2007年08月29日

V6「ジャスミン」

ジャスミン/Rainbow (通常盤)
V6 近藤薫 小幡英之 小川マキ 久米康隆 20th Century HIKARI Coming Century KOMU 家原正樹
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<傷つきやすい繊細な人までを掬い上げる>

 前作「HONEY BEAT」ではストレートなアイドルポップスをやっていましたが、今作は柔らかな雰囲気を持ったミディアムナンバー。その前の「グッデイ!!」からの流れに、ポップ回帰か?と思いましたが、そんな単純に方向性を絞るというつもりはない模様です。

 そういえば何だかんだ言って彼らは芸域が広かったりするんですよね。そりゃ31枚もシングル出していればバラエティは出てくるものですが、デビュー当初はユーロビート一辺倒だったし、それが玉置浩二作曲の「愛なんだ」で等身大ポップ路線を定着させていき…でも「自由であるために」ではちょっとニヒルに決めてみたり、「Orange」ではかなり冒険的な楽曲に挑戦していたり…
 今回も、一言で表すなら「等身大メッセージソング」ですが、たとえば「WAになって踊ろう」や「UTAO-UTAO」あたりのタイプとは違いますし。全世界に向かって呼びかけるようなマクロな「博愛」ではなく、あくまでも自分自身と向き合うミクロな「自問自答」に終始しています。

 「花」をモチーフにした歌詞の表現や、『咲かない種などは無いから』『さよなら 今の僕』などの言葉だけを取り上げれば、いかにも無難なフレーズです。
 ただ、けっこう面白い表現もありまして。『誰かの声に 聞き耳を立て/明日をちょっと疑った』とか、『快晴が続くほどに 少し不安で眠れないけど』とか。この辺りは、あえて人のことを気にしたり、晴れていても落ち着かなかったり…悪い状況にいて落ち込んだり傷ついたりするというわけではないんですね。なんでもないこと、いいことにも不安になってしまうという心情を拾い上げているわけです。
 これは、なかなか注目に値するのではないかなと。もちろん『同情に抱かれながら 泣いて枯れて進めない夜』というバッドなシチュエーションも出てきます。けど、それだけじゃない、もっと些細な瞬間にも人は傷つくんだ、ということも歌に込めているのです。そして、そんな繊細な心までを掬い上げようとしているのです。

 「頑張れ」というような、奮い立たせたり、何かをさせようとけしかける言葉はありません。「進め」とは言わず、『新しい朝へ』とだけ言ったりもしていますね。
 『感情はどんなルールも 追い越して君だけを守るよ/そんな魔法が誰にだってあるんだ』という呼びかけは、自己肯定をそっと促すフレーズです。ここでの「感情」は「誰にだってある魔法」につながるので、他の誰かではない自身の感情のことでしょう。「君」の感情は「君」を守る…考えてみれば当たり前のことですが、まず自分自身を守るということから教えてあげているのですね。内向的な現代人、うつの人にもしっくり馴染むくらいの、優しいメッセージになっているんじゃないかなと。

 そう考えると、数ある花の中でリラックス効果がある「ジャスミン」をこの曲に選んだのにも、ちゃんと理由があるのだろうと思えてきますよね。
ラベル:V6
posted by はじ at 01:38| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(は行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
以前、音楽雑誌に寄せたコメントで
いろいろなジャンルの曲を歌わせてもらえると言っていたし、
それにメンバーの得意分野も違うので
方向性は特に決めていないような気がします。
これはファンの欲目ですがなんでも歌いこなせるので
もっとジャンルに囚われずいろいろな楽曲を
歌ってくれるといいなと思います。
Posted by 通りすがりのぶい at 2007年08月31日 00:38
>通りすがりのぶいさん
そうですねー。ジャニーズ全体がいまかなり多数のグループでかなり手広くやっているので、V6も古参になってきましたけどまだまだ新しい道を目指せるのかもしれませんね。
個人的には「Orange」がインパクトあって好きだったので、ああいう方面もまた聴きたいところです。
Posted by はじ(管理人) at 2007年09月01日 16:26
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