2008年08月20日

YUKI「汽車に乗って」

汽車に乗って(初回生産限定盤)(DVD付)
YUKI
エピックレコードジャパン (2008-04-16)
売り上げランキング: 33985


<大陸的なサウンドに溶ける物語のイメージ>

 このところは、どちらかというと打ち込みをベースにしたコズミックでトリップ感あるサウンドが主体になっていたYUKIのシングル。そこに、たまに真正面のバンドサウンドが絡む、といった流れでしたが、今回はゆったりと緩やかなスローテンポ。壮大っぽくもあり、けれど力も抜けている、どこか大陸的な音楽です。

 ゆるゆるとした大きなリズムに乗るメロディラインはやはりゆるゆると砕けたもので、さらにそこに乗る言葉もまた、音に溶けるような柔らかさを持ち、馴染みやすい合わせ方をしてあります。
 サウンドが先行していて、そこに合うイメージをつらつらと合わせていった…そんな感触がする楽曲なので、あんまりストーリーを読み解こうとしたり大きな意味を探ろうとするのは、ちょっと違う気がします。『砂漠の民』が登場するし、何か悲恋の物語っぽい印象を受ける人は多いかと思いますが、書き手が意識しているのもそこまでで、明確な筋書きまでは決められていないんじゃないかなと。

 …という前提で、あえて物語を読むとするならば。
 『落馬した 砂漠の民』は、怪我をしてしまって故郷に帰ることができない。別れたきりの「君」との日々を思い出しつつ、『もし あの日に 帰れるのならば/おもいきり 抱きしめようか』と夢想する…という感じでしょうか。
 ま、この詞をひとつの物語として考えようとすると、人によってさまざまな解釈が考えられるでしょう。たとえば、主人公は「汽車に乗って」、「君」に会いに帰ろうとしているんじゃないか、とか。個人的には、この詞の「汽車に乗る」とは実際に乗っているんじゃなく、あくまでもイメージなんじゃないかなと感じました。『走り出した 僕らの汽車は/虹を見た 夜を見た』とあるのは、それぞれに時間を過ごしていく、という歳月の比喩なのかなと。

 にしても、サビのイメージが綺麗です。「夕陽が丘」のオレンジ、「アカシア」の黄色、『白い花びらを 髪につけて』とあるこの髪はきっと白い花の映える黒でしょう。そして『小さな紅い唇』…と、各種アイテムが非常にビビッドで鮮やかなコントラストを形作っています。
 この鮮やかさは、「砂漠の民」と色味の少ない「砂漠」を先に登場させておくことで、より効果的に浮かび上がってきます。そしてこの鮮やかさこそが、「戻れない思い出」の美しさを端的に表現しているように感じるのです。

ラベル:YUKI
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