2007年08月17日

Aqua Timez「しおり」

しおり
しおり
posted with amazlet on 07.08.17
Aqua Timez 太志
ERJ (2007/05/09)
売り上げランキング: 2068


<「より純粋に」なのか、「より感傷的に」なのか>

 さて、個人的に勝手に「J-POP第2世代」の代表的存在、ということにしているAqua Timez。そう考えている理由としては、ひとつにはミスチルやJ-HIPHOPの影響が見えること、そして歌われる言葉に今の若い世代の空気を感じるからです。

 既発シングル「決意の朝に」「千の夜をこえて」と同じく、今回もややゆたりしたミディアムテンポにぎゅっと詰め込んだ言葉が乗る、というスタイル。そういえば、彼らの名前が広まるきっかけになった「等身大のラブソング」もそうでした。
 まあ、この曲は他よりもメロディラインがしっかり見えていまして。そのぶんなのか、歌われる内容も熱いメッセージではなく、終わった恋の相手を思い返す感傷的なものにスライドしています。

 『綺麗な景色はいつの日も少しだけ悲しいんだ』と、離れてしまった恋人との想い出の風景の中で、一人で過去を振り返る主人公。まだ相手を好きなままでいる彼は、在りし日に二人で歩いた穏やかな景色に「少しだけの悲しさ」を感じます。
 なんとか忘れようとしても、なかなか忘れることはできないままでいる。『あれこれと悩んでは見たものの 答えらしい答えは見つかりません』『幸せのありかなど 僕にはわからない』と、あれこれ考えてみても、結局ストンと気持ちを納得させられないままでいます。

 「少しだけの悲しさ」に浸る感傷と、そしていつまでも結論なんて出せない「行き場のない悩み」…これが、この曲の中心を占めている部分です。
 悲しくてたまらない、絶望してしまうわけじゃない。『悲しくなんかない』と言い聞かせるくらいの分別は付いている。でも、吹っ切ることはできない。強烈な感情にのた打ち回ることはないけど、そのぶん、いつまでも宙ぶらりんのままあれこれと悩み続ける…よく言えば穏やかで真面目、悪く言えばはっきりしない、煮え切らない。そんな態度なのです。

 「失恋後も相手を切々と想い続ける」という歌は、ここでも何度か書きましたが、最近数を増してきたように感じています。で、そのうちの大抵は「まだ君が好きだけど、君との想い出を大事にして生きていくよ」というパターンか、「まだ君が好きだ、いつかまた笑って会える日が来るといいね」というパターンのどちらかに収束することが多いです。後者なんかは多少まだ未練が残っているような気もしますが、どちらにしろ、今はひとまず相手への気持ちに一区切りをつけて、前に進んでいくことで落ち着きます。
 が、この曲では、最終的には『「今日もあなたが好きでした」』と、今すぐ吹っ切ることを諦めてしまう。「あなた」への気持ちに区切りをつけられないことを、ひとまず受け入れてしまっているわけです。上記の2パターンより、少し消極的なスタンスです。
 それだけ愛が深かったんだということもできるし、ただ女々しいだけだと感じる人もいるかもしれません。でも、この曲がヒットしているということは、このスタンスがそれなりに受け入れられていることの証でもあるわけでして。やっぱり今のJ-POP世代は、ひとつ上の世代が親しんでいるよりも少し非アクティブで感傷的な空気感の中にいるんじゃないかなー、と感じたりするのです。


posted by はじ at 22:38| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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