひろし」で変換してますけどね。

 やっぱり、人間臭い詞がよいですね。『せっせと他人を哀れむ 僕を哀れむだろ?』といった、一歩引いた自分への客観的な視点を持ち合わせていて、それがB'z時だとたいてい「そんなことに構わないで熱くなろうぜ!」みたいな、テンション上げるためのスパイス程度にしか使われていないんですが(それはそれで味があるけどね)ソロ時ではこうした「なにやってんだろう自分」テイストを、前面に押し出してきます。

 この「Wonderland」では、『君を変えてやろうなんて/はずかしく思いあがり』と、他人とのコミュニケーション(まあ、この場合は恋愛ですが、もっと広い間合いにも適用してもよいかなと)に失敗して『信じてたものが意味を亡くす』瞬間をふっと感じとってしまった人物を、長いメロ部分で執拗にあぶり出していて。で、サビになって、その人物へ向かって呼びかける言葉が、『うらがえしの世界をごらんなさい』。つまり、視点を転換しろ、ということですね。今まで信じていたものがわからなくなってしまったなら、ぱっと新しい価値観を持てばいいじゃないか。乱暴に言ってしまうと、そういうことじゃないかなと。

 この「うらがえしの世界」=「Wonderland」は、『影は光に 醜さは美しさに/パッと変わる』と言われています。が、メロからサビで転調して雰囲気は変わるものの、依然としてマイナー調の抜けない曲展開のせいなのか、この「Wonderland」への誘いにはどこか不穏な臭いがあるように感じられます。「こっちに来ちゃったほうが楽になれるよ」といった、堕落への甘い誘惑めいた、何か。

 『君を変えてやろうなんて/はずかしく思いあがり』とありました。他人を変えよう、変えることができる、そう思うのは確かに過ぎた主張なのかもしれません。しかし、
『君を笑わせたい 力ずくでも笑わせたい』(槙原敬之「No.1」)
 というように、思いあがりだろうとなんだろうと、他人を変えてしまいたいという感情を肯定し実行できてこそ、かけがえのない関係というものは生まれるのではないでしょうか。
 もちろん、特に恋愛なんていう場合では、挫折することも多いでしょう。だから落ち込んで、思い上がってしまった、と思ってしまうことだってあるわけです。特に現代っ子は、そういう考えにはまってしまうことが多い気がします。「友達には迷惑をかけたくない」であって「迷惑をかけ合っても大丈夫だから友達」ではないというか。

 というわけで、稲葉浩志の示す「Wonderland」は、曲中でも『ごらんなさい』とだけ言っているように、ちらっと覗き見て、挫折した自分を受け入れ肯定する足がかりにするにとどまっておいたほうが賢明でしょう。実際に足を踏み入れて、浸かってしまうと、危険です。あくまでもこの歌が示しているのは「発想の転換」であり「新しい視野の受け入れ」であって、「今までの価値観を捨て去ること」「逃避すること」ではないはずですから。詞の最後の一連からも、そう察することができるんじゃないかなと。


 とまあ歌詞に絞って長々と考察してみましたが、曲全体の話になると、やや散漫な作りという印象を受けます。長いメロも、短いサビも、ちょっと肩透かしされたみたいなまとまりのなさがあり。この声でこそ映える(=他では映えない)旋律も手伝って、その印象が強まっているような。この崩しはわざとやっているのかもしれませんが、違和感あって今ひとつ好きになれないですね。それとも詞を先に作ったから、とかなのかなあ。
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2004年07月15日

奥田民生「スカイウォーカー」

スカイウォーカー (CCCD)
奥田民�, 吉田拓郎
ソニーミュージックエンタテインメント

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 伸び伸びとしたミディアムナンバー。北海道の広い広い景色の中でまっすぐ続く道、みたいなイメージが浮かんできます。北海道行ったことないですけど。
 何の狙いも感じさせずにこういう曲を歌えるというのは、やっぱり強みではないかと。しかも「イージュー☆ライダー」の頃よりも、さらに力が抜けてるぽいですし。タイトルがスカイウォーカーというだけはあるかなと。
 コード理論からみると、UmやVm起点の循環進行になっているのが、とりとめのなさ、淡々とした連続感を出すのに一役買っています。早い話が「曲が区切れる」感じをさせないような響きになっている、ってことね。まあ、メロディ村体も緩やかさを持っているんですけど。
 『どっちだろう いいとこは/しあわせなところは』という疑問(あんまり真剣に悩んではいませんけど)から『どっちでも いいことだ/しあわせと呼ぼう』と変わっていく流れが好きです。全体的に韻というか対句というか、かなりことばを対応させて詞を作っているわけですが、それさえも穏やかさ、心地よさを�み出しているような気さえします。

