2008年02月09日

大塚愛「ポケット」

ポケット
ポケット
posted with amazlet on 08.02.09
大塚愛 愛 Ikoman
エイベックス・エンタテインメント (2007/11/07)
売り上げランキング: 66632


<一緒に歩もうとしながら、相手を主体にするいじらしさ>

 大塚愛のしっとり系ナンバー、2007年は「CHU-LIP」「PEACH」とアッパー系が2曲続いたぶん、「金魚花火」のような夏らしいものではなく、楽曲の雰囲気も「あなた」の『ポッケの中』で手を繋ぐというフレーズも、肌寒い季節を連想させる内容になっています。

 『あなたのポッケにおじゃまして』と、タイトルは「ポケット」ですが、歌詞に出てくるのは「ポッケ」。こういう言い方に象徴されるように、この曲は恋人に対する女の子のかわいらしさ・いじらしさを感じさせるフレーズが多いなあと感じます。

 わかりやすい例が、サビの『あなたの重荷とかじゃなくて/荒れやすいあなたの手をあたためてあげよう』です。
 サビの頭というのはもっとも聴かれるポイントで、だからもっとも重要なフレーズを置くのが、暗黙の…というか自明のセオリーです。そこに「重荷になりたくない」。
 助けてあげたい、じゃなくて、邪魔になりたくない、という言い方は、似ているようでかなり違います。積極的に相手に干渉していこうとするのではなく、主体はあくまでも「あなた」で、そこに頑張って着いていくという感情なのですね。続く、手を暖めてあげたいという感情も、よりその色合いを強めています。
 主流としては『二人でステキになろう』と共に歩んでいこうというスタンスを主張していながらも、実はちょっと男性を立てるような想いを混ぜ込んでいるのです。ここに「いじらしさ」を感じてかわいいなーとぐっとくる男性、共感する女性は多いのではないでしょうか。

 作った料理を残さず平らげるのを『優しいあなたの心使い』と言ってしまうのも、「料理を作ってあげた」自分の行動より「食べてくれた」相手の行動をより大きいものと捉えていることがわかるフレーズで、やっぱりいじらしさをかき立てる心情になっていますよね。「あたし」の料理が下手でおいしくない、ということではないのです。…たぶん。 ところで、先に挙げたサビ頭の「あなた」のかぶりとか、『あなたを愛しく想って/そっと愛を深めるわ』の「愛しく」と「愛」のかぶりとか、ちょっとくどい感じの表現が目に付きます。
 ただ、これは、「勢いあまって」な感があります。気持ちが昂ぶったゆえに繰り返してしまうみたいな、感情がこもっているからこその表現、という風に取れるので。
 『世界で一番 スキで負ける気がしないよ』なんて、誰と競っているのかわからないのに言ってのけてしまうのも、同じく勢いのあまりっぽくて、ちょっと微笑ましいです。


posted by はじ at 18:37| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 この『ポケット』のカップリング曲のタイトルは『チケット』でしたね(笑)。名曲『さくらんぼ』の次のシングルのタイトルが『甘えんぼ』で韻を踏んでいたのを思い出しますね。

 大塚愛の言語感覚は結構面白くて、例えば『黒毛和牛上塩タン焼680円』『フレンジャー』『CHU-LIP』などといったタイトルは誰でもそう簡単に思いつくものではないでしょう。『PEACH』の時だって、『PEACH(ピーチ)』→『PINCH(ピンチ)』→『BEACH(ビーチ)』などといった具合の言葉の連想が上手かったでしょう。
Posted by 金魚花火 at 2008年02月19日 19:19
>金魚花火さん
その中だと「CHU−LIP」におおーと感心しましたねー。
たまにアイディア先行でちょっと苦しいところもあるなあと感じることもありますが、まあ面白い観点を盛り込むのはいいことです。
Posted by 柚木はじめ(管理人) at 2008年02月23日 23:39
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。