2008年07月14日

ORANGE RANGE「君station」

君station
君station
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ORANGE RANGE
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<キャッチー過ぎないしっとり感>

 タイトルからして、ユーモア溢れるノリのいいアップテンポ系かと想像していたら、思いきりしっとり方面でした。そんなわけで、「花」「キズナ」そして「SAYONARA」という方向のミディアムバラードです。

 彼らは毎回キャッチーなサビを作ってくる印象がありましたが、今回はどちらかというとその直前、『イッショウケンメイ』で耳を引きつけ、そして『Ah』という伸ばしに繋がっていきます。サビ自体は、かなり長々とフレーズが続き、そこまでキャッチーじゃないかなと。
 そのぶん、メロディラインには今までにない落ち着きを感じます。バーっと盛り上がる感じではないですが、じわじわと込み上げてくるような雰囲気が。これ、ストリングスとの相性はいいんじゃないでしょうか。

 歌詞は、『また迷いながら歩いてく』たいへんな道のりを『終わりなき旅へ』とポジティブに受け止めて進んでいこうという意志を描いています。タイトルのstationは、これからの未来へ向かう前に、ふと立ち止まっている「今」を指しているのでしょうか。
 相変わらず言葉が散らかってしまっていて的を絞りきれていない感がありますが、細かい表現には光るものもあります。すっと挟まれる『ボロボロ穴だらけのポケット』とか『砂時計をひっくり返して生まれてきたんだ』とか。
 一方、砂時計をギミックとして使うのであれば、それは直線的な時間のイメージに繋がるのに、別所では『まわる まわる時の中で』と輪廻を思わせるフレーズがあったり…こういうところがあるので、どうしても「いい言葉を並べてみた」感を受けてしまいます。ここが改善されると、ぐっとよくなるんじゃないかなあと。


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2008年06月11日

大橋卓弥「はじまりの歌」

はじまりの歌
はじまりの歌
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大橋卓弥 秦基博
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<ソロ開始とリスペクトが生んだ、軽妙な語り口と歌い回し>

 スキマスイッチの大橋卓弥が開始したソロ活動の第1作目となるシングル。ユーキャンのCMでかかっていた、非常に爽やかな一曲です。

スキマスイッチ自体、とてもポップな作風ですが、あちらはアレンジャーとしても高い評価を得ている常田真太郎の手により、ストリングスなども絡む手の込んだ作り込みがうかがえるのに対し、こちらの大橋ソロは、よりシンプルで軽妙なバンドスタイルが前面に押し出されているように感じます。

 そしてもうひとつ、ソロになったことで、よりMr.Childrenに近くなった感があります。もともとスキマスイッチ時代から、歌い方や口語的に詰め込む言葉の乗せ方など、明らかに影響を受けている面がありました。それがより加速した感じ。
 特に今回は、サビの展開が「箒星」に似ていることがあり、例によってパクリ争議が起きていたりもしていたようで。確かに聴いているとかなり近いなーと思いますが、たとえば付点のリズムで低音から高音へと駆け上がっていく流れ(『胸に住み着いた弱虫』のところですね)がすっぱりと言い切りの形になっていて、「弱虫」を捨て去ろうという決意を感じさせるなど、楽曲に込めたメッセージに合わせてうまく調理しているなあと。

 歌詞は、新しいスタートを切るためにいろんなものを吹っ切ろうとする自戒になっています。ただ、『ギターを抱えて立っている』『新しい五線譜を眺めて 探し始めたメロディー』『怖がってないでまずは始めのコードを鳴らしてみよう』…と、音楽に関連したフレーズが多数登場。こうした表現を散りばめることも含めて、タイトルが「はじまりの歌」なんでしょうね。
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2008年06月04日

ASIAN KUNG-FU GENERATION「転がる岩、君に朝が降る」

転がる岩、君に朝が降る
ASIAN KUNG-FU GENERATION
キューンレコード (2008-02-06)
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<なすすべなく転がっていくその姿に悲壮感はない>

 かっちりしたリズムとその上を疾走するメロディライン、「アジカンらしさ」をきっちりとなぞったかのような一曲です。
 「アフターダーク」から続く…のかどうかはわかりませんが、前作が「夜明け」で今回が「朝」。音の作りも明るくなってきている気もしますし、今までどおりの中にもなにか吹っ切れて新しい息吹を感じさせるものがあるのかなあと。

 歌詞に関しては、むしろ『何を間違った?/それさえもわからないんだ』『初めから持ってないのに胸が痛んだ』など、悲観的な言葉も目立ちます。「朝」にしたって、『君の孤独も全て暴き出す朝だ』という言い方になっていますし。
 ただ、これは悲観的退廃的なメッセージを発しようとしているわけではないようです。原因もわからない喪失感にさらされながらも、『凍てつく地面を転がるように走り出した』とあるように、なすすべもなく進んでいく。否応なしに前進せざるをえない状態になっていながらも、悲壮感はありません。むしろ爽やかなくらい、鮮烈な印象を与えてきます。

 ところでタイトルの「転がる岩」ですが、これはいわゆる「like a rolling stone」からなのでしょう。たいていは「石」と訳されがちなところ、「岩」としたのはあえてなのでしょうか。
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2008年05月10日

Acid Black Cherry「冬の幻」

冬の幻
冬の幻
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Acid Black Cherry
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<言葉を畳み掛けて、色濃く浮き出る悲しみ>

 これまで女性視点での楽曲リリースを続けてきたAcid Black Cherryことyasuですが、ここで一人称「僕」の男性視点でのシングルを発表しました。しかも内容は、亡くなった恋人を想う切々とした死別の歌。恋愛感情の波に翻弄され堕ちていく前3作とは、かなりはっきりと方向性が違っています。
 しかし、歌詞の中に激しい感情が渦巻いている点は同じです。

 死別の歌、というのは、「死」をぼかされているケースが多いです。「消えた」とか「もう戻ってこない」とか、あえて柔らかい表現を使ったりですね。その点、この楽曲は『11月の夜明け前/天国へ旅立った…』と、とてもハッキリと「死」を提示しています。
 そんな明快さは、サビの畳み掛ける感情表現にも繋がっています。『粉雪よ止まないで/手の平に消えないで/儚すぎる命と重なるから』と「〜ないで」と願いをかける言葉を重ねるなど、気持ちの昂ぶりを感じさせる表現が多いのです。特に2コーラスは、『君を見つけられない/苦しくて眠れない/逢いたい 逢いたい気持ち 抑えられない』と、「〜ない」が激しく重ねられていくことで、どうしようもなく溢れる感情が浮き彫りになっています。

 歌詞中に登場する「粉雪」のモチーフは儚さの象徴であるものの、その儚さに対して突き上げる思いは非常に強く色濃いものです。「死」を明示しているのも、その感情をぶつけるポイントを明確に設定することで、この激情を印象付けたいという想いがあるのかもしれません。

 そんなわけで、痛ましい想いが渦巻いているのですが、なので最後に『僕の心の中に生きてるから』と前向きに締めるのは、近年のテンプレ通りでちょっと残念かなあと。これだけ濃く示された悲しみがあっさりと片付けられてしまっているような気になります。忘れられないまま、で終わってもよかったんじゃないかなと。
 まあ、楽曲のメロディライン自体が流麗で、決して暗いわけではないので、聴いているとそれほど違和感はないです。
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2008年03月07日

Acid Black Cherry「愛してない」

愛してない
愛してない
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Acid Black Cherry 林保徳 久保田早紀 kiyo
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<「狂おしさ」漂う感情を奔放に追求>

 Janne Da Arcのボーカルyasuのソロプロジェクト、3作目。ゴリゴリのヘビーなロックだった1作目「SPELL MAGIC」、ジャジーに揺れるサウンドを展開した2作目「Black Cherry」と今までにない内容を提供してきましたが、今回はかなりポップ。どこか歌謡曲っぽさもある哀愁のメロディラインを歌っています。

 もともとこうした歌謡曲っぽい、ちょっと泥臭くだからこそ印象に残るポップセンスは、バンドの時にもあちこちに匂っていました。また、3作続けての女性視点でのソングライティングも、見覚えがあるものです。
 ただ、ソロでは、バンドでは展開していなかった曲調にチャレンジしたりしているのもそうですが、非常に伸び伸び生き生きと持ち味を出して
いるなあ…と感じていまして。

 シングル3作はともに女性視点であると述べましたが、共通しているのはどれも「狂おしい」と言ってしまえるほどの強い愛情が表現されているという点です。想いが募りすぎて、平常心でなんていられない、ひたすらに激しい感情を昂ぶらせていく女性の姿が描かれているのですね。
 で、今回は『もう声にならないくらい』に愛しいあまり、別れの時を直視できなくなってしまっています。『優しさはもういらないの…』『あぁ…もうヤダ…愛してる…』と、込み上げてくる感情がすっかり錯綜してしまっているようです。

 そんな狂おしい感情の昂ぶりを表現したい!という意図は、たとえば言葉の上では「…」の多さなんかに表れています。意識の上に出てくる以上に言葉にならない感情があるのかもしれない、あるいはもう声になっていないということなのかもしれない…というように、「…」の使用によってよりいっそうの情感を演出しているわけです。にしても、いくらなんでも使いすぎのような気もしますが。
 そういえば、場所によって点の数が2〜4個と差があるようですが、これは意識的に変えているのでしょうか。どこの歌詞サイトを見てもそういうようになっているんですよね。考えてみたんですけど、ちょっとその差までは読み取れませんでした。点々をとにかくめっちゃ使いまくる、という高度な笑いどころなのかなーとも思えるくらいです。

 ところで、曲の構成にも「狂おしさ」を出すための工夫を感じます。
 まず、メロとサビではっきりと役割が違うこと。メロ部分に関しては、割合すっきりしたメロディラインで、曲世界の背景を語っています。一方、サビでは、ひたすらに感情が爆発。「…」も多いです。そして、感情をぶちまけたり、あるいは会話のやり取りを描きながら、メロディラインもまた「高まり」を感じさせるつくりになっているんです。
 言葉だけでなく、音も相乗して「狂おしさ」を表現しているんですね。もともとの歌謡曲的な流れもそうですし、さらに半音を多用しているのも粘りつくような感情を表しているかのようです。

 持ち味の作曲センス、そして女性視点を取り入れながら、それを「狂おしさ」を感じさせる激しい表現で発揮している…これが、伸び伸び生き生きと楽曲を作り歌っているという印象の源泉になっているのかなと。
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2008年03月03日

EXILE「I Believe」

I Believe
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EXILE TAKAHIRO ATSUSHI Masaaki Asada
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<飾らないシンプルさが、逆に新鮮な印象に繋がる>

 ちょっと大人しめかな?とも思いつつ、全体的にはいつものEXILEらしい、ミディアムナンバー。あえて特筆すべきことは、第二章から加わっている新ボーカル・TAKAHIROの作詞によるもの、という点でしょうか。

 『今すぐに 抱きしめて 君だけを見ていたい』と歌うサビからもわかるように、胸のうちで高まる「君」への想いを伝えようとする、という内容です。
 まず1コーラスのメロ部分で、片想いの始まりを描く。そして、膨らむ想いを伝えたいと考えていることを述べて、サビで愛のメッセージを並べていく…という、非常にオーソドックスな構成。使われている言葉も平易で、『耳に残る君の 声が 悔しいほど愛しくて』なんてフレーズが個人的にはなかなか好きな感じですが、全体的には目だったところはない、ソツなくまとまった王道曲という感じ。

 しかし、オーソドックスな構成とは言いつつも、片想いから素直に気持ちを告白しようとするスタイルって、実は最近そんなになかったタイプのような。特に、『僕は何故か急に切ないよ』と歌いつつも、一方では『ずっと愛し続ける/僕を信じて』などと歌ってしまっていたりもする、弱気さから強気さまで幅広くカバーしているところとか。
 ここ直近のJ-POP業界は、ちょこちょこと語っていますけれど、何かと「切なさ」を強調する傾向があったように感じていて。片想いであれば、その切なさを狂おしく描いて見せたり、ひとり悶々と思い悩むばかりというような種類のものが多かったように思うのです。

 また、「成長」を考慮していない点も、逆に新鮮。たとえば「僕」や「君」が傷ついていたりしていてそれを救ってあげる…とか、二人ならばもっと強くなれたり人間的に成長できたりする…とか、そういう恋愛+αな要素がないのですね。深く自問自答をするわけでもなく、『君のもとへ 飛んでいきたい』と、ただ「好き」だけの直球です。そういう意味で、90年代前半くらいまでみたいな雰囲気を感じるのかも。
 オーソドックスなのがむしろ興味深い、肩肘張らないで聴き楽しむことがことができる一曲だなあと。
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2008年02月29日

奥田民生「無限の風」

無限の風
無限の風
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奥田民生
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<孤高なイメージを描きながら、その内側には浸らない>

 デビュー20周年、ユニコーンとソロのトリビュートアルバムが2枚一斉に発売などが話題となった奥田民生。が、本人のには相変わらず大きな動きはなく、その活動はマイペースな印象を受けます。
 今回の「無限の風」は、じりじりとした低音のギターで始まり、腰の据わった重さを感じさせる、いつもよりも少々硬派なミドルテンポ。その歌詞もまた、『強い風 止まない風 白い羽根 折れない羽根/追い風 無限の風 大陸を 動かす風』と単語を重ねて厚みを増していく、とても真っ当な技巧を使ったフレーズに唸らされます。
 リラックスした感じや軽妙さも彼の持ち味ですが、今回は基本的にマジメ。全体的にはいつもどおりの範疇にはありますが、何か節目の年に改めて決意を固めるような、そんな雰囲気も漂わせます。

 ただし、『荒野の風になって 砂漠の風になって/遥かに手を伸ばして 空に叫ぶのさ』なんてカッコいい行動を取っているのは、語っている自分自身ではありません。カッコいいのは「あいつ」なのです。
 荒野の中をひとりただ進んでいく。そのイメージは、落ち着いた曲調とも合わせ、寡黙ながらもハッキリとした意志を持つ力強さを感じさせます。が、自分自身をそこに置いてヒロイズムに酔うわけではなく、象徴的な「あいつ」をそこに置くことで、「カッコつけ」感を削ぎ取っている…んじゃないかなと。
 そこまで考えて詞を書いているわけではないのでしょうけれど、自然と奥田民生らしさが出ているポイントだなあと。もしこれが「俺」だったら、もっと軽い言葉も入ってきそうですし。

 それにしても、「風になる」という点では同じなのに、秋川雅史「千の風になって」とはまったくもって異なる方向性を感じますね。あちらが、解き放たれた「自由」や「救い」そして「結びつき」を象徴しているとするならば、こちらの「無限の風」はそんなに優しいものではなさそう。ただ独り、ひたすらに進んでいく「孤高」な雰囲気を纏っています。それこそが、憧れるようなカッコよさに繋がっているわけですけれど。
posted by はじ at 23:42| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月16日

UVERworld「浮世CROSSING」

浮世CROSSING
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UVERworld TAKUYA∞ 平出悟
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<メッセージのスパイスとしての「軽さ」と遊び心>

 ドラマ「働きマン」主題歌。働く女性がテーマの番組とUVERworldだと少々ファン層が違うような気がしますが、そういった20代以上の女性層も狙っているんでしょうか。

 『ありのままが素敵だと 言ってくれたことが/うれしくて うれしくて』という「自分らしさ」を掲げるという点はごくごく真っ当なものですが、『それぞれ何か抱えて この平成と向き合っているんだ』とか、『第三惑星から 15時代の2000年』など、時代を上から俯瞰したような言い方が出ているところがちょっとした新味。

 「自分らしさ」を歌う楽曲って、等身大の視点をキーにしたいからか、あんまりこういう見下ろす、総括して語るような書き方をしないんですよね。そこへ行くとこうした書き方は共感を得にくいような気がしますが、人類を指して『死ぬ気で行かなきゃ 神の力作も 行き先なくした子羊』なんて言ってみたり、ユーモア・諧謔味を交えた表現になっているので、わりと馴染みやすいのではないでしょうか。
 『A・lo・lo・lone』なんてのも、印象的かつ面白い書き方ですよね。孤独な時代を俯瞰して嘆き憂いつつ、深刻になり過ぎない、笑ってしまえるし『でもまぁ良いや/気にしないようにして』と言ってのけられるところに、強さ、いい意味での「軽さ」を感じます。

