2007年09月28日

過去ログ発掘のコーナー その24。

 メールマガジン「現代ポップス雑考。」のおまけコンテンツ「今日の一曲」。
 毎回そのときの気分で一曲選んで紹介するこのコーナーのバックナンバーから、新しいレビュー更新が滞ったとき、ちょこっとずつ抜き出して紹介していきます。メルマガを読んでいない人にはちょっとした暇つぶしに、読んだことのある人にも何か新たな発見があれば幸いです。



≪現代ポップス雑考。≫ Vol.008 2005/07/31
#Dir en Grey「JEALOUS」

 『毒の花のように咲いてみせるわ/そして返り咲く花となる』


 Dir en Greyというバンドとは、あまり接点はありません。どうもDirというと極端な倒錯と激しいサウンドというイメージがあって、その狂気の美学とも言うべき世界観には当初から興味はあるものの、そうした傾向が自分とはあんまり合わない気がして、近づきがたかったということもあります。どちらかというとMALICE MIZER派だったこともあるのかも…

 ただ、1998年、まだインディーズ活動の時代にシングルとしてリリースされたこの曲は、けっこう好きだったんですよね。内容は「嫉妬」という題どおりなかなかに毒々しいですし、バンドもかなり激しい演奏をしているんですが、メロディラインは実に綺麗で聴きやすいんです。特にサビは広がりもあって、ポップですらあります。

 そういえばこの後の「-I'll-」なんかも、サビは耳馴染みがよかった覚えが。昔のほうがポップで、近年はむしろコアにコアにと傾いてきているような気もします。珍しいタイプですね。

 嫉妬で自らの心を傷つけ『もう昔のように笑えなくなった』「私」がその果てに目指すものは、「毒の花」のように咲き誇ること。歪み続けながらも忘れることはできない、ならばいっそ、とその嫉妬心を表に出そうとする。
 この決意は明らかに倒錯していて、そのせいもありどこかぞっとするような怖さを孕みながらも、何か妖しい美しさも感じさせるものです。

 「私」は、それが「毒」とわかっていながらも、自らの嫉妬心を肯定してしまおうとしています。負の感情を抑えつけることなく開放し、それを美しく描き出してみせる。それこそがリスナーの共感を呼ぶのでしょう。

 この曲では女性主人公を設定し、負の感情の肯定を「咲く」という言葉で美しく飾っています。ただ、自分の感情にどうしようもなく身を任せているようで、それを自覚し利用してしまおうとするというこの一連の流れは、非常に客観的です。これはむしろ異性、つまり男性であるボーカルの京が実際には書いているからこそ可能だったのかなあ、とも思うのです。


JEALOUS
JEALOUS
posted with amazlet on 07.09.28
Dir en grey
インディペンデントレーベル (1998/05/10)
売り上げランキング: 4951




 Dirは、あと「Cage」「【KR】cube」あたりが好きかなー。最近のシングルの傾向は、あんまり惹かれないかも…凄いとは思うんですけどね。


posted by はじ at 22:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 過去ログ発掘。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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