2008年05月17日

RADWIMPS「オーダーメイド」

オーダーメイド
オーダーメイド
posted with amazlet at 08.05.17
RADWIMPS
EMI MUSIC JAPAN(TO)(M) (2008-01-23)
売り上げランキング: 2090


<ファンタジックな空想は、誰のためのものか>

 生まれる前のこと。自分自身のパーツを、『誰かさん』にもらっていく。たいていのパーツは2個ずつ対に付けていってもらうけれど、心臓だけはひとつでいいとお願いする。いつか大切な人ができたときに、『二つの鼓動がちゃんと胸の/両側で鳴るのがわかるように』…

 そんなふうに、ファンタジックな設定や表現を駆使して歌詞を作り上げるのがこのバンド、RADWIMPSの大きな特徴です。その世界観はとにかく変幻自在で、今回も、この世に生まれる前に、自分自身で形を選んだんだという、豊かなイメージで紡がれたストーリーになっています。
 もちろんこれは、奇抜な空想によるものです。だけど、それをあえて「きっとこうだったんだ」と主張する。『一人とだけキスができるように』口をひとつにしたんだ、と語って、聴き手に「本当にそうだったら素敵だなあ」と空想させるわけです。

 ただ単純に「心臓は愛し合う二人でひとつになるようになっているんだよ…」と正面から語ると、ちょっと気障っぽいし、照れるし、現実で言ったら怖がられそうでもあります。でも、生まれる前の話という非現実的なシチュエーションに仕立てて語られているので、ファンタジックさがクサさを中和しているのですね。

 で、そんなファンタジックなストーリーがほとんどを占めていて、その突飛さにばかり目が行きがちですが、重要なのはむしろ、その合間に挟まっている部分なんだろうなと。 『胸が騒がしい でも懐かしい/こんな想いをなんと呼ぶのかい』
 これは、「生まれる前」の中での述懐ではありません。きっと生まれる前はこうだったんだ…と空想している、いまの「僕」のものだと考えてよいでしょう。
 というか、ここの「こんな想い」を持ち、「なんと呼ぶのかい」と持て余したからこそ、「生まれる前」に思いを馳せていったのではないでしょうか。

 はっきり言うと、これはこういう曲なんだろうと。
 愛する人に出会った。その人への想いが、大いに募ってしまった。気持ちが昂ぶる中にも、懐かしい、何かしら宿命的なものを感じた。それはきっと、生まれる前にこんな出来事があって、そのときに思い描いた「大切な人」こそこの人だからだ…!

 つまり、長々と語っている「生まれる前」の空想で暗に語られる、「人は愛し合うためにできているんだ…」というメッセージは、不特定多数の聴き手に向けているわけではないのです。曲中の「僕」の目の前にいる、たった一人にだけ捧げられているのです。
 「≪あなた≫と愛し合うために、僕はこうして生まれたんだ」と。


 …個人的に思っている彼らの特徴は、とにかく強い強い感情を表現しようとしているなあと感じるところ。それも、特に「君」に対しての「愛」です。自分の胸のうちにこんこんと溢れてくる「愛」を、なんとかして伝えようとするあまり、日常生活で使っているような言葉の範疇ではとどまらなくなってしまった…そんな印象を受けるのですね。
 この「オーダーメイド」も、まさにそれを体現している曲なんだろうなと。


 歌詞だけ読んでいくと良くも悪くも飽きないんですが、楽曲的には確かにかな〜りタメが長いので、そこでフラストレーションが溜まる人もいるかもしれません。でも、初聴きの人には充分にインパクトを与えられる楽曲だとも思います。
 こういうぶっ飛んだ歌も受け入れられる時代になったのか、それはただ不思議なだけじゃなく、真摯な愛のメッセージがその中に含まれているからこそなのか。などなどの観点でも、今後も注目していきたいバンドです。


この記事へのコメント
なるほど、、
これを読んでまたさらにオーダーメイドの曲の良さを理解することができました!

質問があるのですが、
曲の最後に
「どっかでお会いしたことありますか?」
とあるじゃないですか?
それは一体どういうことを意味するのでしょうか?
あなたの考えを聞かせてください。
Posted by 麻里 at 2008年06月15日 23:22
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