2008年02月05日

Aqua Timez「小さな掌」

小さな掌
小さな掌
posted with amazlet on 08.02.05
Aqua Timez 太志
エピックレコードジャパン (2007/10/31)
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<テーマも曲調も、ぎゅっと「詰め込み」型>

 ドラマ「ジョシデカ!-女子刑事-」主題歌。『目に見えぬ傷跡をさすってくれる 優しい掌』を持つ「君」への感謝の思いを込めた一曲です。

 『どんな僕も愛してくれる君へ/ありがとう いつもそばにいてくれて』と、「君」が恋人であることは明確に示されています。ですが、ラブソングっぽくはありません。深い愛情を込めているようではありますが、それだけではないんですね。
 『後ろばかり見てたら明日が哀しむから 人は前に進むしかないんだよ/目の前にいる愛すべき人のためにも』というフレーズを読むとわかりやすいです。「君」への愛を示しつつも、「前に進む」姿勢を語りかけるメッセージもまた、しっかりとテーマに据えられているのですね。

 これは何回か触れてきたことですが…昨今は、恋愛を無邪気に楽しむ歌よりも、相手との関係性を通して人間としての強さや成長を見出していくようなマジメな歌が好まれていると感じています。この歌もまた、最終的な着地点は『こんな僕を愛してくれる君に 「ありがとう」の詩をつくりました』という「感謝」の気持ちです。ただ「好き」だけではないのです。リスペクトの感情が、そこにはあります。
 また、そこに至るまでも、「僕」自身の振り返りという部分が大きいです。『美しい想いだけじゃ生きられず 約束の空も汚してしまえた』というような、進んできた道の回想がたくさん出てきています。もちろんいつも「君」が支えてくれていた、というところへ繋がってくるんですが、それでも自問自答の分量が多い。ここはちょっと軸がブレているようにも感じられますが、「葛藤」や「追憶」というテーマもふんだんに盛り込まれているんだ、と好意的に受け止めてもよさそうです。

 さて、この曲で感じたのは、随所に含みのあるフレーズが差し挟まれているということ。たとえば、「悲しみを知った」と言わずに、『立ち止まらせたはずの涙に/悲しみを悲しむということを教わったのは』と言ってみたりしているわけです。あるいは、「理想を求めて今を省みない」という意味のことを、『ゆれる奇跡の花に魅せられて/守り抜くべき日常を枯らしてしまう』と表現してみたり。今思うと、全体にそういう傾向がありますね。
 流暢と取るか冗長と取るかは好みが分かれそうなところ。ですが、こうした言い回しは詰め込み型の楽曲自体にはハマりやすいものですし、過剰だからこそ数あるメッセージソングの中で埋もれずに台頭してきたのでしょう。特に、ネオアコ〜青春パンク隆盛時代は、シンプルな言葉だからこそ刺さる!という意図を感じる表現が主流だったので、余計に新しい波なんだなあと思わされます。

 ただ、メジャーデビューから5作目となりますが、楽曲の作りが「言葉詰め込み系ミディアムテンポ」ですっかり固定されているような。今回は、サビのコード展開やメロディラインが懐かし歌謡曲を思わせる雰囲気でちょっと新鮮でしたが、もう少し大きな部分で幅を広げていったほうがよい気もします。


posted by はじ at 23:26| Comment(1) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「君」とは恋人ではなくファンの事のようですよ。
ファンへ感謝の気持ちを込めて作ったそうです。
Posted by at 2008年03月27日 23:15
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