 ラスト、『素直に 生きたいだけなのに 複雑な時代だな』なんて前向きなメッセージを伝え終わった後でつぶやいています。これ、はじめはちょっと締めにしては浮いてるんじゃないか?とも感じたんですね。けど、まあメジャーコードで明るく終わっているし、もういちど悩み始めるというよりは、悩みを吹っ切ったあとで「やれやれ」と肩をすぼめるようなイメージなのかなと。
 そう考えると、ここもシリアスになり過ぎない「軽さ」になり、この曲らしい締めになっているような気がしてきます。

 バンド形式・ボーカルが一人でラップもメロもこなす彼らのスタイルも、すっかり定着というか固定してきている感じです。
 それでも、楽曲自体にはさまざまな部分で遊び心を盛り込んでいる印象があるので、まだまだ新しい方向に向かうモチベーションはありそう。その意欲を、また別の見せ方にも向けていってほしいなあと。
 ちょっと自分とはセンスが違うなーと感じる部分も多々なのですが、なんだかんだで実力もポテンシャルも高いものがあるとも思っています。今のままでも人気を維持していけそうですけれど、まだ満足しないで新しい『浮世離れ』な切り口の音楽を見出してほしいところ。
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2008年02月12日

ASIAN KUNG-FU GENERATION「アフターダーク」

アフターダーク
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ASIAN KUNG-FU GENERATION 後藤正文
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<初期衝動を保ちつつ、自らの道を疾走していく>

 約1年ぶりのシングルリリースも、彼らにとっては長いと感じなくなりつつあります。矢継ぎ早に新曲を出していかず、リリースの間隔をある程度とっていくこのスタンスは、彼らよりも少し前にブレイクしていたBUMP OF CHICKENと近いものを感じるところ。リリース競争には持ち込まない、こうしたスタイルも最近は浸透しつつあるようですね。

 間隔が空いても、硬質な音と言葉、端正に並べられるリズム、強い衝動からくるシャウト、リズムが変わりエキゾチックなムードになる中間部などの特徴は、依然変わっていません。
 『夢なら覚めた/だけど僕らはまだ何もしていない/進め』
 シンプルなリズムの中で、思い切りアクションを起こそうと叫ぶこのサビ最後の部分などは、初期衝動をなお維持しているなあと感じます。
 変わったといえば、ハイトーンでのシャウトがクリアになってきたというところでしょうか。「ワールドアパート」なんかだと、まだかなり濁って(あえて絶叫ぽさを出したかったのかもですが)いましたし。

 あと、詞のモチーフによく近代的・近未来的な言葉を使うのも彼らの特色だと感じていましたが、今回それはやや控えめ。『街角血の匂い流線』あたりには若干そうした気配も感じますが、『夜風が運ぶ淡い希望』『生まれ落ちた雲まで見下ろすように飛ぶ』など、わりと一般的な単語を選んでいるような。
 熟語など硬い響きの言葉を並べて一音に詰め、歯切れよいリズミカルさを演出する手法も今回ほとんどなく、ちょっと個人的に寂しかったり…
 ただ、言葉を詰めないことで音の隙間が広めになり、少しだけ軽快な印象になっている気もします。そう考えると「飛ぶ」「遠く向こう」「進め」といった歌詞世界の方向性には沿っているのかも。

 オーソドックスな構成で3分ちょいですっぱり終わっていくので、前述の点と合わせてちょいと物足りないような気もしつつ、彼ららしい簡潔さ明快さのある曲だ、とも言えそうです。
posted by はじ at 23:15| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月05日

Aqua Timez「小さな掌」

小さな掌
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Aqua Timez 太志
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<テーマも曲調も、ぎゅっと「詰め込み」型>

 ドラマ「ジョシデカ!-女子刑事-」主題歌。『目に見えぬ傷跡をさすってくれる 優しい掌』を持つ「君」への感謝の思いを込めた一曲です。

 『どんな僕も愛してくれる君へ/ありがとう いつもそばにいてくれて』と、「君」が恋人であることは明確に示されています。ですが、ラブソングっぽくはありません。深い愛情を込めているようではありますが、それだけではないんですね。
 『後ろばかり見てたら明日が哀しむから 人は前に進むしかないんだよ/目の前にいる愛すべき人のためにも』というフレーズを読むとわかりやすいです。「君」への愛を示しつつも、「前に進む」姿勢を語りかけるメッセージもまた、しっかりとテーマに据えられているのですね。

 これは何回か触れてきたことですが…昨今は、恋愛を無邪気に楽しむ歌よりも、相手との関係性を通して人間としての強さや成長を見出していくようなマジメな歌が好まれていると感じています。この歌もまた、最終的な着地点は『こんな僕を愛してくれる君に 「ありがとう」の詩をつくりました』という「感謝」の気持ちです。ただ「好き」だけではないのです。リスペクトの感情が、そこにはあります。
 また、そこに至るまでも、「僕」自身の振り返りという部分が大きいです。『美しい想いだけじゃ生きられず 約束の空も汚してしまえた』というような、進んできた道の回想がたくさん出てきています。もちろんいつも「君」が支えてくれていた、というところへ繋がってくるんですが、それでも自問自答の分量が多い。ここはちょっと軸がブレているようにも感じられますが、「葛藤」や「追憶」というテーマもふんだんに盛り込まれているんだ、と好意的に受け止めてもよさそうです。

 さて、この曲で感じたのは、随所に含みのあるフレーズが差し挟まれているということ。たとえば、「悲しみを知った」と言わずに、『立ち止まらせたはずの涙に/悲しみを悲しむということを教わったのは』と言ってみたりしているわけです。あるいは、「理想を求めて今を省みない」という意味のことを、『ゆれる奇跡の花に魅せられて/守り抜くべき日常を枯らしてしまう』と表現してみたり。今思うと、全体にそういう傾向がありますね。
 流暢と取るか冗長と取るかは好みが分かれそうなところ。ですが、こうした言い回しは詰め込み型の楽曲自体にはハマりやすいものですし、過剰だからこそ数あるメッセージソングの中で埋もれずに台頭してきたのでしょう。特に、ネオアコ〜青春パンク隆盛時代は、シンプルな言葉だからこそ刺さる!という意図を感じる表現が主流だったので、余計に新しい波なんだなあと思わされます。

 ただ、メジャーデビューから5作目となりますが、楽曲の作りが「言葉詰め込み系ミディアムテンポ」ですっかり固定されているような。今回は、サビのコード展開やメロディラインが懐かし歌謡曲を思わせる雰囲気でちょっと新鮮でしたが、もう少し大きな部分で幅を広げていったほうがよい気もします。
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2008年01月06日

Acid Black Cherry「Black Cherry」

Black Cherry
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Acid Black Cherry 林保徳 村下孝蔵
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<ほとばしる感情表現は、男性ボーカルゆえのもの?>

 Janne Da Arcボーカルyasuのソロプロジェクト、Acid Black Cherry。1作目「SPELL MAGIC」はヘビーに決めたロックサウンドでしたが、今回はガラリと趣向を変え、ジャズテイスト溢れるハイテンポなスイングになっています。
 情感豊かなイントロから、ホーンセクションが色彩豊かに入ってくる展開にしても、ジャジーなコード展開やメロディメイクにしても、かなり堂に入っているなあと感心。特にメロディラインと歌い方は、スイングのリズムを生かした形に巧く仕上げているなあと感じます。

 で、歌詞は、エロです。「SPELL MAGIC」も相当あれこれ入っていましたが、今回はより多く、直接的。『かじりついた果実は/甘い甘い猛毒で…犯されて』くらいはまだ序の口で、そのうち『中に出して!』『私の中へ種を残して!』という叫びが繰り返されています。
 や、エロ全開なのはまあ、いいんです。ソロの開放感もあるんでしょうし、やたら楽しそうですし。けど、せっかく情緒的なアレンジになっているので、もうちょっと奥ゆかしい感じにしても良かったんじゃないかなーと。淫靡でいい雰囲気の、オトナな一曲にもできたかもしれないなあと思うのです。

 感情が昂ぶるあまりに『こんなに惨めにして!』と感情が倒錯していってしまう、みたいな描き方は、興味深いところです。女性だと、あんまりこういうのやらないですし。
 女性ボーカルがこういう曲を歌うと、こんなに激情をほとばしらせたりはせず、ぐっと抑えた感じにしないと、たぶん共感はされないでしょう。…ああ、そう考えると、奥ゆかしく淫靡にしないで全開で振り切っているのは、男性が女性視点で歌うならではなのかもしれませんね。
posted by はじ at 23:20| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月05日

ET-KING「ギフト」

ギフト
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<「ハートフルな語り」の新潮流>

 このところ、ハートフルなテーマをリリックに乗せて歌い、人気を拡大してきているHIPHOPユニットです。

 日本のヒップホップシーンでは、曲の中でひとつのストーリーを組み上げストリングスを取り入れて感動的に演出する、ハートフル系の流れが定着してきたように思います。で、大切な人への感謝の気持ちを赤裸々にメッセージに託す、といった形をとるリスペクトソングは、そうした一派はもちろん、他のユニットにも見られる傾向です。
 古くはまず、Dragon Ash「Grateful Days」があります。その後、2001年に三木道三「Lifetime Respect」が大ヒットします。これ、正しくはレゲエですが、ただこの曲が世に出たことによって「砕けた言葉で」「赤裸々な気持ちを」「音程のあるラップ調で語り連ねる」という様式が、一般に浸透するわけです。

 で、ケツメイシ「トモダチ」「涙」あるいはちょっとジャンルは外れますがORANGE RANGE「花」などの哀愁泣き系統や、Home Made 家族「サンキュー!!」THC!!「オメデトウ」湘南乃風「応援歌」といった、恋人や家族や友人、周りの人に感謝の気持ちを捧げるタイプの系統がどんどん現れていきます。端的に言えば「語り系」でしょうか。普通に話すようなトーンなので生の言葉っぽさを出せつつ、かつコードに乗っているぶん感動が増幅する、そんな生かし方をしているわけですね。

 前置きが長くなりましたが、ET-KINGは一作前の「愛しい人へ」は恋人へ、その前の「Beautiful Life」は仲間へのメッセージを込めている作品で、ストーリー性もありかなり「語り系」の要素が強いユニットです。
 今回の「ギフト」では、『それこそこの世でたった一つの贈りものなんや』『One life もろたもんは生き甲斐』など、関西弁を駆使。関西弁は彼らのホームグラウンド性を表すだけでなく、感情と馴染みやすく、より親しみやすさを強調する効果があるのですね。 この分野だと次のブレイクはFUNKY MONKEY BABYSかなと思っていたのですが、こちらは関西弁なぶん親しみやすさを強めに出せるので、その点は有利ではないかなと。

 この関西弁による効果を意図的に狙っていることは、他の楽曲やこの曲内でも場所を選んで混ぜ込んでいることから伺えます。もっとも繰り返されインパクトのあるサビでは、「一生 忘れられへん」ではなく『一生 忘れられないよ』としていますし、『知らず知らずのうちに/どれだけ救われたんだろう』など、シリアスな部分ではずっと標準語で押し通しています。でもって、ラストは『ほんまにありがとう』で締める、と。
 ふたつのイントネーションが混ざっていると、なんだかまとまりが悪い、完成度が低いというように感じる人もいることでしょう。しかし、自分の胸中は標準語/「お前」への呼びかけになると関西弁、とある程度使い分けていますし、また真面目に伝えたいけど照れが混じる、みたいなイメージもできますから、決して悪いことではないんじゃないかなと。

 あと注目したいのは、抽象的/一般的な描写からはみ出し、具体的なエピソードを提示しているという点ですね。「手紙」あたりはまあありがちな小道具なんですけど、『雑誌に載ってた流行りのシャツ』を見つけて届けてくれたことにグッとくる、なんてあたりは、かなり細かいエピソードですよね。
 湘南乃風にもこうした傾向があって、これはまたそうしたフレーズが好まれる潮流がじわじわと来ているってことなのかなーと。今後、こうした「語り系」ハートフル派を中心に、注目しておきたい点です。
posted by はじ at 17:17| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月07日

嵐「Happiness」

Happiness
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嵐 北川吟 NAOKI-T Wonderland 多田慎也 櫻井翔
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<ポジティブソングの要素が盛り込まれまくり>

 メンバーである櫻井翔・二宮和也が主演したドラマ「山田太郎ものがたり」の主題歌となった、明るく爽やかな一曲です。
 作詞の名義が、Wonderland…って、これ、何者?たいへん気になりますが、とりあえず内容を見ていきましょう。

 歌詞は、非常にオーソドックスなパターンのポジティブなメッセージです。『君だけの音を聞かせてよ』と「君」へと呼びかけていたりもしますし、また自分自身を指し示しているような部分もありと、わりと柔軟な感じ。
 『どんなに小さなつぼみでも 一つだけのHappiness』というフレーズから、中心になっているのは「ひとつの幸せを大事にして追い求めていこう」ということなのでしょう。「花」を比喩に使うというのは、実に王道的表現ですね。

 またこの曲、『思い出の後先』『騒がしい未来』『明日を迎えに』といった、どこかで聴いたようなフレーズも盛り込まれています。そんなスパイスも効かせつつ、『幸せの虹は 何色なんて 気にしなくていいから』なんていうのはなかなか面白い独自の表現だなあと。
 …なんというか、あんまりプロっぽくない作り方という気が。主題は「幸せ」ながら「愛」が1個だけ出てきたり、「道を進む」と「花を咲かせる」と軸を示すイメージが2種類あったりなど、統一感を重視するというよりもおいしいフレーズを詰め込んだ感があるところも、アマチュアっぽい雰囲気です。作詞者がちょっと聞いたことのない名前ですし、もしかしてメンバーの誰かが覆面で書いていたりするんじゃないか?とか考えてしまいました。
 まあ、単純にたくさんポジティブソングらしいフレーズを散りばめて、華やか賑やかな雰囲気を出したかったという意図なのかもしれません。
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2007年12月03日

EXILE「時の描片〜トキノカケラ〜」

時の描片~トキノカケラ~
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<さらっと流れる中に、ソツなくまとまった表現技法>

 昨年12月の「Everything」から「Lovers Again」「道」までの3ヶ月連続リリース、そして「SUMMER TIME LOVE」と、第二章としての活動を精力的に続けているEXILEです。ドラマ主題歌として、「山おんな壁おんな」に使用されることを想定して書かれた曲だそうで。

 今回は、イントロこそスクラッチの鳴り響くちょっとヒップホップ寄りっぽい出だしになっていますが、中身はいつものミディアムナンバーといった雰囲気です。むしろいつもよりも少々キラキラ感があるかも。
 サビのメロディラインを見ても、それほど大きな起伏がなく、盛り上がるドラマティックな方向は目指していない雰囲気です。さらっと染みる、くらいのイメージなのかもしれません。ハイトーンを歌い上げず、ファルセットも併用して軽く響かせているのも、同様の意図を感じます。

 「かけら」を「欠片」ではなく「描片」と表現していますが、これは素直に巧い表現だと思います。
 こういうのってやりすぎると鼻についたりするものですが、他にはこうした当て字表現はないですし、読みも自然に合わせていますし。何より、『涙で途切れた隙間 微笑みで埋めながら』というフレーズにもきちんと繋がってくるのがポイント。主題を据える言葉として、はっきりとした表現意図に立脚しているなあと。なので、ありがちな「とりあえずかっこよく言ってみました」感がないんです。

 詞の後の部分は、ソツなくまとまってい印象。あんまりわざわざ解説するようなこともなさそうです。
 あえて取り上げるとすると、『「答えなんてあるのかな?」』などの疑問文をカッコ付きにしているところでしょうか。呼びかけっぽさをより強く出していますが、これは受け手に「きっとあるよ!」あるいは「答えなんて要らないよ!」などの反応を促す形になっているわけですね。いわゆるポップス歌詞では<お約束>のフレーズを、あえて言い切らず疑問形にすることで、聴き手に補足させるテクニックです。
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2007年11月03日

UVERworld「シャカビーチ〜Laka Laka La〜」

シャカビーチ~Laka Laka La~
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<「夏」の相反するテーマをひとつの楽曲に溶かし込む>

 ハイトーンボーカルとロック&ラップの融合したミックスチャーサウンドを展開するUVERworld。ジャンルを問わずどんな要素でも取り込むスタイルということらしく、今回の曲ではラテンのリズムや楽器群を投入しています。

 夏の熱気にアダルトな要素をプラスした、かなりギラついた展開と内容。『横ぎった ビキニ ガン見のscope』なんて歌うラップ部分ではじっとりと重みをつける一方、すぐにぐっとハイトーンに広がっていくレンジの広さは特筆ものです。内にこもる熱から、サビで歌われている『夏が今 僕の心 広げてく』というフレーズのように外に広がる熱まで、両方を一曲に収めています。

