2007年08月23日

GReeeeN「愛唄」

愛唄(あいうた)
愛唄(あいうた)
posted with amazlet on 07.08.22
GReeeeN JIN
ユニバーサルJ (2007/05/16)
売り上げランキング: 725


<「ストレートなラブソング」という楽曲の特徴を貫くために>

 メンバーの全員が現役歯学部生で構成されている今年のニューカマー、GReeeeN。3枚目のシングルにしてスマッシュヒットしたのがこちらの「愛唄」ですね。

 非常に直球なラブソングです。『「愛してる」だなんてクサイけどね/だけど この言葉以外 伝える事ができない』とシンプルで明快な言葉の選択。そして、『君の選んだ人生は僕で良かったのか?/なんて 分からないけど、、、』なんてちょっと弱気になってみせるところも、いかにも現代の若者男子という感じ。
 「守ってみせる」とか「ついてこい」とは言わず、『隣に立って 居れることで』と傍にいること、『隣でずっと 愛を唄うよ』と愛を呼びかけ続けること…こういうところも、今の時代に「共感」を呼ぶ部分ですね。強気に押すのではなく、そんなに強気にはなれないけど誠意を見せる、という形です。

 こういうシンプルイズベストな直球ラブソングは、ある程度の周期を置いてスマッシュヒットになっている気がします。去年のこのポジションは、湘南乃風「純恋歌」でした、たぶん。その前は…河口恭吾「桜」とか、三木道三「Lifetime Respect」あたりでしょうか。
 こうした、わかりやすく単純な言葉だけで構成された詞は「ヒネリがない!」と批判されがちですが、やっぱりこうして定期的にシンプルなラブソングがヒットしているところを見ると、大衆はなんだかんだで「わかりやすい」愛の歌を求めているんだろうな、と感じます。
 …思えば、90年代初め、どちらかというとヒネったりささやかな内容の歌が多かったKANが「愛は勝つ」で一躍大ヒットになった(なってしまった)のなんか、象徴的な気がしますし。

 さて。
 この曲に関しては、注目が集まった頃から「盗作疑惑」が語られていたりします。槇原敬之「僕が一番欲しかったもの」にサビのメロディラインが酷似しているのですね。 自分は基本的に、メロディの盗作疑惑に関しては、基本は「そんなことないんじゃない?」と否定的な見方から入ります。その理由は下記。

・メロディラインが似るのは、はっきり言ってよくあることである

・盗作しよう!と考えたとして、バレバレなところから持ってくるなんてリスクを犯すだろうか

・外野からあれこれ言っても何になるわけでもないし、つまらない

 まあ、3つめは感情的な部分なので、説得力のある理由にはなりませんね。1つめはけっこう他でも言われていますが、2つめはなぜかあんまり目にしません。
 しかしこういうのって、「似ている!」というのはカンタンで、何を言っても「でも似ているじゃん!」で終わってしまうので、はっきり言ってあんまり議論したくないです。音楽ってやっぱり感情に訴えてくるものなので、感情で盗作だと判断している人を説得するのはほぼ不可能ですし。

 実際、この「愛唄」とマッキー「僕が一番欲しかったもの」のサビはよく似ています。骨組みとしてはほぼ一緒。こりゃ似ていないという人はそうそういないでしょう、というレベルです。どちらもイントロまでサビと同じメロディで、曲のテンポやシャッフルのリズムを採用している点など、いろいろ近い要因も多いです。
 でも、探せば似たようなメロディを使っている歌はもっとあるはずです。そして、3年ちょっとだけ前にシングルにまでなっている曲を拝借しよう、なんていうのは、リスクマネジメント的に有り得ない話です。そもそも著作権というものは親告罪なので、外野があれこれ議論するものではないと自分は考えています。

 似ているからとイヤになるのであれば、それは仕方ありません。でも、似ている2曲があるのであれば、むしろじゃあ「どういうところが違っているのか?」ということを考えてみるほうが、よほど有意義で楽しいと思うのです。このブログは盗作かどうかを考える場ではなく、表現について分析・考察する場なので、その点を見ていきましょう。

 まずひとつ。
 どちらのサビも、8小節間を2小節ごとのまとまりで、A⇒A'⇒A⇒A"というような流れになっています。似たようなリズムの2小節Aが、少しだけ変化しながら4つ続く、という形ですね。
 槇原「僕が一番欲しかったもの」では、A'、A"の部分で最高音までふっと抜けるようになっていますが、GReeeeN「愛唄」は同じ部分では上がらずにAと同じ形で下がっています。
 そして、もうひとつ。どちらの曲も細かいリズムが弾んでいるシャッフルの形式で楽曲が作られていますが、槇原はメロディラインも細かく弾んでいるのに対し、GReeeeNはメロから一転して、弾まないベタッとした8分音符中心の動きになっているわけです。

 この両者の違いは、そのまま個性の違い、楽曲のスタンスの違いとして見ることができそうです。
 「愛唄」は、先に述べたように、非常にストレートで裏表のない愛のメッセージを込めた内容の歌です。そして、その中心になるサビでは、まっすぐなメッセージを力強く表現したかったのでしょう。だから、「僕が〜」でやっているようにふっと抜けるような流れを作らなかったり、シャッフルの弾む曲調の中でサビだけあえて弾まずしっかりとした歌い方をしているんじゃないか、と考えられるわけですね。
 対して、「僕が〜」のほうでの抜けのあるメロディラインは、マッキーの持ち味である通るハイトーンボイスを聴かせるには持って来いです。また、あの曲は全体がひとつの大きなストーリーになっているので、統一感を持たせるには、サビだけシャッフルのリズムを変えるなんてことはできないわけです。

 よく似たメロディラインをしている両曲ですが、こうして考えていくと、それぞれに持ち味を生かしたつくりをしているんじゃないか、と推測することができます。
 もちろん本当にそうなのかどうかはわかりません。が、どうせ推測しかできないのであれば、「盗作か否か」を考えるよりも、こうしたスタンスで考えたほうがずっと精神的にいいよなーと思うのです。


posted by はじ at 02:46| Comment(2) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この2曲 イントロの音源は同じでしょうか?
イントロの音源を教えてくれたら嬉しいです。
Posted by ブン級 at 2015年07月08日 21:29
ブン級さん、コメントありがとうございます。
色々イントロの事を調べてみましたが・・・
イントロの音源は、ドレミの音階を変えているだけで、音源の順番は全く同じでした。

ここまできたら、たまたま似ちゃったとは言えません。 パクリかオマージュのどちらかだと思われますよね。 
Posted by J-POP レビュー at 2015年07月13日 15:27
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。