2007年09月18日

YUI「My Generation」

My Generation/Understand
My Generation/Understand
posted with amazlet on 07.09.17
YUI northa+
ソニーミュージックエンタテインメント (2007/06/13)
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<自由のために振り切るのは、他人からの束縛ではなく自らの弱さ>

 ドラマ「生徒諸君!」主題歌のこの楽曲は、高校を舞台にしたドラマのストーリーに沿い、YUI自身が高校を中退したときのことを振り返って作ったのだそうです。『制服 脱ぎ捨てた 16のアタシに/負けたくはないから』というフレーズに表れているように、当時の自分の決意を思い返し、今もその気持ちを胸に進んでいこうとする内容になっています。

 16歳の「あたし」は、『邪魔なんてされたくない』と思い、『うしろ指 さされたって/振り向いたりしなかった』。他人にどう思われようとも、自分を貫き通す、自由に生きていきたいと願い、行動していった、その様が描かれています。
 ただ、思い切った行動を選び取ってはいたものの、その当時は見えなかったこと、わからなかったこともいろいろあったようで。今現在、改めて振り返る視点からは、「こうだったんだ」という新しい考え方がところどころに出てきています。当時は『言葉に出来ないだけなのに』とあるように、自分の苦しみやもがきを今よりも把握できてはいなかった。他人とは違う一歩を踏み出しながらも、『描いた夢を信じきれない弱さにただ支配されてた』とも思い返しているのですね。

 戸惑いつつのスタートだったにせよ、「今」の自分からは、後悔の気配はありません。弱くて信じきれなかった「夢」は『強く信じきれたときから変わる』と、強く言い放っています。
 選んだ道は間違っていなかった、直接そう言ってはいません。ただ、まだ道半ばではあるものの、少なくとも現時点ではそう思っていることが、なんとなくわかる内容になっているのですね。在りし日のまだまだ未熟だった自分への懐かしさと愛しさ、その中で前へと進んだ強さ、そしてその決断が実を結んでいること、そしてこれからもさらに進んでいく意志が、それぞれに別の感動を呼び起こす構造になっているなあと。


 さて、ここからは楽曲単体ではなく比較する形で見ていくことにしましょう。『窓ガラス 割るような/気持ちとはちょっと 違ってたんだ』
 さて、このフレーズを読んで、ピンとくる人も多いんじゃないかなと。そうです、あれです。『行儀よくまじめなんて 出来やしなかった/夜の校舎 窓ガラス壊してまわった』…尾崎豊の「卒業」ですね。
 もうすでにいろんなところで出ている考察かとは思いますが、意識してこの楽曲を作ったんじゃないかなあと思えますし、比較するには非常によい題材なので、触れておきたいなあと。

 どちらの楽曲も、10代の誰もが通る場所である「学校」という場を抜け出したいという感情が込められた歌です。そこにあるのは、これもやはり「自由」を渇望する気持ちなのは間違いのないところ。
 ただし、この「自由」という概念の位置づけは、まったく違っています。

『逆らい続け あがき続けた 早く自由になりたかった』(尾崎豊「卒業」)
『わかっているの 覚悟があれば/いつだって自由よ』(YUI「My Generation」)

 尾崎豊は、先生をはじめとする「大人」を否定し、反抗しました。それが「自由」を求める自分がとった行動でした。一方、YUIには、反抗する対象の姿は見えません。窓ガラスなんて割る必要はない、『はじめから自由よ』。『描いた夢を信じきれない弱さにただ支配されてた』とあるように、彼女にとって「自由」を阻害するものとは、他の誰でもない自分自身なのです。自分自身を肯定することができれば、何も行く手を阻むものなどないとでも言うかのように。

 尾崎豊「卒業」がリリースされたのは、今から実に22年前、1985年のことです。この歳月の間に、10代の若者の「自由」に対する意識の変化、あるいは取り巻く環境の変化が、ここからは読み取れるような気がします。もちろんこれだけで判断するのもなんですが。ただ、「大人」と「子ども」という線引きが曖昧になってきている、周囲を気にするのではなく、「自分らしさ」、自己表現をより重視する風潮は、など、頷ける点は多いんじゃないかと感じるのです。

 この「My Generation」は卒業を歌った楽曲ではないですし、「卒業」へのアンサーソングとは言いがたいところです。少なくとも、加藤ミリヤ「ソツギョウ」よりも。ただ、先述のフレーズや『ひび割れた校舎の壁にもたれて』なんて情景描写あたりも、意識して書いているという感があります。はっきりと正面から返答するという形ではなくて、当時自分が抱いた感情を表現するために、ちょっと借用した…というところなのかなあと。
 実際、自分の意志で行動を取り、それを自分で振り返り肯定するという、「自由」のためひたすら自らを突き詰めていくこの楽曲は、「自由」を描くために明確な反抗対象=「大人」を設定することが不可欠だった「卒業」と対照を成し、わかりやすく表現できていると思います。


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