 冷静に考えると、『今宵も探す恋愛のゲーム』の中で『ロックオン 一人だけ/ロックオン 苦渋の選択』をするという流れと『砂浜の君の足跡/見つけ出すから』とたった一人運命の人を選ぶというようなフレーズは、両立しないような気もするのですが…
 まあ、あんまり細かいことが気にならないほど、「夏の恋愛ゲーム」「アダルトな熱帯夜のムード」「爽やかに広がりのあるイメージ」「運命の人との運命的な出会い」なんて欲張りに取り入れたテーマがうまいこと融合できているように感じました。
 それに、最後に極小音で吹き込まれているシークレット歌詞。これ、正規歌詞内の上記の矛盾を踏まえて作られているようにも感じますし…
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2007年10月22日

Aqua Timez「ALONES」

ALONES
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<奮起よりもリラックスを促す、「頑張るな」というメッセージ>

 Aqua Timezの新曲は、スピード感を持って進んでいく軽快なナンバー。これまでのシングル群は、基本ミディアムテンポで進行し、歌詞の内容と共にどっしりとした印象を与えてくるものでしたが、その枠組みから少しだけ外に踏み出した感があります。
 とはいえ、リズムの刻みを広くすることでどっしり落ち着く部分も多いですし、また歌詞も非常にメッセージ性が強く、芯の部分はほぼこれまでと同じと考えてよさそうです。

 「君」への呼びかけは、強さではなく、優しさに重きが置かれています。
 『もう誰かのためじゃなくて 自分のために笑っていいよ』
 『こらえることだけが勇気じゃない』
 人に気を配ったり、我慢したりして疲れたりしないで、そんなことはさせたくない。こうしたフレーズを見ていくと、中心になっているのは、「無理して頑張らなくていい」というこの一点に集約されていることがわかります。
 陽性のメッセージではありますが、「頑張れ」と発奮を促す応援ソングとは、正反対の主張なのです。無理をせず、自分のペースでいい。もっと自分を大切にしよう…こうした観点に立って練られたメッセージになっているのですね。

 で、この曲中ではさらに、どうして「頑張れ」とは言わず「頑張るな」というメッセージを選んだか?について、根拠というか背景に当たると思われる内容も綴ってあります。
 『君は少し 青すぎる空に疲れただけさ』
 『時にこの世界は 上を向いて歩くには 少し眩しすぎるね』
 空の青さ、そして眩しすぎる世界。何か悪い物事が起こったためではなく、むしろ良さげな性質のものが「君」の障害になっているのでは…と類推しているわけです。

 問題はないはずなのに、世界は素敵なもののはずなのに、なんだか疲れてしまう。便利で裕福な生活を送っていても満たされない、という現代の病理を思わせます。そんな中で、最近は「頑張れ」という言葉は無責任に感じる、なんていうふうにもよく言われるようになりました。少なくとも、うつ症状の人にとっては、重荷になってしまうとして、絶対に言ってはいけないとされていますよね。
 普通に生活を送っている中でも『依然として忍び寄る孤独』に怯えたり、つい周りに合わせたり、劣等感にさいなまれたりしてしまう。うつに限らず、そんな感覚を持って苦しんでいる人へ届けるメッセージは、「頑張れ」ではなく「頑張るな」のほうが適切なのかもしれません。
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2007年10月16日

ORANGE RANGE「イケナイ太陽」

イケナイ太陽
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<ネットリした歌謡サウンドで、男女がお互い燃え上がる>

 ORANGE RANGE・ミーツ・歌謡曲といった、こってりした熱気の漂うナンバー。なかなか新鮮な感じです。
 このところの彼らはアッパーチューンかメロウかの両極端な二極族が進んでいました。今回はアッパーではあるもののマイナー気味でどこかねっとりした歌謡調の曲作りをしているのが、今までにない感じです。『騙し騙され胸うずく 下手な芝居が より盛り上げる夜』なんてフレーズも、まるでサザンかと思うような世界になっていますね。
 どうもわりと前から暖めていた曲らしいですが、タイミング的にはちょうどよかったのかなーと。

 ベースはロックサウンドなんですけど、だいぶ低音が強い感じ。こういう重心の低さを感じるのも、久々かなと。でもその一方で、『Na Na Na Na…』とイントロとアウトロにあるスキャットは、今までどおりキャッチーなツカミのためにきっちりと用意されています。

 内容は、『お前のセクシー・フェロモンで オレ メロメロ』な、勢い任せの夏のアバンチュールです。『熱く奥で果てたいよ』とか、エロ方面に持っていくのもお約束。
 ただポイントは、こういうのってたいてい男が女を誘う、そんで雰囲気たっぷりに持っていっちゃうか、もしくは勇気が出なかったり返り討ちにあったりするヘタレパターンか、のどちらかが多いものなんですけど、この曲では女性からの視点も含まれているところ。しかも、『徐々に高鳴る鼓動 止められないわ!』とノリノリです。
 男性側も女性側も、『オレはイケナイ太陽』『あたし イケナイ太陽』と並置され、同じように扱われているところを見ると、お互いにテンションが上がっている状態なんだろうなと聴き手は想像できます。両サイドの盛り上がりを描くことで、相手がどう思っているかわからない、どう「落とす」かというスリルはなくなりますが、テンションは2倍になる。この歌は、どう転ぶかわからない「駆け引き」の歌ではなく、二人で一気にボルテージを上げていく「フィーバー」の歌なんですね。
 ドラマ「花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜」の主題歌ということですが、このタイトルからしてフィーバーしている作品にもテンション的には近かったのかもしれません。

 あと『きっと キミじゃなきゃ やだよ』の「きっと」が利いてますね。細かいことを押し流して、テンションだけで持っていく真夏の若者らしい雰囲気。純愛ストーリーものに真っ向から対抗している感じで、まあそんなつもりはないでしょうけれど、なかなか痛快です。
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2007年10月15日

ACIDMAN「REMIND」

REMIND
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ACIDMAN 大木伸夫
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<世界を「発見」する感動を求める密やかな意志>

 デビュー以来、高いクオリティで自らの目指す音と世界観をストイックに貫いているACIDMAN。今回もまた、全開でテンションを上げていくと思ったら次の瞬間ふっと静寂が訪れたり、途中で一回曲が止まっとかと思ったら拍子が変わったり、変則的な面が多数あります。が、奇をてらっているというよりは、とにかく表現への貪欲さを感じるんですよね。

 そして歌詞は、今回全英語詞になっています。
 『Remind me,the moonlight is holding the night nice and calm』
 サビの部分を意訳気味に読むと、(月の光に照らされた平穏で素晴らしい夜を思い出させて)というところでしょうか。
 『Remind me,the world made the night so we don't miss the glow』
 (夜は、我々が光を見逃さないためにあるということを思い出させて)
 こちらでは、夜が『a faint glow』(ほのかな光)を浮かび上がらせる存在として描かれています。

 その他、「night」は至るところに頻出します。これはそのまま時間としての夜を表しているのかもしれませんが、もうひとつ、「隠された何か」がそこにある場、という意味合いも含んでいるのかな?とも思うのです。
 『We can't see the real treasure with our eyes』
 (本当に大切なものは目に見えない)という言葉どおり、「夜」に
 潜んでいる何かを見つけ出したい!という気持ちが、「Remind me」という呼びかけには込められているのではないのかなと。

 そして一方では…
 『Find the air,Finding the earth,Finding water,Finding fire』と、
 世界の根幹を成すものを「find」=「見つけて」あるいは「悟って」とも呼びかけてみる。このようにこの曲には、「発見」を指し示す言葉が溢れているのです。で、それは同時に、それらの「発見」による感動も暗示しているのではないかなーと感じるのです。大気や大地や水や火を、改めて「発見」する…それは、たとえば素晴らしく雄大な景色を見たとき、自然の神秘に触れたときなどに誰もが感じるような、世界に対する畏敬の念のような感覚。これを指しているのではないでしょうか。

 ACIDMANの歌詞世界は、世界を透徹した視点から眺めたり、まさしく今回のように「発見」したりという内容が多いです。で、そこへ来ての「remind me」と繰り返される叫びは、もっと「世界」の神秘を見つけ出したい、もっと感じ取りたい…という意志がこもっているように感じるのです。「remind」は「思い出させる」という意味の語ですが、ここでは「伝えて」、「〜と思わせて」くらいの感情が込められているんじゃないかなーと。
 ACIDMANの表現しようとしている詞のスタンスをはっきりと提示している、ある種彼らのアンセムのような一曲だなあ、と思いました。

 ちなみに、英語で詞を書いたり、「he」に語らせてみたりしているのは、人間の意志を強く表に出さない、感じさせないようにしたいからなのかなと。「僕は世界を感じたい!」じゃ、ストレートすぎるわけで。人の感情など介在しない圧倒的に雄大な「世界」の存在を描きたいから、あえて感情を見出しにくい英語だったり、セリフは顔のない「he」のものだったりしているんじゃないでしょうか。
 そう考えると、「remind」という単語を選んだのも、その延長線上にあるのかもしれませんね。「する」ではなく「させる」と、自分の意志ではない見せ方になっていますから。
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2007年10月03日

w-inds.「LOVE IS THE GREATEST THING」

LOVE IS THE GREATEST THING
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w-inds. shungo. Koma2 Kaz Izumi Arisato
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<カッコイイ「カッコ悪さ」を描く>

 作詞shungo.とのタッグもすっかり定着したw-indsです。なんというか、彼らのスタンスというのはまさにこの詞に象徴されているなあ、という気がするんですよね。

 『No…!! まだこっそり悩んで/いい加減に行動起こそうとしてた』
 悩んで、適当な生き方を選ぼうとしてしまうような弱さを自覚し、赤裸々に曝け出す。いい部分だけを見せるんじゃなく、悪い部分を見据えようとする、「等身大」な視点がここにはあります。
 その一方で、「No…!!」だったり、「行動」と書いて実は「アクション」と読ませていたり、という表現の装飾もかなりあります。英語も多用していますし、フレーズそのものは決して地味ではありません。
 『ただ待ってた…奇跡を/そんなんじゃ夢だって見れない』なんてのもそうです。待っているだけじゃダメだ、という過去の自分への辛辣な想いを吐き出しているところなんですが、「奇跡」は「Miracle」と歌っていまして。起こす時ならともかく、否定するときにこういう当て字をするのはどうなのかなーと思っちゃったり。

 こういう書き方を見て思うのは、「カッコ悪さ」というのは今や「カッコよさ」の一部分なんだなあ、ということです。
 どこからどう見ても欠点がない、ウジウジな悩んだりしないしいつでも前向き、そんな一面的な強さというのは今、あまり描かれません。むしろ、誰にでも弱い面はあるという前提のもと、そうした「弱さ」をはっきり認め、受け入れ、曝け出すほうがずっと強いんだ、というような空気があります。等身大視点で、「カッコ悪さ」をあえて描き歌うことが「カッコよさ」になるんですね。
 この曲の場合、自分の弱さを認め『君が僕を変えた』と「君」に救われ強くなっていこうとするさまが綴られています。そのプロセスは、まさに「カッコ悪さ」を「カッコよさ」として描くやり方です。しかも非常に自覚的だなあと思うのは、うまくいかない日々、やる気のない自分を描くときさえ『諦めたり…尽くせぬベスト』と、ちょっと飾った言い方にしているのですね。弱音や葛藤さえも「カッコいい」と受け取られるはずという自信、あるいは受け取らせようという意図がなければ、こういう書き方はできないよなあと。

 ところで、超ハイトーンが彼らの楽曲の特徴ですが、今回はその中でも特に高い。コーラスはさらに高いところで歌っているので、これはもう明確に高く高くと意識して作っていると思います。
 正直、血管切れるんじゃないかとハラハラしてしまうくらい苦しそうなんですが、大丈夫でしょうか。
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2007年09月03日

UVERworld「endscape」

endscape
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UVERworld TAKUYA∞ 平出悟
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<スタイルの統一、メロディラインの躍動>

 新進バンドUVERworldによる正統派ロックサウンド。これまでの曲はデジタル色が強めだったりラップ部分があったりしましたが、今作ではデジタルが香り付け程度に控えめに入っているだけで、あとはまっすぐ疾走するバンドサウンドになっています。なので、どうもミクスチャー系が苦手という人にも聴きやすいのでは。

 ロック一本に絞っているのが影響しているのかはわかりませんが、歌詞もまた統一感があります。全体として、『昔の経験に足を取られて 在りもしない壁を自分で作ってたんだ』から『叶えたい未来』へ、過去に縛られず現在を大事にしつつ未来に向かっていく、という流れがあり、スッキリしているなあと。「君の好きなうた」ではまとまりについて少し難じましたが、今作は良かったです。

 ただ、過去に縛られてしまうことについて『僕たちはこの世界に永く生き過ぎたのかな』というのは、若干広げすぎな気がします。
 や、タイアップがSF漫画原作のアニメ「地球へ…」なので、そこにリンクさせているんだろうなーというのはわかります。ここだけ陰りの漂うアレンジになっているのも、感傷が効果的に滲んできていい展開だなーと思います。ただ、そうした感傷を乗り越えての最終的なメッセージが『5年先 なりたい 自分を描いたら/今すべきことが見えてくるだろ』という実に現実的なアドバイスだったりしまして。ちょっとバランスが悪い気が。

 あと、ボーカルがとてもハイトーンに強いようなのですが、ただ高さに頼るのではなく広いレンジを効果的に使っていますよね。Aメロとか、オクターブ差でメロディラインを繰り出していたりして。上下動も激しくて、躍動感もあります。そんなふうに高いキーが頻発する中、2コーラス後に転調するCメロではぐっと抑え目にしてみたり。
 いろいろなものを取り入れる代わりに、この幅広い音域と上下の躍動を活用して、うまく楽曲に広がりを持たせているなあと感じました。
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2007年08月21日

EXILE「SUMMER TIME LOVE」

SUMMER TIME LOVE
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<「夏への期待感」をストレートに出した、典型的なサマーチューン>

 新生EXILEの初・サマーチューン。軽快なダンスナンバー、いかにもEXILEなサウンドです。

 さて、テーマがはっきりと「夏」で、パーカッションが南米っぽかったり熱っぽさも漂っているのですが、それでもどこか爽やかな雰囲気に仕上がっているなあという印象です。灼熱っぽくギラギラしているわけじゃないなーと。歌詞には『終わらない灼熱』なんて言葉もありますが、「EXILEらしさ」の中には、「熱気」は香っていても「暑苦しさ」は含まれていないんでしょう。

 歌詞はいかにも「初夏リリースの夏の歌」すぎて、逆にあんまり書くところがありません。どういう点が典型的かというと、とにかく「これから迎える夏への期待」に溢れているということ。『今年の夏こそは 最高に楽しむ』なんてそのまんまな意志が歌われています。
 で、どう夏を楽しむかというと、何よりもやっぱり恋ですよね。『きっと運命で僕らは結ばれるよね』と、幸せな恋愛を何の根拠もなく予感していたりします。でも、こういう強気な発言は、夏の前という時期だからこそ言えてしまうセリフでして。夏という季節には、何でもできそうな気分になる「魔力」があるものですから。
 『焼けた肌 眩しい』なんていうのも、強力な「イメージ」です。この曲の中ではまだ夏になってはいないのに、太陽に焼かれるとか、海辺の情景とか、そういう「ステキな夏」のイメージというのは、実に強力に聴き手に作用してくるものです。まだ到来前でも、浮き立った楽しみな気持ちにさせてくれる季節は、灼熱の夏くらいのものです。
 あ、春もそういう面はありますか。でも、冬を耐え忍んで花開く春とは、やっぱりテンションの高さが違いますよね、夏って。

 あと、『秋が来ても/君がいなきゃ/切ない思い出になってしまう』というフレーズがありますが、これは恋する夏が終わっても「君」とずっといたい、ということですね。何を当たり前のことを…と思うかもですが、これはつまり「ひと夏の恋」を歌った曲ではないわけで。
 なんだか近年は、「ひと夏の恋」、この夏だけ盛り上がろうぜ!みたいな主張をする人はあんまりいないですよね。ほんと、サザンくらいじゃないかなー。最近のアーティストは、浮き立つ季節にも遊びの恋愛はしない、真面目で純粋な面々なのです。
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2007年08月17日

Aqua Timez「しおり」

しおり
しおり
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Aqua Timez 太志
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<「より純粋に」なのか、「より感傷的に」なのか>

