Gackt Gackt.C Chachamaru
日本クラウン (2007/02/07)
売り上げランキング: 17533
日本クラウン (2007/02/07)
売り上げランキング: 17533
<どんな人も、名前のない花として「咲く」ことができる>
シンプルなアコースティックのスローバラード。どちらかというと派手で空想的な楽曲のイメージがあるGacktにしては異色だなあ、と思ったら、ラジオ番組の縁で知り合った高校生のために、その卒業式で披露された幻の楽曲なのだとか。
卒業をテーマに、『僕たちはそれぞれの思い出を胸に抱いて歩き始める』というメッセージ。飾り気はないですが、そのぶんわかりやすく、実際に卒業する人にとってはグッとくるのではないでしょうか。
あんまり書くこともないのですが、とりあえず「野に咲く花」というモチーフに注目してみましょう。ポイントはいくつかあります。
(1)匿名性。桜とかタンポポとか、名前のある花じゃないということ。
(2)派手ではない、どこにでもあるもの。
(3)育てられるわけではなく、一人でたくましく育つもの。
一人称は「僕達」。新しい道を歩みだす仲間たちは、特に目立った存在ではないけれど、それでもみんなそれぞれに人生があるわけです。『決して負けずに強く咲きたい』というのは、個人的な思いではなく、名もないすべての人に向けてのメッセージとしてとらえるべきでしょう。
誰もが大輪に咲き誇る美しい花ではないけれど、そんな人全員をすくい上げ呼びかける歌というわけです。まさに卒業式に合唱するにはぴったりですね。
そんな「みんな」へのメッセージであるのに、『君だけに伝えたい』と「君」側を限定しちゃっているのはどうもなあ、という気もしますが…まあ、これは一人の高校生をきっかけに作られた歌なので、その辺がちょっと混ざっちゃっているんでしょうか。
ついでに言うと、「野に咲く花」がテーマなのに、このジャケットの花はそぐわないような気も…ささいなことですが。Gacktがこういう素朴な歌を歌う、ということ自体は、うまいことギャップにもなって面白いなあと想います。