2007年09月01日

aiko「シアワセ」

シアワセ
シアワセ
posted with amazlet on 07.09.01
aiko 島田昌典
ポニーキャニオン (2007/05/30)
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<「女の子らしいハッピーチューン」が万人に受け入れられるためには>

 『見上げたら喉が愛しかったので 甘いキャンディーの事も忘れて
 小さいあたしの唯一の特権 思わずキスをしたの』
 そんなわけでaikoらしさ全開の、ハッピーなラブソングです。

 このところ、女性ボーカリストでも一人称が「僕」になるような中性的で透明感が出るタイプの楽曲が目立っているように感じます。が、そんな中にあってaikoは、ひたすら女の子らしさを全面アピール。
 しかも、今回のような「シアワセ」に満ちたアップテンポナンバーで。どうも最近はハッピーな歌というのはバラードばかりで、アップテンポなものでは少なくなっているような気がするんですよねー。すぐ思いつくのはYUI「CHE.R.RY」くらいです。でもあれも正確には片想いかー。

 近年の傾向として、聴き手はより楽曲に「感動」を求めるようになっていると思います。00年代のヒット曲って、90年代のそれよりも、はるかにメッセージ性が多く含まれている、あるいは、わかりやすく示されているというか。意味がある、何かを教えてくれる、そんな部分がある楽曲を好んでいるという実感がります。

 そうすると、恋愛真っただ中のハッピーな楽曲というのは、内容がない、得るものがないとしてちょっと遠ざけられてしまうのではないかな…という気がします。
 失恋の歌だと、「離れてから気がついた」「これからも強く生きていく」みたいな方向性が打ち出せるので、教訓になります。だから受け入れられやすい。一方で、失った恋の痛手に浸り、前に進んでいかないというタイプは、あんまり見かけなくなりました。それもまた、仮説を裏付ける要素になりそうです。
 逆に、両想いな内容でも、「君を得たことで生きていける」とか「二人で手を取り合い進んでいこう」というポジティブさひた向きさがあるものは問題なく受け入れられています。ただ、女性の歌うラブラブな内容の曲だと、そういうのはあんまりないのですよね。現に、その手の歌がもっともファン層に受け入れられそうな女性アイドル業界を見ても、ラブラブさアピールに終始する歌は少ない印象です。
 総じて、聴き手が「マジメ」になってきているよなー、というのが最近感じる正直なところ。歌とは感動できるものであるべき的な空気が当たり前になっているような気がします…この辺はまたそのうち改めて。

 で、だいぶ外れましたが、そんな空気感なんてどこ吹く風のaikoと、今回の楽曲の話に戻りましょう。 彼女の強みは、何といっても描写のリアルさ、巧みさですね。はじめに挙げた、背の低い「あたし」が「喉」を見上げるというフレーズなんかはまさにそう。今回に限らず、具体的なエピソードが、詞に必ず豊富に入っているのですね。
 こうした書き方をする歌い手といえば、DREAMS COME TRUEが大御所です。ドリカムと異なるのは、まず声。ドリカム吉田美和のボーカルは声量と表現力に凄みがありますが、そのためどうしても堂々とした響きになります。aikoはもっと小回りがきくというか、「女性らしい」よりも「女の子」らしいというか。歌詞もそうで、ドリカムよりも下の年代っぽい雰囲気なんですよね。

 またaikoの場合、「男性ウケ」もするような言葉が多いのも、大きな強みだと思います。『いつから知ってたの?あたしの強い所 弱い所』なんてフレーズとか。…あれ?自分が好きなだけだったりとかしませんよね?なんというか、夢に出てきたい!と思っちゃったりするとか、『「今日も大好きでした」』とか、ひとつひとつ男性にも女性にも「かわいらしい」と思うような仕草や行動、想いが多いのですね。
 思春期のような初々しさを感じる年代なのも影響しているかもしれませんが、万人受けする描写ができることが、世の中の傾向とは関係なく支持されるゆえんなのかなと。


 あと、なんだかんだで『生きていく為に泣くこともある/それがあたしを強くするならば これも一番の幸せなんです』なんて、きちんとメッセージを含めていたりもしますね。あえてやっているのかどうかはわからないですが、念のため触れておきます。


posted by はじ at 18:36| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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