 さて、個人的に勝手に「J-POP第2世代」の代表的存在、ということにしているAqua Timez。そう考えている理由としては、ひとつにはミスチルやJ-HIPHOPの影響が見えること、そして歌われる言葉に今の若い世代の空気を感じるからです。

 既発シングル「決意の朝に」「千の夜をこえて」と同じく、今回もややゆたりしたミディアムテンポにぎゅっと詰め込んだ言葉が乗る、というスタイル。そういえば、彼らの名前が広まるきっかけになった「等身大のラブソング」もそうでした。
 まあ、この曲は他よりもメロディラインがしっかり見えていまして。そのぶんなのか、歌われる内容も熱いメッセージではなく、終わった恋の相手を思い返す感傷的なものにスライドしています。

 『綺麗な景色はいつの日も少しだけ悲しいんだ』と、離れてしまった恋人との想い出の風景の中で、一人で過去を振り返る主人公。まだ相手を好きなままでいる彼は、在りし日に二人で歩いた穏やかな景色に「少しだけの悲しさ」を感じます。
 なんとか忘れようとしても、なかなか忘れることはできないままでいる。『あれこれと悩んでは見たものの 答えらしい答えは見つかりません』『幸せのありかなど 僕にはわからない』と、あれこれ考えてみても、結局ストンと気持ちを納得させられないままでいます。

 「少しだけの悲しさ」に浸る感傷と、そしていつまでも結論なんて出せない「行き場のない悩み」…これが、この曲の中心を占めている部分です。
 悲しくてたまらない、絶望してしまうわけじゃない。『悲しくなんかない』と言い聞かせるくらいの分別は付いている。でも、吹っ切ることはできない。強烈な感情にのた打ち回ることはないけど、そのぶん、いつまでも宙ぶらりんのままあれこれと悩み続ける…よく言えば穏やかで真面目、悪く言えばはっきりしない、煮え切らない。そんな態度なのです。

 「失恋後も相手を切々と想い続ける」という歌は、ここでも何度か書きましたが、最近数を増してきたように感じています。で、そのうちの大抵は「まだ君が好きだけど、君との想い出を大事にして生きていくよ」というパターンか、「まだ君が好きだ、いつかまた笑って会える日が来るといいね」というパターンのどちらかに収束することが多いです。後者なんかは多少まだ未練が残っているような気もしますが、どちらにしろ、今はひとまず相手への気持ちに一区切りをつけて、前に進んでいくことで落ち着きます。
 が、この曲では、最終的には『「今日もあなたが好きでした」』と、今すぐ吹っ切ることを諦めてしまう。「あなた」への気持ちに区切りをつけられないことを、ひとまず受け入れてしまっているわけです。上記の2パターンより、少し消極的なスタンスです。
 それだけ愛が深かったんだということもできるし、ただ女々しいだけだと感じる人もいるかもしれません。でも、この曲がヒットしているということは、このスタンスがそれなりに受け入れられていることの証でもあるわけでして。やっぱり今のJ-POP世代は、ひとつ上の世代が親しんでいるよりも少し非アクティブで感傷的な空気感の中にいるんじゃないかなー、と感じたりするのです。
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2007年08月10日

嵐「We can make it!」

We can make it!
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嵐 UNITe 櫻井翔 鈴木雅也 北川暁
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<「みんなで」視点に徹する言葉と曲構成>

 メンバー松本潤が出演しているドラマ「バンビーノ!」の主題歌にもなっている嵐のこの楽曲は、非常に明快な応援ソングになっています。

 真っ当なメッセージに終始していて、ソツなくまとまっているので、あんまり「これは!」と特筆すべきことがないんですが…あえて挙げるとするならば、<「We」という視点>でしょうか。
 一人胸のうちに苦しみを抱えつつそれでも立ち上がっていく自問自答系、「I」の歌ではない。かといって、他の誰かに向かって頑張れと鼓舞するような「You」の歌でもない。共に進んでいこうとする「We」の歌、なのです。

 そりゃタイトルにもあるからわかるよ、だからどうしたの?と言われると何ですが、とりあえず全編通じて、歌詞には「僕」も「君」も出てきません。『My Dream!』と『Your Dream!』は出てきますが、それぞれコーラスごとに入れ替えて言っているだけなので、意味合いとしてはこれも「Our Dreams」ですよね。
 つまり、主語をつけないことで、『カラダに感じるリズム』も『本当の夢』も『あふれる涙』も、誰のものか限定していないわけです。それらの持ち主は「僕」でもあるし「君」でもある。○○がどうして○○はどうした、なんて役割を振り分けずに、全員が同じように頑張っていこう!という内容になっているわけなのですね。
 ラップ部分だけは「僕は」と出てきますが、まあラップというのはパーソナルな表現につながりやすいものなので…

 「We」=「みんなで」路線は、詞だけではなく曲にも表れてきているように思います。
 たとえばメロディラインは、滑らかというよりは、歯切れよく力強いものになっていて、「みんなで」進んでいくからこその確かな足取りを暗に示しているのかなあ…とか。
 それと、個々でバラバラのパートになって歌っている部分も目立ちます。同じ部分でも歌い回しを変えていたり、フェイクが絡んできたりの度合いが、普通の曲よりも大きいような。
 これは「みんなで」じゃないじゃん!…なんて言うことなかれ。むしろ、ひとつのやりかたで歌うんじゃなく、それぞれが違いながらもひとつの歌を作り上げることで、よりいっそう「みんなで」感が増しているんじゃないかなと。ひとつの歌い方だったら、一人でも歌えてしまうわけですし。「みんなで」でないとできない表現だ、とも言えそうなところです。
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2007年08月02日

ORANGE RANGE「イカSUMMER」

イカSUMMER
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ORANGE RANGE KAGAMI
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<あえて脳天気さ、ダーティさに徹する姿勢>

 ORANGE RANGEのすっかり毎年定番コースとなった、脳天気ハイテンションサマーチューン。なんというか、相変わらずハチャメチャ破天荒で、そしてどこか不敵で、逆になんだかホッとするくらい。

 とりあえず、内容が盛りだくさん。歌もありラップもあり、そして冒頭や途中にはよくわからない呪文も差し挟まれています。その呪文には、なんだかカッコ付きで、訳?だかセリフだかも乗せてあったり。
 『123で夏が来る』、「ワン・ツー・スリー」と数を数える文句は非常にわかりやすく、耳に入ってきやすいものです。そうやってフレーズを始め、『スーパーULTRA ちゅらちゅらよ』と続く。強調をふたつ並べて馬鹿っぽさを出しています。しかもわざわざカタカナとアルファベットにしたりと、芸が細かい。加えて、文脈と微妙に沿っていないような感じに沖縄方言まで混ぜ込んでくる。
 この一行だけ取り出してみても、キャッチーかつ脳天気さが詰まっているのがわかります。一見ノリだけの意味不明な内容で、それは正しいのですけれど、これだけいろいろな要素を駆使しているところを見るにつけ、意図的に馬鹿騒ぎ感を出しているんだなあと思うのです。

 なので、「アタマ悪そう」とか「歌詞の中身がないじゃん」とか「沖縄方言をわざわざ使う意味あるの?」とか、そういう批判はあんまり意味がないんじゃないかなと。この手の楽曲は、瞬間的にテンションを上げるためのものであって、いちいち意味を考えずメロディやサウンド、言葉の響きやフレーズのイメージで楽しむためのものだと思うのです。盛り上げのための拍手に対して「うるさい!」とか「揃っていない」とか「音楽性が感じられない」とか言うのと同じようなことだと思うのです。ん?ちょっと違うかな?
 少なくとも、パクリだなんだと毎度あれこれ騒がれる中で「イカサマ」にかかるタイトルを曲に冠するあたりも、わざとやっているよなーと思っちゃいますし。「UN ROCK STAR」といい、あえてダーティなイメージを受け入れ、むしろ煽っているようなスタンスを感じます。いろんな意味で「確信犯」的に曲を作っているんだろうなと。

 今回もあれこれキャッチーにできているんですが、むしろいろいろ詰め込みすぎて、あるいはサウンドが賑やかすぎてかもですが、ハッキリとアタマに刻み付けられるような中毒性まではない感じ。それでも、脳天気さノリのよさに徹するその姿勢は評価したいところ。
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2007年07月28日

ウエンツ瑛士「Awaking Emotion 8/5」

Awaking Emotion 8/5/my brand new way (ウエンツ瑛士ジャケット盤)
ウエンツ瑛士 小松清人 Curious K. 小池徹平 Special Supported by TEPPEI KOIKE 水木しげる 前嶋廣明
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<ユニット時とは異なるスタイルとその魅力>

 WaTそのままといった穏やかでフォーキーなポップスだった小池徹平のソロ作「君に贈る歌」に対して、ウエンツ瑛士のソロ作はWaTではありえないロックチューン。やー、正直、かなり驚きました。

 主演している映画「ゲゲゲの鬼太郎」主題歌として見ると合っているのか?という疑問はさておき、曲単体としてはよくできていると思います。ウエンツの普段のキャラとのギャップもありますし、曲自体もまるでロックバンドが大ヒットする足がかりになる代表曲といった雰囲気。よくWaT陣営にこんなサウンドを生み出す土壌があったものだ、と素直に驚きました。

 詞の内容も、意中の相手に甘くささやきかけるようなWaTスタイルではありません。『優柔な決断力 とんがった感覚も/君の存在を求めてる』と、相手主体ではなくオレ主体だったり、『心を鎖から 解き放て』と強くメッセージを投げかけたり。やっぱり、曲調に沿うように強いものに変わっています。
 …ちなみに「優柔」って「優柔不断」という四字熟語くらいしか馴染みがないですが、はっきりしないという意味もありつつ、優しくて柔軟という字通りの意味もあるらしいです。でもこの曲の場合は、やっぱり弱気だっていう意味のほうがしっくり来るのかな。

 「目覚めたばかりの感情」「約束の場所」といったモチーフはそれほど独自性があるというわけではないですが、全体にソツなくまとまっている印象です。テレビでのウエンツ本人は明るい三枚目キャラなので、こういうシリアスめな内容で攻めると、普段とのギャップもあって5割増に響いてくる感じ。
 鬼太郎とはあんまり合うイメージがしなかったんですけど、でもバトル物アニメのオープニングテーマとしては確かに適切なのかもしれないなあ、と改めて考えたら思いました。続きを読む
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2007年05月20日

嵐「Love so sweet」

amazletツールが不調のようなので、CD詳細はまた後ほど。とりあえずのところはこちらからどうぞ。

<メロディラインの特徴を、さらに強く印象付けるための「促音」とは>

 前クールが好評だったおかげか、続編として放映されたドラマ「花より男子2」のテーマソング。
 シンコペーションで軽快に進む曲調も、『明けない夜はないよ/信じることが全て』と言ってのける内容も、たいへん爽やかなもの。青春ドラマの体裁にはちょうどいい気もしますが、メンバーの松本潤が務めるヒーロー役のキャラクターとは違う感じがします。や、内容しっかりとは知らないんですが。

 サビの大きく上下するメロディラインが印象的に感じる人も多いことでしょう。これは動きそのものもそうですし、コードとしても広がりが出てインパクトを感じさせるようにできているのですが、加えて言葉の乗せ方も考慮されています。
 それは、『思い出ずっと ずっと忘れない空』の「ずっと ずっと」の促音、いわゆる小さな「つ」の存在です。音の上下動に合わせて詰まる音を発音することで、よりダイナミックさが強調され、耳に残るようになるわけですね。
 その後の同メロディの反復部分でも、『光ってもっと 最高のLady きっとそっと想い届く』と、見事に「光ってもっと」「きっとそっと」と「っ」のオンパレード。想いが届く、に対して「きっと」は問題ないですが、「そっと」は多少違和感がある気もしますが、付けたほうが圧倒的に語感がよろしいですね。

 こういうテクニックは、重ねれば重ねるほど、韻を踏む効果もあるので、印象付けはどんどん高まっていきます。
 特に今回もフル活用されている「ずっと」「きっと」「そっと」「もっと」あたりはそれぞれの語の利便性も高いですし、他にも「ぎゅっと」抱きしめるとか「ぐっと」力を込めるとかまだまだ広がりようはあるので、作詞する人にとっては実に重宝する単語です。たいへん多くの歌に使われているパターンですね。
 こういう単語のバリエーションは、困ったときのためにメモしておくとよいでしょう。って、ここは作詞講座じゃないですが。

 にしても、V6が「HONEY BEAT」で華やかなアイドルポップスに傾いた一方で、嵐は「アオゾラペダル」に続き、切ないとハッピーとの違いはあるものの、等身大爽やか路線を貫いています。時代のニーズに合わせ、このまま差異化は行われるんでしょうか?
 とはいえ今回の楽曲は、目線こそ等身大からのものではありますが、『輝いたのは虹でも 太陽でもなくて 君だと 気付いたときから』なんて、かなりドリーミーな装いもありまして。やっぱり「不器用でもまっすぐな心意気」から、「うっとりするような素敵なエスコート」、タイトル通り甘い、ポップな方向へと若干傾いている感じではあります。
 まあ、今回1曲だけで判断できることでもないので、もうしばらく様子見でしょうか。
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2007年05月15日

EXILE「道」

道
posted with amazlet on 07.05.14
EXILE Shogo Kashida Daisuke Kahara NHK東京児童合唱団ザ・ユースクラス 栗友会ユースクワイア
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<断片的なフレーズが思い出を掘り起こす>

 第二章の活動開始から、精力的な連続リリースを重ねたEXILE。3ヶ月連続リリースのトリを飾るのは、卒業をモチーフにしたバラードです。前回の「Lovers Again」もスローナンバーでしたが、あちらは失恋切ない系、こちらは旅立ち感動系と、少々毛色が違います。

 『見慣れた景色 二度と並べない/思い出の道』…シングルには合唱バージョンも入っていたりして、はっきりと「卒業」を意識した内容です。
 卒業、旅立ち、道を歩いていく、『キミを忘れない』…と、要素だけを見ていくと非常にベッタベタな内容ではありますが、でも全体を読んでいるとあまり「ありがち」だとは感じないんですよね。

 それはなぜかと言うと、言葉の並べかたがやたらとバラバラになっているというせいなのかなと。短いフレーズごとの繋がりが薄いというか…たとえば、『誰も消せない 心のアルバム』の後ろが『笑えるかもね』だったりするんです。今までの思い出を「心のアルバム」とする表現はわかりますが、そこから「笑えるかも」という心情に繋がるのはかなり不思議。失くしたくない、とかならわかるんですが。
 でも、この途切れ途切れ感が新鮮だったりするわけです。思い出を失くしたくない、だともういかにも過ぎてまったく面白味はないわけで。その点、「笑えるかもね」という語は唐突ですが、聴き手は勝手に(今なら)笑えるかもね、とか(君のおかげで)笑えるかもね、とか勝手にあれこれ想像を巡らせることができるんですよね。
 同じようなことが、あちこちに言えます。『愛と優しさ 教えてくれた/泣かないで歩こう』なんかも、2行の繋がりは薄いものの、それぞれ「歌詞らしい」フレーズで、なんとなく共通点もあるような気もする。

 断片的に言葉を並べると、受け手は自然とその行間を読もうとします。しっかりと繋がった文章の流れを作るよりも、こうしたやり方のほうがイマジネーションが膨らみやすかったりするわけです。この曲の場合、『「希望」「夢」「愛」話したい』とか『「心」「勇気」「友」「笑顔」』などと単語をずらっと並べてみたりもしていたりするので、おそらくは意図的に言葉を断片的に散りばめて、聴き手の想像力を刺激しようとしているのだと推測できます。
 特に、テーマは「卒業」。区切りの時です。切れ切れに浮かぶ言葉は、数々の想い出を振り返ろうとする心の動きと、非常に親和性が高いのですね。
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2007年05月06日

ENDLICHERI☆ENDLICHERI「空が泣くから」

空が泣くから
空が泣くから
posted with amazlet on 07.05.06
ENDLICHERI ☆ ENDLICHERI 十川知司 SC△LE 上田ケンジ
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<雨から広がる壮大な愛のイメージ>

 堂本剛ソロユニットも1年、シングル3曲目に突入です。
 「ソメイヨシノ」「The Rainbow Star」と今回と見てきて、音楽を作っていく上で一貫した傾向やコンセプトがあるというよりは、とにかく「オリジナリティ」「個性」のある新しいものを何とか生み出したい、というような思い入れを強く感じます。
 それはまあ、ENDLICHERI☆ENDLICHERI名義になる前のソロ活動からして、アイドルとしての側面からとらえられたくないんだ!みたいなオーラは漂っていましたが。でも、ソロプロジェクト始動以降は、さらに徹底して自分の世界を創りあげようとしている感があります。

