2007年08月19日

テゴマス「キッス〜帰り道のラブソング〜」

キッス〜帰り道のラブソング〜 (通常盤)
テゴマス zopp h-wonder CHOKKAKU 伊藤アキラ Mark Davis 長岡成貢 田辺恵二
ジャニーズ・エンタテイメント (2007/05/16)
売り上げランキング: 4014


<言葉の選び方に見る「等身大らしさ」「微笑ましさ」>

 ソロで活動している山下智久と同様、NEWSメンバーの手越祐也と増田貴久のユニット、テゴマスの2ndシングル。前作「ミソスープ」に続き、ハートウォーミングな雰囲気が漂っています。

 歌詞は、修二と彰「青春アミーゴ」山下智久「抱いてセニョリータ」を手がけた新進の作詞家zopp。今回は、恋人同士の何気ないやりとりを描いているので上記の2作とはちょっと方向が違いますが、でもこっちはこっちでなかなか巧みだなあと思う点がありまして。

 たとえば、『「もしも明日 世界がなくなったらどうする?」』という「僕」の質問に、「君」は言葉では答えず、「僕」の腕をつかむだけです。この仕草自体が「僕」への気持ちを明確に表してはいるわけですが、具体的にどんな想いでそうしたのか、ということは明示されません。
 一緒にいたい、と考えたのかもしれないし、「僕」も自分もなくなってしまうと想像して怖くなったかもしれないし、あるいははもっと別の感情がそこにはこもっているのかもしれない。聴き手は、あれこれと想像を膨らませることができるわけです。

 2コーラスの別れ際の「君」の場合は、『ほっぺたふくらませて 手を離して 「もう行くね」』という動作だけが描かれています。ここでも、聴き手は「君」がどうしてそう感じるのかは「僕」と同じように類推するしかできないわけで。
 たとえばここで詞の上に「不満がある」「怒っている」「寂しい」と書いてしまうと、聴き手は「君」の気持ちを把握して、「僕」の視点の外側に出てしまう。感情移入がしにくくなってしまうと思うのです。
 「君」のことを振る舞いから知ろうとする「僕」から得られる情報しか、ここには描写されていません。ミクロな視点に徹し、恋のドキドキ感を聴き手にも入り込ませようとしているんだろうなあ、という意図を感じるのです。…でも「君」は明らかに「僕」に好意を持っているとわかることばかりなので、安心して見ていられもするんですが。このあたりは、あったかムードを出すためのバランスですね。

 「キッス」というタイトルは、「キス」「kiss」ではなくこの表記にしているのも、意味があるのでしょう。曲中では特に「ッ」が入るべき、というようなメロディに乗っているわけではないですし。
 単語の持つ意味は同じでも、「kiss」と英語表記にするとちょっとかっこよくキメている感じになりますし、あえて「くちづけ」「接吻」などと言ってみると、また雰囲気が変わります。で、「キッス」だと、軽い、ちょっと子供っぽい印象を受けるものです。つまりはそこがポイントで、軽さ、幼さを出したかったんじゃないかなと。
 この歌は、かっこよくキメる!という歌ではなく、初々しい恋人達の微笑ましい雰囲気を見せる、そういうスタンスで作られたのでしょう。帰り道というシチュエーションや一人称に「僕」を選んでいるという根幹のところから、『ギュウっとしたね』『ドキドキ止まらない』という言い方なども、初々しさを感じさせるフレーズです。こういった一連の表現があるから、『世界中を 敵にしても 君を守るよ』なんて強い言葉も、どこか微笑ましい純粋さが香ってきたりするわけで。 等身大で微笑ましく、かつハートウォーミングな雰囲気を持った楽曲。「ミソスープ」もまたテーマは違うもののそんな楽曲だったので、このユニットのスタンスは基本こうした路線なのでしょう。
 既存のユニットでもじゅうぶん対応できそうな路線ですが、あえて新しい二人組ユニットでやらせているというのは…もちろんNEWSの活動休止やら別の要因があった面もありますが、ひとつ、ジャニーズ的に対抗勢力であるWaTへの牽制ではないか…という気もします。WaTって、もちろん細かく見ればこちらとはいろいろ違いますけど、まさしく等身大で微笑ましく、かつハートウォーミングなスタイルですし。


posted by はじ at 19:07| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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