2006年12月25日

絢香「三日月」

三日月
ワーナーミュージック・ジャパン
絢香 , L.O.E

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<離れた相手への強い想いを、印象的なメロディに乗せて投げかける>

 絢香4枚目のシングルにして、最大のヒットとなった今作。1コーラスはピアノ中心、2コーラスから楽器が増えて盛り上がっていくという、オーソドックスなバラード形態になっています。

 特徴としては、そのシンプルさ。前奏もメロもさらっと、あんまり長くない。で、盛り上がり方もストリングスをふんだんに使用してはいますが、あんまりベタベタし過ぎない印象です。リフレインもサビ箇所を2回繰り返したりとかせず、ちょっとだけ拡げてみるだけ。アウトロもさくっと終わり。4分38秒あるんですが、ずいぶんすっと終っちゃう印象を受けるんです。

 ある程度ドラマティックに仕上げてはあるものの、しつこくない、胃にもたれない感じは聴きやすく上品な仕上がりでなかなか好感なのですが、でもそれだとやっぱりインパクトが少なくツカミは弱くなるはずで。
 そこをカバーするのが、サビのメロディです。
 たとえば、出だしのラインはイントロの頭にも出てきますが、前奏は繊細な響き、サビはどっしり+深みの出るようにとコードを若干変えていたり。『そう no more cry』のオクターブ跳ね上がり、そして上がった1音に「cry」と3音分詰め込める単語が入っているのも、細かいながらも聴き手の心を掴む重要なポイントです。
 で、やっぱりインパクトがあるのは『がんばっているからねって 強くなるからねって』の部分。特徴的なメロディ、言葉のはまり方、どちらも○。遠くにいる「あなた」へ向かっての意志を表明する、曲でもっとも重要な部分を担うにふさわしい作りになっているなあと。

 と、サビのメロディに工夫があるので、あっさりめの作りでもじゅうぶんな印象付けができたという面もあるんじゃないかなと。メロの短さ、展開のシンプルさも、サビにさくっと繋げるという点で生きてきますしね。

 歌詞は、少し触れましたが離ればなれの環境にいる恋人への呼びかけ。ひとりで心細いながらも強くあろうという意志を、『消えそうな』細さながらも夜空に輝きを放つ「三日月」に重ねています。夜空を見上げて『君も見ているだろう』…というパターンは最近どうも頻出しているなあと感じていて( mihimaru GT「いつまでも響くこのmelody」でも触れましたが)、その見上げる月に意味を持たせてタイトルにしているのは、ひと工夫あるなと。


posted by はじ at 00:50| Comment(8) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(あ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
絢香は歌唱力が高く、今年最も注目された女性新人アーティストでしたが、シングルはバラードは売れたけど、ロック調の曲なんかに挑戦したらあまり売れませんでしたよね。1stアルバムの売り上げは好調だそうですが。彼女がデビューした頃、あるサイトには「小柳ゆきの悲劇を2度と繰り返してはならない」などという事が書かれていましたね。小柳ゆきは歌唱力抜群だったけど、セールス的には「あなたのキスを数えましょう」の一発屋になってしまったわけですからね。
Posted by シスターチルドレン at 2006年12月25日 08:53
僕もI believeで始まり三日月とバラードばかりが注目され売れて、綾香はバラードというイメージが定着しているなかこれからどうやっていくのか、疑問です。ライブとか普通にやるのなら代表曲がバラードばかりなら観客をのせるのも難しいでしょう。ノリですし。<br />
僕もシスターチルドレンさんと同意見で、小柳ゆきを交えて書き込もうと思った同じことが書かれてて驚きましたw<br />
ちなみに綾香はまだI believeのほうが売れてると思いますよ?しかしながら三日月のほうが認知度は上だと思いますが。
Posted by 硬水 at 2006年12月25日 15:57
大学時代の友人が言うには「バラードでブレイクした女性ボーカリストは、ヒット作が長続きしない」という法則を提唱していました。<br />
実際、小柳ゆきも平原綾香もそうでしたし、Kiroroや花*花といったほっこり路線でもそういう傾向があります。逆に、misiaや宇多田ヒカルのデビュー曲はバラードじゃありませんでした。<br />
<br />
これは仮説ですが、バラードのようなスロー曲は、歌い手への印象付けがしにくいからなんじゃないかなと。<br />
バラードって、曲そのものでの個性ってアップテンポと比べて出しにくいジャンルだということがまずひとつ。<br />
その中で、バラードのヒットって「その曲に浸れるかどうか」に大きくかかってくるわけでして。ヒットすればするほど、世間的には、歌い手をその曲のイメージで見るようになるわけです。平原綾香なんて未だに「ジュピターの人」という感じですしねー。<br />
だから、新境地を開いてもリスナー側は受け入れにくいのではないかと思うわけです。
Posted by はじ(管理人) at 2006年12月27日 01:24
「三日月」は、シングルとしては絢香初の「恋愛の歌」だったという点も、ヒットに拍車をかけたんではないかなと。今までの3作は自分自身を鼓舞する歌ばかりだったのが、ここでしっとりと「君」に想いを向ける、という。<br />
<br />
それにしても、伊藤由奈やAIなど、どうもこのところの新進女性ボーカリストはバラードイメージをなかなか脱却できませんねえ。中島美嘉やYUIのように役柄で新しいイメージをつけるくらいのインパクトがないと、なかなか難しいのかもしれません。
Posted by Re:硬水さん at 2006年12月27日 01:29
 平原綾香についてですが、この人の場合は、明らかにクラシック畑の人であって、たまたま「jupiter」が大ヒットしたからポップス歌手みたいな扱いになったという感じなのではないでしょうかね。<br />
 でも確かに、バラードでブレイクした女性ボーカリストには一発屋が多いですよねえ。鬼束ちひろだってそうでしたよね。
Posted by シスターチルドレン at 2006年12月27日 19:09
いやーしかし三日月はいい歌ですよw<br />
この話の流れのヒットするとか一発屋とかからは脱却しちゃうんですけど。<br />
<br />
この歌は本人の実体験らしくて歌入れかプロモの時も泣いてしまったそうです。<br />
カラオケで友人が歌っていて、いい詞だなと思いました。<br />
大塚愛の時も少し言いましたがそれだけで俺はオーケーだと思います(かるいw
Posted by 硬水 at 2006年12月28日 21:00
平原綾香は音大でサックス吹いてますが、ボーカルに関しては特にクラシック寄りということはないのですよ。でも、やっぱりどうしても「Jupiter」の印象は強くあるんですよね。<br />
「虹の予感」とかカッコイイなーって思うんですけどねー。と言いつつ今タイトル忘れてたので調べましたけど…
Posted by はじ(管理人) at 2006年12月31日 14:41
ま、言葉に体重が乗っている感じがしますよね。実体験だとやっぱり、思い入れとかそういう部分って出てくるので。<br />
絢香のこれまでのメッセージソング系の言葉も、上っ面だけっていう気はしないですけど、今回が一番厚みがある感じがします。<br />
これから経験重ねていけば、もっといいもの書ける余地も十分あると思いますけれど。
Posted by はじ(管理人) at 2006年12月31日 14:46
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