2008年01月08日

DREAMS COME TRUE「ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜わたしたちの未来予想図〜」

ア・イ・シ・テ・ルのサイン ~わたしたちの未来予想図~
DREAMS COME TRUE 中村正人 吉田美和
UNIVERSAL J(P)(M) (2007/10/03)
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<積み上がった確かな時間が、思い描いた幸せを未来から今に落とし込んでいく>

 DREAMS COME TRUEが過去に発表していた人気曲「未来予想図」「未来予想図U」の、今現在を思い描いて作られたという今作。奇をてらうことのない、まっすぐなバラードになっています。

 このシリーズ、特に「U」に関しては有名で、シングルA面では発表されていない(アルバム「LOVE GOES ON…」収録、「笑顔の行方」のカップリング)にもかかわらず、おそらく耳にしたことがある人は多いことでしょう。「ア・イ・シ・テ・ルのサイン」は、『ヘルメット5回ぶつければ』ではなく『ブレーキランプ5回点滅』で覚えている人のほうがずっと多いはず。
 実際、曲ができたのは番号順ではあれど、発表されたのは「U」が先だったりしますし。
 で、この「未来予想図」「未来予想図U」を元にした映画が製作されるにあたり、15年以上の時間を超えた続編という位置づけで、主題歌として作られたわけです。

 二人の幸せな未来を思い描く「未来予想図」。そして、歌詞中で特に印象深い「ア・イ・シ・テ・ルのサイン」の移り変わり。3作品の間には、このふたつを軸として、確かに進んでいく時間の流れを感じさせてきています。

 そして「未来予想図」に関しては、1作目ではただ未来のなんとなくの夢想、というものでした。ひと夏を楽しく過ごし、これからも一緒にいたい!自分自身の未来に、「あなた」もいてほしい…というものでした。
 2作目では、時間は流れて『卒業してから もう3度目の春』。それでも二人は、相変わらず幸せな時間を過ごしています。そして過去を振り返りつつも、『ずっと心に描く 未来予想図は/ほら 思ったとうりに かなえられてく』とこぼすわけですね。ここには、1作目にはなかった重みがあります。二人の時間の積み重ねは、思い描く未来がかなっていくという表現で、確かな幸せとして感じられているわけです。
 そして今回。『わたしたちの未来予想図は まだどこかへたどりつく途中』。かなえられていた未来予想図は、まだ完成していない。しかし、それは、決して悪いことではありません。というか、完成するものではないんだ!と主張されています。
 二人で日々を過ごしていくことの幸せ。それが「U」では、予想図がかなっていくという形で実感されていました。しかし、その幸せな毎日をさらにずっと積み重ねていくうちに、先の未来を見るよりも『あなたとの“今日”に 感謝している』、『一緒にいるこんな毎日が 積み重なって描かれるの』というように、今このときを大事にしたい!と、そんな想いが強く描かれているのです。 サインに関しては、1作目ではヘルメット、2作目ではブレーキランプがそれぞれ使われていましたが、今回はこのふたつも例に出しつつ、『花火振り回しながら ハートを5つ書いたり』と新しい例も出しつつ、さらにそれらだけにはとどまりません。「…たり」の言葉の先には、まだ他にも二人の間のサインがあるようにも感じ取れます。
 最後には『新しいサインが 増える時にも』と締められているように、これからも二人が一緒にいる限りサインは増えていくのでしょう。そして、本当に重要なのはサインの数ではなく、自分の気持ちをしっかりと相手へと伝え合うことだ、とも歌っています。いろんなサインはあくまでも、その確認の手段に過ぎないわけで。

 これまでの2作では、共通のサインを持っていること自体が、嬉しさ、そして特別さを実感させるものでした。しかし、そんなサインをあれこれ積み重ねた「今現在」の二人にとっては、サインを作ることは重要ではないのです。『ちゃんとあなたに 伝わってるかな?』という問いかけが示すように、気持ちをいつも伝えていたい。そして、いつも互いに通じ合っていられることこそが、ずっと思い描いていた「未来予想図」を描くということなんだ…としているのですね。

 今、このときをしっかり生きることが幸せなんだ。と、結論だけ取り出してしまうと、それほど目新しいものではありません。しかし、長い時間を経て、こうして3作に渡って物語を練り上げたからこそ、そこには何ともいえない重みと説得力と感動が沸いてきます。
 『ねぇ あなたとだから ここまで来れたの』という述懐が示すように、長い時間をともに歩んできた二人だからこそ、たどり着いた想い。そう考えると、実に味わい深いと思いませんか?


posted by はじ at 01:13| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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