 冒頭から独特の音色で独特のフレーズが鳴り続けていたり、音が何度も途絶えたり、仕掛けがいろいろあります。凝っている、というよりは、独自色を出したい、という感じ。
 空が泣く、というのはもちろん雨のことでしょうけれど、この曲ではそこから『身体を 濡らし 濡らし/愛 伝えてくれる』と自然の愛を感じるところに始まり、『龍の背に 乗って』みたり、『大宇宙で在りたい』と壮大な思いを抱いたりまでになっていって。「ソメイヨシノ」と同じく、何かの情景を観察する目がまずあってそこからイメージを広げていくような展開なのですが、今回は相当なところまでスケールが広がっているわけですね。

 全体を読むと、単純にくくれないような大きな愛を表現したかったんだろうなーというふうに考えます。ただ、どうも、明確に作りたい音楽があってそのために世界を築き上げているというよりも、その前段階、とにかく「自分だけの世界」を一から繰り広げたくて、いろんな表現方法に手を出しているといった印象を受けますねえ。
 今回で言うと、たとえば言葉では、フレーズのそれぞれがたいへん断片的だったりしていますよね。雨から感じ取ったこと、自分の思い、届けたいメッセージが入り乱れていて、おそらくは言いたいことがまとまりきっていないんだろうなあと。んで、でもそんな混沌とした気持ちを「飾らずに、正直に」吐き出そうとしたいんだろうなあと。詞の表記にしても、やたらと短く区切ってスペースを入れているのとか、全体の体裁を考えてか『答えのない…/魂で終わりはしない』と、不要なんじゃないかと思われる「…」を他の部分に合わせて入れていたりとか。

 そういうわけで、まだ模索中の感があるものの、前も書きましたが良くも悪くも好きなように振る舞って創作活動ができる地位の人ではあるので、面白いことを続けていってほしいなーと。ファンを置いてけぼりにするスタンスが心配でしたが、自分が思っていたよりもついてきている人は多いようですし。
 あとは、オリジナリティ・ありのままの自分を追求しようとするあまりに、逆にがんじがらめになってしまわないかが気になるところ。今はまだ実験的なこともまだまだやる余地はありますけど、どこまでこのスタンスで続けていられるか…たまにはもっと力の抜いた活動をするくらいの余裕が出てくるといいんですけどね。
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2007年04月07日

EXILE「Lovers Again」

Lovers Again
Lovers Again
posted with amazlet on 07.04.07
EXILE Kiyoshi Matsuo Jin Nakamura ATSUSHI h-wonder
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<「今でもずっと好き」な想いを煽る言葉たち>

 第二章2枚目のシングルは、切ない心情の込められたミディアムテンポのナンバー。
 前回の「Everything」はすっきりさっぱり前向きなメッセージソングという感じでしたが、こちらはひとつの恋を回想するかなり具体的、パーソナルな想いが込められています。

 街で「あの人」がしていたマフラーを見かけて思わず振り向く…似たような人や、身につけていたものから面影を探してしまうというのは非常にベタなシチュエーションですね。
 ただ、この曲の場合それは『スカイブルーのマフラー』です。折りしも季節は恋が終わってから『この退屈な街に二度目の冬』の初雪の中、という描写があります。冬、しかも「僕」の気持ちは晴れない。そんなモノトーンの情景に、あまりにも鮮やかなスカイブルーという色。この対比が、今もなお鮮やかな「あのひと」への想いをはっきりと際立たせています。
 ただ色の説明だけなら「青い」でも済むところを、わざわざ「スカイブルー」ですからね。これはほぼ間違いなく意図的な演出ですねー。

 『つよがりだと本当は気づいていたよ』なんてのもズルい台詞ですよねー。相手からしたら、気づいていたんならなんで…という気持ちにもなっちゃいそうですが。
 まあ、この心理は、けっこう最近のトレンドの上なのかなという気持ちもあります。つまりこの感情は、「わかっていてもどうしようもできなかった」ということですよね。で今もなお忘れられない…ということは、つまり、付き合っていて、でも別れて、それから時間の経った今、のずっと相手を「好き」なままだった、ということになります。
 これがたとえば、「あれはあなたの精一杯のつよがりだったのかな」とか、「あれはつよがりだったと今ならわかる」だったとしたら?と考えてみましょう。この言い方だと、別れる間際は何らかのすれ違いがあった、と想像できるわけで。

 好きな気持ちはそのままに離れてしまう。こうしたシチュエーションを盛り込んだ歌が、当ブログでもしばしば指摘しているように、最近は増えているような気がします。映画やドラマなどでも、同じ流れを感じますし…
 そういう意味でもこの楽曲は、今の潮流に乗っている内容だと言えるでしょう。
posted by はじ at 18:36| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月18日

EXILE「Everything」

Everything
Everything
posted with amazlet on 07.03.18
EXILE ATSUSHI h-wonder 大野裕一 Michico T.KURA
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<活動再開後も、ニュートラルな立ち位置を保持>

 新メンバーが加入し、第二章として活動を開始したEXILEの復帰後第1弾シングルがこちら。とりあえず漫画のように第一部完でフェイドアウトしなくてよかったです。や、比べちゃダメか。

 第二章ということで、メンバー交替を乗り越え充電期間もとり、そしてキャリアそのものもだいぶ長くなってきた彼らなので、一回り成長した内容になっている…とレビュー的にはそのポイントを押さえていくだけでいいので楽なんですが、正直、あんまり変わってないですよねー。
 新しい一歩を踏み出した、と今現在の彼ら自身の境遇と重ね合わせているというところがありますが、最終的に『生きてることで すべてはOKさ!』という結論。かなりライトな口調での全肯定で、一回り大人になったっていう感じはあんまりないです。
 曲はちょっとゆったりで細かいリズムながらも、浮き立つようなハネるメロディラインもサビに出てきますし、声もそうガラッと変わったってほどでもなく。第二章といっても、第一章の路線からはしばらく動くつもりはないのかなー。

 もちろん変わらないなら変わらないで問題はなくて。わりとコワモテなのに等身大で爽やか、ニュートラルな曲を歌うのが彼らの持ち味ですが、現在は特に後進が登場してもいないので、あんまり別の方向へ進んでいってしまうとバランス的にも困りますし。
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2007年03月14日

秋川雅史「千の風になって」

千の風になって
千の風になって
posted with amazlet on 07.03.13
秋川雅史 新井満 EDISON 小沢不二夫
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<憧れを投影できる「死生観」のあり方>

 昨年末の紅白歌合戦以降、ロングヒットを続けているこの楽曲は、もともとは作者不詳の詩「Do not stand at my grave and weep」が原型。日本では、新井満という人が日本語詞と曲をつけ、それが今回在テノール歌手の秋川雅史が歌っているという流れになっています。

 もとの詩の作者は諸説あるようですが、いずれにせよ作者がはっきりしないまま、世界中に広まっていったということは疑いようのないところです。

 『私のお墓の前で 泣かないでください』と始まるこの曲は、日頃あんまり聴く機会のない「死」をテーマにした楽曲だということが明快にわかります。愛や夢や希望を歌う曲はミュージックシーンに溢れていますが、死生観が込められたものは、まったくと言っていいほどありません。

 『千の風に/千の風になって/あの 大きな空を/吹きわたっています』
 死んだ後は、お墓の中、土の中ではなく、広々とした大空に魂を浮かべる。そんな「死」の在り方は、日本人の死生観にとっては馴染みやすいものではないでしょうか。日本では、死後の世界は宗教が明確に規定しているわけではなく、「天国」「地獄」といった素朴な観念でしかない。また、「八百万の神」と言われるように、どこにでも「神」は存在しいくらでも増える。堅苦しくない形で「魂」の存在を漠然とイメージできる民族なんだろうなと。
 だから、死後に肉体から精神が開放され、大空を自由に飛び回ったり『あなた』を見守ったりしているんだ、と歌われるこの曲に憧れを抱き、深く入っていきやすいんじゃないかなと。

 諸外国では、死者の追悼の際に朗読されて広まっていったのだそうで。実際の追悼の場面で「死者」視点のこの詩を聴くと、残された人々にとっては、故人からの言葉としてとらえることができるわけです。泣かないで、側にいるから…そんなメッセージとして、生きている側の慰めになっているんじゃないのかなと。
 でも日本でのこのロングヒットは、それだけでは説明がつきません。もちろん、身近だった故人を偲んで聴き入る、という人もいらっしゃったでしょうけれど。
 でも、どちらかといえば、死後もなお自由に空を飛び回る、というイメージに共鳴した、あるいは憧れたという人がたくさんいたからなのでは、と思ったりするわけでして。それはやっぱり、日本人の国民性に起因している部分もあるんじゃないのかなあと考えるのです。

 ところで、ただ「風」になるんじゃなく、「千の風」であるところは押さえておきたいポイントです。
 ただ一陣の風のように大空を気持ちよく飛んでいくのとは、ちょっと違うんですね。千ほどのさまざまな風になるということは、大気に遍く存在する、というようなことなのでしょう。この地上のすべてを吹く風になって、世界を、「あなた」を包んでいたい、そんな心情が表されているんだと思うのです。
 だからやっぱり、充分な声量を持った秋川雅史がどっしりと歌うこのスタイルが、このすべてを包もうとする詞にはちょうどあっているんだろうなあ、とも思うのです。
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2007年03月08日

ASIAN KUNG-FU GENERATION「或る街の群青」

或る街の群青
或る街の群青
posted with amazlet on 07.03.08
ASIAN KUNG-FU GENERATION 後藤正文
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<拍を重視する音楽性が、現代的な世界観と情熱の両方を生み出す>

 わりと新曲のスパンが長く、取り上げるのはお久しぶりのアジカンですが、基本テイストはほとんど変わっていない模様。
 特にメロディラインの作り方は、今までの特徴をなぞっている感じ。細かく崩さないカッチリとしたメロディラインとか、急にハイトーンに上がってシャウトっぽくなるのとか、リズムが緩んでエスニックな雰囲気も醸しだされるCメロが入るのとか。
 メロの1フレーズの流れ、前半が高く勢いがあり後半は落ち着いていく、というパターンも多くないですか?

 彼らの生み出す音は、リズムをしっかり意識している感覚があります。あんまり流動的ではなく、シンプルな拍が常に感じられるというか。それは無機的、機械的なイメージにも繋がる一方で、心臓の鼓動のような動き出す衝動を想起させることにも繋がります。硬質なイメージと熱気を併せ持つアジカンの曲世界は、そうした部分によるところが大きいように思っています。
 そしてそれは歌詞も同じ。『画面の天気予報』『鉛色の街』といった都会を切り取る描写、そしてその中で『ぼやけた鈍い鼓動』を糧に『助走もつけずに思い切って飛び乗る/蹴り出す速度で/何処までも行けるよ』という強い衝動が描かれているわけです。

 熟語表現など、あえてカタい言葉を取り込む節回しは、今回はあんまり見受けられません。そのため、これまでよりも無機的/都会的/現代的な雰囲気は薄まっているような気がします。
 これはもしかすると、タイアップ先の映画「鉄コン筋クリート」に合わせての配慮なのかもしれませんね。内容はツカミしか知りませんが、街の描写や『君と僕で浮かべよう』『光だって/闇だって』あたりはおそらく作品を意識してのフレーズなのかなーと。映像を見る限り、舞台となるのは街は街ですがかなり猥雑な雰囲気ですしね。
 ま、その分、「僕」の意志が表に出てきているわけですが。
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2007年02月27日

Aqua Timez「千の夜をこえて」

千の夜をこえて (通常盤)
Aqua Timez 太志
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千の夜をこえて/Aqua Timez - 歌詞GET

<わかっていても真似できない「ひた向きさ」には、壮大な表現はいらない?>

 個人的に、自分よりも一回り下の年代の旗手になるだろうと予測している、…だからこそどうも感情移入しきれずに困惑しているAqua Timezの、メジャーとしては2枚目のシングル。
 ミディアムテンポの中にストリングスも混じり、飾り気のない「ありのまま」感を!という信念が伝わってくるような気がするメッセージと、前作「決意の朝に」との共通点は多いです。ただ今回は『怖くたって 傷ついたって/好きな人には好きって伝えるんだ』とテーマがはっきり明確に提示されているので、内容ははっきり異なっています。

 とにかく愚直なまでに、赤裸々に素直に、考えていることを綴る、その点においてはすごいなーと感心します。なんたって、『その想いが叶わなくたって 好きな人に好きって伝える それはこの世界で一番素敵なことさ』ですからね。若くないと、いや若くてもなかなかこうはっきりとは口に出せないものです。感心します。
 『「あなたが僕を愛してるか、愛してないか」なんてことは もうどっちでもいいんだ』という超・ポジティブ思考は、ちょっと押し付けがましくないかって感じちゃう人もいるかと思います。ただ、そう考えることで自分自身の勇気を奮い立たせようとする、すごく純粋な信念を背後に感じるので、個人的になかなか好きです。こういうひたすらピュアなとことかがダメだと感じる人って、もしかするとこんなに赤裸々になれない自分を知っているから、ちょっと悔しくなっているのでは。

 わりと自問自答に終始していた「決意の朝」に比べると、外側へ伝えようと向かっていく感情を描いているせいか、思ったよりひた向きな感情に違和感がないなあと。…ということは、自分自身の内側で結論を出してしまおうとすることに共感できるか否かが世代の分かれ目になってくるのでしょうか。サンプル自分の感覚だけなんで断言できませんけど、今後ちょっと注意していきたいですね。

 ところで、「千の夜をこえて」というタイトルは実にカッコイイですが、こうして壮大に時間を示してみせることが、主題の「好きと言う気持ちを伝える」という部分にあんまり結びついてこない気がします。「伝えにいく」という宣言の後押しをしてはいますけど…秋〜春の季節が移り変わっていく描写もそうですが、どうも冷静に読むと時間経過を描く必然性がないような。「いいこと言ってる感」は漂っているんですけどね…
 『無傷なままで人を愛そうとしていた』なんて表現はいいなあと思いますし、こうした地に足のついた言葉だけでまとめられたらよかったかなと。季節や「千の夜」を持ち出すのも壮大でいいですけど、せっかく若さピュアさを存分にぶちまけられるのだから、そこに情熱をつぎ込んでみてほしいなあと。
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2007年02月24日

UVERworld「君の好きなうた」

君の好きなうた (通常盤)
UVERworld TAKUYA∞ Satoru Hiraide Alice ice
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<切なさも決意も…の「いいとこ取り」のスタイル>

 この曲リリース後に事件がありましたが、当ブログのコンセプト的にその辺のことは基本的に範囲外なので特に触れずに、楽曲のみで内容を見ていきます。悪しからず。

 シングルとしては初のバラードということで、いつものデジタルな疾走感はないです。どちらかというと泣き系のHIPHOPに近い雰囲気もありますね。
 細かい中で3連も混ぜ込んだメロディラインは個人的に好きです。乗る言葉もそのリズムに合わせた工夫をしてくれたら言うことなかったかなー。

 『好きだよと 今日も言えないまま』の「僕」。内側だけで広がる思いを、『会いたくて 君の好きなうたを繰り返し/口ずさんだ 帰り道』と、「君の好きなうた」に乗せているわけです。
 気持ちを伝えられないもどかしさはあるものの、この曲からはあんまり「片想いの切なさ」を感じません。それは『もう一度 誰かのために生きたいと思えた/この気持ちを伝えに行くよ』と曲中できっぱりと決意しているからかもしれません。また、『僕の全てを受け入れてくれる気がした』と相手への望みも確かだからかもしれません。

 迷いのある不安定な思いではなく、しっかりとした確かな思いが描かれている。そのこと自体は全然問題ないですし、HIPHOPぽい軽いリズムトラックと適度なストリングスの味付けと絡み合って、感動的に響いてきます。
 ただ、はっきりとそういう方向と決め手やっているのかなー、というのは疑問でして。『今日も言えないまま』⇒『この気持ちを伝えに行くよ』というのは、「言えない」切なさと「伝えに行く」決意の強さがちょっと混在気味かなあと。まあ、曲中でストーリーが流れていると考えれば、理解はできますが…
 また一方では笑顔や声やクセといった「君」の特徴を列挙している箇所もありまして。これはこれで感動的なフレーズなんですけど、上記の混在も含めて、ちょっと四方に内容が広がりすぎな気がします。全体としては、名フレーズは多いけどどこに感情移入したらいいか判りにくい、不思議な感じ。

