2007年08月28日

泉こなた(平野綾) 柊かがみ(加藤英美里) 柊つかさ(福原香織) 高良みゆき(遠藤綾) 「もってけ!セーラーふく」

TVアニメ「らき☆すた」OP主題歌 もってけ!セーラーふく
泉こなた(平野綾) 柊かがみ(加藤英美里) 柊つかさ(福原香織) 高良みゆき(遠藤綾) 畑亜貴 神前暁 nishi-ken
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<「印象付け」と「ノリ」に貫かれたカオス>

 オリコン初登場で、6万枚以上を売り上げての2位。2007年上半期シングルチャートでも36位にランクイン。累計10万枚を超えるセールスを記録するなど、近年のアニメソング台頭の中でも破格のヒットとなったのがこちら。アニメ「らき☆すた」のオープニングテーマです。

 最近は、アニメ番組に一般アーティストがタイアップとなる場合もたいへん多いです。そんな中、主役を務める声優陣4人による歌、キャラクター名でのクレジットしかもいわゆる「萌え」系を感じさせるキャラと声、と非常に純度の高いアニソンになっているこの楽曲。いったい何がそんなにヒットする要因になったのでしょうか。
 そのもっとも大きな部分は「話題性」に尽きるのかと思いますが、当ブログは楽曲レビューがテーマなので、まずは曲自体の特徴から触れていきましょう。

 初めてこの曲を聴く人は、きっと大部分は何を言っているかわからないでしょう。そして、何度か聴いてある程度わかってきても、またははじめから聴き取りやすいところでも、何を言わんとしているのかはまったくわからないのではないかと思います。
 『らっぴんぐが制服・・・だぁぁ不利ってこたない ぷ。』
 『驚いたあたしだけ? 豚骨ハリガネおかわりだだだ』
 歌詞カードを読んでも意味が頭に入ってこない言葉が、とにかくひたすら高速でラップのようにまくしたてられていく。ラップのような、としたのは、ラップにしては非常に自由奔放だからです。そもそも、表記だって複雑です。『夏服がいいのです←キャ?ワ!イイv』とか。それがいわゆるアニメ的な高い女の子声で歌われるのを聴いていると、なんだかやたらと頭に残る、クセになってしまう、洗脳されていく…という事態が多発している様子。

 一見バラバラに見える歌詞のひとつひとつに、細かい意味が付与されている…なんてことはおそらくありません。ひとつは≪聴き手にはっきりと印象付けを行うため≫そしてもうひとつは、≪曲の中に独自の「ノリ」を作り上げるため≫。そのために、わざと大きなまとまりを作らないようにし、統一感のない語彙をばら撒き、砕けて軽い語り方/書き方をしているんだろうと思うのです。
 その点に絞れば、方法論としてはJ-POPでも(CMなどの分野でも)普通に行われていることです。それをアニメのフィールドに持ち込み、アニメ声と「萌え」の香りをまぶしてみる…という感じでしょうか。
 ≪印象付け≫という点では、サビの頭にあえて英語フレーズを入れてキャッチーに響かせたりする、とか。独自の≪ノリ≫では、言葉遊びをしてみたり造語を作ってみたりとか。用いる材料が異質なのと、やたら極端に誇張されていたりはしますが、根元をたどればそうそう革新的なことではないわけです。

 個人的にこの楽曲に通じる典型的な例だと思ったのが、今から11年前にブームを巻き起こしたPUFFY「アジアの純真」です。
 井上陽水の書いた詞は、当時、はっきり言って意味不明でした。今でも意味不明ですから、独特ではあっても先鋭的だったわけでもありません。でも、大ヒットした。これこそ、大きなインパクトとPUFFYの持つダラダラさ、リラックス仕切ったスタイルという≪印象≫と≪ノリ≫が生み出したものでしょう。
 「もってけ!セーラーふく」は、アニメソングという人を選ぶ分野だったことはあるものの、PUFFYのブレイクと同じような部分で評価され、ヒットに繋がったのではないかなーと。白のパンダを並べるという歌詞の必要性がわからないように、『ぶつかって溶けましたぼーぜん』が何を表しているかはわからなくていいのです。『なやみン坊ー 高鉄棒ー おいしん簿ー』という韻踏みにしても脈絡のない単語の羅列だって、『美人 アリラン ガムラン ラザニア』を思い起こしますし。

 で、「アジアの純真」がなんとなくアジアっぽい言葉を選んでいたように、「もってけ!〜」もまた、「萌え」的な要素を感じさせる言葉が多めに含まれていたりするわけで。『セーラーふくだからです←結論』なんてアピールしてみるのもそうだし、『汗(Fuu)々(Fuu)の谷間にDarlin' darlin' F R E E Z E!!』とか、『チラみせなんてありきたり!』とか、誘うようなフレーズも垣間見えますね。
 でも、決してアピールや誘惑で統一されているわけではなく、やっぱり中心なのは先に挙げた≪印象付け≫と≪ノリ≫を最重要視して紡がれている言葉の洪水なのです。