 ジャケット写真に「CCCD」とわざわざでっかく書いているのは、何らかの無言のメッセージと取っていいんでしょうかね。これは。
 え、前回もそうだったの?じゃあ、きっとそういうことなんでしょう。
posted by はじ at 20:19| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月14日

EXILE「real world」

real world(CCCD)
EXILE, Kenn Kato, Ken Harada, 清木場俊介, 岩戸崇, YUKIYOSHI
エイベックス

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 いつの間にかトップアーティストになっていたんですね彼ら。あんまりそういう目では見ていなかったんですが。
 さて、「real world」=「現実世界」というタイトルにもかかわらず、デジタルでサイバーなアレンジに仕上がっています。声にエフェクトまでかけているし、これは意図的に演出しているとしか思えないんですけど、対比をする意味はあるんでしょうかね。『現実の世界に/そこまでしてなぜ求める?』とありますが、これは全体からすると「求めるものがあるんだろ?」という含みがあり、現実を否定している姿勢、ってわけではありません。詞の内容は、彼らが今まで歌ってきたのとそう変わらない、前向きなメッセージ。やっぱりわざわざこんなバーチャルさを感じさせる曲調にするきちんとした意図がつかめません。新しさを出すため?カッコいいから?だったら曲に合わせて詞ももっとそれっぽい内容にしてしかるべきだと思います。
 詞自体はちゃんと練られてるんですよ。短調進行のメロから、サビでぱっと視界が開けるように同主調の長調に変わるのですが、そこで詞の内容も対応して「いろいろ大変だけど→前向きで行こう」となっていて、その辺きちんと考えて作ってあるわけで。だからやっぱりコンピュータサウンドっぽさが浮いて感じてしまいます。
 いや、もしかして、すでにこういう打ち込みサウンドも、現実、生の音楽として認識されつつある、ってことなんでしょうか。だったら自分の感性が時代遅れなだけ、ってことで簡単に話の決着がついてしまいます。うーん。もしかするとそうなのかなあ。
posted by はじ at 20:34| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年07月01日

アカツキ.「フルアヘッド」

フルアヘッド
アカツキ.
フォーライフミュージックエンタテインメント

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 いい。かっこいい。最初から最後まで、聴き心地満点。
 メジャーデビューシングルってことですが、音がとにかく太くて、しっかりしてます。息も合っていて、それぞれの楽器が別々でなくひとつになったアレンジになっていて、全編がブレイクポイントだらけで、まったく飽きないどころかスリリング。気合入ってるなあ。歌詞もかなりアツく聴こえるのは、音がいいせいなんでしょうね。
 基本的に詞を重視する自分が、音にこれだけ惹かれるのはめずらしいです。それだけ説得力のある、みなぎったサウンドが鳴っていると感じるわけで。あと、ベースがウネウネゴリゴリと太く響いているのが好みだってのもありますかね。
 とにかく大プッシュ。ひさびさにはまるかも。暇さえあれば聴いてます。自分、こんなまっとうな熱いバンドを気に入ることなんてないと思ってたんですが。
posted by はじ at 20:03| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ORANGE RANGE「ロコローション」

ロコローション (CCCD)
ORANGE RANGE, 奈良橋陽子
ソニーミュージックエンタテインメント

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 やっぱ好きじゃないなあ。HALCALIと同じで、だらだらチャラチャラした感じとかが。『なんかイイ感じ』のとこや他にもたくさん、イントネーションが「語尾上げ」とかみたいなおかしな感じになってるのは、メロディに合ってない詞を無理やり乗せたとかそうじゃなく、わざとやっているんだとは思うんですよ。ラップが出てきたころのEAST END×YURI「DA.YO.NE.」みたいに、あえて非難されやすい、ダラシナイと思われやすい類の若者言葉をとりあげて使っているんだとは思うんですけど、やっぱダメだ。
 彼らのやりたいことが、どうもいちいち自分の肌には合わないみたいです。下心のためのテンションの高さとか、女性コーラスとかの間の抜け加減とか、似たような方向性の「上海ハニー」はまだエキゾチックな音作りが聴けたんですけど、今回は無軌道だし。
 上のイントネーション変えの違和感もあって、曲ががっちりと耳に残るっていう点はうまいと思います。ヒップホップはこの、どこまで中毒性をもたらせるかってのが肝要ですね。
posted by はじ at 19:24| Comment(0) | TrackBack(1) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年06月29日

w-inds.「キレイだ」

キレイだ (CCCD)
winds., スキマスイッチ, Satoshi Hidaka, 蒼井琉々, Koma2 Kaz
ポニーキャニオン

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 最近「ふれて未来を」をリリースした、スキマスイッチの提供曲。
 このw-indsっていうユニットは、歌って踊れるとかハイトーンとかルックスとか詞の方向性とか、なんだか「こういうのいいだろ?」と巧妙な計算をして出来ているように思えて、それがすごく気になるんですけど。でも何も考えず乗ってみると案外、シングルだけ見ると好みな曲作ってるんですよね。はい。今回はちょっと趣向が変わってますけど。

