2008年01月30日

Every Little Thing「恋をしている/冬がはじまるよ feat.槇原敬之」

恋をしている/冬がはじまるよ feat.槇原敬之
Every Little Thing 槇原敬之 Yasunari“Nam-Nam”Nakamura Masafumi“Massy”Hayashi Kaori Mochida Noriyuki Makihara
エイベックス・エンタテインメント (2007/10/31)
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<飾らない会話のリアルさ/細やかな観察眼のリアルさ>

 両A面で、冬らしいバラードと槇原敬之のカバー2曲となっています。

 オリジナルの「恋をしている」ですが、こちらはそういう触れ込みはないものの、「冬がはじまるよ」のアンサーソングというか、同じようなシチュエーションを自分なりに解釈して書かれたかのような印象を受けます。
 とあるカップルが、冬を迎える。何気ない日常が続く幸せを願いながら、決してシリアスすぎず優しい雰囲気が漂っている…と、設定やコンセプトが非常に近い。小物にビールが出てくるところもおんなじです。
 最初から念頭にあったわけではないのかもですが、「冬が〜」を同じシングルの中に入れているということは、おそらく意識してのことでしょう。

 穏やかな恋人同士の描写が歌詞の大半を占めていて、そこに『こうやって/また同じ冬を/君といること/愛しく想うよ』と、飾らない気持ちをさらりと歌っています。
 で、1コーラスでは相手のセリフとして「僕」が、そしてラストでは「僕」が一人称に使われているので、男女双方の視点から歌っているものと推測できます。たぶん、1コーラスが女性、2コーラスからが男性、という感じでしょうか。

 楽曲も派手ではないように、綴っているフレーズも凝った言い回しや目を引く表現があるわけではありません。が、ただ「ありがち」なのではなく、いかに「何でもない」普通の恋人同士を描き、そのありふれた幸せを浮かび上がらせるか?という点にあれこれと心を砕いていることが感じられます。
 わかりやすいのは、ここ数作そういう傾向があるのですが、ひらがなを多用したり、細かく区切って書いたり…という表記上の工夫。きちんとした形で引用してみましょう。

 ちいさくキスをした
 ほら
 愛しいものがたり

 というこの出だしだけでも、柔らかな印象がつかめるのではないでしょうか。

 で、言葉の言い回しもまたさりげない気遣いを感じるのですが、今回は特に、何箇所か挟まれているセリフ部分に気を引かれます。
 『沈んだ日でも/それも素敵な僕だ、と/君は言う』『「やっぱりいいな/こうゆうのが凄く/嬉しいな」』…という言葉たちは、前後関係は特に説明されません。また、言い方が「〜でも、それも」「こうゆうのが」と少しだけ正しくなくて、何のことだかややわかりにくい。
 でも、あえてそんな言い方をさせることで、口語的・日常空間での何気ない一言というような雰囲気が出てきます。そして、話しているお互いはきっと充分に通じ合っているんだな、と聴き手に感じさせる働きもあります。この辺り、さりげないですが「何気ない恋人たちの日常」を巧く切り取っているのですね。 さて「冬がはじまるよ」のリリースは、実に16年前の冬(1991年11月)。そんな前なんですか…
 『大きな窓をあけて/星をながめる時は/僕のセーターを貸してあげる』なんてシチュエーションとか、なんだかびっくりするほど新鮮です。近年そんな詞は見ませんよね。そもそもこういう恋人同士の甘い描写をする人が少なくなったからかもですが、そのことも含め、時代の流れなんでしょうか。
 ただ、こういうピュアな「僕」という人物像は、女性ボーカルが歌うとなかなか具合がいいようにも感じます。

 原曲は弾みのあるリズムですが、本人もコーラスで参加しているこちらは、とくに弾まずにストレート。楽しい二人の冬がやってくる!というようなウキウキ感は少し押さえめで、ちょっとしっとり、まっすぐなイメージになっています。
 コード進行も原曲を忠実になぞっているっぽいです。ちょっと面白い進行になっているんですよね、これ。けっこうマイナーが表に出ているのに、あんまりそう感じさせなかったり。ただ、『たくさんの君を/知ってるつもりだけど』の「だけど」のところとか、原曲よりもより明るくふんわりと広がるような響かせ方になっていますね。
 全体に、それほど大掛かりで大胆な解釈はなく、持田香織の声に合わせたものになっているのかなと。

 ポップな語りで、「君」の行動のひとつひとつを描き出していく視点が、実にマッキーらしいです。具体的なシチュエーションを盛り込むのが彼の(一時の活動休止前までの)特徴ですが、こうした細やかな観察眼が、人気を博した秘訣なのかもしれません。「恋をしている」のセリフのように、細かい仕草をするほうも見ているほうも、しっかりと血の通った人物として印象付けられるのですね。
 で、楽しげな雰囲気の中でも『2人がいつまでも/幸せでいるために』あれこれ想いを巡らすなど、真剣に恋愛を考えている部分も入っています。これがさりげなく、ポップな楽曲とラブストーリーに深みを与えているのですね。

 にしても。『忙しい2人の冬休み』が、『両手で少し余るくらいしか/ないけど』なのって、当時はごく普通に受け入れられていたのでしょうか。冬休みが10日以上あったら充分じゃないか!と現代を生きる自分は感じているんですが。これも、時代の流れなんでしょうか…
 あーでも、ビール飲んで旅行行って…だから、同棲している社会人なのかなーと思いこんでいましたが。『去年のクリスマスは/ケーキを売ってたけど』とバイトしているから、大学生カップルって設定なのかな。だとしたら、そんなに違和感はないですかね。うん。


posted by はじ at 23:06| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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