2007年09月22日

あみん「待つわ'07」

ひまわり/待つわ’07
ひまわり/待つわ’07
posted with amazlet on 07.09.22
あみん
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<「懐メロ」の代表格と、今この時代の共通項>

 今回はちょっと変化球で。
 代表曲である「待つわ」が大ヒットしたのは、実に1982年。あれから25年、伝説の女性デュオが活動を再開しました。
 といっても、片方の岡村孝子はずっとソロでシンガーソングライターとして活動し、少なからぬ地位を築いていたりはするわけですけれど。最近では映画「逆境ナイン」の主題歌として、「夢をあきらめないで」をリマスタリングしたりしていました。

 アリスとかサディスティック・ミカ・バンドとか、最近は長年のブランクを経て活動再開したり再結成したりする往年の名グループがいくつか現れています。
 数年前の懐メロカバー曲の隆盛もそうですが、CDの登場から1990年代ずっと「若者」のための市場であったJ-POP界隈は、セールスが伸び悩み始めた2000年くらいから、世代をもっと広げるべく少しずつ膨んでいこうとしている感があります。実際、これからは特にそれが重要になるだろうとは思っていますが。

 とりあえず、あみんについては、25周年という区切りであることあたりが再開の理由なのでしょうけれど…考えてみると、今回セルフカバーした「待つわ」って、案外この今の時代に合っているような気もするんですよね。

 『私待つわ いつまでも待つわ/たとえあなたが ふり向いてくれなくても』という一途な思い。当時から「暗い」と言われていたそうです…が、でも、そこまで突き抜けた暗さじゃないですよね?
 確かにマイナー調だし、真摯な感情がこもっていて、あっけらかんとしてはいません。でも、ハーモニーはキレイだし、『青く広いこの空 誰のものでもないわ』なんて強さをかんじる言葉もある。弾みのあるリズムなのもポイントで、もしメロディラインが弾まずベタだったら、それこそ本当に暗いだけの曲になってしまっていたかもしれません。
 思うに、決して暗いだけの内容じゃないからこそ、ヒットしたんだろうなあと。曲調の弾みや歯切れのよさ、そして透き通るハモリがマイナー調を押さえたのも大きいですし、また言葉もきっとそう。「待つ」一辺倒なのは、受動的なようでいて、『いつもあなたの前では/おどけてみせる道化者/涙なんていらない』とまで徹しきるのは相当な精神力が要るでしょう。「あなた」の恋が叶わないのを待ち続ける…というのも同様です。内に秘めた精神的な強さ、それが感じられるという点が、ヒットの理由としては外せない面だと思うのです。

 当時は生まれた頃なので、もちろんそんなよく知っているはずもなく、たぶんに憶測になってくるのですが…なんというか、当時は現役女子大生デュオ!という肩書きだったわけで、そうするといわゆるユーミンとか中島みゆきとかのシンガーソングライターよりは、アイドル寄りに受け取られていたでしょうし。
 そんな立場でこの手の歌を歌うという点で「暗い」と思われてしまいやすかったのかなーと。振り付けも薄いし、色恋沙汰での悩みには違いないのですが、「生き方」に通じるシリアスな面もありますしね。


 で。
 この曲の持つ「一途さ」「芯の強さ」「シリアスさ」…こういった諸々の要素って、実は、今の時代のJ-POPにかなり近い部分があるのでは?と、ふと思ったのですね。 『生きるのがつらかった』とこぼすフレーズは、当時としてはなかなかショッキングだったでしょう。この時はすでに中島みゆきがアルバム「生きていてもいいですか」の中で「うらみ・ます」を歌っていた(1980年)後ですが、先述のとおりアイドル的な扱いもあったという予測がありますし。

 ただ、現代のラブソングにも、「過去の傷跡」は多く出てきます。また何度か当ブログで述べているように、最近の詞の傾向は、ただ恋愛模様を歌うだけでなくそこに「生き方」を見出し、成長していこうとするものが多いように感じています。シリアスに自分自身を突き詰め、進んでいこうとするマジメさ、芯の強さを持っている主人公が好まれているなあと。
 また同様のマジメさゆえか、ひと夏の恋とか遊びの恋愛のような描き方もめっきり減りました。どこまでも一緒に進んでいきたいと願ったり、離れてしまった後も想い続け、それを肯定的に描いたり(「思い出を強さに変えて」とか「いつかまた会いたい」とかですね)…そんな傾向があるように感じるのですね。

 90年代だと無理だったでしょうが、今であれば、「弱冠20歳の女性ユニット」が『生きるのがつらかった』と歌っていても、それほど違和感はないんじゃないでしょうか。言葉遣いはさすがにちょっと古めかしいですが、それを現代風に変えてみると、すごく現代的なラブソングが出来上がる気がします。
“あたしの内側なんて 誰もわかるはずなどない
 でも あなたにだけは 伝わってほしかったの”
“あたし ずっと待ってるよ I'm just wating for you”
 …あんまりやるといろいろ怖いので程々にしておきますけど、こういうふうにするとYUIや絢香あたりが歌っていても違和感なさそうな気が。
 ついでに、スイングの弾むリズムを取って、テンポはそのままで8ビートにしてロックなギターを合わせると、立派な現代J-POPに仕上げられそう。原曲の雰囲気まったく無視ですけど。


 そういうわけで、さすがに現在との共通する面を狙って出したわけではまさかないでしょうけれど、J-POPの近年の潮流を浮かび上がらせるには、一風変わっていながらもちょうどよい題材でした。


posted by はじ at 08:38| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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