2007年07月14日

ケツメイシ「トレイン」

トレイン
トレイン
posted with amazlet on 07.07.13
ケツメイシ NAOKI-T
トイズファクトリー (2007/04/11)
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<伝えたいメッセージを生み出すため、モチーフをカスタマイズしていく>

 昨年の「男女6人夏物語」から久しぶりとなるシングル。ケツメイシらしい、歌メロが何とはなしに切なく、どこか郷愁を感じさせる緩やかさのある一曲になっています。

 歌詞のモチーフはタイトルの通り、列車。大ざっぱに言えば、前に進んでいく中でいろいろあるけど、夢に向かって行こう、みたいな内容です。
 「前に進んでいく」というだけなら、単純に歩く/走る、あるいは飛ぶ、あるいは車とか自転車とか船とか、いろいろな手段があります。ここでは、その中であえて列車を選択していて、そこには列車でこそ適切に表現できる感覚が詰まっているはずです。

 ≪歩いていく≫というと、「この道をまっすぐに踏みしめていく」と能動的な印象を出すことができます。時には立ち止まってしまったり、誰かと出会う(「クロスロード」ですね)こともあったり、分かれ道を選ぶこともありそうです。
 ≪走っていく≫の場合は、前向きでがむしゃらなイメージ。「転んでしまう」こともありそうです。≪車≫でもやはり軽快にすっ飛ばすイメージですが、自分の足ではないので疲れることはなく、疾走していく感じが出せます。誰かを乗せたりすることもあるでしょう。
 ≪飛ぶ≫とか≪船≫だと、ひたすら大きな空間に向かって当てもなく飛び出していく…そんな雰囲気になってきます。

 では、≪列車≫の場合、この曲の場合はどうでしょうか。
 列車は、一般的なイメージだと、「線路に沿って一本に進んでいく」とか、やはり乗り物なので「自分の力で進むというより、運ばれていく」というような印象があるものです。
 で、この曲では、そうした電車のイメージを、自分達が伝えたいメッセージ向けにカスタマイズしているなあ…というように感じるんですね。

 『切符 書かれた 「夢駅」の文字』というように、目的地はすでに決まっている。ただし、まだ見ぬその場所はどんなところかはわからないし、『今何処で 何処へ 向かってるかは/分からなくていい』というように「見知らぬほうに運ばれている」感覚もあります。その中で、『夢に向かって走るのか/それとも 途中 腐って錆びるのか』と、線路が終わってしまうかもという不安もある。『途中下車 無効にて』ともあり、ただひたすら先へ先へと運ばれていくしかないわけです。
 こう書くと少し受動的すぎる気もしますが、しかしこの列車は、『子供の頃の 夢見心/それを燃料にして 走り出す』ものだったりするわけで。そしてサビでは力強く『動き出せ 僕の中の 少年のようなピュアなハート』と、自分自身の「夢」を想い信じる気持ちで列車を前に進めようとしているんですね。
 こうして、どちらかというと受動的な「列車」というモチーフを能動的に描き出し、聴き手に届けようとしているわけです。「僕」の心が原動力だ、という流れがあるからこそ、『車掌いない 時刻表無い』というフレーズも、「自分の力だけで進んでいかなければならない」というメッセージを発しだすのです。
 さらには空まで進んでしまう辺りは「列車」モチーフにしては反則な気もしますが、そうやってモチーフのイメージを拡げることで、自分達の伝えたいことにつなげていきたいんだなあという意志を感じます。

 ミディアムテンポの安定したリズムも、ガタゴト進んでいく列車のイメージに沿うものだなあ、と。


posted by はじ at 10:40| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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