2006年10月28日

倖田來未「4 hot wave」

4 hot waveエイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ倖田來未, tasuku , Miki Watanabe, Yo Tairaこのアイテムの詳細を見る


<イメージをひとつに絞らず、複数の方向性を同時進行で保つ>

 倖田來未の4曲入りマキシシングル。 Mr.Children「四次元 Four Dimensions」GLAY「G4」のように4つともA面扱いというわけではないようですが、どれにもタイアップがついているなど「これがA面」という押しはないようです。イントロとアウトロ用のインストを付けていることからも、ミニアルバム的に「4曲で1枚」という見せ方になっています。


 1曲目は「人魚姫」。ロマンティックなタイトルとは裏腹に、ハードなロックサウンドといった様相。悲しい恋の結末に身を焦がし、おとぎ話のように『泡になって消えて』未練を浄化できたならいいのに、と願うわけですね。それをバラードでなくこういう重いサウンドで気だるく吐き出すというのは、なかなか好きです。キレイに切なさを語るのもいいですが、「歪んでしまうくらいの溢れ込み入る感情」を表せるんですよね、こういう組み合わせだと。
 ただ、それにしては『君じゃなくても大丈夫だとか甘かった』とか『どうすればいい?/約束したじゃない!??』とか、ストレートな言葉遣い⇒ストレートな感情表現すぎる箇所があって、ちょっと生かしきれていないかもという印象も。これらのわかりやすい口語的な言葉も同世代の共感を得るって点ではアリだと考えているんですが、ちょっと「人魚」にしては蓮っ葉すぎないかと。

 2曲目「I'll be there」は爽やかミドルテンポ。弾んだシャッフルのリズム、かつキーもかなり抑え目で、あまり力を入れずに聴けるリラックスした雰囲気です。
 曲中に「君」は頻繁に登場し、語りかけています。『光が海に溶けて このままkissをしよう』とあるからには恋人同士なのでしょうが、あんまり恋愛要素は強くなく、『君の未来も 果てしなく 広がるだろう…』など、未来を勇気付ける志向も出ています。爽やかな情景描写が多く、キスのほかは『そばで笑ってよ そばで笑いたい』くらいで、エロカッコイイだけじゃないんだと言わんばかりのピュアな世界観が出来上がっています。『海に映った 月の上を 裸足で渡ろう』なんてフレーズは好きだなあ。

 3曲目「JUICY」は、もともとのR&B路線+アダルティーな雰囲気。オリエンタルな雰囲気に乗る言葉は、唯一の外部作詞となっています。こういうセクシャルなイメージ喚起に徹するコンセプトの曲では、本人の言葉でないほうがいいのかも。
 倖田來未本人の詞は、何だかんだいって「女の子」な感じになるんですよね。『特別な夜の果実/Ooh 食べたいでしょう?』みたいな挑発的なフレーズは使えるにしても、最終的には「私を満たして」とかそういう着地点になりがちだったりするので。

 4曲目「With your smile」はアップテンポで爽やかさもある、4つ打ちのビートが響くディスコ風サウンド。メロが淡々と進むぶん開けて感じるキラキラ音を多用するサビは、夏を感じさせてきます。
 一人称は「僕」。『プライドかけて伝えたい/君の笑顔ある限り』と、「君」が傍にいることで強くなれる、進んでいけるんだと語りかけています。『涙が頬を 流れてしまいそうになる』というくだりとか、いかにも女性が「僕」視点を使うときの「純粋な少年」ぽさが出てますね。ちょっと弱々しすぎるような気もしますが…
 そのほか、ほかと比べてちょっと詞の密度が薄い印象。


 12週連続リリースもそうだったけど、これって単に寄せ集めなんじゃないの?みたいな批判も出ていますが、おそらくは「倖田來未といえばこれ!」という音楽を絞らないことで、バラード歌手がなかなかアップテンポを定着させられなかったりするような、固定イメージの定着を嫌っているんでしょうね、このあたりは。
 もっとも勢いのあった時期に別々に分けて12枚出し、前作「恋のつぼみ」で関西弁+ラブラブな雰囲気というちょとした新境地を挟み、今回はバラバラの曲調を1枚に入れてくる、と、戦略としてはなかなか巧みだなあと。


posted by はじ at 02:25| Comment(4) | TrackBack(0) | J-POPレビュー女性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
12週連続シングルリリースなんかをするよりも、このように4曲入りミニアルバム的シングルを出してくれたほうがファンにとってはお買い得ですね。<br />
さて、倖田來未がこの次に出したシングル「夢のうた/ふたりで・・・」は、一つの曲に2通りの歌詞をつけるという試みの曲でしたが、ネット上ではこの曲のメロディーが盗作ではないかとして話題になっていますね。これは1〜2小節程度のフレーズが酷似しているという次元の話ではありません。Aメロが露崎春女「もう二度と」とほとんど同じで、サビの部分はキーを上げたら奥華子「やさしい花」に酷似しているじゃないかというわけです。Youtubeに比較している動画があります。<br />
http://www.youtube.com/watch?v=AuuYx__ZdUw
Posted by シスターチルドレン at 2006年12月18日 09:16
彼女は歌というよりも本人のキャラへのスター的憧れが、人気の元だと思うのです。言うなればファッションモデル的な部分があって、着せ替える曲は、多ければ多いほどいいんですね。<br />
<br />
さて盗作問題ですが、ここはその曲の記事じゃないし当ブログの趣旨ともちょっとズレるので、簡潔に。<br />
<br />
ここまで一緒なのはなかなか珍しいですね。これはもう明らかにこの曲にとってはマイナスです。<br />
ただこれも、意図的に拝借したんじゃないと思いますけどね。ここまで長く(しかも2曲)同じ部分があるのはなかなかないケースですが、似たようなメロディラインは探せばもっとあるはずですし。<br />
結局よくあるパターンの中でかぶったということだろう、という見解です、個人的には。
Posted by はじ(管理人) at 2006年12月21日 23:30
 この曲の作曲者が「無意識的な盗作」を行ってしまった可能性は十分考えられますね。「いい曲が思いついた!」と喜んで曲を発表したけど、実は過去に聞いた曲のメロディーを思い出しただけだった・・・というケースは、過去の盗作問題でも何度かありましたからね。まあ、この「夢のうた」は、倖田來未の高い歌唱力を堪能できる曲ではあるわけだし、仮に本当に盗作だったとしても、現在人気絶頂の彼女が歌ったからこそ世の中に広く知れわたったわけですからね。<br />
 かつて元ビートルズのジョージ・ハリスン「My Sweet Road」がシフォンズ「He`s so fine」の盗作だと訴えられて、裁判で敗訴して多額の賠償金を支払う事になってしまった有名な事件がありましたが、現在では「My Sweet Road」のほうが人気があるそうです。要するに、パクった曲のほうが多くの人々の心をつかんだわけですね。<br />
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%89
Posted by シスターチルドレン at 2006年12月23日 21:56
まあ、無意識的な話をしてしまうと、アーティストが自分の好きな音楽、親しんできた音楽の傾向がでてくるというようなルーツの話にもなりますし。<br />
曲のメロディ盗作に関しては、今回にせよそりゃ可能性はありますが、結局のところ当人の内側でのことで、外部の人間は「そうかもしれない」くらいにしか思えないわけです。だったら騒いでも仕方ないなあと。<br />
<br />
あと、盗作か否かの議論とアーティストや楽曲の人気は、分けて考えないとややこしいことになるんじゃないかなと。人気が出れば盗作していい、というわけではないですし。
Posted by はじ(管理人) at 2006年12月25日 00:09
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