2008年07月20日

aiko「二人」

二人
二人
posted with amazlet at 08.07.20
aiko
ポニーキャニオン (2008-03-12)
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<隠された本心から漂う、切々とした切なさ>

 タイトル、そしてアップテンポで始まる曲調からして、愛し合う「二人」を描いたハッピーな歌なのかな…と想像していると、実はまったく違うテーマが盛り込まれていることに気がつかされる一曲です。

 のっけから『夢中になる前に 解って良かった』。意味深なフレーズを出しつつも、その後には一途でなかなか制御できないくらいの恋心が切々と描かれていきます。想いが止まらなくなってしまいそうな、ギリギリの状態にあること。「あなた」のどんなことも知っていきたくなっていること。そんな激しく渦巻く感情を隠すため、気がつかれないようにあえて『同じ様にあなたを見た』。
 恋の駆け引き、というにはあまりに甘酸っぱいドキドキが伝わってくる初々しさを感じる展開です。

 そう、この歌は両想いの歌ではなく、片想いの歌なのです。
 そして、ただの片想いでもありません。

 2コーラスに入ると、冒頭に示された内容がようやくわかります。『あたしの背中越しに見てた/その目の行き先を』知ってしまった。「あなた」が見ていたのは、自分ではなく、「あの子」なのだろう…

 意中の人が自分ではないことに、『夢中になる前に 解って良かった』。
 しかし、本当にそうなのでしょうか?もっと深入りしていたら『きっとダメだっただろう 怖くなってただろう』とつぶやく、それはとっくに夢中になってしまっているのではないでしょうか?「よかった」なんて言うのは、そうしなければ胸のうちの切なさを自分ではどう片付けることもできないからではないでしょうか? 『一緒に撮った写真の中に夢見る二人は写っていたのね/後ろに立ってる観覧車に本当は乗りたかった…』
 タイトルの「二人」は、この部分から取られているのでしょうか。おそらく、とても楽しそうに映っている「二人」の姿を見て、「あたし」は自らの気持ちが受け入れられることを想像したりもしていたのでしょう。
 しかし、それは「夢」でした。
 深入りする前に気がついてよかった。そうは言ってみるものの、やはり本心は観覧車に乗りたかった=成就させたかったのには違いないわけです。

 そして、「あなた」の気持ちに気がつきはしたものの、どこにも「諦める」「身を引く」というような言葉は出てきていません。頭ではそう思っているのかもしれませんが、気持ちはきっと切り替えられてはいないからなのでしょう。
 『あなたはあたしの時を止めた 帰りの道が見えない』という一文からも心のざわめきが感じ取れます。

 もうすでに、切り替えられないくらいに「あなた」を想っていた「あたし」。だからこそ、すでに夢中になっていた自分を偽って『夢中になる前に 解って良かった』と思い込もうとする…そんな必死な切なさとでも言うべきものを感じる楽曲なのです。


posted by はじ at 23:39| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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