 音楽のいいこと取りをするミクスチャーバンドのスタイルは、何かと物議を醸したりもしますが、新しい化学反応が生まれる場所にもなるのでいいことだと思っています。でも、どうも詞もいろんなパートのいいとこ取りになって、散漫になってしまっている気が…
 中心になっている「君の好きなうた」を口ずさむというシチュエーションはいいなあと感じますし、基本的にセンスは悪くないと思うので、もっと曲全体のコンセプトを明確に打ち出してほしいところかなと。
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2007年01月29日

ORANGE RANGE「SAYONARA」

SAYONARA
ソニーミュージックエンタテインメント
ORANGE RANGE

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<テンションを高く維持する曲展開のため、早め早めのメッセージ展開>

 ORANGE RANGEのシングルはすっかり三極化が定着しました。ひとつはお気楽ハイテンションぶち上げ系、ひとつはちょっとハードに攻める系、でもうひとつが感動系。2006年リリースのシングルは、「チャンピオーネ」「UN ROCK STAR」、そして今作と見事にローテーションしました。

 この曲、インパクトが薄いという意見がけっこうあります。ひとつには、上に挙げたような分類が頭に浮かぶくらいに、感動を誘うタイプの楽曲は定着してきた感があり、そのせいもあるでしょう。
 前回の同系統の楽曲が「キズナ」で、こちらは沖縄音楽(っぽさ)を取り入れてオリジナリティを放出していたので、それに対して今回はオーソドックスであることも印象不足に繋がっているのかもしれません。タイアップ先のドラマ「鉄板少女アカネ!」が振るわなかった(らしい)ことも影響しているのかもしれません。何度か述べているように、バラード系の楽曲は、単純な良し悪しよりも印象のほうが大事だったりしますから。
 歌い出しの部分が妙にかわいらしく歌っていて、内容も『枕の中の世界はいつも君が笑顔で僕に歌ってる』とか、キャラ違うなあと。今までは感動系統でもやっぱりBBOY的というか、ヒップホップ系メッセージソング的というか、「不器用なオレ」みたいな印象があったわけです。でもこちらは確実にインドア派な「僕」キャラですからね。これけっこう新鮮だったんですけど、まあ大きなインパクトではないのか。中盤ちょっとハードな展開があったりするのも、それほど衝撃的ってほどでもないと。
 もうひとつ、タイトルが「SAYONARA」でサビ頭が『ありがとうを君へ』と、相手へ投げかける言葉が並び立っちゃっているところが、実は損しているんじゃないかなと。タイトルが「ありがとう」であれば、パッと接する範囲でより統一感を出すこともできたはずでは、という。

 構成は、最近流行の黄金パターンを踏襲しています。というのはつまり、「僕」と「君」の出会いから振り返りつつ今はお互いに残念だけど別れなければならなくてでも二人過ごした日々は大切にしたいありがとう忘れないいつかまた…という一連の流れ。
 『今更だけど』というくらいですから、別れてからかなり経ってからようやく立ち直った、ということなんでしょう。最近はストーリー性を重視して、1コーラスではしおれていて、後半でだんだんと前向きになっていく…というパターンが多くなってきましたが、この曲は早々に『トビラを開けて 進み行くだけ』と結論を出します。展開のドラマティックさを重視する場合はマイナスですけど、この曲はその後の告白シーンを描く部分からサビに回帰しさらにそのままコーダに突入していく、ずっとテンション上がりっぱなしの展開が待っているわけで。こういう構成であれば、はじめから突っ切っていくほうが自然かなと思うわけです。

 ただ今回はその他のアラが目立っちゃいますねー。いつになくリリカルに『今夜も月は…』と始まるのに、その後『初めて見たのは今日と同じ晴れた日で』ですし。蝉が鳴いていたとも言うからには、昼のことになっちゃいます。『僕が前向いたら 思い出たちが笑った』なんてフレーズは、これ単体だといいなって感じるんですが、『枕の中の世界はいつも君が笑顔で僕に歌ってる』と前に「笑顔」が出ています。
 この辺はどうしても、細かく歌詞を見ていくとマイナスとして出てきてしまいますね。メンバーが各自で詞を持ち寄るスタイルだそうなので、完成度よりもその継ぎはぎの妙を楽しめればいいのかもしれませんが…個人的にはそれはちょっと。
 スタイルとしてはアリだとも思うのですよ。複数のラップ担当がいるユニットはどこもそうですけど、別々の声と別々の角度で代わるがわる歌うことで、ひとつの歌を多角的に築き上げることができるわけですから。ただ、やっぱり全体での整合性はとってほしいところ。
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2006年11月30日

ORANGE RANGE「UN ROCK STAR」

UN ROCK STAR
ソニーミュージックエンタテインメント
ORANGE RANGE,ペチュニアロックス

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<自らと周囲に対する皮肉なのか、あるいはそうでないのか!?>

 ここ最近のORANGE RANGEの流れからしては、久々にロック方面に針が移動した感のあるナンバー。既発シングルの中では「チェスト」に近いかなと思ったら、10万枚完全生産限定盤という点でも一緒でした。でも、「Na Na…」のコーラスはやっぱり耳に残るようになっているので、完全にロックでキメに来たってわけでもなさそう。

 さてタイトルは「ROCK STAR」に否定を示すUNが付いています。こういうのはたまに見かける手法で、自嘲・自戒を込めた皮肉として使われるのがパターンです。
 で、レンジの場合はまあ何かと批判の矢面に立つことが多いので、その辺を考えて『侮辱されてキレたら/組み立てたばかりの積み木なんて蹴飛ばしてやるぜ』とか言ってるのかなあ、とどうしても考えてしまいますよね。そうだとしたら、彼らは何かにつけパクリパクリと言われたりしていますが、この曲のメッセージは一種の「自己パロディ」になるわけで。売られたケンカをスマートに返している感じで、そんななんだか西欧的なユーモアセンスはキライじゃないです。

 とはいえ、本当にそんな皮肉のきいたユーモアに徹しているかというと微妙に疑わしくて、悩ましいところだったりするんですけどね。というのは、歌詞の内容が皮肉っぽくないんです。
 『だってじっとしたって何もはじまらないよ!』というのは「チャンピオーネ」をはじめ彼らの他の曲でも見られる傾向のメッセージで、ロックとか自嘲とか皮肉からはかなり違ったもので。『アバンギャルドに女を抱くぜ』とかも。…どちらかというと、単純にロックな衝動を歌っているような感じ。
 何より、『youがUN ROCK STAR』って言ってるんですよね。あれ?じゃあ自分達は違うって主張なの?『俺はロックスター 派手なロックスター』って皮肉気味じゃなく本気で言ってるの?みたいな。…まさか、さすがにそれは、ね…

 ま、ジグソーパズルのピースを隠すとかのくだりは明らかに冗談ぽいですし。上記の「まずは行動あるのみ!」という立ち位置、そして『しがない君でもかまわない』あたりから考えると、≪たとえ本物じゃなかろうが、本物のロックスターになったつもりで、ノリノリで行こうぜみんな!≫という落としどころが、いくつかの意味で無難なのかなというところでしょうか。
posted by はじ at 22:24| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月02日

嵐「アオゾラペダル」

アオゾラペダル
ジェイ・ストーム
スガシカオ, youth case, 小川貴史, 石塚知生, haj

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<鮮やかで生々しい喪失感の先で、「ペダルを漕ぐ」進みかたを選ぶ意味>

 この夏の大ヒット映画「ハチミツとクローバー」エンディングテーマ。メンバーの櫻井翔が主演していたり、原作のタイトルの元となったアーティストとして、主題歌におさまったスピッツ「魔法のコトバ」と並びスガシカオが作詞作曲を手がけているなど、いろいろ話題の引き出しがあります。特にスガシカオはKATTUN「Real Face」も先に作詞していたりと、ジャニーズとの結びつきが強くなっています…というよりは、ジャニーズの楽曲がスガシカオのような方向性にかぶるようになってきた、といったほうがいいのかもしれませんが。

 たとえばサビど真ん中、『明日を眩しいくらいに うまく描こうとして/ぼくらはキレイな色をぬりすぎたみたい…』なんてフレーズは、青春は青春でも「挫折」が色濃く織り込まれた青春の姿です。辛いこと傷つくこともある⇒でもプラス思考・行動で進んでいこう、という黄金パターンははっきりと踏襲されているわけですが、何と言うんですかね、喪失感が滲んでくるんですよね、スガシカオの場合。SMAP「夜空ノムコウ」でもそうでしたが、この生々しい喪失感、足場の心もとない状態の心情描写というのは、今までのジャニーズ楽曲では異色で、溶け込みにくかったものだったんだと思うんですよ。

 そこかしこに『あの時の君の笑顔』とか『きっとぬりすぎた色って 白に戻れないけど』など、爽やかな曲調の中であってもスガシカオらしい喪失感が散りばめられています。特に、現在進行形の「青春」ではなく、一度終わってしまったけれど『もう一度明日を描こう』と再び青春時代を夢見ようとする視点からなので、失われた日々の眩しさがより印象に残ります。この「振り返り」の視点は、「魔法のコトバ」でも同様でしたね。

 あとは「ペダル」つまり自転車を素材に選んでいることにも注目です。二人乗りの自転車そのものが青春を代表するモチーフだという点は外せませんし、また、「自らの力で漕ぎ動かすもの」「大地の上を進んでいくもの」「爽快感のあるもの」だという自転車の特徴も、また楽曲全体のイメージ作りに一役買っているのではないでしょうか。
 特に、地に足が着いている乗り物という点は作者の性格を感じます。つまり、「翼を広げてもう一度飛ぼう」あるいは「またプロペラを回してみよう」などと宙を志向するのではないし、かと言って「自らの足で走る」のでもない。空を飛ぼうとできるほど無邪気にはなれないし、息を切らせるほどひた向きにもなれない、そんな作者像≒主人公像が見えてはこないでしょうか。
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2006年09月23日

Aqua Timez「決意の朝に」

決意の朝に
ERJ
Aqua Timez, 太志

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<世代を明確に切り分ける、「J-POP第2世代」の代名詞になりうる存在>

 Aqua Timezのメジャーデビューシングル。と言いつつあんまり誰だかわかっていなかったので公式サイト見てみました。本人たちとしては「エモーショナルミクスチャーバンド」という立ち位置のようです。

 ファーストからどっしりとしたテンポでの、何か決意宣言めいたバラード調。その上を口語的な流れでもってつづられていく言葉。デビューから何か風格さえ漂うような、他の新人とは一線を画した感じですね。いきなり映画「ブレイブ・ストーリー」の主題歌に抜擢ですし、この夏もガンガン街中でかかってました。
 なんというか、彼らの登場=この曲の登場は、ひとつの時代の区切りだという感覚があります。個人的な妄想かもですが、21世紀入ってからの、「世界に一つだけの花」や青春パンクの台頭によるメッセージソングと、ORANGE RANGEに代表されるバンドともヒップホップユニットともその他とも違う、ジャンルにとらわれないミクスチャーという形態の音楽活動グループ、その両者がそれぞれ隆盛したのち、今ここで融合した!みたいな。そういう何か、ここから新時代が始まっていくような、J-POPにとって決定的な一曲なんだと思うのですよ。

 そういうと手放しでホメているように受け取られるかもですが、そういうわけではないです。…というと嫌いなのかと受け取られるかもですが、そうでもなく。
 時代の区切りになるのでは、という印象を受けるのは、この曲を構成している要素が、既視感を伴いつつほぼすべてわかるからです。やれパクリだとか騒ぎたいのでは全くなく、ただ単に、この曲は純粋に「自分の聴いてきたJ-POP」の影響下にあるんだ、そこから生成されたものなんだとわかってしまうのです。それはたいへん感慨深くもあり、悲しくもあり、ちょっと白けたりもしつつ、すごいことだなあと思います。

 まず、声と歌い方は、これはもうミスチルですね。歌詞も、もしかしたら「名もなき詩」以降の感情吐露系の楽曲を意識しているのかもしれません。時代も拠って立つ位置も違うので、着地点はだいぶ異なっている気もしますが…
 口語調のメロディはミスチルもありますが、ヒップホップの影響が強そうです。ミスチル⇒フォーク的な流れからのアプローチであれば、もっとフレーズごとに言葉が途切れるものだと思うのですよ。この畳み掛けてくる切れ目ないメロディワークは、マイクを入れ替わり立ち替わりしてつないでいくMC、ヒップホップ畑に近いもののはず。
 詞の言いたいことはほぼ、ただひとつ。「不恰好でもいいから一生懸命に生きよう」これに尽きます。この「ありのまま」を賛美する、「カッコイイ」じゃなく「カッコワルイ」をあえて選ぼうとするあり方は、近年のメッセージソングを煮詰めて煮詰めてろ過したような、最果てにあるものではないでしょうか。
 そして感動を高めるストリングス。バンド以外の音も当たり前のように使う貪欲な姿勢は、まさにミクスチャーバンドのそれです。感情の流れが曲進行に沿って続くストーリー性とか、2コーラスのメロでは1コーラスのときよりもメロディや楽器がアドリブ的にプレイされる流れ(いつの間にかお約束になってる)とか…とにかく、90年代以降の自分が慣れ親しんできたJ-POPの要素を詰め込んだ集大成のように思えるのです。

 それはひとえにこのグループが、自分と同じようにJ-POPを聴いて育ち、影響を受けたからに他ならないわけで。最近の他のアーティストにもそういう感覚を受けてはいましたが、つまり「J-POPをルーツとする世代のJ-POP」が誕生しつつある、ということなのでしょう。
 このことは個人的には「ひとつの時代の終わり」でもあって、今までは自分と地続きだった「青春ソング」が、ここでぷっつりと離れてしまったような感覚を伴っていたりします。いま中学生高校生だったらハマっていただろうなあ、と考えつつ実際のところは、いやはや若いよなあ…みたいなやるせない感想が出てきてしまうのです。


 ま、それでも語れることはいろいろあります。
 ここまでストレートで、そして見事なまで正論な意志を叫ぶのは、やはりここ数年の傾向で。『他人の痛みには無関心 そのくせ自分の事となると不安になって』…と続く一連の性格描写は、内向的なほうに閉じこもりがちな現代の若者の闇、そのものの部分。そこから『ヘタクソな夢を描いていこうよ』『きっと人に笑われるくらいがちょうどいんだよ』と、カッコ悪くても外側に向けて思い切って踏み出すことを促していくわけです。「強く生きていく」ことを無理に目指すのではなく、「弱さを受け止めて生きていく」ようにしよう、という、体育会系ではない、優しい主張なのですね。

 で、もっとも重要なサビ頭部分。『辛い時 辛いと言えたらいいのになぁ』『淋しいのに平気な振りをしているのは』何気なく聴いていてここでぐっときた人も多いのでは。
 こういうフレーズは、ちょっとズルいんです。だって、辛いと言わずに我慢しているんだってことを、ここで口に出して歌っているわけですから。「弱音を吐かずに頑張る」ことを、弱音を見せつつアピールしているわけで。そりゃ、愚痴を言うまいとして日々頑張っている(と考えている)人だったら誰でも共感しちゃいますよー。(※同じようなことを昔ゆず「栄光の架橋」でも言いました)

 言葉の乗せ方は悪くないですし、自分より年若い世代に支持を得るのは間違いない時代に沿ったセンスを持っているなあと思います。逆に自分より上の、ルーツとなっているJ-POPに馴染んでいる世代には、あんまり惹かれないんじゃないかなあとも。世代を分ける明確な境界線となるグループでは、という気がしています。
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2006年07月29日

ORANGE RANGE「チャンピオーネ」

チャンピオーネ
ソニーミュージックエンタテインメント
ORANGE RANGE

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<盛り上がるその場のテンションを、そのまま一曲に放りこむ>

 ワールドカップのテーマソング、しかもNHK抜擢!という最大級のタイアップにもかかわらず、なんというかいつものORANGE RANGEだなあという作品です。Amazonでの嫌われっぷりが凄くて面白い。

 まあ、「音楽性」とか「スポーツの感動」とかを求める人には向かない音楽ですね。楽しくノリよく元気よく、という方向性です。『サビだけに盛り上がろう』みたいなメタなフレーズがあったり(こういうの嫌いじゃないです。だって誰もやらないし)なんだりするのを見ると、むしろ完成度とか感動とかをあえて否定しているような気もしないでもないです。超アウトロー。
 なので、感動を求めている人が「感動できない!」と怒ったところで、それは筋違いというもの。『一生寝ない事にしよう』というフレーズを聴いて「そんなの無理だ」とツッコむ人には向かないです。そのくらいの気持ちで盛り上がっていこう、あるいはもう寝なくてもいいじゃん?くらいのテンションになっている、ってことですね。ココのほかも全体的に、その場のノリ、「今」のハイな気分だけを抽出している感じがします。


