2007年01月29日

ORANGE RANGE「SAYONARA」

SAYONARA
ソニーミュージックエンタテインメント
ORANGE RANGE

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<テンションを高く維持する曲展開のため、早め早めのメッセージ展開>

 ORANGE RANGEのシングルはすっかり三極化が定着しました。ひとつはお気楽ハイテンションぶち上げ系、ひとつはちょっとハードに攻める系、でもうひとつが感動系。2006年リリースのシングルは、「チャンピオーネ」「UN ROCK STAR」、そして今作と見事にローテーションしました。

 この曲、インパクトが薄いという意見がけっこうあります。ひとつには、上に挙げたような分類が頭に浮かぶくらいに、感動を誘うタイプの楽曲は定着してきた感があり、そのせいもあるでしょう。
 前回の同系統の楽曲が「キズナ」で、こちらは沖縄音楽(っぽさ)を取り入れてオリジナリティを放出していたので、それに対して今回はオーソドックスであることも印象不足に繋がっているのかもしれません。タイアップ先のドラマ「鉄板少女アカネ!」が振るわなかった(らしい)ことも影響しているのかもしれません。何度か述べているように、バラード系の楽曲は、単純な良し悪しよりも印象のほうが大事だったりしますから。
 歌い出しの部分が妙にかわいらしく歌っていて、内容も『枕の中の世界はいつも君が笑顔で僕に歌ってる』とか、キャラ違うなあと。今までは感動系統でもやっぱりBBOY的というか、ヒップホップ系メッセージソング的というか、「不器用なオレ」みたいな印象があったわけです。でもこちらは確実にインドア派な「僕」キャラですからね。これけっこう新鮮だったんですけど、まあ大きなインパクトではないのか。中盤ちょっとハードな展開があったりするのも、それほど衝撃的ってほどでもないと。
 もうひとつ、タイトルが「SAYONARA」でサビ頭が『ありがとうを君へ』と、相手へ投げかける言葉が並び立っちゃっているところが、実は損しているんじゃないかなと。タイトルが「ありがとう」であれば、パッと接する範囲でより統一感を出すこともできたはずでは、という。

 構成は、最近流行の黄金パターンを踏襲しています。というのはつまり、「僕」と「君」の出会いから振り返りつつ今はお互いに残念だけど別れなければならなくてでも二人過ごした日々は大切にしたいありがとう忘れないいつかまた…という一連の流れ。
 『今更だけど』というくらいですから、別れてからかなり経ってからようやく立ち直った、ということなんでしょう。最近はストーリー性を重視して、1コーラスではしおれていて、後半でだんだんと前向きになっていく…というパターンが多くなってきましたが、この曲は早々に『トビラを開けて 進み行くだけ』と結論を出します。展開のドラマティックさを重視する場合はマイナスですけど、この曲はその後の告白シーンを描く部分からサビに回帰しさらにそのままコーダに突入していく、ずっとテンション上がりっぱなしの展開が待っているわけで。こういう構成であれば、はじめから突っ切っていくほうが自然かなと思うわけです。

 ただ今回はその他のアラが目立っちゃいますねー。いつになくリリカルに『今夜も月は…』と始まるのに、その後『初めて見たのは今日と同じ晴れた日で』ですし。蝉が鳴いていたとも言うからには、昼のことになっちゃいます。『僕が前向いたら 思い出たちが笑った』なんてフレーズは、これ単体だといいなって感じるんですが、『枕の中の世界はいつも君が笑顔で僕に歌ってる』と前に「笑顔」が出ています。
 この辺はどうしても、細かく歌詞を見ていくとマイナスとして出てきてしまいますね。メンバーが各自で詞を持ち寄るスタイルだそうなので、完成度よりもその継ぎはぎの妙を楽しめればいいのかもしれませんが…個人的にはそれはちょっと。
 スタイルとしてはアリだとも思うのですよ。複数のラップ担当がいるユニットはどこもそうですけど、別々の声と別々の角度で代わるがわる歌うことで、ひとつの歌を多角的に築き上げることができるわけですから。ただ、やっぱり全体での整合性はとってほしいところ。


posted by はじ at 03:10| Comment(6) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 以前メールでお話したように、ORANGE RANGEのCDセールスは明らかな低下傾向にあります。<br />
・シングルセールス<br />
http://www7a.biglobe.ne.jp/~yamag/orangerange.html<br />
・アルバムセールス<br />
http://www7a.biglobe.ne.jp/~yamag/al_orangerange.html<br />
<br />
 アルバムでは、2nd「musiQ」が約260万枚も売れたのに、3rd「ИATURAL」が約90万枚、4rd「ORANGE RANGE」が約30万枚(現時点)という急落ぶりです。原因としては、アルバム曲のクオリティがシングル曲に比べて低いという評価もあるのでしょうが、管理人さんが指摘したようにパターンのマンネリ化というのもあるかもしれませんね。<br />
 でも、彼らはまだ若いのだから奮起してほしいですねえ。ハードロックやヒップホップなどの要素をごちゃ混ぜにした彼らの音楽性は、登場した時は新鮮だったからこそあれほど大ヒットできたわけですからね。
Posted by シスターチルドレン at 2007年01月29日 07:32
 なんとなく「レンジはレンジだからなァ・・・」と歌詞に関する矛盾点などもヤツラならしょうがない、とスルーしてしまうことも多いのですが、こうして細かく見てみると、まだまだ推敲の余地があるものですね。<br />
 アルバムの出来は、個人的には今ひとつというか。楽曲は「フツーのポップス」を意識的に追求したみたいですし、詞の世界観もSAYONARAのようなシリアスな作品が中心で、個々に見れば「MIRACLE」「Hello」など、光る曲もあるけれど、アルバム全体が大人しげなトーンで構成されていて、印象に残りにくいような気が。。。結局は「DANCE2」と「Walk on」の健闘ばかりが妙に目立つアルバムだったという感じでしょうか(実際この2曲は、レンジの歴史全体の中でも、かなり好きです)。<br />
 2nd『musiQ』の一部曲のような、ノリだけのような曲を作らなくなったのは良いんですが、個人的に大変充実していたと思う3rd『NATURAL』に比べると劣る気がします。<br />
 やっぱりレンジはレンジらしく(?)探究心や音楽性の間口は広げつつも、世間の先入観や固定観念に対する挑発的な姿勢を忘れないでほしいな、、、と思います。長文失礼しました。
Posted by 栗ご飯 at 2007年01月31日 14:39
ヒットしなくなっても続いているバンドはいくらでもありますが、彼らの場合今までを鑑みるとこのままだと活動しなくなることも考えられますよね。<br />
まだ彼らほどシーンを挑発する新鋭が出てきていないので、もうちょい頑張ってほしいところですが…あんまり新規開拓やスキルアップは考えていないのかなーという気も。
Posted by はじ(管理人) at 2007年02月03日 21:39
最近はハジけ方が足りなくなってきている感はありますね。もうちょい不真面目に頑張ってくれるといいんですけどねー。
Posted by はじ(管理人) at 2007年02月03日 21:47
確かにorange rangeはシーンを挑発する存在でしたね。なにしろ「俺達の合言葉は『パクろうぜ』です」などと公言して、実際「ロコローション」では作曲クレジット変更問題を引き起こしたくらいですからね(笑)。
Posted by 金魚花火 at 2007年02月04日 09:38
ありましたねー。<br />
あの「パクろうぜ!」は揚げ足取りすぎだなあと思いましたけど、でもあの発言でパクリどうこうの流れに火がついちゃったのかもしれませんね、今思うと。
Posted by はじ(管理人) at 2007年02月05日 00:03
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