 すっきりしたダンスチューンで、曲の内容もフラれた相手のことを忘れられない割には、からっとしていて軽いノリな詞が乗ってます。「6と9」とか「紙飛行機」とか「カンフー映画」とか、彼らの今までの方向性からするとけっこう変わった小道具が出てきていて、そういうのもギャップを見せようとする意図が見え隠れしていて気になってしまったり。ただ、『なんだかんだ言ったって/この性格は変わらないんだって』と、相手の写真を捨てられなかったりするような情けない自分を肯定していて、この諦めというか開き直りが、好みだったりします。内容がジメッとしていないのも、このおかげだろうし。
 Wm→Tの、味のあるコード進行の多用も、うまく曲を引き立ててます。
posted by はじ at 22:51| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年06月12日

ASIAN KUNG-FU GENERATION「ループ&ループ」

 リズムや音色がバリバリにメリハリが聴いていて、聴き心地が爽快です。これが持ち味なんだろうなあ。そういう音の部分や詞の言葉の選び方とかは、どこかACIDMANに近い部分があるように思います。ただそこに乗っかってくる思想とかあるいは単純に声の質とか、かなり違う部分もありますが。音と言葉の散りばめ方響かせ方が、硬質というか、縁取りがはっきりしているというか。
 特にアジカンは、空想度抽象度が高い割に、幻想的ではなく、地に足が着いている印象を受けます。韻踏んだり対句だったり、結構技巧的だったりもします。
 あと、相変わらずリズム隊がうまいです。音が立って聴こえるのはやっぱりここがしっかりしてるからなんだろうし、あとはオリエンタルなメロディラインによるところも大きいと思うのですが、そういう旋律はどうもハマれなかったり。
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2004年05月20日

ASIAN KUNG-FU GENERATION「サイレン」

 アジカンアジカン言われているので、アジカンというグループ名だとずっと思ってましたよ。
 人気がうなぎ上りなのもうなずけます。前作「君という花」に比べるとオリエンタルな雰囲気は抑えられてオーソドックスなロックぽくなってますが、しかし特筆すべきは音から「熱気」が立ちのぼってくるように感じられるところですね。ドラムがうまいからってのも大きいでしょうが、テンポが与える以上の疾走感、音量音質が与える以上の音楽の厚み、そういったものが確かに曲の空間の中に生まれてます。決して自分の好みのタイプじゃないはずなんですが、それでも惹きつけられるものがありますね。

 詞ですが、非常に同時代性を感じさせるというか、今もっとも若い世代に受け入れられ共鳴させうる類の叫び、といった感じ。たとえば『千年先を想い描けないけど/一寸先を刻むことで始まる』というフレーズは、ここ数年の流れ「永遠や遠い未来よりも、今が大事」という現実主義、あるいは刹那主義の潮流を端的に示してます。その流れについて説明するとまた長くなるので置いておくとして、『存在証明』なんて固い言葉を使うのも、まさに現在のひとつの方向性をなぞっているかなと。メロにはまってるし重くならない程度の使われ方なんで、好きな人にはじわりと効くし、苦手な人も気にならないくらいで、バランスがよいです。
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2004年05月19日

奥田民生「サウンド・オブ・ミュージック」

 ロックンロールっていうよりは、ロケンローってな言い方がふさわしいかと。いいですねえ、この力の抜けたかっこつけ具合。音も詞も余計な飾り付けを一切省いて、ありのままがむき出しになってます。むき出しに「している」わけじゃない、自然であって自然「体」じゃない、そういうものって音楽に限らずなかなか探してみるとないものだったりします。

 こういう曲の歌詞をあれこれ言うのは野暮ですが一応。まさにこの曲、演奏し歌いながらその歌について「これはいい音楽だ!」と宣伝しているわけですね。で、そのうたい文句をまるでその場その場で思いついたように呼びかけてきます。韻踏んだりしてるし、もちろん即興で作ったわけじゃないんでしょうけど。そうした生っぽい感じを出すことで、CDやラジオで『たやすく手に入るぜ』と言うとおり、何度も何度も繰り返されても、その瞬間ごとに『数分のエクスタシー』を提供しますよ、と表明しているわけです。ああ、やっぱり野暮だ。
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