2007年08月12日

森山直太朗「未来〜風の強い午後に生まれたソネット〜」

未来~風の強い午後に生まれたソネット~
森山直太朗 御徒町凧 笹路正徳
ユニバーサルJ (2007/05/09)
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<幅広くイメージを拡げる、リラックスした思考>

 ミディアムテンポ、キーもそれほど高くなく、穏やかに語るように進んでいく一曲です。声も張り上げず、サビで少しだけ出てくるファルセットも、爽やかな雰囲気を演出しています。

 サブタイトルがやたら長く付いているのは、もう今回始まったことでもなく。ちょっと主張強いなーとも感じますが、ただ「未来」とだけするのも確かにシンプルすぎるのですね。

 もしかすると、未来、という概念に関してあーだこーだ理屈を並べている歌ではない、という気持ちが、副題を挟む動機になったのかもしれません。
 出会わなかったら『ふたりの未来は どんな風になっていたのかな』とベタな空想をしているフレーズがありますが、そんなに深く掘り下げてあれこれ思うわけでもない。最後に『君と共に歩む世界に 描いた未来を』とまとめていますが、未来についての想像を具体的に巡らせているわけでもない。ただ穏やかな日々の中、「風の強い午後」になんとなく思い浮かんだことを漠然と綴ってみただけ…と、そんな風情を出したかったのかなと。

 それに、「神様」を持ち出したり『生まれ変わったとしても』と言ったり、大仰な言葉を使っている箇所がいくつか見受けられますが、それらはどれもリラックスした思考の中で生まれたものなんです。そういったマクロな言葉から、『ひび割れたホロスコープ』とか『ブーゲンビリアの花言葉』とか、卑近なものまでを縦横に、自由に思い巡らせていると感じるのですね。
 「神様」を持ち出すのも、『君は笑うのかな』と、愛しい「君」の反応を想像するためだけ。なんというか、ウエイト、足場は「僕」と「君」の穏やかで幸せな日常にしっかりと根ざしていて、その中で身近なものから果てしないイメージにまで空想を拡げている…そんな歌だと思えるのです。

 多少まだ大風呂敷を広げるように思える部分もありつつ、それでも「太陽」や「生きとし生ける物へ」の頃のような、悟りを目指いていくかのような抽象的形而上的な方とは違っています。あくまでも、「君」と「僕」の個人サイズの物語を描きたいんだろうなあ、と。
 森山直太朗については、「さくら(独唱)」のイメージが強い!という人も多いと思いますが、今は和のテイストを出す歌い手というよりも、穏やかで心地よさのある日常系ポップソングの歌い手というようなスタイルで活動しています。真剣にあれこれ悩んだり、壮大なものを壮大に描こうとしたりするのもひとつの方向ですが、こうしてリラックスした思考を平和に思い巡らせて、聴き手を穏やかな感情に包む歌も、またいいものです。


posted by はじ at 22:43| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(ま行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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