 しかしそれだったらそれで突き抜けてほしいところ、『悲しみから描き出した』とかだったりストリングスだったりで、半端に「感動」要素もはいっているのがちょっと。テーマソングに心からの感動を求めている人には遥かに足りないし、自分みたいに突っ切ってほしい人にもちょっと…という。まあこの「なんでもあり」さが彼ららしいとも言えそうですし、あるいはタイアップだからちょっとだけ遠慮したのかなあとも考えられますが。
 相変わらず「NANANANA…」のコーラスとか、キャッチーなメロの作り方は健在です。ただ今回はスキャット部分は問題ないですが、歌詞の乗り具合がややうまくいっていないような箇所があったりして、今までの曲に比べて覚えにくいと感じる人はその辺りに原因があるのでは。
posted by はじ at 13:08| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月24日

ASIAN KUNG-FU GENERATION「ワールドアパート」

ワールドアパート
KRE
ASIAN KUNGFU GENERATION, MASAFUMI GOTOH

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<情報の海に溺れてしまわないよう、自分の心をしっかりと持て!>

 アジカンらしい、疾走感の上にカッチリした音とメロディが乗る一曲。
 サビの絶叫で好き嫌いが分かれそうなところですねー。個人的には、こういうシャウトそのものは嫌いじゃないんですが、そのほかがわりと普通だったり落ち着きの感じるメロディラインだったりなのでちょいと違和感があるような。
 あと、Aメロの流れが面白いですよね。『世界の果てから街へ飛ぶ』までは裏ノリで動いているのに、そのあとの『限りない未来のアイディア』は表になってる。バックのリズムは同じなのですが、パッと切り替わった感じになって。

 詞のほうは『即席の歌で舞い踊る/実体のない未来と愛の輪』など、チクチクと現代を遠巻きに風刺しつつ、そんな時代の中で『心の中に革命を』と叫ぶ、みたいな感じです。
 おそらく中心にあるのはインターネットのことでしょうねー。どこへでも自由に繋がることができるネットによって『六畳のアパートの現実は麻痺した』りもするわけで。そんな情報過多な世界に惑わされそうになるけど、本当のところは『僕の両手にはこれだけだよ』と、実体を持って手に入るものはそんなに多くない、という感じでしょうか。明言はしていませんが、『想像の世界で君も全部なくして/わかったよ』などからしても、架空の空間にあんまり惑わされるな!己を磨け!というメッセージが「心の中の革命」というフレーズに込められているような。

 「リライト」あたりもそうでしたが、彼らはこうした現代的というか人工的なモチーフを取り込むのが好きみたいですね。まあ、サウンドにも合っていると思いますし、今回はあんまりなかったですが言葉も硬いものを好んで使う傾向があるしで、向いているんじゃないかなと。
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2006年03月29日

ENDLICHERI☆ENDLICHERI「ソメイヨシノ」

<まず先に「桜」ありき、感受性が全開になって曝け出された曲世界>

 kinki kids堂本剛のソロワーク的ユニット、ENDLICHERI☆ENDLICHERI。「エンドリケリーエンドリケリー」と読むそうで、なんか古代魚の名前らしいです。
 自己プロデュースで、その活動になんだか難解な名称をつけたりと、とにかく「こだわり」がある、あるいはこだわりを見せたい、そういう気持ちが透けてくるような感じがします。アイドルとかジャニーズとか、そういう肩書きや用意された舞台の上ではなく、自分の思うように自分の感性で勝負したい!みたいな。

 そんなわけで、曲にもいろいろとこだわりが見られます。1コーラスの途中で間奏をはさむような曲展開にしろ、奥行きのある響きを意識しているサウンドや、その盛り上がり方などなど、アレンジの端々に「表現したい!」「世界を作りたい!」という意志をびんびん感じます。

 歌詞もしかり。言葉と世界観が徹底されているというか。
 『叫ぶ声がまた 墜落した…』というような無力感の表現、『潜めて逝こうか 潜めて寝ようか』みたいな言葉のセンスなど、どこか病んだ雰囲気があって、こういうのはやっぱりただジャニーズで活動していたら背負えない部類のものだよなあと感じます。
 詞世界としては、『ソメイヨシノ』の咲く姿に『まさか天へと昇った/あなたの分身とかではないよね?』と、今はもういない人を重ね合わせているというものですね。ただ、どちらかというと、「『あなた』を失った哀しみ」がメインにあって桜がその感情を演出している…というよりも、「桜の『ピンクの花弁/美しく 身に纏って』咲いている姿」がまず先にあって、それに感動した勢いで「もう二度と会えない相手」という悲恋のシチュエーションを思い浮かべた…というような感じがします。歌を絵に置き換えるなら、桜の美しさに感動して、それを表そうとして、絵の中に実際にはいなかった人物も入れてみた…みたいな。
 そうでもないと、『綺麗に整列している姿』なんて部分に着目したりしないと思うんですよね。桜並木のスケッチがまずあって、そこからこの曲のイメージや設定が生まれてきたんだろうなと思うのです。

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2006年02月10日

アンダーグラフ「パラダイム/遠き日」

パラダイム(通常盤)
フォーライフミュージックエンタテインメント
アンダーグラフ, 真戸原直人, 島田昌典

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<時代においてニュートラルな立ち位置から、現代人の内向性を揺さぶる>

 じわじわチャートを登りつめヒットした「ツバサ」、そして「君の声」に続く3rdシングルです。新人でこれだけリリース間隔が開くケースって、かなり珍しいような。消費されてしまわないよう気をつけているんでしょうか。
 このアンダーグラフは、それほど大きな特色を持ったバンドではないという感じがしています。内向的な詞世界、ひずみというか含みというか、ストレート過ぎない声、どこか90年代の香りのする真っ当なバンドサウンド、どれも魅力といえば魅力ですが、ハッキリとした強みというのがよくわかりません。それでもこうしてかなりの支持を得ているのは、おそらくどこにも特化しないニュートラルな存在だからなんじゃないかな、という気がするんですね。彼らの存在や立ち位置が、今の時代のもっともスタンダードな位置にぴったりと寄り添っている感覚があるんです。それこそ今回の曲、「パラダイム」の意のように。

 「パラダイム」は本来なんだか難しい語義のある言葉みたいですが、まあここでは「同時代」とか「時代の空気」みたいな意味で捉えておけば、『光る世界とパラダイムを作るんだ』という、曲を通してもっとも重要なメッセージも理解できそうです。ま、「光る世界と同じ時代を作っていきたい」→「理想的な世界に自分も加わっていきたい」という感じでしょうか。
 そのキーになるメッセージは、裏を返せばつまり「この世界は自分の理想とは違う」あるいは「世界に溶け込んでいない自分」という「今の現実」がある、ということも同時に示します。…で、これって見事なまでにイマドキの思春期の少年少女、あるいはモラトリアムだったりアダルトチルドレンだったりするみなさんの意識にダイレクトにリンクしてきそうな感覚ですね。

 この「パラダイム」ではそんな現代の悩める若者の心理を『ねぇ 明日はどこに向かっているの?/誰が答えを持つの?』とつつきながらも、そうした「自問自答」を理解しつつ、上手い具合に「世界に同化したい」という方向へ誘導してくれるようになっています。「共感」がなければ説得力はないし、ただ「本当はできることならみんなと仲良くなりたいんでしょ?」と言っても「私は独りでいいんだ、その方が楽だ」とか反発を招いてしまいがちなところを、うまいこと導いていくのは、実はなかなか骨の折れることだと思うのです。

 時代にニュートラルな彼らが、迷える現代の子羊たちを導く手法。それは、
<1>未来を明るく見せてあげる…『明日を照らしているんだ』
<2>無理しないでも大丈夫だと優しく諭す…『何時でも一歩を踏み出せるでしょう』
 まあ<1>はいつの時代もそうっちゃそうですが、<2>に関連して、「今」は暗くたってダメダメだっていい、というのが、色濃く詞に出てきている感じがします。現在の状況を『壊れかけた世界』と表現してみたり、『僕らは過ちを繰り返して/そこから全てを学んでいく』と過ちを犯してしまう今を肯定してみたり、ですね。
 そしてそこから変わるのに、なにか無理をしたり、気合を入れまくる必要もないんだ、と優しく囁きます。『拡がる未来が手招きしてくれるのが見えたなら』と、向こうから呼ばれるからそれに同調していくだけでいいんだ、というのは、特に象徴的なフレーズです。
 聴き手へのメッセージの投げかけ方というのは、たとえば「走れ!」と奮起を力いっぱい呼びかけるタイプ、「一緒に歩んでいこう」と併走を持ちかけるタイプなどもあるわけですが、この「パラダイム」は「まずはじめは一歩ずつ、そうしたら段々走れるようになるよ」と働きかける、いわば心理療法、セラピーに近い形をとっている、と自分は感じられます。


 それに対し、映画「私の頭の中の消しゴム」イメージソングに抜擢されたインディーズ時代からの曲だという「遠き日」は、自問自答する人を導く形の「パラダイム」とは異なり、あくまでも自問自答に浸り沈んでいく…という内容になっています。外部から気持ちを理解し語りかけるのではなく、内部からまさに赤裸々に心理を明らかにしている、というところでしょうか。

 『約束を破った僕は今も/君の海を泳いでいる』。戻らない過去の「君」との記憶が、海のように「僕」を取り巻いているわけですね。「世界との同調」を指し示した「パラダイム」とは全く逆、ひたすら世界と離合し続ける…
 そして重要なのは、そんな世界と切り離された生き方が、ただ苦しいものだとは示されていないことです。「溺れている」のではないわけではなく、自ら「泳いでいる」という点ですね。
 もちろんこの「泳ぐ」は「もがく」に近いイメージなんじゃないかとも考えられます。ただ、どちらにしろ、自ら「泳ぐ」という時点で、周りを取り巻く「君の海」をある種容認しているんですね。「君の海」そのものをなくそう、振り払おうとはせず、『泳いでいく』。過去に縛られる生き方を受け入れている、ということではないでしょうか。

 「世界との離合」を否定しない。むしろそこに感傷を見出し、「泳ぐ」という語を選んだようにある種の快感さえも見出しつつ、ただひたすらに浸り続ける…この「遠き日」は、「パラダイム」と全く逆の方向ではありますが、本質的には同じ精神性を指している曲なのです。
 『積み上げた思い出を/貴方は今も覚えてますか?』この語りかけは、曲中の別れた恋人を飛び越え、聴き手に迫ってきます。想い出に縛られながら、同時代の世界と自分を隔てながら生きてみないか?というように。
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2005年10月22日

ORANGE RANGE「キズナ」

キズナ
ソニーミュージックエンタテインメント
ORANGE RANGE

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<遠く離れた望郷の念と、それを客観化しエッセンスとして取り入れた音>

 映画版でのテーマだった 「花」に続き、ドラマ版の「いま、会いにゆきます」の主題歌でした。ということで、同じくらいのテンポのミディアムバラードなのですが、しかし今回の特色は、なんといっても「沖縄風」であること、でしょう。

 『離れていても感じる』とあるような「絆」がタイトルにもなっているわけで、単純に遠く距離を置いてお互いを想いあう恋人同士を想像することも、『友の声が胸に響いた』から気心の知れた友人を思い浮かべることも、またドラマの内容にも当てはめることもでき、さまざまな結びつきを想像することができます。
 ここは、どんな場面にでもつながる幅広さがあるとも言えるし、シチュエーションが絞りきれていないとも言えそうです(離れていたら『歩幅合わせ』ることはできないんじゃないか?とかあるし)まあ、その辺は、ファンかアンチか聴き手それぞれの立場で受け止めればいいんじゃないでしょうか。

 ただ、彼ら自身の現況をふまえると、故郷である沖縄を遠く離れ、また今までは音楽的にも特に「沖縄的」な部分を少しも出さず活動してきた、ということがあります。『子守唄』という単語も混じっていることなどもあり、この曲の「キズナ」とは「遠く離れた故郷を想う」という部分もあるのではないか、と考えることもできます。


 ただし気をつけておきたい点は、この曲は「沖縄風」ではあっても決して「沖縄の音楽」ではない、ということです。
 三線の音色や「ィーヤーサーサ」のコーラスなど、音の面では随所に沖縄らしさを強調する味付けがなされています。が、メロディラインの基盤にあるものは基本的には西洋7音階で、サビは「陽音階」<ド、レ、ミ、ソ、ラ、ド>です。いわゆる沖縄音階<ド、ミ、ファ、ソ、シ、ド>は、どこにもありません。どこか懐かしさを感じる和風の響きではありますが、「沖縄」な部分はあくまでも味付けの位置と、彼らが沖縄出身であり、「故郷を思い返して歌っているんだろうか」という聴き手の想像の中にしかありません。

 ま、だからといって「この曲はエセ沖縄音楽だ!こんなものは認めない!」とか言いたいわけじゃなくてですね。彼らはロックとヒップホップを融合させたミクスチャーバンドであり、まあその他さまざまな音楽の手法だったり何だったりを組み合わせていくといった手法をとっているわけで、今回も「沖縄音楽のエッセンスをフューチャーした」というところでしょう。
 故郷であるという思い入れもなくはないのでしょうけれど(詞にも出ているっぽいわけですし)、本格的に故郷の音楽として作りこむのではなく、それよりはもっと客観的に、「沖縄風」にすることでの曲の印象付け、和音階とのマッチングを考えて、取り入れている気がします。
posted by はじ at 23:17| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月05日

ORANGE RANGE「お願い! セニョリータ」

お願い! セニョリータ
ソニーミュージックエンタテインメント
ORANGE RANGE

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<期待通りのバカ騒ぎナンバー、でもソツがない>

 そうそう、やっぱりオレンジレンジはこうでないとね。ノリだけで入れたかのようなイントロアウトロの南米調、日本語のイントネーションが気になる人たちの神経を逆なでするかのような「わざと」外した言葉のハメ方、『結局 夏だね 悪いのは』というムセキニンな態度、今さら出身地を思い出したかのように混ざっている沖縄弁。やー、突っ込み待ちとしか思えないです。
 とはいえ期待通りなのにどうも手放しで喜べないところがあって、なぜかというときっとあまりにも「狙いました」感がありすぎるというか、その辺なのかなと。や、あざといのは大変けっこうなのですけれど、これはこれで「ノーテンキでお気楽なサマーソング」という枠にソツなくまとまってしまっている感じなんですね。
 「ア〜〜〜ア、ア〜〜アア、ア」のどこか懐かしいコーラスやサビ等、印象に残る箇所だらけではあるんですが、特にキョーレツなインパクトとまでいく場所がないのかなと。

 サビがきっちりとCMを意識した内容にできていて、このことからもちゃんと考えてこういうノーテンキな曲を作っているんだろうなあと感じるわけなのですが、最近は 「ラヴ・パレード」とか芸風も拡大しつつあり、その分濃さもちょっと減っちゃったかなーと。
 まあ、「花」とかの路線に走るよりはずっといいんですけどね。

 今回は期待しすぎ、そして期待に応えてくれすぎだったのかなと。でも、まだまだ彼らに代わるような、いろいろブッちぎってjくれる人材は気配すらないので、しばらく頑張ってもらいたいものです。
posted by はじ at 01:07| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月19日

ORANGE RANGE「ラヴ・パレード」

ラヴ・パレード
ソニーミュージックエンタテインメント
ORANGE RANGE

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<シチュエーションを描くことで、「等身大」として伝わりやすくなるメッセージ>

 「電車男」とORANGE RANGEというのはなんだか妙な組み合わせなはずなのに、なぜか違和感がありませんね。なんでしょう、「電車男」の生まれたオタク・2chという文化も、軽薄な若者の代表格・パクリ論争の槍玉に挙げられっぱなしのレンジも、閉鎖的/開放的と正反対と言っていいくらいにベクトルが違っているけれど、どちらも「偏見や敵が多く、だけどその中で成功らしきものを収めている」という部分で一緒だからでしょうか。
 ちょっと苦しいかな。

