2007年12月10日

フジファブリック「パッション・フルーツ」

パッション・フルーツ
フジファブリック 城戸紘志 河合マイケル 志村正彦
EMIミュージック・ジャパン (2007/09/05)
売り上げランキング: 275978


<官能の枠からはみ出す異質さが生む中毒性>

 このひとつ前のシングル「Surfer King」はアッパーなロック&ホーンに乗せた破天荒な歌詞に度肝を抜かれる思いでしたが、この「パッション・フルーツ」も相当なイカレ具合(ホメ言葉)です。
 もともと情緒的なサウンド作りが巧く、デビュー後しばらくのシングルはそういう方向性だったのですが、2ndアルバム以降、とにかく前衛的かつ攻撃的かつ先鋭的な方向に触れているなあという印象。

 ベースはディスコサウンド。ディスコの時点でロックバンドにしては特殊ですが、これがけっこう相性がいいのです。過去にも「ダンス2000」という怪曲を披露していますし。そちらはちょっとファンクっぽさもありましたが、今回はエレクトロニカルな音色が耳に残ります。非常にレトロな雰囲気。
 彼らの生み出す音は、メロディラインにしろギターやキーボードのフレーズにしろ、どこか独特の味を持っています。ソリッドな洋楽の匂いではなく、どこか懐かしい歌謡曲に繋がるような味。それが情緒的な楽曲では匂いたつ哀愁や郷愁になり、こうした楽曲では何とも言えない奇妙さ、クセになりそうな幻惑的なサウンドになっているっぽいです。

 『夢の中で あやかしパッション』なんていうフレーズがサビのど頭に来つつ、詞に描かれているのは男女間の駆け引き。『化けの皮をはがしてやる』と、お互いに相手を伺い絡めとろうとする、めくるめく官能的なシチュエーションだったりします。
 しかしどこかレトロなサウンドの中や、独特の言葉選びは、単純な官能性には留まりません。ディスコサウンドに乗るメロディラインはシンプルで、かつ言葉の乗せ方がリズミカル。微妙に韻も踏みつつ、『ファンファーレ』『バンパイア』などのカタカナ英語が実にぴったりはまっているので、頭に残ります。『だからダメだったら 駄目だったら だめ』も、うっかりすると口ずさんでしまうくらいの勢いだったり。
 不思議なサウンドもあり、言葉遊び的な要素もありで、総じてエロティックというよりはサイケデリックでコミカルでアブノーマル、という感じ。総じて、彼らの楽曲センスの変態性(ホメ言葉です)が堪能できる内容です。『メガネはどうか そのままで』なんてフェティシズムっぽいフレーズがありますが、確かに「あやかしパッション」としか捉えようのない楽曲の中では、むしろこれが健全なふうに感じられるくらいです。

 とにかく異質なサウンドと歌詞世界。大きな特徴はないのに不思議とインパクトのある声も手伝って、聴いているとしらないうちに頭から離れなくなり、好き嫌いに関わらず中毒を起こす危険があります。気をつけましょう。


posted by はじ at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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