浮世CROSSING
posted with amazlet on 08.02.16
UVERworld TAKUYA∞ 平出悟
ソニーレコード (2007/11/14)
売り上げランキング: 50362
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<メッセージのスパイスとしての「軽さ」と遊び心>
ドラマ「働きマン」主題歌。働く女性がテーマの番組とUVERworldだと少々ファン層が違うような気がしますが、そういった20代以上の女性層も狙っているんでしょうか。
『ありのままが素敵だと 言ってくれたことが/うれしくて うれしくて』という「自分らしさ」を掲げるという点はごくごく真っ当なものですが、『それぞれ何か抱えて この平成と向き合っているんだ』とか、『第三惑星から 15時代の2000年』など、時代を上から俯瞰したような言い方が出ているところがちょっとした新味。
「自分らしさ」を歌う楽曲って、等身大の視点をキーにしたいからか、あんまりこういう見下ろす、総括して語るような書き方をしないんですよね。そこへ行くとこうした書き方は共感を得にくいような気がしますが、人類を指して『死ぬ気で行かなきゃ 神の力作も 行き先なくした子羊』なんて言ってみたり、ユーモア・諧謔味を交えた表現になっているので、わりと馴染みやすいのではないでしょうか。
『A・lo・lo・lone』なんてのも、印象的かつ面白い書き方ですよね。孤独な時代を俯瞰して嘆き憂いつつ、深刻になり過ぎない、笑ってしまえるし『でもまぁ良いや/気にしないようにして』と言ってのけられるところに、強さ、いい意味での「軽さ」を感じます。
ラスト、『素直に 生きたいだけなのに 複雑な時代だな』なんて前向きなメッセージを伝え終わった後でつぶやいています。これ、はじめはちょっと締めにしては浮いてるんじゃないか?とも感じたんですね。けど、まあメジャーコードで明るく終わっているし、もういちど悩み始めるというよりは、悩みを吹っ切ったあとで「やれやれ」と肩をすぼめるようなイメージなのかなと。
そう考えると、ここもシリアスになり過ぎない「軽さ」になり、この曲らしい締めになっているような気がしてきます。
バンド形式・ボーカルが一人でラップもメロもこなす彼らのスタイルも、すっかり定着というか固定してきている感じです。
それでも、楽曲自体にはさまざまな部分で遊び心を盛り込んでいる印象があるので、まだまだ新しい方向に向かうモチベーションはありそう。その意欲を、また別の見せ方にも向けていってほしいなあと。
ちょっと自分とはセンスが違うなーと感じる部分も多々なのですが、なんだかんだで実力もポテンシャルも高いものがあるとも思っています。今のままでも人気を維持していけそうですけれど、まだ満足しないで新しい『浮世離れ』な切り口の音楽を見出してほしいところ。