2007年09月05日

BONNIE PINK「Water Me」

Water Me
Water Me
posted with amazlet on 07.09.05
BONNIE PINK 奥野真哉 Burning Chicken LENNON JOHN WINSTON MCCARTNEY PAUL JAMES
ワーナーミュージック・ジャパン (2007/06/06)
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<強く気高い呼びかけを生み出す心象風景>

 昨年の「A Perfect Sky」スマッシュヒット以降、活動を活発化させている印象の彼女です。とはいっても、「Anything For You」にしろ今回にしろ、曲のキラキラ感は増したようにも思いますが、楽曲はそれ以前と変わらず、独特の世界を作っているように感じます。
 そもそも「A Perfect Sky」だって、ちょっとサビがキャッチーだったり使用CMが話題になったりしたというだけで、急激な方向転換だったというわけではないですし。本人としては、何も変わっているつもりもないのかもしれません。

 『乾いた砂漠に凛と立つ花は/枯らさないでと叫ぶの』
 砂漠に咲いた一輪の花。このイメージは、理想の生きざまを示す心象風景としてのものでしょう。
 「どんな時も負けないで、強く生きていこう」なんていう応援の言葉は歌詞のどこにも出てきません。せいぜい『諦め顔で泣いていた友よ 微笑んで』というくらい。しかしそれでも、強く、はっきりしたメッセージ性を感じさせられるのは、こうした心象風景の描写が巧みだからです。「あなた」に想いを伝えるための手紙を『何万通も書こう/ある事ない事書こう/月明かりでも書こう』と繰り返してみせるのも、『“Water,Water me!”』という叫びも、その背後にある「強い想い」を感じさせるための表現なのですね。

 面白いのは、こうした描写で表されるのが、単純な「強さ」ではないところです。自分を認めさせるためには『嘘つきになろう』とも言ってのけるように、「正しさ」で行動しているわけではなかったりしますし。
 何より、「Water me」=「水」が欲しい!ということは、誰かの協力を必要としている、自分以外のものを頼りにしているわけです。しかし、この「水」を求める様は、人頼みだからといって悪印象は受けないし『ずぶ濡れでいい』し『一滴だけでいい』しとなりふり構っていない願いのわりには、どこか気高ささえも漂っています。

 人の助力を当てにしても、なりふり構わず必死でも、それでも気高い。ただ「強く生きよう」とストレートに言うだけでは、こうした奥行きのある強さを描くことはできないでしょう。
 心象風景で表現する、イメージを膨らませた言葉を使うのは、こうした深みを作ることができるからなのですね。…という例として、ちょうどいい題材でした。


posted by はじ at 22:48| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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