2008年06月24日

平井堅「キャンバス/君はス・テ・キ」

キャンバス
キャンバス
posted with amazlet at 08.06.24
平井堅
DefSTAR RECORDS (2008-02-20)
売り上げランキング: 5233


<切なさに終始しない爽やかさ/シリアスでは届かないユーモアでの癒し>

 平井堅、両A面シングルは、それぞれ切ないバラードとアゲアゲのアップテンポ。テンションや方向性がうまく対比されています。


 「キャンバス」は、卒業を思わせる別れの心情を描いたバラード。このシチュエーションだといくらでも切なさを煽れそうなところですが、そこに終始しているわけではないようです。
 曲自体、そこまで哀愁を募らせるように響くのではなく、暖かみと穏やかさを感じさせる和音や音色を使っていますし。

 『僕の顔は 上手に 上手に 笑えていたかな』なんてフレーズは「いかにも」伝えられない想いを盛り上げる要素だったりします。こうした内容で全編が構成されていたらきっと泣きバラードになっていたかと思いますが、そうじゃない。『決して変わらない 決して汚せない ぼくらだけのキャンバス』と、青春のひとときをしっかりと記憶に留めておこうとしています。
 「君」へ伝えられなかった想いは胸に残れど、そこに過剰に執着したり後悔したりしている様子はありません。寂しさや哀しさも『涙で塗ったキャンバス』として保存し、「いい思い出」としてずっと抱えていく。そんなふうに結論が出ている、気持ちの落とし込みができているわけです。だから、楽曲のセンチメンタルすぎない暖かみと合わさって、どこか爽やかな印象を与えてくれるのですね。 さて一方の「君はス・テ・キ」は、またはっちゃけたアップチューン。不安定でトリッキーなメロに面食らってしまいますが、そのテンションのままなだれ込むサビはきちんと聴きやすいメロディラインになっています。

 『ガビガビガビアイメイク ダラダラダラダラ週末/カラカラ乾いた日々』などと、韻を踏みながら「頑張る女の子」の姿をユーモラスに描いて見せていき、支えてあげようとする。『輝く瞳に 情熱スマッシュ!!』なんてサビで過剰にのたまっているのも、ポップというよりは冗談めいた雰囲気。
 でも、こういう笑いのある歌ならではの癒しというのもあるわけで。シリアスに「毎日の生活に追われて実を削っている、そんな君の力になりたい」と言うんでもそれはアリですが…

 ついついだらけてしまう意志の弱さや高尚になれなどしない日常を笑い飛ばし、やりすぎなくらいに受け入れる態度をアピールすることで、呼びかける相手の障壁を取り除き、すっと癒せるような内容を目指したのかなあと。
 『あんな風に こんな風に 描くまま行こう』なんて、何を指しているかわかんないからアドバイスになりきっていないんですけど、でもその適当さが、いい意味での脱力をいざなうのですね。


posted by はじ at 02:49| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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