2008年05月31日

青山テルマ「そばにいるね feat.SoulJa」

そばにいるね 青山テルマ feat.SoulJa
青山テルマ feat.SoulJa 青山テルマ 童子-T
UNIVERSAL J(P)(M) (2008-01-23)
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<交錯する視点、共鳴する感情>

 昨年の秋にロングヒットとなったSoulJa「ここにいるよ feat.青山テルマ」は、遠くへ離れてしまった女性へ向け、伝えられなかった想いを男性側から呼びかけるスタイルの楽曲でした。
 それに対し、今度は女性側の視点から男性へ向けて胸中を語りかけるのがこちら、アンサーソングとなる「そばにいるね feat.SoulJa」です。
 前作のフレーズをしっかりとアピールしてはいますが、安直な回答ではなく、視点が交錯し共鳴するような作りはなかなか技巧的。リリースの期間の短さからしても、反響に関わらず制作するつもりだったのではないかなと。

 リードボーカルは入れ替わっているものの、「ここにいるよ」で印象的だった『Baby boy あたしはここにいるよ』のサビはしっかりと「そばにいるね」でも使われています。
 また、その他にも前作で男性が述懐していたフレーズが登場していて、それに対する返答というか、直接のやりとりではないけど共鳴し合っているかのように繋がりを見せています。

 『伝えたい気持ちそのまま言えずに 君は行っちまった』男性のほうは、想いを伝える踏ん切りがつかなかったことを嘆いています。対し女性は、『あなたとの距離が遠くなる程に 忙しくみせていた/あたし逃げてたの』と、こちらも想いは同じだったのに向き合えなかった、とやはり後悔しているのですね。お互いに前に踏み出せないまま、二人は離れた…という図式が、ここに完成します。

 前作でも女性の心情は示されていましたが、男性視点がメインだったためどことなく都合のいい回答っぽく聴こえるところもありました。が、改めてこうしてアンサーソングという形で歌われると、女性側の生身の感情が描かれているため、二人の共鳴具合がしっかり伝わってきます。

 そのあたりは、女性一人称の違いにも表れているように感じます。実は、「ここにいるよ」では『わたしはここにいるよ』と歌われていたのに、「そばにいるね」では『あたしはここにいるよ』なのですね。
 細かいですが、ここが違うということはとても大きい。女性視点の「そばにいるね」は、実際の女性の言葉なのでしょう。対して、男性視点の「ここにいるよ」での女性パートは、やっぱりイメージの中のどこか理想化された相手の声、フィルターのかかったものなのではないでしょうか。思い出は美化されるといいますが、気持ちが募るあまりそういった心の働きが作用したんじゃないかな、と思えるのです。

 ところでこの曲、どちらもお互いに相手を想っていて、離れた今では伝えられなかったことを後悔しつらつらと語っているのですが、共通項は多くとも、その内容や方向性が異なっているのが面白いです。 わかりやすいのは、前作にも登場した男性側のフレーズである『今じゃ残された君はアルバムの中』に対して、『アルバムの中 納めた思い出の/日々より 何げない一時が 今じゃ恋しいの』と女性が返しているところ。
 男性はアルバムに納められているような印象深い思い出を重視しています。そういえば、「鎌倉の砂浜」とかカラオケボックスのこととか、あれやこれやと挙げてもいましたし。しかし、女性はそうではないのです。もっと普段のなんでもないやり取りのほうを取り戻したい、と感じているのですね。

 また、離れてしまった後も、男性側は『ちくしょう、やっぱ言えねぇや』と、なかなか想いをきちんと伝えられないでいますが、女性側は違います。『過ぎ去った時は戻せないけれど 近くにいてくれた君が恋しいの』とはっきりと自分の感情を明確にし、待つ姿勢を見せています。
 男性のほうがうじうじしてるなー、臆病だなーという感じですが、しかし元気なのかどうかと尋ねたり、相手を優先して考えているところは感じられます。だからなかなか踏ん切りがつかないのかもしれません。意図的なのかどうかはさておき、こうしたキャラクターの差異があるので、掘り下げて読んでみるととても興味深いです。

 お互いが想いあう姿が明確に示され、相手を待つことに腹を決めた女性と、なんとか伝えよう伝えようとあと一歩で詰まっている男性。切なくももどかしいこのラブストーリー、完結編が制作されるとしたら、きっとハッピーエンド。「ここにいるよ」「そばにいるね」ときたので、「ともにいよう」とかでしょうかね。


posted by はじ at 02:02| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビューコラボもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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