會田茂一 根岸孝旨 木村カエラ
Columbia Music Entertainment,inc.( C)(M) (2007/07/18)
売り上げランキング: 31005
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<憧れに掲げた人物が、自己嫌悪の暗さを払拭する>
BEAT CRUSADERS提供だった前作「Snowdome」はぐっとメロウでとっつきやすい一曲でしたが、ここでまたロック感溢れるナンバーをリリース。
余計な音のないバンドサウンド、ぐっと密度が高まる変拍子の混ざり込み部分、ハイトーンに飛ばず低い重心の低いサビ。これだけ並ぶと実にとっつきにくそうな玄人志向の楽曲っぽいんですが、でも聴いてみると案外聴きやすかったりします。本人の声質もあるのでしょうし、「You」や「TREE CLIMBERS」などを思い出すエッジの利いたガリガリした響きは、けっこう耳に心地よく響いてきます。
『あーこんな自分は/あーダメダメなんだ』と、自己嫌悪に陥っているわけではあるものの、「あー」とかコミカルな表現をしているため、あんまり暗さは感じません。ひらがなも意図的に多かったりしますし、深刻さよりは穏やかさを感じます。
それは、『どんな時も たのしむため』という考え方に拠るものでしょう。さまざまに起こるマイナスの要因も、「たのしむ」こと。こうしたスタンスが、いつだって辛いんだ!と宣言しながら『毎日はきっとすばらしい』と言ってのけるような芯の強さに繋がってきています。
「あーサマンサのような/大きな人になりたいな」と持ち出されるこのサマンサとは、海外の有名ドラマ「奥様は魔女」の主人公からだとか。どういうところが憧れなのか?については、『私よりも大切な人を/いちずに思い 守れる事』あたりでしょうか。「奥様は魔女」のサマンサは、夫のために魔法を使わない生活を選び、夫に寄り添おうとしたわけなので、確かに「いちず」ですよね。
また、コメディドラマらしいサマンサや物語の明るい雰囲気も、織り込まれているように感じます。それが、『あーこんな自分は/さよならで バイバイ』というような、深刻すぎない自己嫌悪と身軽さに通じているのかなあと。これは、実に彼女自身に沿ったスタンスでもありますね。 ところで、この曲のカップリング「Honey B 〜みつばちダンス」が素晴らしすぎてはまりました。子供向けっぽい、NHK教育チャンネルの番組でかかっているような脳天気な曲なんですけど、これが実に彼女にハマっているんですよね。
『おひさまニコニコ』みたいないかにも子供向けっぽい部分と、『いつも君を見てるよ』くらいの適度なメッセージ感が、すごく自然なんですよね。こういう「一風変わった」楽曲を作るのも、わざとらしくなく、等身大に感じるんです。キュート、というとちょっと恥ずかしいですが、まさにそんな感じ。
曲自体もポップなロックで、耳馴染みがいいです。ちょっとポップ過ぎるから、あえて子供向けみたいな見せ方にしたのかなーという気もします。
そして、ミツバチのコスプレ、じゃなかった着ぐるみで踊りまくっているPVがやたらカワイイので、ぜひご覧あれ。