YUKI
エピックレコードジャパン (2007-12-12)
売り上げランキング: 12218
エピックレコードジャパン (2007-12-12)
売り上げランキング: 12218
<ファンタジックな航海が示す意識>
このところのYUKIの楽曲らしさを詰め込んだような曲、という印象です。
4つ打ちのループするリズムとスペーシーなサウンドは、「JOY」あたりからはっきりと漂ってきているもの。「メランコリニスタ」や「星屑サンセット」あたりでも感じられましたよね。このあたりのピコピコ&ダンサブルな楽曲の流れに位置づけていいのではないでしょうか。
歌詞についても、たとえばカタカナの多用は「メランコリニスタ」を彷彿とさせます。特に、『オーライ!』と声を上げたり、『バンプ エンド グラインド』と動作を描くような言葉を使っているあたり。
音から言葉を選んでいるようなフシがあるのも、YUKIのこの手の楽曲の特徴です。メロでは『ばらまいて』『瞬いて』『また抱いて』などと韻を踏んでみたりもしていますね。
歌詞は、航海をテーマにして、それに関するキーワードを散りばめて出来上がっている感じです。その航海は「私達」によるもので、キスを投げかける『船長さん』は航海のパートナー、つまり恋人だと解釈するのが妥当でしょう。
ちなみに、その船は海を走っているわけではどうもなさそうです。海っぽい単語もいくつかあるのですが、『星の明かり 頼りに 浮かんだ船』『ワンダーライン つなぎあって 生まれてく 空』『虹の橋を 渡ればきこえる歌』などを見ると、空を行く船に乗っているイメージなのでしょうね。
総じて綺麗な言葉に彩られていますし、とてもファンタジックな内容に仕上がっているわけですが、しかし随所には『ゆううつに 恋してるのも つらい』『不安なの』と言っていたり、いいことばかりというわけでもない。
7拍子になるCメロで『生きている意味なんて 考えてる暇 ないのさ』と言ってのけ、今を遊ぶ!と高らかに宣言していることからしても、今回の歌詞世界は「このときを楽しむ」という意識から生まれた世界観なのかなーと。
何が起こるかわからない(=ワンダーライン)、自分自身も何を起こしていくかわからない(=ワンダーガール)、でも舵取りをしてくれる相手(=船長さん)と一緒に楽しく進んでいこう…と考えると、落ち着きがいいかなと考えてみました。