SOPHIA 松岡充
EMIミュージック・ジャパン (2007/09/12)
売り上げランキング: 72945
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<思い入れのあるカバーで、もっとも深い「愛」の形を描き出す>
フランスを代表する歌手エディット・ピアフの代表曲「愛の賛歌」のカバー。エディット・ピアフの生涯を描いた映画「エディット・ピアフ〜愛の讃歌」がこの秋に公開ということで、リリースはそれに合わせているのかもしれません。
この曲は、日本でも越路吹雪や美輪明宏などが歌っていたりと、古くから慕われてきた歴史があります。メロディラインだけなら、聞き覚えがあるという人も多いのではないでしょうか。
そんなふうに、すでに評価の固まっている楽曲に対し、SOPHIA松岡充が自ら新しく歌詞を乗せ歌っています。かなり大胆なカバーですが、SOPHIAはもともとライブのオープニングにこの曲を使用したり、2005年にシングル「one summer day」のc/wとしてカバーするなど、相当な思い入れがある様子。歌詞にしても、精力を注いで綴り上げた!というか、真正面から名曲に立ち向かおうとしたんだな、という印象を受けます。
『私はかけている 心にひびがある/生まれおちた道で 破片を探す』
心が欠けている、これはその後を読んでいくと、「私」だけではなくすべての人がそうだ、と言っているようにとることができます。
その欠けている部分を埋めるための破片とは、愛する「あなた」。つまり他の「誰か」の存在なんだ…という、ここが曲でもっとも中心となるテーマです。
誰もがみんな、自分自身の足りないところを愛する相手で埋めてこそ完全な人になることができる。と、これだけでも深い「愛」を描いていると言えそうです。ただ、この詞では、その主題の提示の仕方がさらにもう一段階の深さを持っているように感じました。
詞を追っていくと、こんなことに気がつきます。「私はかけている」と始まり、誰もが破片を探し求めていると描いていきながら、最終的には『私はあなたの 最後の破片』と、自分ではなく「あなた」の視点で伝えてくるのですね。自分のひびを「あなた」に埋めてほしい!と求めるのではなく、「あなた」のために自分自身を「与える」呼びかけ方になっているわけです。
『かけた心を何で埋めるの? 奪い合う街』というフレーズからも何となく漂ってくるように、求める/奪うのではなく、与えることを優先するべきなんだ、と訴えたいのでしょう。
全体を通して、「愛」とは何か?を描こうとしたんだろうなあ、という感触が伝わってくる歌です。好きな「青空」というモチーフを入れていることからも、松岡充自身の渾身を叩き込もうとしたんじゃないでしょうか。
そして、「愛」とはこういうことだ!と選んだ答えとは、まず「誰もが誰かの一部で、足りない部分を愛する相手で埋めるんだ」ということ。そして、それは求めるのではなく与えるべきものなんだ…そんな愛の形を理想としているんだろうなあと。
また、この曲のシンプルかつ味わい深いメロディラインは、キーボードが生きやすいし歌詞や声にも適しているように感じます。なので、SOPHIAというバンドととても相性がいいなあとも思わされました。
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いつも拝見させていただいていました
SOPHIAというと
正直色あせたイメージが強かったのですが
このブログにある数々のSOPHIAレビューを読んで以来
SOPHIAが好きになり
今ではなんとライブにも行っています
おかげで楽曲を聴くとき歌詞の捉え方も180度変わり
人生観も変わってきたように思います
批判的な考察ブログが多い中
基本、褒めるというスタンスってすばらしいと思います
これからもレビュー楽しみにしています。
はじめまして。
おお、なんだかすごく気恥ずかしくも嬉しいです。
SOPHIAは昔から好きでしたが、そこまでハマるということはなかったんですよ。でも、「青い季節」を聴いたときに、気持ちが再燃しまして。改めて彼らの細部を見直してみると、それ以前も以降もいいなーってますます好きになったんですよね。
気に入らない点をビシバシ批判するのもそれはそれでいいんですけど、でも、もしかしたら後でその歌い手が「青い季節」のような自分好みの楽曲を作るかもしれないわけじゃないですか。
そう考えると、ヘタなことは書けないですし、期待して待っていたいなあと思うのです。
ではでは、嬉しいご報告ありがとうございましたー。
またこれからもがんばって更新していきますので、見守っていてくださいませ。