2007年08月11日

レミオロメン「蛍」

蛍 / RUN (初回限定盤)
蛍 / RUN (初回限定盤)
posted with amazlet on 07.08.11
レミオロメン 藤巻亮太 小林武史 四家卯大 山本拓夫
ビクターエンタテインメント (2007/05/09)
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<浮遊感を出す独特のメロディと「匂い」のある言葉>

 すっかりミディアムバラードが持ち味として定着した感のあるレミオロメン。今回は両A面扱いの「RUN」がアッパーチューンではありますが、映画「眉山」の主題化タイアップとなったこちらの「蛍」は、シングルだけで見れば「粉雪」「太陽の下」「茜空」に続く4連続目となります。

 とはいえ、今回も独特のメロディラインを随所に見て取ることができるので、分析していくと飽きがきません。たとえば、歌い出しの『七月の雨に打たれて』をとっても、3連符を使っている、そしてコードからぶら下がった音を使っている、という点が挙げられます。
 4/4拍子、8部音符進行がベースの楽曲の中での3連符というのは、もちろん全体のリズムからは外れた存在なわけです。それをあえて組み込むと、その部分は強調して聴こえてくるものだったりします。決然とした力強い響きを帯びることもありますが、ここでは、滑らかで揺らぎのあるふわっと浮かぶような雰囲気を醸し出すようになっていますね。対して、サビの『逢いに行けたら』の「逢いに」の部分で出てくるときにはどちらかというと前者、きっぱりとした響きになっています。
 コードからぶらさがった音は、響きに深みを作ったり、浮遊感を出す効果があります。この曲のメロ部分がどことなく幻想的な雰囲気に包まれているのは、ただバッキングが静かだからだけではなく、このメロデイの「3連符」「コードにない音」に拠るところも大きいのではないかと。あと、少しずつ語られていくといったように、ひとつひとつ短いフレーズで作られているのもポイントかなと。

 そして穏やかなメロから一転、力強い、「粉雪」を髣髴とさせるサビのシャウト。この出だしの『今、』のコードもまた特殊です。J-POPのお約束を逸脱しているというレベルなので、人によっては調子が外れているようにさえ聴こえるかもしれません。でも、その分、インパクト大です。

 さて詞ですが、『蝉の噎びが止んでしまった』『夜の隙間から蛍が紡ぐ光の先へ』などなど、夏の情緒を感じさせる表現がいろいろ出てきています。5月リリースなのに、描かれている情景は7月。まあこのレビューは8月になっているわけですが…
 最近は日本情緒を醸し出そうとする詞の書き手はけっこう多いです。で、なんかカッコよさげなフレーズを作っているけど、ただ雅語で言ってるだけじゃ?とか、それってどういう意味?な表現も散見されたりします。なんとなく響きの良さだけで言葉を選んでいる感が漂っているなー、なんてものもあったりします。
 が、藤巻亮太の場合は『夏に惚れたと世界は唄う』なんてフレーズを見るに、「なんちゃって和風」な感じはあんまりしないです。こういうフレーズって、綺麗なイメージに囚われ溺れているだけだと出てこないんじゃないよなーと。視覚的な鮮やかさ、言葉の響きの美しさだけを追い求めているんじゃなく、描く情景の「雰囲気」「匂い」を感じて書いているんじゃないかと思わせてくれるのですね。

 ただ、今回はちょいと物足りないかも。自分の進む道筋を蛍のモチーフを使って表現し、その先に「貴方」を見ているわけですが…歌自体から物語を想起するには、もうちょっと内容を拡げてもよかったんじゃないかなと。
 タイアップの映画は観ていませんが、きっとそれと合わせるとストーリーが補完できてちょうどいいのかなあ…という気がします。個人的には、レミオっぽさは感じられるものの、レミオらしさを100%発揮しているという感じは受けませんでした。まあ、新しい方向性に変化している途中なのかもしれませんが…


この記事へのコメント
この曲は純粋に良いですね。
言葉が多くなくて、隙間に広がりと確かな熱を感じます。
セールスは振るわなかったのですが、このレビューをきっかけに聞きなおしてみたら、
本当にすばらしかったのでCD買ってしまいました。
Posted by TORASAN at 2007年08月15日 01:50
>TORASANさん
行間をイメージさせる書き方をしているというのは感じましたね。何となく、最近は言葉の選び方が少しずつ変わってきている気もします。以前よりも少し技巧的になってきているなあ、とか感じますね。
Posted by はじ(管理人) at 2007年08月20日 23:37
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