2008年01月13日

関ジャニ∞「イッツ マイ ソウル」

イッツ マイ ソウル
イッツ マイ ソウル
posted with amazlet on 08.01.13
関ジャニ∞(エイト) CHOKKAKU 長岡成貢 ha-j 上中丈弥 依田和夫 Madoka
インペリアルレコード (2007/10/17)
売り上げランキング: 10165


<ユーモア溢れる言葉が、ポップソングの中に奥行きを生む>

 『スーパーの袋しまっとくよーなとこ/そーゆーとこツボなのさ』と惚れた相手に、一途な気持ちで接していく姿をユーモラスに描いている一曲。冷たくされてもメゲないし、『しょげたりしないーい』と明るく言ってのける主人公。砕けた口調がいい味出していますが、こういうキャラクターは関ジャニ∞らしいなーと。
 『まっ今もそれほど可愛いってわけじゃない』とまで言っちゃうのは、たぶん歌う人が人だったらアウト!になってしまいそうな危ないラインですが、彼らならヒョーキンな物言いで何とかなってしまうわけです。

 従来の「大阪」を大々的にフィーチャーした一連の作品群から、最近は地方色が削ぎ落とされてきた模様。今回なんて、曲調としては遊び心はふんだんに見せてくれますが、わりと他のジャニーズポップスに近づいてきている感じ。
 とは言っても、没個性化が進んでいるかといえば、決してそうではないです。「関風ファイティング」そして「ズッコケ男道」とシングルを重ねていく中で、コミカルさやユーモアはそのままに、ポジティブで明るいキャラクターを前面に出したポップソングへとシフトしてきつつあるようです。
 そういう意味ではやはりノリは関西ですし、曲調はともかく、こういうキャラの視点や口調で歌えるというのは、間違いなくはっきりと彼らの個性と言っていいでしょう。

 KAT-TUNがクール&シリアス路線で活動しているのに対し、関ジャニ∞はちょうど正反対、ポップ&コミカル路線を進んでいるという印象があります。ジャニーズ事務所は今はっきりと多層化戦略を展開していますが、その観点からしてもKAT-TUNと両翼をはる重要なポジションだよなあと。

 さてこの曲、ただユーモラスで底抜けに明るい真っ直ぐな歌だ、で終わってしまうことはありません。細かく見ていくと、けっこう面白いのです。 「君」に振り回される「俺」が『君のために生きようか/惚れたもんだから仕方ない』と歌うのは、飾りのない直球の告白です。である一方、しかし、それは「俺」の一方的な気持ちだったりします。この主人公はすっかり「君」に振り回されっぱなしですし、あまつさえ『例え俺が二番手でも』と、(少なくとも現状では)届かぬ想いだということも示されています。

 それでも曲は少しも暗いところはなく、主人公本人も翳りなく明るさを振りまいています。ここには、<1:だからこそ惚れた弱みの哀しさが漂ってくる>という見方もできますし、<2:このまっさらな明るさがあれば、きっとそのうち「君」も振り向くかもしれない>という希望を見出すこともできそうです。もちろんこの辺りに想いを馳せることなく単純明快なポップソングとして聴くのも含め、3通りの聴き方ができるわけです。
 このバランスの持たせ方がさりげなく巧い。『君のために生きようか』と、ドキッとする殺し文句でもあり「たとえ君が振り向かなくても」という感情をその裏に想像の余地を与える書き方と合わせ、実に奥行きのある世界がさらっと含ませてあるのですね。

 さらに言うと、ヘンなツボにはまって惚れてしまう主人公を描くことは、ユーモアを醸し出すだけではなくすべての女の子への「救い」にもなります。ぶっちゃけて言えば『内輪では最下位だった君』のような、あんまり人気のない女の子にとって。
 第一印象も特にグッとこない、気も利かない、でも『魚の食べ方がキレイ』なところにヤラれてしまう「俺」。個人的にもけっこう共感できるポイントですし、「食べ方が汚い人はダメ」という人は男女問わずなかなかよく聞く意見です。

 異性の魅力の二大基準は、<容姿>と<性格>と言ってしまっていいでしょう。少なくとも、そうだと思っている人が圧倒的大多数であるはず。
 なのに、この曲に登場する「君」は、『内輪では最下位だった君』『優しさって言う 感情も薄くない?』と、両方とも満たしてはいないようです。でも、そんな「君」の細かい仕草や行動を目にしてすっかり入れ込んでしまう主人公。そんな恋物語を描くことは、自分に自信がない女の子にとって、きっと希望になるだろうなーと思うのです。

 この曲を聴いて、スーパーの袋をきちんとしまうようにしたり、魚の食べ方や裁縫を練習し始めた女の子は絶対にいるはず。そこまで行かなくとも、容姿をぱっと変えるのは無理だけど、自分の隠れたいいところを作ったり伸ばしたりしよう、と前向きになれた人は多いんじゃないかなと。
 この点、たくさんの人を明るい気持ちにさせる、ポップソングってこうでなくちゃ!と思わせられた、非常に好印象な部分でした。


posted by はじ at 21:58| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
昨年、ある雑誌の記事では、「1980年代に少年隊や光GENJIの人気が絶頂だった頃は、ジャニーズ系のタレントの顔立ちはどれも端正な2枚目だから顔の区別がつきにくいと言う人もいたけど、今のジャニーズは三枚目に近いタレントが多くなってきており、関ジャニ∞はグループ全体が三枚目のノリだ」という趣旨の事が書かれていましたね。
Posted by 金魚花火 at 2008年02月02日 15:05
アイドルというか、「理想の男性像」の指針に「面白い人」「一緒にいて楽しい人」が加わってきたのが90年代なのかなーと。音楽番組がバラエティ化し、SMAPがコントを始め…言い換えれば、テレビの中のアイドルにも「人間味」が求められるようになってきた流れがあって、その中で三枚目キャラもアピールされるようになってきたんじゃないかなと。
Posted by はじ(管理人) at 2008年02月04日 00:15
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。