2008年01月21日

ゴスペラーズ「It Still Matters〜愛は眠らない/言葉にすれば」

It Still Matters~愛は眠らない
ゴスペラーズ ゴスペラーズ with Howie D. 堀向彦輝 K-Muto(SOYSOUL) Howard Dorough 安岡優 Genzo Cheryl Yie
キューンレコード (2007/10/17)
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<途切れない流れに途切れない愛を乗せて/旋律のうねりに言葉の力を乗せて>

 前作「Platinum Kiss/陽のあたる坂道」に続く、両A面シングル。
 どちらも制作体制が豪華でして、「It Still Matters」はバックストリートボーイズのハウィー・Dとの共同制作、「言葉にすれば」は、日本の二大学生合唱コンクールのひとつ「NHK全国学校音楽コンクール」の2007年度の高校課題曲として共同制作に携わったものだそうです。

 「It Still Matters〜愛は眠らない」は、コーラスが心地よいゴスペラーズらしいナンバー。洋楽っぽいなーと感じるのは、音がするすると流れていくせいでしょうか。J-POPでも、こういうスタイルはR&Bの隆盛以降珍しくはなくなったのですが。
 コーラスグループである彼らにとっての真骨頂というと、やっぱりアカペラでしょう。しかし音楽が入ったらそれよりも価値が低くなるかというと、そうではなく。今回のような、切れ目なく続くタイプの曲調は、歌だけでは補えない連続性をきっちりと生み出しているなあと感じます。
 もちろん、コーラスワークもそこに多大な効果をもたらしています。重なり合い途切れずに繋がっていく各パートは、緩やかながらもひとつの確かな流れを楽曲に与えているように感じます。

 歌詞のテーマになっているのは、タイトルにも据えられた「愛は眠らない」、一度は離れた相手に再び優しく愛を呼びかけていくメッセージになっています。『二人の恋は 迷路のようさ/答えなんてない 「さよなら」はまだ早い』と、「迷路」をプラスのイメージに転じさせようとするレトリックが、なかなか思いつかない面白い着想だなあと。
 『傷つけあい 離れていても/心でずっと 扉が待ってるよ』というフレーズや、サビの交互に続いていく波のような構成などは、穏やかで優しくありながらも、二人の関係を「もう途切れさせない」という意志をも感じさせています。 さて「言葉にすれば」は、前述の通り合唱課題曲ではあるものの、かなりポップな作品に仕上がっています。細やかなリズムが連続するメロディラインは、ポップスとしてはまったく違和感がないものの、合唱曲でやるにはなかなかリズム感がないと大変そうだなあという印象。
 でも、この動きのあるメロディラインが、楽曲全体の生き生きとした躍動感に繋がっているんだろうなあとも。繰り返し前に食いついていくリズムは、上手に歌わないとただつんのめってしまうようになってしまいますが、きっちりと歌いこなしていけば、確かな前進を感じさせる力強い響きになるわけで。そして、何度も同じパターンを続けていくうちに、うねりながらの盛り上がりを生む効果を発揮していますね。

 『震える声で旅立ちの名を呼べば/孤独の部屋をあなたは出てゆく』
 『誰もみな地図なき旅に/手にした言葉集め飛び立つのさ』
 「言葉」をきっかけにして、新しい場所へと進んでいく。合唱というテーマに「言葉」や「歌」そのものの素晴らしさを歌うというのはひとつの黄金パターンではあります。で、この曲は、『言葉にすれば僕達がめぐり逢い』というように、言葉を発することで「繋がり」と「広がり」が生まれていくんだ、ということを強く投げかけてくるのですね。うねりのあるメロディラインも、その広がっていく力の強さに説得力を持たせています。


posted by はじ at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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