 『なんかダるー なんかデるー/あいしテるー あれ一個が違ってるんるー』なんてフレーズを見てみましょう。
 乗せているリズムには「なんか」とか「一個」「違って」といった言葉がするっとはまっている。ここに限らず全体的に、メロディラインに合わせて乗りやすい単語を合わせていたり、詰め込みやすい響きの単語を選んでいるっぽかったり、かなり口語に近い滑らかさがあります。それなのに意味が見えにくいので、聴き手は混乱するわけですが。とにかくこれが≪印象≫に残るのですね。
 また、言葉を「なんとなく」スライドさせてみた感が満載。最後なんて「るんるー」とか文字数揃っていないのにテキトーに合わせたっぽいわけですが、このテキトーさこそが、すなわちこの曲の「ノリ」なんですね。
 ここ、あくまでさらっとだけ「愛してる」が入っていますが「あいしテるー」と表記をおかしくしたり、これ違うねと自己ツッコミさせたり(しかもそれを指しているかどうかは明確にしない)。言わせておきながら、テキトーっぽく、ものの拍子やついでっぽく感じるバランスになっているのですね。
 このテキトーさ加減は、至るところで感じられます。「もーそう伝」「パル神殿」「そーらん節」「てんぷてーしょん」は韻を踏んでいるつもりなのか?とか、『制服はかんたんよ=ラクチン』って言い換えになってないじゃん!とか。極めつけは後半の『うんだかだーうんだかだーうにゃうにゃ/はれってほれってひれんらー』…思わず「詞を書くの飽きたのかよ!」と叫んでしまいそうになりますが、そういう「ツッコミ」を待っているっぽい面もあちこちから感じられますね。

 そんなわけで、たいへん長々と書いてきましたが、ポイントとしてはこんな感じ。

・「高速でまくしたてるアニメ声」が耳に残る
・大きな意味はないが、≪印象付け≫と≪ノリ≫を中心に、あれこれ考えて意図的にハチャメチャに作られている詞
・メロディラインに沿った言葉選びが≪印象≫に残る
・この曲のにおける≪ノリ≫とは、あちこちから漂うテキトーさ加減
・PUFFY「アジアの純真」のヒットに似ていると思うのです ←結論


 ここまで、曲の中身についての考察。
 ここからは、はじめに触れたこの曲の「話題性」について書いていきます。 知っている人にはもはや改めて言うまでもないくらいのことですが、アニメ「らき☆すた」のオープニングは、この曲に合わせて登場キャラクター達が揃って踊りまくる、非常にインパクトの強いものになっていまして。
 楽曲だけでも強烈なのに、そこに高クオリティの映像が加わる。その結果、アニメ界隈に大きな反響を巻き起こし、youtubeやニコニコ動画などの動画共有サイトでは、その映像に合わせて実際に踊ってみせる人が出たり、リミックスを作る人が出たりと、何かと異様な盛り上がりを見せていました。

 これ、昨年大ヒットしたアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」で見られたパターンです。エンディングテーマ「ハレ晴レユカイ」で、キャラクター陣のダンスが乗せられて爆発的に波及したのですね。
 ただ、あちらは曲自体はそれほど大きな特徴のないポップソングでした。その点、同じ製作会社の次作である今回の「らき☆すた」は、さらに曲自体をインパクトあるものに仕上げ、より強力な話題性を得ることに成功したと言えるでしょう。
 楽曲と映像によるインパクト。聴き取りにくい歌は「何と言っているんだろう?」という気持ちを煽り、フタを開けてみれば『あまえん坊ー 用心棒ー/つうしん棒ー ちょーしこいてギョクサイ』って何だ?など、ツッコミどころが満載。作品の受け取り側に反応させたり語らせたりする余地を作っておき、アクションを起こさせどんどん話題を拡げていく…まさに、バズ・マーケティングのお手本のような事例となっています。

 そもそもアニメって、インターネットとヘビーユーザー層もかぶったりしていて、親和性の高い分野ですしね。話題を巻き起こしやすい、という点はあるでしょう。アニメに限らず、いわゆる「オタク」層を中心としたサブカル・ネット分野では、こういう強烈な個性や意味不明さで印象に残るタイプの楽曲がカルトな人気を集めやすかったりします。
 たとえば有名どころでは、O-ZONE「恋のマイアヒ」(海外ソラミミ)や萬Z(量産型)「日本ブレイク工業 社歌」(企業)。ほか、きっと調べていったらキリがないですが自分が知っているものを挙げていくと、Oranges & Lemons「空耳ケーキ」(アニメ「あずまんが大王」OP)、「ニョキニョキ」(ネット公開音源?)、「巫女みこナース」(18禁美少女ゲーム)、Loituma「Ievan Polkka」(フィンランド民謡)…最近では「おっくせんまん」(ファミコンソフト「ロックマン2」BGM替え歌)なんかもありますか。詳細はそれぞれ検索してください。

 J-POP業界ももっとこうした動きが出てくれば面白いだろうに…有線から火がついたというヒット曲は多数あるのに、インターネットから人気になったというと、仲間由紀恵 with ダウンローズ「恋のダウンロード」くらいしか思いつきません。
 もっと積極的にネット上でバズ展開していけば?と思うのですが、なぜかあんまりやってないし、やっていても展開があんまり巧くなかったりするんですよね。まあ、著作権あたりで問題が多かったりするわけでしょうけれども。


 ま、脱線しましたが、とにかく「話題性」を味方につけてのこのヒットだったんだろうなと。ただ、話題を呼ぶためには、それなりの内容がなければダメで。そこで、前半で述べたような≪印象≫と≪ノリ≫へのこだわりが生きてくる…と、そういう構図になっているわけです。コンセプトと戦略、そしてこだわりを貫いたがゆえの勝利と言えるのかもしれませんね。


posted by はじ at 03:03| Comment(1) | TrackBack(0) | J-POPレビュー企画もの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Posted by パワーブログランキング運営委員会 at 2007年08月27日 16:14
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