2006年12月10日

Salyu「name」

name(初回限定盤)
トイズファクトリー
Salyu, 一青窈 , 小林武史 , GEORGE HARRISON

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<「あなた」を自らの内側まで深く受け入れようとする、強い強い呼びかけ>

 Bank Band with Salyu「to U」で櫻井和寿と共演したことで、一躍知名度を広げた彼女の続くシングルは、今度は一青窈の作詞で贈る楽曲でした。一青窈はかなり独特の質感と色彩を持った言葉を綴るタイプの人ですが、これが言われてみれば独特の声質と歌い方をするsalyuと合うんですよね。この組み合わせは、ただでさえ相性次第なところのあるsalyuのキャラクターからさらに好みをより分けているような気もしますが、個人的には面白かったです。

 『パパから言われた内緒話それはね/あたしの身体にすごく大事な/部屋があるということ』。パパが登場するあたりは一青窈らしいなあと思いつつ、「部屋」という言い方が与えるイメージが重要です。部屋ということは、そこに「誰か」が入ってくる場所だということですから。自分自身、あるいは「あなた」が。

 そんな「部屋」に「あなた」を呼び込みたい、それが『好きになってしまったの あなたを』という感情を表しています。さらに言えば、その欲求は『早くはやくはやくあたしのここに/心に名前をつけて』という呼びかけへとつながっていく。
 心の中まで入ってきてほしい、あるいは「名付ける」という、その人間を規定する根源的な行為を行ってほしい。それだけの多大な影響を「わたし」に及ぼしてもらいたい、そんなはっきりと強い感情がこの曲には渦巻いているわけです。


posted by はじ at 05:53| Comment(4) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(さ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
難解な感じで正直言ってくっきりと理解し切れてないんですが、この「すごく大事な部屋」っていうのは自分は「赤ちゃんの入る部屋」だと思ってました。「赤ちゃん」でname、名付けると。「目が覚めて」「宇宙(そら)まで一緒だと感じていたいよ」「生まれたときのように」「うわごと」なんかの部分は明け方の床の情景で、物語中で2人が交わっている事を暗示させる感じです。<br />
「生まれたままの姿になる」という事は何も「証」を持たない、「名前の無い」、空虚な姿になると言う事であり、そこに新しい存在価値、といったら情緒も半減なんですが、「ぬくもり」とか「証」(っていうのは赤ちゃんに限定することなく、もっと曖昧な物という感じ)を「あなた」に与えて欲しいのだ、と。<br />
そして、「早くはやくはやく」「お願い」とかの部分からは孤独な感情も読み取れずにはいられなくて、絶対的な距離感とか壁の存在がぼんやりと浮かんできます。しかし、それを明確に示す訳でもなく、そのよく分からない感情に単純に、ただ一人の人間がただ単純に『お願い』と切望し祈る点がこの曲のぬくもりとか根源的な何かが宿る所以たる所なのかなぁと。<br />
こんな感じで僕は解釈しました。が、冒頭の部分とか、6箇所以上の素敵な場所ってなんなんだ一体(笑)<br />
歌声も相まって本当に大好きな歌です。聴いた瞬間にびびっときました。
Posted by rslog at 2006年12月11日 23:29
お久しぶりです。そしてたいへん面白いコメントありがとうございました。<br />
<br />
確かに自分も『すごく大事な部屋』=「子宮」「母胎」の線は考えたんですよー。<br />
その根拠としてはまず、教わったのが『パパから』ということ。なんとなく世代の受け継ぎを思わせるわけですね。<br />
もうひとつは、一青窈が「大家」など、家族を描く歌を多く作っている(というか、自然とそういう要素が入ってくる)ということ。恋愛も家族愛も分けずに、大きな「愛」として渾然一体となっているような曲を、自身でも歌っているわけで。<br />
<br />
何か宿命的な響きを帯びるこの曲を聴いていると、確かに生み出すいのちとの繋がりも感じさせるんですが…ただ今回は『あたしの気持ちなぞってくれた』とか『心に名前をつけて』とか、自分の内側ではなく、自分と対等の誰かへの呼びかけがあるので、それだけでは説明がつかないように考えたのです。<br />
<br />
また『6箇所以上のステキな場所』も、具体的に身体のどこかの器官を指しているんじゃないよなあ、と判断する一因になりましたね。「いろんな感情を(「あなた」との出会いで)自分の中に見出していく」みたいなことなのかな、という風に考えて書きました、ここは。<br />
<br />
<br />
一方で、rslogさんの「明け方の褥」の中で「名前の無い空虚な姿」というイメージは、なるほどなあと思いました。<br />
<br />
これを生かしたいなあと思って考えた、「新しいいのち」ではなく「あたし」自身が幼子に回帰する…という解釈を、ちょっと述べてみますね。<br />
<br />
「あなた」と交わリ愛しあう中で、根源的な生の歓びの感覚に出会う。生れ落ちたときまで自分自身を遡って、改めて「名付けて」もらうというくらいの、自分自身を塗り替えるような驚きと喜びがそこにはあった…というのはいかがでしょうかと。<br />
<br />
端々の言葉の子供っぽさ、そして『早くはやくはやく』『お願い』と切々と訴えかける様子は、salyuのこぼれるような歌声と相まって、どこか赤ん坊がぬくもりを求めて泣いているような気分にもなりますしね。…これが正しいんじゃないかという気がしてきた。<br />
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いずれにせよ、ぐっと内容が濃くなりました。素晴らしいコメントありがとうございました!
Posted by はじ(管理人) at 2006年12月12日 01:29
レスありがとうございます。「幼子に回帰する」っていうのはまさにそんな感じですね!<br />
<br />
なんというか、体一つで1対1になって、無意識に舞戻ってしまうんだと思います。自分と言うものを意識せざるを得なくなって、そして意識する=疑うという事は存在のものへの不安へ繋がれば、そんな曖昧な「あたし」はやわらな命そのものである、未だ人と呼べるかどうかすら分らないそれ、と等しいのではないか、、みたいな。だから名前=今の証=自己の存在証明を「はやくはやく」欲していると。<br />
<br />
そういえばスピッツに「名前を付けてやる」という過激な曲がありましたが、あれってただエロい歌じゃないのかもと今では思ってます(笑)バンプの「夢の飼い主」なんかも名付けの概念のエッセンスだけ抜き出して、リンクさせたりもしました。<br />
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やっぱりトークすると理解が深まりますねー。またいずれよろしくお願いします。ありがとうございました!
Posted by rslog at 2006年12月13日 01:58
こちらとしても意見をいただけると気がつかなかったところや削った部分にまで言及できて楽しいです。<br />
<br />
「名前をつけてやる」は、「幼さ・純粋さ」と「妄想・エロ」が入り混じった、典型的な初期スピッツらしい一曲ですね。歌詞を見るとけっこう暗いイメージのフレーズが並んでいたりで、何かしらの奥行きを感じさせます。<br />
<br />
バンプはそもそも、「K」「アルエ」「リリィ」「ラフメイカー」など、名前のついたキャラクターが多いですよね。物語的な内容だから自然とそうなるんでしょうけど、そうすると「名づけ」という行為の力強さを体で感じているということなのかもしれませんね。
Posted by はじ(管理人) at 2006年12月14日 00:34
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