2007年09月04日

湘南乃風「睡蓮花」

睡蓮花
睡蓮花
posted with amazlet on 07.09.04
湘南乃風 MINMI Yoshitaka“Gakkey”Ishigaki SONPUB
トイズファクトリー (2007/06/06)
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<詰め込みまくりの展開を生かす、楽曲のドラマティックなうねり>

 昨年の「純恋歌」のヒットから、だいぶスパンの空いた湘南乃風。お遊び系脳天気サマーチューンに見せかけて、やたらオリエンタルな歌い出し、そして緩急のある展開が続き、その中では相変わらず男臭いストーリーが繰り広げられたりしています。

 全長は7分以上。今までのシングルを見ても、彼らはやたら大作主義です(だからリリースペースが遅いのかも)。ただ長々とだらだら歌っているわけではなくて、かなり理知的に盛り上げ方を張り巡らせているあたり、MC業界においての「コブクロ」のような存在だなあと勝手に考えています。無骨さ、男臭さをぷんぷん漂わせているところなんかはもちろん全然違うので、イメージしにくいかもしれませんが。
 でも共通項はそこではないのです。「カラス」や「純恋歌」でも見せたような、ストーリー性のある歌詞世界。そしてそれだけでなく、その物語をドラマティックに盛り上げていく作り方。聴き手を感動させようとあれこれ考えを巡らせているなあ、と感じさせてくるという点において、コブクロと非常に近いなあと考えるのです。

 冒頭のやたらとオリエンタルな歌い上げに驚かされつつも、基本的にはハイテンションな「夏」に浮かれるサマーチューンが展開していきます。『めっちゃゴリゴリ』とか『「濡れたまんまでイッちゃって!!!」』なんて目立つ部分だけを抜き出すと、いかにも何も考えていない、この時期に毎年数曲出てくる楽曲群と何の違いもないように感じるところです。

 でも、途中にふっと暑苦しい音が抜けて『小せぇ声で「なんで俺だけ…」』なんていうつぶやきを混ぜ込んでくるのですね。まあ、これはこれで『泣き言なんて言えるか「馬鹿やろうが! 寂しくなんかねぇ!!」』みたいな暑苦しい叫びを導き出すのですけど…
 でも、ただ夏!遊びまくり!といった内容かと思わせておいて、一回さくっと落とす。そこで、「君」という存在をクローズアップして、『やっと出会えた』と口にするところまで持っていき、またサビにつなげ、テンションを元に戻す。そうすると、同じ熱気に包まれたサビでも、初めとは違った味わいが出てくるんですね。

 で、それだけなら、まだ一般のJ-POPでもよくあることです。2コーラスが過ぎた後のCメロ(大サビ)⇒サビのリフレイン、みたいな流れで作ることはできますから。
 この曲の場合はさらに、もう一回この「落としてから盛り上げる」動きがあるんですね。『夏の日差しが眩しすぎて』に始まる一節は「君」こそ出てこないものの、『睡蓮とともに…』とタイトルにもなっているモチーフを出してみたりして、ちょっと翳りを含みながら真摯なメッセージを発しています。
 加えて、先に言ったように冒頭はスロー&オリエンタルで、ラストはサビ以上に畳み掛けてくるコーダ部分まであったりして…その後のアウトロも長いときたもので。これでもかというくらいに盛りだくさんなのが、お分かりいただけるでしょうか。これだけ詰め込めば、そりゃ7分かかるってもんです。

 ハイテンション全開なテンションと真剣なメッセージのバランスとか、冒頭と「睡蓮」のモチーフがあんまり生きていないかもとか、あれこれ手を広げすぎて拙くなっているような気もするのですが…それでも、ドラマティックな展開を作り上げて聴き手を揺さぶりまくるという点に関しては、ものすごくこだわってやっているなあ、と感じます。


posted by はじ at 03:31| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(さ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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