2008年07月06日

チャットモンチー「ヒラヒラヒラク秘密ノ扉」

ヒラヒラヒラク秘密ノ扉
チャットモンチー
キューンレコード (2008-02-27)
売り上げランキング: 7560


<言葉の響きを生かした詞構成>

 7thシングルにして、相変わらず初期衝動が衰えていないと感じるパワーが溢れているチャットモンチー。メンバー3人が3人とも感性豊かな歌詞を書く点でも注目していますが、今回はドラム高橋久美子のもの。

 彼女は、自分の評価だと、メンバーの中でもっとも職人的に詞を書く人です。今回も、なかなか技巧的に構成を考えているところが散見できます。
 たとえば、真夜中、悶々とする感情を持て余している様子がメロで描かれています。で、『深夜二時』『深夜四時』と時間が進行していくことで焦燥感を出しているわけですが、さらには衝動が爆発するサビで「陽」つまり夜明けを志向する、というところまで表現が繋がっています。
 また、語感にもこだわりがうかがえます。「ヒラヒラヒラク」という響きのよい言葉をベースに、『サクサク』『ビリビリ』など擬音をサビのあちこちに散りばめてみたりしています。メロの『目 爛々と』『血 凛々と』なんてのも、相乗効果を狙っているんでしょうし、『生まれたての陽』などと「陽」という語を多用してきているのも、この「ヒラヒラ」と音の響きを合わせているのでしょう。

 ちなみに、出世作である「シャングリラ」もそうでしたが、一人称が「僕」になるのも、この3人の中では彼女だけです。『いま拳突き上げて』なんて、男らしい表現も混じっていますね。
 こんな点からも、歌詞世界をきちんと構築して作っている印象を受けます。

 ちなみに、あとの2人の書く詞は、どちらも感情優先だったりします。 ベース福岡晃子は、感情的な言葉が前に出てきてはいるものの、aikoやドリカム吉田美和に通じるセンスをまぶしている感じ。「恋の煙」のフレーズ『二人よがりに なりたいな/当たりくじだけの くじ引きがしたい』なんてあたりが象徴的で、非常に強い感情を強い言葉で形作っています。
 で、ボーカル橋本絵莉子がもっとも感情任せに言葉を綴ります。「恋愛スピリッツ」「橙」など、そんなに飾り気はないんですが、そのぶん胸に迫ってくる生々しさがあるんですね。

 さてこの曲、メロディラインのほうは、激しく上下動しながら息の長いフレーズが続いたり、急に沸点に達したり、ぐねぐねとうねったり…作詞でも見せている橋本絵莉子の特性がいかんなく発揮されています。
 詞に描かれている衝動を毎回引き出す本能的なメロディメイクはかなり心揺さぶられるものがあるんですが、引き出しが少ないところがちょっと心配ではありました。今回は、「ヒラヒラ」など語感のいい詞に助けられているところもありつつ、Aメロなんかはけっこう新しいなーと。
 アレンジも意欲的にあれこれチャレンジしている感がありますし、まだまだ走り続けてくれそうだと期待しています。


posted by はじ at 03:24| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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