2006年10月24日

KinKi Kids「夏模様」

夏模様
ジャニーズ・エンタテイメント
KinKi Kids,Satomi,井手コウジ, マシコタツロウ, 佐久間誠, 佐藤泰将

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<イメージとしての「日本の夏」その懐かしさを呼び起こすには>

 今年前半はそれぞれソロをこなしていた二人ですが、半年近いスパンを終えてまたユニットとしてシングルをリリース。意外と珍しいメロウで落ち着いた楽曲となっています。やっぱりこういうのはそれぞれのソロじゃ出てこないよなと。二人ともだいぶ伸び伸びやっていたせいか、妙に安心して聴けたり。

 非常に沖縄っぽい、南国の夏の雰囲気が漂っています。これはやはり三線の音色と、イーヤーサーサーという掛け声の力によるものなんでしょう。メロディラインも歌詞の内容も特に沖縄っぽいわけではなく、『蝉時雨の波 追いかけてた』というような情景は、沖縄の海よりはむしろ山奥の田舎といったイメージで、本州のものだという感じがします。
 笛の音とかは単に「和」を感じさせるだけだし、メロディラインも特に五音音階というわけでもない。三線ですら沖縄音階を意識させこそはすれ完全に沖縄五音ってわけでもないのです。それでも沖縄っぽいのだから、三線の威力というのはすごい。

 上でもちょっと触れたように、懐かしい古き良き日本の夏のイメージが歌詞中には展開されていて、といっても郷愁の切なさをぐわーっと押し出しすぎもせず、心地よい懐かしさに浸ることができるようになっています。夏のイメージと言えば!のひまわりではなく、慎ましやかなアザミを持ってくるあたりも、穏やかな曲調を崩したくない配慮があったのでしょう。
 …ただ、実際のところは、こういう懐かしさはあくまで「懐かしいイメージ」なんですよね。こういう情景の中『小さな夢 抱えながら/躓き転んで/膝を擦りむいた』なんて経験を本当にした人っていうのは、やっぱり若い世代になるにつれ少なくなっているはずなんです。それでも懐かしいものは懐かしいので、人間って不思議なものだ。

 上記を踏まえて、『蒼い夏の日』という表現に注目してみましょう。この「蒼い」は、「イメージとしての懐かしさ」を楽しむ人向けの表現だと思うのですよ。実際に小さな頃にこの曲のような体験をした人には、この「蒼い」は実感とちょっと乖離しちゃうんではないかなあと。思い出は美化されるものにせよ、やっぱり「蒼い」という言葉には、草いきれや土の匂いに欠けるところがあるはずで。
 だからってこの表現はダメだっていうんじゃなく、この曲の情景を実体験していない人にとっては、単に「青」というより「蒼」のほうがカッコイイし、イメージが膨らみやすいのではないでしょうか。これは、「アザミ」にしろ「蝉時雨」にしろ同じですね。体験に共鳴せずとも、その単語の響きがそれだけでイメージを喚起する、そんな言葉を選んで使っているように思えるのです。

 つまりこの曲は、実際に田舎の夏の風景を知らない人にもそのイメージを喚起させ、懐かしい雰囲気を感じてもらおう…そんな意図があるように思うのです。
 まあ、作詞者も実体験がなくってイメージで描いた、ってことなのかもしれませんが。


posted by はじ at 22:35| Comment(0) | TrackBack(0) | J-POPレビュー男性(か行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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