槇原敬之
エイベックス・エンタテインメント (2007-12-12)
売り上げランキング: 33437
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<マフラーが指し示す「君」への想い>
活動再開後、ずっとマジメなメッセージソングを歌い続けてきたマッキー。
もともとこの人は、具体的な恋愛のストーリーを甘く切なく描く楽曲を作ってはいましたが、その中には何かしらの「気付き」や「反省」や「自問自答」、そして誰かを愛するための教訓のような要素は常にある人でした。『例えば髪を切るように/生き方は変えられない』(「ズル休み」より)『誰かを愛するためには もっと努力が必要』(「どうしようもない僕に天使が降りてきた」より)
とはいえ、個人的には、いかんせん堅苦しいなあという印象がある曲が続いていた中で、ようやく前作「GREEN DAYS」でポップなマッキーの復活を感じ、今作ではすっかり以前らしさを取り戻したように思います。
離れてしまった相手に渡す予定だった赤いマフラーを、自分で巻いて独り街を歩く。それは『渡せなかったプレゼントを/自分で使うサンタみたいだ』とちょっと滑稽めいていて、でも『君がいた証に思えるから』巻いていたい。
冬の街の中の赤いマフラーは、もちろんクリスマスを意識したところも大きいでしょうけれど、EXILE「Lovers Again」に登場した『スカイブルーのマフラー』と同じく、色味のない中で鮮やかなイメージとして映ります。そして、その鮮やかさはそのまま、「君」への変わらない想いに繋がっているわけです。
首を暖めるマフラーと、舞い落ちてくる雪。どちらにも果たせなかった思いや行動を重ねて後悔しているのですが、切なさは染みてくるものの、不思議とそこまで暗さは残りません。
それは、ひとつにはメロディラインの暖かみがあるでしょう。幸せな歌詞を乗せたとしても、しっくり来るような感じ。そしてラストの歌詞も、後悔に溺れるだけではなく、『もし今君が現れたら/このマフラーを/君にそっと巻いてあげたい』と、振り切れてないながらもやはり暖かい言葉が綴られていまして。この点も、過度に暗く落ち込まない雰囲気に繋がっているんじゃないでしょうか。