 君が部屋に来るからと、朝までかかって部屋の掃除をしている、というシチュエーション設定がありまして。で、これが非常にいい味出していると思います。以前、「花」の時に“どうも自分の言葉でつづっている感じがしない”と批判した点を、どこか頼りなさげな「俺」をきちんと描くことで、解消できているように思ったんですね。等身大のキャラクターが息づいているので、後半の『「壁」なんかなかった 自分で作ったもんだった』なんて部分も実感として受け入れられます。
 あ、口語体なのも影響あるかもしれませんね。顔文字や『信じれる』はちょいとどうかと思いますけれど、でもわざとそういう若者的な記号を出そうとしてるんじゃなく、自然と出せている(単に無意識なのかもですが)ので、より等身大っぽさが裏付けられるのかなと。

 ま、それでも後半は完全にメッセージ性に終始しちゃっているので、せっかくのドラマ設定を最後まで描いてほしかったなーとか、そういう不満は若干ありますけれどね。せっかく『午前四時』まで掃除しているって設定があるのですから、夜が明けて陽を昇らせてみる、とか。
 最後にサビではなくラップを持ってきて畳み掛ける、っていう構成自体は面白いし、勢いを持たせることができて、うまくいってるとは思うのですけれど。


 「パレード」と言ってますが、確かに「行進」の雰囲気があります。『Oh ベイベー』と繰り返す箇所のせいでしょうか。がむしゃらに前に行こうという雰囲気があってよいですね。
 『君と僕のラヴ・パレード』って二人だけでパレードもないだろ、とツッコミを入れた方も多いかと思いますが、まあ「僕」の気分的にはそれくらい華やかなんでしょうね。また、「パレード」→「祭り」という「電車男」側のキーワードへの関連性も含まれているんじゃないかなと。唐突に出てくる『友の後押し』とかも、きっと…
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2005年04月10日

ORANGE RANGE「*〜アスタリスク〜」

*~アスタリスク~
ソニーミュージックエンタテインメント
ORANGE RANGE, 出川哲朗

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 なんかネット上ではいろいろ紛糾されていたりしますが、とりあえず人気はまだ翳っていないようです。二週連続一位ですし。
 やっぱり、「わかりやすい」のがウケる要因なのでしょうかね。タイトルでちょっとフザけておいて、中身はひどく真っ当な「夜空」にちなんだメッセージソング。裏の読みようのないストレートな呼びかけを、ラップで畳み掛けてくる、と。デジタルサウンドもギターも取り込んで、と、このとにかくあれこれ「良さげなもの」詰め込んだスタイル(「ミクスチャー」でしたっけ)は、多数の人を惹きこもうとするには確かに合理的です。

 で、レンジのそういう手法を「薄っぺらい」「オリジナリティがない」と非難する人の気持ちっていうのも、まあ、わかります。
 ただ、ミクスチャー=いいとこ取りと簡単に言っても、その「いいもの」の選び方や混ぜ方や再構築の仕方というのは、やはりある種のセンスが問われる部分なわけでして。コラージュっていうものが芸術の一分野として認められているように、あれこれ組み合わせて新しいものを作るということに、もうちょっと寛大になってもいいんじゃないかなあと思います。
 ま、本人たちが軽率にパクっているとか発言しちゃうのも、問題の一端なわけですが。

 で。
 やっぱりレンジの「いいとこ取り」に拒否反応を示してしまう人というのは、JPOPに対して、「アーティスト志向」というようなものを、やや過剰に持っている人なのかなあと思ったりするんです。「オリジナリティ志向」と言っても良さそうですけど、つまりその人の個性が発揮されたもの、独創的なもののほうが価値がある、という考え方ですね。人に作ってもらうよりも、自分で作詞作曲するほうが絶対にいい、そうであるべきだ、みたいな。
 自分の経験としては、90年代にはそうした空気が確実にあったと思うんですよね。そうした流れを知らない若い世代には、「いいとこ取り」のレンジは受け入れられやすいけれど、「アーティスト志向」を持つ自分と同じかそれより上の世代の人というのは、かなり抵抗があるものと思います。
 この辺りの感覚の乖離が、あるいはCD売り上げ枚数の低下とかにもつながってきているのかもしれません。新しい世代の音楽を受け入れられない世代(ここで菊地成孔が言っているところの〈90年代ノットデッド〉派)がいて、さらにどうもヒットチャート上位曲を毛嫌いする人も増えたような感じで、非常に嗜好が分散している結果、大ヒットが生まれにくくなっているのかなあと。


 最後のほう話が飛躍しましたが、とりあえずレンジの手法に関してはあんまり文句はないです。こういうことネットで発言するの怖いんですけど。
 ただし、それと「じゃあこの曲はいいと思うか」はまた別の話で。ラップ部分の韻踏みがないあるいは非常に弱いのとか、サビのリズム感や言葉の乗せ方にどうしても違和感感じるのとか、彼らにはやっぱもっと阿呆で能天気な曲を作ってほしいなあとか、そういう思いがいろいろと。
 一点、『点と点を結ぶ星座のように 誰かにとって/僕らもきれいな絵 描けてたらいいね』なんて表現は「互いのつながり・想像力の広がり」を意識させられて、けっこう好きだったり。ラップ部分だというのに、もはや韻も何もないですが。
posted by はじ at 15:06| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月12日

アンダーグラフ「ツバサ」

ツバサ
アンダーグラフ, 真戸原直人, 島田昌典
フォーライフミュージックエンタテインメント

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 曲の存在自体は、半年以上前からネットであれこれ取り沙汰されているのを見て知っていたりしました。実際に自分で聴いたのは秋の終わりくらいだったですかね。まさかそこから、ここまで人気が盛り上がるとは思いませんでしたが。

 はじめに有線放送に問い合わせが頻発したのは、有線で流れるとき、曲の冒頭に「人はツバサを持つと自由になれるんですか?」というセリフが入っていたのが大きな理由でしょう。いきなりセリフ流れたら、そりゃ耳引きつけられますよ。しかも、意味深そうなフレーズで。で、旅立ち・別れの情景に、独特なギターのリフが入り、王道な哀愁コードをがっちりなぞっていくメロディラインとくれば、こりゃ話題にもなりますよ。CDにはこの声は入ってませんが、PVとかなのでしょうか。まさか販売戦略のためだけに入れたってことはないですよね?
 で、それだけなら「有線の気になるあの曲」で終わったと思うのですが、さらにあの声は「世界の中心で、愛をさけぶ」の長澤まさみだったことが、さらなる盛り上がりに火をつけたんじゃないでしょうか。や、最近ヒットしたのは長澤まさみやセカチューが好きでみんな買ったからだーとか言ってるのではなく、単純に、話題が一段階上乗せされたぶん広がりが大きくなったのだろうなあと。「女性の声が入っているあの曲」から、「長澤まさみがセリフ入れているあの曲」というふうに、口コミが二段階になったことが、ただのロングヒットでなく、チャートを上昇していくパワーの源になったんじゃないかなと。
 あ、でもTVCMの影響も当然あるのかな。

 ええと、別に「話題性だけで売れた」と言いたいわけじゃないことは断っておきたいです。セリフがなくても、イントロのギターのリズム、哀愁コード感いっぱいの旋律に切なくも力強い旅立ちと別れの詞、と新人がブレイクする要素をかなり押さえた作りになってます。王道で安定した路線なんだけどフレッシュさがあって。あと、聴き取りやすい噛みしめるような声もプラスですね。

 詞ですが。
 離ればなれというシチュエーションでは、BUMP OF CHICKEN「車輪の唄」で“「女性が動き、男性が動かない」パターンが最近増加している”と書きましたが、この曲は男性側が動く、昔ながらの「上京」系の内容です。
 とはいえ、あんまり「上京」という方向性はないですよね。『国道までの細い抜け道』とあり、広々とした国道のイメージは地方の街を喚起させはしますし、『ツバサ広げて 秋風越えて 夢を手にして/会えたなら』ここも「きっと夢を叶えて戻ってくる」だったら「上京」的なんですが、『いつか互いに大きな花を』と、女の子側もまた叶えるべき夢を持っていることが示されてます。ただ待っているだけじゃないんですね。これはやっぱり今という時代が見えるような気がしますね。「夢」というものがとにかく一番重要である、みたいな風潮も含めて。

 とりあえず次の一手が気になるところですが、4月に2nd発売のようです。
posted by はじ at 00:43| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年01月16日

EXILE「HERO」

HERO
EXILE, SHUN, COLOR, Michico
エイベックス・ディストリビューション

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 だいたいヒーローと題のつく歌、ヒーローという言葉が出てくる歌というのは、最近だと、大きく分けて三種類があると思います。

1.「君がヒーローだ」と呼びかけるパターン。最近ではサザンオールスターズ「君こそスターだ」など、スポーツ関係のタイアップに多いです。
2.「ヒーローなんて実際のところこんなもんなのさ」みたいな、皮肉めいた歌。ポルノグラフィティ「ラスト オブ ヒーロー」「TVスター」、桑田佳祐「ROCK AND ROLL HERO」、LIV「FAKE STAR」などなど、探せばもっといくらでもあります。
3.「誰もが認めるヒーローにはなれないけど、君だけのヒーローにならなれるんじゃないかな」あるいは「わたしだけのヒーローになって」というパターン。Mr.children「HERO」が、あまりにもそのまんまですね。

 まじめに細かく例を収集したり考察していくとキリがないので、とりあえずこんなもんで。
 ひとつ言えることは、現代ポップスにおいて、「完全無欠の強いヒーロー」を歌う歌は流行らない、ということですね。1「君がヒーローだ」タイプにしても、「強い」よりは「優しい」「あきらめない」といった点が重要視され、また、3のパターンに似た方向性を持っているものが多い印象です。だって「完全無欠の強いヒーロー」なんて言葉が出てきたら、2の皮肉だと思っちゃいますよね?

 今回のEXILEは、『僕等はいつまでも キミの胸にいるから・・・。』と、一人称が「僕」ならば3に含めそうですが、「僕等」なので、厳密に言うと違ってきますね。歌っている本人たちに、この歌を聴いているすべての「キミ」を救うことができるヒーローなんだ、と言いたげな口ぶりです。
 ただしその「ヒーローである僕等」もまた、「完全無欠の強いヒーロー」を歌っているわけではないです。というか、『願いは必ず叶うはずさ!』と勇気づけはしても、「僕等が願いを叶えてあげるよ」とは言わないんですね。あくまでも『キミは一人じゃないさ・・・。』と、傍にいると安心感を与えるだけにとどまっています。ここには、「守る/守られる」という感覚から脱していこうとしつつある社会の雰囲気があるんじゃないかなと。
 一方的ではない、双方向コミュニケーション。ポップスでテーマになり易い「恋愛」にしても前々からそういう傾向ができつつあるのは感じてましたし、今回みたいに「ヒーロー像」もまた、「守ってくれるもの」というイメージがなくなっていくのかなあと。

 やっぱりこうしたヒーロー像の変遷は、時代の色なんでしょうね。
 とだけ言えば、だいたい雰囲気はわかってくれるかと思いますので、「高度経済成長の終わりが云々」とかそういう話は割愛します。
 音楽だけでなく、漫画業界、ゲーム業界なんかでも、似たような現象が起こって久しいですよね。「正義の主人公がお姫様を助けつつ悪の帝王と対決する」みたいな、勧善懲悪、初期ドラクエの勇者的な価値観は、今やすっかり影を潜めているわけですし。

 ちょっとまとまりなく読みにくい文章になってしまいましたが、もう二時間ほど費やしてしまっているので、見切り発車。
posted by はじ at 23:22| Comment(3) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月29日

ウルフルズ「バカサバイバー」

バカサバイバー
ウルフルズ, トータス松本, ウルフル ケイスケ
東芝EMI

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 ウルフルズイズム(変な言葉だ)炸裂です。バカです。あれ、でもウルフルズはA.A.P(アホアホパワー)なんじゃなかったっけ。バカとアホはけっこう違いますよね。まあ響き的にもノリ的にも「バカ」でよかったと思います。「アホサバイバー」だとかっこ悪いし。「バカサバイバー」というメリハリ利いた言葉だから、そのぶん開放的に聴こえるってのもあるかなと。

 はじめは一応メロディーらしきものにのっとって歌っているのに、途中からあっという間に普通の会話調になっていきます。でも、まくし立てながらもちゃんと音楽に乗っているからすごい。畳み掛けられる言葉の要所要所に、ちゃんとリズムが生まれるようにできているわけですね。トータス松本は韻を踏ませてもヒップホップ真っ青の実力があったりするし、バカバカ言ってても毎回けっこう考えられているのです。
 「明日があるさ」カバー以後、「笑えれば」「ええねん」など、わりとハートフルな(やや暑苦しいけど)楽曲が目立ってましたが、また「ガッツだぜ!」みたいな能天気に突き抜けた曲をメインにし始めたと見てもいいんでしょうか。そうするとやっぱり「真面目」から「気楽」に移りつつある流れをちゃんと押さえているわけで、やっぱりなかなか侮れません。好きになれない人もいるでしょうけど、いなかったら寂しい、そんなバンドです。
posted by はじ at 23:25| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月12日

ORANGE RANGE「花」


ORANGE RANGE
ソニーミュージックエンタテインメント

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 彼らのジャケットは、毎回オレンジがあしらってあって面白いですね。

 さて、「花」をテーマにした曲は星の数ほどあります。RAG FAIR「HANA」の記事を書いたときに、歌詞内の主張から大きく「バラ派」と「タンポポ派」に分けてみたりしましたが、レンジはちょっと具体的に「どういう花になる」みたいなことは言ってないですね。どちらかというと、タンポポ系のが強いような気がしないでもないですが。

 そういう見方よりも、たとえば『花びらのように散っていく事/この世界ですべて受け入れてゆこう』というような、ある種の悟りのような気持ちを「花」に関連付けて表現している、という点に注目してみたいです。こうした「悟り」は近年のメッセージソングに見られがちな傾向で、「今を精一杯生きる」がメインでありながらも「すべてはいつか終わりがくる」「今を振り返る時がくる」という達観めいた視点があったりするわけです。ポジティブな熱さと儚さゆえの切なさを、同時に聴き手に与えようとしているわけですね。
 この曲なんかまさにそうで、『今という現実の宝物』と現在を大切に考え精一杯生きながらも、散りゆくことを受け入れようとしています。なんか、実に素晴らしい若者の姿ですよね。無理やり最近の邦楽事情に組み合わせてみると、青春パンクなどのメッセージソングの流れが、あの「世界に一つだけの花」が見せたような、「花から悟りを得る」視線と重なって結実したのがこの「花」なのだ、と言ってしまってもいいのかなヤバそうかな。
 まあ少なくとも、ここ最近の邦楽の好まれる歌詞の潮流に乗っているのは確実です。

 ただねー、どうも自分の言葉でつづっている感じがしないんですよね。『生まれ変わっても あなたのそばで 花になろう』とか、どっかから言葉を借りてきたような感じ。パクリとかそういう意味じゃなくて、台詞が身の丈にあってないというか。
 それはまあ、ある意味では偏見なんでしょうけど。自分くらいより上の年代、つまり彼らと同じかそれより上の人は、やっぱりどうも「わかったようなことを言うな」みたいなものを感じてしまうと思うのですよ。「最近の若いモンは云々」と言いたいわけですよ。なんだかオレンジレンジって、支持層と不支持層の温度差をビンビン感じません?
 とにかくあんまりそういう見方で低く評価するのはここの方針として嫌なんですけど、ただやっぱり『花はなんで枯れるのだろう』からずっと「なんで〜だろう」が続いて『なぜボクはココにいるんだろう』、『何故キミに出逢えたんだろう』と続き、そして今なぜと言ったのに次で『キミに出逢えた事 それは運命』と断言しているのは、やっぱりちょっとどうかと思います。はい。
 その前までも多少安易ではあるんですけど(わざわざカタカナ使うのもそうだし)まあ感情は盛り上がるのでいいかなって思えるんですけど、そこまで疑問を積み重ねたのに「運命」で片付けちゃうのは、ねえ。
 この辺が、「今を生きる」と「ずっと先まで達観する」とのメッセージ併用の危なっかしいところでして。うまく組み合わせないと、矛盾が出てきたり、こうして「今現在のわからないこと」をあっさり「悟っちゃう」とかいう事態になっちゃうわけですね。

 サウンドのほうは、感動を演出するのがすべてストリングス任せになってしまっているような気がします。バンドセクションもいるんだから、もっとギターのアルペジオが前面に出てきてもいいんじゃないかと。「ミチシルベ〜a road home〜」の「ラララ」のとこのような、強烈に耳に残る部分がないのもちょっと残念かな。ボーカルは、多人数を生かして低いほうにオクターブ重なるのとか、面白いと思うんですが。

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