2007年07月18日

チャットモンチー「女子たちに明日はない」

女子たちに明日はない
チャットモンチー 福岡晃子 高橋久美子 橋本絵莉子
KRE (2007/04/18)
売り上げランキング: 5057


<退屈な日々を抜け出したい、でもそれはゴールではない>

 今めきめき売り出し中の徳島出身ガールズバンド・チャットモンチーの4thシングル。個人的にも、今年いちばん注目しているアーティストといっても過言ではないかも知れません。年内にアルバム出ないかなー。

 彼女達の特性について、前シングル「シャングリラ」のレビュー時には、こう書きました。“ただうっとり幸せなだけの恋愛じゃ物足りないし、満足できない。そんな強烈な衝動が、彼女達の作る歌詞には現れてくる”…なんというか、ちょっと甘い声や「女の子」(決して「女」ではなく)視点全開の歌詞にもかかわらず、その音が生み出す世界は、その辺の男性ロックバンドよりも遥かにロックなスタイルだなーと感じるのです。

 今回は、さっぱりはっきりとしたシンプルな音で疾走する、潔さあるロックサウンドが展開されています。その上に乗っているのは、ひたすら焦燥感に満ちた歌詞でして。
 現状に満足していない、だんだん日常に埋没していくことへの不安を描くというのは、まあJ-POPの常套手段のひとつです。ただ、『メイクもおしゃれも手を抜き出して/くすんでいった赤い糸』というフレーズは、女の子にしか書けない、歌えないですね。
 「シャングリラ」では携帯電話を落としてしまった、という一節がありましたが、こちらでは、『絡まるエクステンション/ひきちぎってさっぱりだわ』と、自ら日常を抜け出そう、「型にはまった自分」を脱しようとする意志が感じられます。

 で、そうやって日常を振り切ろうとガンガン突っ走るわけですが、だからといって、救われるわけではありません。
 『何から何まで捨てられたなら/どんなにも どんなにも』
 逆に言えば、すべてを捨てることはできないのですね。「あなた」の声だって、遠くなる一方です。
 退屈な日々を離れてみよう、そうすればハッピーになれる…これはそういう枠の中の歌ではないのです。結局のところ、『走ったって見つからない 叫んだって届かない』平凡な毎日を捨てたとしても、それがゴールではない、そう感じているのが伝わってきます。

 結局のところ、この歌は明確な答えを示していません。『分かってるのは ただ一つ』と歌いながらも、それが何かは結局のところ明示されないのです。順当に考えれば「あなた」に向けての何かではあるんだろうと思うのですが、あんまり恋愛に絞った内容でもないですし…
 日常を脱しようともがき、それでもはっきりと得られるものはない。この楽曲に溢れている衝動は、曲の中で答えが出てこないために、落ち着くことはないのです。『走ったって見つからない』、だけどそれでも止まっているよりマシだから走り続けなければ、みたいなジレンマが漂っていて。この強力な衝動が、実に新鮮なんです。


posted by はじ at 21:39| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(た行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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