2008年03月19日

mihimaru GT「I SHOULD BE SO LUCKY」

I SHOULD BE SO LUCKY/愛コトバ(通常盤B)
mihimaru GT hiroko mitsuyuki miyake hilow10
ユニバーサルJ (2007/11/28)
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<メッセージを頼りにしないポップ性の高まり>

 オーストラリア出身のアイドル的歌手カイリー・ミノーグが、1988年にリリースし日本でもヒットした楽曲のカバー。
 原曲をほぼまったく知らないので、両曲の比較のようなことはできません。なので、ここでは別の角度でこのカバーの意義を見てみたいと思います。

 まず音は、デジタルで華やかで、いかにも80年代な雰囲気を残しています。
 80年代の音楽って、というか音楽に限らずこの時代の雰囲気って、バブリーかつ華やかなものがあります。でも、そうした要素って、今の時代に合わないものとして認識されていたり、派手すぎると感じられたり、ずっと忌避されていたように思います。

 『愛されて Lucky Lucky Lucky Lucky/愛しましょ Lucky in Love』
 サビの歌詞です。たぶん原曲とそう大差ないんだと思いますが、まったく内容はなく、サウンドの賑やかさ華やかさのイメージに沿っているだけ、という感じ。これを見て「なんのメッセージ性もない!」と批判したくなる人も多いのでは。
 でも、音楽って「サビに伝えたいメッセージを込める」という定義はありません。また、80年代とは言わず90年代くらいに遡ってみても、そうした楽曲はかなりの比率で存在していたように思います。

 00年代前半のJ-POP歌詞には、「メッセージ性の重要視」という大きな暗黙の了解があったように思います。
 赤裸々に自分を曝け出したりポジティブさやありのままの生き方を「生の」言葉で投げかけるメッセージソングの隆盛はもちろん、恋愛をテーマにしている楽曲でもまた、自分自身や相手の人間的な成長(「強くなれる」「傷を癒す」「大切な思い出」といった要素ですね)を含んだ歌詞が人気を集め、ヒットしていく。そんな流れがありました。
 それは単に音楽業界の流行り廃りも関係しているのでしょうけれど、恐らくは、時代や世相を反映した面も少なからずあるのでしょう。9.11事件や長引く不況、引きこもりなどの自閉化・内向化する人の増加。そういった社会的な影響が、真摯な生き方や実利的な考え方、「繋がり」や「癒し」を盛り込んだ楽曲を大衆に求めさせたのではないか…なんて個人的には考えていまして。

 で、今もなお楽曲に込めたメッセージこそが重要なんだ!という向きはあるものの、少しずつ肩の力が抜けてきたなあ、という印象もあって。ブログのレビューでも、スキマスイッチ「全力少年」平井堅「POP STAR」あたりで、ポップさの復権について語っています。

 そして、今回のmihimaru GTに至っては、さらにポップさのみを追求しています。 メロ部分もまた、『Hey! ナウ初めての感情 もう止まらない』とか、『もっとあなたに 近づきたい』とか、ひたすらに恋愛感情のみに終始しています。『まさかの Lovers Boot Camp 恋の戦場走るのか』と時事ネタ入れたりしているのも、楽しさ優先のフレーズ作りという感じ。

 そういえばmihimaru GTはスマッシュヒットとなり一躍知名度を上げたシングル「気分上々↑↑」もまた、細かいことは考えずアッパーさのみを追求した内容でした。
 今回は特に、歌詞の内容だけじゃなく、80年代の華やかさやキラキラ加減も相まって、より強く「ポップ復権」の印象を感じさせられたのかもしれません。

 シリアスな楽曲ももちろんそれはそれでいいものですが、いい意味でお気楽な、単に聴いて楽しめることを主眼に置いているものも、もっと増えてきてもいいよなあ…とは常々考えていまして。
 そこへ行くと、カバーとはいえこうした楽曲が今出てきたというのは、今後により期待が持てるのかなあと。80年代の文化が再評価されてくれば、自然とそうなって行くんじゃないかな、とは思います。


posted by はじ at 20:57| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(ま行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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